2017年の旅 アイルランド 北アイルランド コッツウォルズ

花花

第9日 6月30日(金)水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。

今日の行程       Belfast B&B --- Kinbane Castle --- Carrick-a-rede Rope Bridge ---
              Giant's Causeway --- Old Bushmills Distillery --- Dark Hedges ---
              Glenarm Castle Walled Garden --- Sir Thomas & Lady Dixon Park --- Belfast B&B
今日の走行距離     304 km
今日の万歩計      23,200 歩
今日の出発時気温    14.0 ℃

ベルファスト B&B   Belfast B&B

Belfast B&B Belfast B&B

6時30分に目覚める。外は雨は降っていないが曇天で風が強く寒そうだ。岬の廃城やジャイアント・コーズウェイなどのウォーキングに備え寒さ対策としてヒートテックのシャツを着る。(6月末です)
朝食はフル・イングリッシュをオーダー。今日もイチゴが美味い。カナダから見えたというご夫妻が同席だ。ベルファストは2泊でダブリンに移るんだという。 「ウィスラーを訪れたことがある」と話すと「スキーか?」と訊く。「ノー、ゴルフだ」と応えると「ベリー・グー」と片眼をつむり、親指を立てるポーズがきまっている。

キンバン城   Kinbane Castle

キャリック・ア・リード吊り橋(Carrick-a-rede Rope Bridge)の近くに気になる廃城を見つけてしまった。 キンバン城だ。今日はタイトなスケジュールだが、回り道をする。
パーキングには車が1台止っているだけだ。岬のつけ根の高台は強風が吹き荒れている。遠く南方向に岬が霞んでいる(写真下左)。フェア・ヘッド(Fair Head)だ。
城のあるキンバン岬は別名・ホワイト・ヘッド(White Head)とも呼ばれる。白い石灰岩がむき出しになっている。歩き出したが、城はとんでもなく下方にある(写真下中)。 階段が延々と続き、頑丈なフェンスが張られている。 それなのにこんな標識が張ってある。強風も相まって先に進む気がなくなる。 城の姿は目いっぱいのズームで捉えて(写真下右)、ここまでとしよう。
キンバン城は1547年にこの土地の氏族・コラ・マクドネル(Colla MacDonnell)によって建てられ、1700年代まで住居として使われていたが、 その後廃墟となったものだ。写真下中に写る洞窟は"Lag na Sassenach"(英語で"Hollow of the English")と呼ばれ、16世紀に大虐殺が行われた場所だという。 (洞窟のアップ写真は拡大写真からどうぞ)

Kinbane Castle Kinbane Castle Kinbane Castle

キャリック・ア・リード吊り橋   Carrick-a-rede Rope Bridge

キンバン城とキャリック・ア・リード吊り橋は直線距離ならわずか3kmだ。 道路では遠回りになって約10分で吊り橋のパーキングに到着する。キンバン城とは大違いでパーキングは大混雑だ。コーチもたくさん止まっている。 パーキングから吊り橋までは1kmあまりのウォーキングだ。石ころだらけでアップダウンの厳しい道だから、結構きついウォーキングとなる。
相変わらず強風が吹きつけてくる。11年前に訪れた時の穏やかな印象とは大違いだ。ホワイトクリフの磯を荒波が洗う(写真下左・中)。

Carrick-a-rede Carrick-a-rede Carrick-a-rede

吊り橋へは急な階段を下りて行く(写真上右)。階段の途中で妻が渡るのを待とうとしたら、係員から早く降りろと急がされた。(写真下左)。 吊り橋は"30m-deep and 20m-wide"と超ミニサイズだ(写真下中)。それでも今日ほどの風があるとスリルを感じる。 吊り橋はサーモン漁の漁師たちが200年前に架けたのが始まりだという。

Carrick-a-rede Carrick-a-rede Carrick-a-rede

渡った先がキャリック・ア・リード島(Carrick-a-Rede Island)だ。この島は400年前からサーモン漁が行われてきたのだ。 島の海岸には船を舫う港もなく、船や網をリフトで島に吊り上げていたのだという。
島の東側断崖からキンバン城と思われる岬とその先遠くにフェア・ヘッドで見たのと同じ形でフェア・ヘッドが見える(写真上右)。
島の西側断崖から西を望めば、美しいホワイトクリフに白波が砕けている(写真下中)。北の海岸線は島陰で風が遮られているのか、穏やかな海岸線が続く(写真下左)。

Carrick-a-rede Carrick-a-rede Carrick-a-rede

吊り橋は交互通行にコントロールされている。一度に渡れる人数も8人程度に抑えられるから、コーチの団体客が到着した時には大渋滞となる。 帰りは渡る順番が来るまで長時間待たされた(写真上右)。
本土に戻り少し高台の展望台に上る。嬉々としてはしゃぐ人、恐々とへっぴり腰な人、手に取るように分かって面白い(写真下左、中)。
11年前はここまで混んでいなかったので、行きかう人と挨拶したり、写真を撮り合ったりなど交流があったが、今年の混雑ではそんな雰囲気はないようだ。

Carrick-a-rede Carrick-a-rede Carrick-a-rede

ジャイアンツ・コーズウェイ   Giant's Causeway

キャリック・ア・リード吊り橋から西に10km余りでジャイアンツ・コーズウェイに到着する。 2度目の訪問だ。この辺りはキンバン城もキャリック・ア・リード吊り橋も含め“ジャイアンツ・コーズウェーとコーズウェー海岸”として1986年に世界遺産として登録されている。 しかし、なんと言ってもハイライトはジャイアンツ・コーズウェイの4万にも及ぶ正六角形の石柱群だ。古第三紀(6000万年前)の火山活動で流れ出た溶岩が冷却され、 収縮作用でひび割れを生じ手出来たもので、柱状節理と呼ばれるものだ。
とても自然の造形物とは思われない。そこで“アイルランドの巨人フィン・マックールが、スコットランドの巨人ベナンドナーと戦いに行くためにコーズウェーを造った”という 伝説が生まれたりするのだろう。(他にも幾つもの伝説がある) この旅の最も楽しみにしてきたアトラクションの一つだ。
ビジター・センターの広大なパーキングは車でいっぱいだ。特にコーチの数が凄い。北アイルランド一の観光地なのだ。

Giant's Causeway Giant's Causeway Giant's Causeway

ジャイアンツ・コーズウェイの断崖の上の遊歩道を歩き、“羊飼いの階段(Shepherd's Step)”を通って海岸に下りる予定だったが、 間違えて海岸に下る道を選んでしまった。途中で気がついたが、坂道を戻る元気もなくそのまま下る。
坂を下りきった辺りに小さな岬"Great Stookan"がある。その手前の湾"Portnaboe"(写真上左)のどこかに“らくだのこぶ(Camel's Hump)”と呼ばれる奇岩があるはずだが、見つけられない。
"Great Stookan"は岬全てが柱状節理だ(写真上中)。風も強く荒波が岩を洗う。一番高い岩の上から岬の付け根方向を望む(写真上右)。稜線が歩く予定だった"Cliff Path"だ。 岬の東側を見ると次の岬"Grand Causeway"との間の"Port Ganny"湾に白波が打ちつけている(写真下左)。

Giant's Causeway Giant's Causeway Giant's Causeway

"Grand Causeway"岬も柱状節理だけの岬だ。こちらのほうがスケールが大きいようだ。例により真っ先に一番高いところに上る御仁がいる(写真上中)。 強風が吹いて危険に思われる。君子は危うきに近寄らない(ただの高所恐怖症だという声も聞こえる)。
今回のジャイアンツ・コーズウェイでのお楽しみの一つは名前が付けられた色々な形の岩を見つけることだ。ネットで幾つもリサーチしてその写真もコピーしてきた。 (こちらの観光地ではそういったものの案内はほぼないと思った方が良い)
その1つ目が写真上中の赤枠の部分の“ウィッシングチェア(Wishing Chair)”だ。この椅子に座って願い事をすると長いが叶うのだという。 "Grand Causeway"岬の一番高い岩の中にあることはネットの写真を検討して見当を付けてきたが、数ある岩の中から探し出すのは苦労した。 コピーしてきた写真と比べても間違いない。妻は早速座って何やら祈っている(写真上右)。 “女性だけが座ることを許される”との情報もあったので尊重し、私は控えた。周りを見ると、別の岩に座って祈っている人も見られる。 自分で「これがウィッシングチェアだ」と信じれば、それはそれで良いのだ。

Giant's Causeway Giant's Causeway Giant's Causeway

足下を観察すると六角形の岩の中心部が風化で凹んだところに雨水や海水が貯まっている(写真上左)。これを“巨人の目(Giants Eyes)”と呼ぶらしい。 また、“蜂の巣(Honeycomb)”とも呼ばれているようだ。名前のある岩2つ目だ。
"Grand Causeway"岬から東を望むと"Port Noffer"湾を隔て"Lacada Point"岬の奇岩“巨人の煙突(Chimney Stacks)”が見える(写真上中)。名前のある岩3つ目だ。
"Port Noffer"湾の断崖に見える一際高い柱状節理がパイプオルガンに見立て“巨人のオルガン(Giant's Organ)”と言われる奇岩だ(写真上右)。早くも4つ目が見つかった。
岬の先端を目指して進むとロープが張ってあり、それより先は進入禁止だ。ナショナル・トラストのボランティアが監視している。岬には凄まじい強風と荒波が打ち付けている(写真下左)。 その様子はユーチューブ(YouTube)の動画でよく分かっていただけるだろう(1分33秒)。 風で体が揺れて映像が安定しないがご容赦を。

Giant's Causeway Giant's Causeway Giant's Causeway

海水を被らない高い位置の岩の隙間には泥が堆積し、植物が生えている。小さな可愛い花も見られる(写真上中)。これらもジャイアンツ・コーズウェイの見物の一つに数えられる。
"Grand Causeway"岬の付け根の柱状節理が途切れた部分はあたかも門に見える(写真上右)。案の定、“巨人の門(Giant's Gate)”と名付けられている(5つ目)。 決して人工的に造られたものではない。この門を通って"Port Noffer"湾の海岸に移る。ここにもお目当ての奇岩があるはずなのだ。 お目当ての奇岩は直ぐに見つかった。2組の家族連れが撮影の順番待ちをしている。後ろに並び「写真を撮りましょうか?」と声を掛ける。 お返しに我々の写真を撮ってもらう(写真下左)。ちょっとアングルが悪い。(別アングルからの写真は拡大写真で)
これが6つ目の“巨人のブーツ(Giant's Boot)”だ。この岩は柱状節理ではないが、同じ玄武岩だろう。波の浸食によりこんな形になったのだろう。 靴のサイズは“イギリスサイズで93.5”というから、換算すると112cmとなる。足の大きさから類推すると身長は8mくらいはあっただろう。愉快だ。
上述の断崖の上と海岸を繋ぐ“羊飼いの階段”が見える(写真下中 7つ目)。167段の急な階段だ。下りなら良いが、とても上る気はしない。
海岸線より1つ上のパスに上がり、少し東に歩くと“巨人のオルガン”の足下に至る。12mもの高さの石柱が整然と並ぶ。正に、パイプオルガンだ。 丁度良いところに演奏席のように岩がある(写真下右)。これはちょっと出来過ぎに感じる。

Giant's Causeway Giant's Causeway Giant's Causeway

“巨人のオルガン”から東にもトレイル・パスは続いているが、ここで引き返す。“巨人の門”を東側から見ると門の右側の柱状節理が壁のように立ちはだかる(写真下左)。
先ほど見つけられなかった“らくだのこぶ”を何としても見つけたいと"Portnaboe"湾に戻ると通路の脇に小さなプレートを発見。 これが案内板だったのだ。その方向を見やれば、なるほどヒトコブラクダがうずくまっているように見える(写真下中)。目玉も鼻の穴もそれらしく見える。 都合7つ目の名前の付けられた岩となる。調べてきた岩は全て探し当てた。満足。
ビジター・センターでアイスクリームを求め喉を潤す(写真下右)。

Giant's Causeway Giant's Causeway Giant's Causeway

オールド・ブッシュミルズ蒸留所   Old Bushmills Distillery

ジャイアンツ・コーズウェイから南に5km足らずにブッシュミルズ(Bushmills)という小さな村がある。昔、村を貫くブッシュ川に幾つもの粉挽き水車があったことが 村の名前の由来だという。その村にオールド・ブッシュミルズ蒸留所があるのだ。 オールド・ブッシュミルズ蒸留所は現存するウイスキー蒸溜所としては世界で最も古く、その歴史を1490年にまで遡るのだ。そして、1608年には製造免許を受けたという。
ウイスキーはアイルランドが発祥でスコッチ・ウイスキーで有名なスコットランドへはアイルランドから伝わったのだ。 そして、アイルランドからの移民によりアメリカにも伝搬したのだ。1779年にはアイルランドの免許登録蒸留所は1228ヶ所もあったという。 しかし、様々な理由により1980年代初頭には2つにまで減ってしまったのだ。近年急速に快復し、2017年には18の蒸留所が操業している(出荷しているのは4社)。 他に操業予定または計画中が16社あるという。

Old Bushmills

アイリッシュウイスキーの特徴は麦芽にピート(泥炭)香をつけずに、3回蒸留する。そうすることでまろやかなおいしいウイスキーになるのだという。 また、アイリッシュウイスキーは"Whiskey"と表記し、スコッチウィスキーは"Whisky"と表記する違いがあるのも面白い。アメリカはアイルランドと同じ表記だ。
パーキングから懐かしいキルン乾燥塔の屋根が見える(写真下左・中)。先ずはショップに直行する。羽田で求めたナイトキャップ用のバランタインは既に底を突いた。 今夜からの飲み料を仕入れなければならない。ショップの中でもウイスキー・ショップは一番奥でゲートを越えて入らなければいけない。 ピンからキリまである中から手頃なところを1本ゲットする。
ビジター・センターに立ち寄り展示物を見学、蒸留釜の前でゲットしたウイスキーと共に写真に収まる(写真下右)。 ステンドグラスのロゴに免許取得の“1608”の年号が誇らしげに刻まれている(写真右)。

Old Bushmills Old Bushmills Old Bushmills

ザ・ダーク・ヘッジ  The Dark Hedges

11年前にアイルランドの情報をリサーチする中でこの「せかたび」というサイトで 「もじゃもじゃの並木道」という1枚の写真に出合った。以来、「もじゃもじゃの並木道」に取り憑かれ、どうしても一目見たくて情報集めに苦労した様子は 2006年の旅日記に詳しい。世界遺産の“ジャイアンツ・コーズウェイより 興味深かったと言って過言ではない”と思ったものだ。
今回の旅のためにアイルランド観光について検索すると、驚いたことに“ザ・ダーク・ヘッジ”の写真がやたらにヒットするのだ。 ダブリンやベルファストから“キャリック・ア・リード吊り橋”や“ジャイアンツ・コーズウェイ”と共に“ザ・ダーク・ヘッジ”を巡るツアーが出ているのだ。
グーグル(Google)の地図でも"The Dark Hedges"と入力すれば出てくるのだ。 11年前の情報集めの苦労は何だったのか。私が見つけた私の秘密のスポットと愛着を感じていただけに踏みにじられたような思いがする。
調べてみると“ゲーム・オブ・スローンズ(Game of thrones)” というアメリカの人気テレビドラマの撮影地を巡るツアーで世界中から観光客が押し寄せているらしい。驚いた。

Dark Hedges Dark Hedges Dark Hedges

日本でも映画専門チャンネルの「スターチャンネル」で放送されているとのことで“ザ・ダーク・ヘッジ”で検索しても5万を超す情報にヒットするのだ。 中でも旅時間NAVERまとめトラベルザウルスドットコムのサイトの写真が素晴らしい。
そんなことで、すっかり興味をそがれてしまったのだが、我がシークレットスポットの現状を怖い物見たさの思いで訪れたのだ。 11年前と異なりどんよりした曇り空の昼下がり、数組の観光客で賑わう“ザ・ダーク・ヘッジ”には木霊も妖精も感じられなかったが、 あの時危惧された“木の傷み”はそれほど進んでいなく、元気そうだったのが何よりだ。それでも最近切られたらしい跡もある(写真下右)。痛々しい。
“ゲーム・オブ・スローンズ”の放送もいずれ終了するとの情報もある。また静かで幻想的な姿を見せてくれる時が来るだろう。 「その日までサヨウナラ」を告げ後にする。
11年前に親切に道案内をし、帰りまで見守ってくれたくれた紳士と出会った場所を通る。道路を歩く男性があの時の紳士に似ているような気がした。 一旦スピードを緩めたが、「あの紳士の顔を覚えているはずがない」と思いを打ち消しアクセルを踏む。

Dark Hedges Dark Hedges Dark Hedges

グレナーム城 ウォールド・ガーデン  Glenarm Castle Walled Garden

時間が押してきた。この後予定していたガーデン巡り3つの内1つをカットしなければならない。いずれも甲乙付けがたいが、遠回りになる1軒をスキップし グレナーム・キャッスル・ウォールド・ガーデンに遣って来た。 晴れ間も見えてきたが、気温は13℃と朝より下がってきて寒い。
グレナーム城は1242年にスコットランドから追放されたジョン・ビセット(John Bisset)がこの土地を取得し、1260年にキッチンガーデン、 果樹園などを備えた城を建てたのが始まりだ。現在の城は1636年に建てられたものだ。 (お城はウォールド・ガーデンとは少し離れたところにあり、ガイドツアーのみなので今回はパス)
ウォールド・ガーデンは18世紀に造られたもので“アイルランド最古のウォールド・ガーデン”と言われる。 2005年に一般公開されたガーデンなのでポピュラーではないようだ。一時間の滞在で出会った人は僅か3人くらいだろう。贅沢にも貸し切りだ。

Glenarm Castle Glenarm Castle Glenarm Castle

入場するとまずキッチンガーデン(Kitchen Garden)が現れる(写真上3枚)。全ての作物が健やかに生育している。葉色も艶やかな緑でどれも美味そうだ。 ウォールド・ガーデンは元々城の住人に野菜や果物を供給するのが目的で造られたものだ。しかし、現在キッチンガーデンはウォールド・ガーデンの外に押し出されてしまったのだ。
ティールーム脇のベンチは後ろの壁に黄色のバラ、両サイドに桶のコンテナに銅葉で深紅の花のダリアが飾られている。斬新な組み合わせだ(写真下左)。

Glenarm Castle Glenarm Castle Glenarm Castle

アーチ門を潜ってウォールド・ガーデンに入る。アーチ門の南面はハニーサックルやバラのクライマーが華やかに彩っている(写真上中)。
アーチ門から西側は壁に沿ってグラスハウス(Glass House)が伸びる。白いハウス、ブルーのキャットミント、緑の芝が鮮やかなコントラストを見せる(写真上右)。 アプリコットやネクタリンなどの果樹や草花の苗などが育てられている。1820年に建てられたもので、嘗ては職人の宿舎として使われていたものだという。

Glenarm Castle Glenarm Castle Glenarm Castle

アーチ門から東側は壁に沿ってボーダーが走る(写真上左)。赤やオレンジ、黄色が主体の“ホット・ボーダー”だ。
アーチ門から南の円形ガーデン(The Yew Circle)に向けてダブル・ボーダーが伸びる(写真上中)。こちらもホット・ボーダーだ。 ペンステモンの花付きの良さといったらない(写真上右)。デルフィニウムとのコラボも絶妙だ(写真下左)。
The Yew Circleの中心のサンダイアルが魅力的だ(写真下中)。急いで行きたい衝動が走るが、もう少しホット・ボーダーを楽しむ。ダリアも効果的に植栽されている。 ススキの様なグラスも爽やかな印象だ(写真下左)。

Glenarm Castle Glenarm Castle Glenarm Castle

円形ガーデンからダブル・ボーダーを振り返る(写真下左)。草花だけでなく、ヘッジや芝生の管理も完璧だ。ガーデナーの丹精が見て取れる。
イチイの木の生け垣で囲われた円形ガーデンは“ハーブ・ガーデン”だ(写真下中・右)。この円形ガーデンも1820年に当時の伯爵夫人 アンネ・キャサリン・マクドネル(Antine Catherine McDonnell)のデザインによるものだ。
ガーデン全体の配置はグーグルの地図で掴める。東西160m、南北90mの長方形だ。 右(東)側部分が上述の円形ガーデンとホット・ボーダー、ダブル・ボーダーの部分だ。北側の壁に沿った細長い白い部分がグラスハウスだ。 その外側の十字で4つに仕切られた部分がキッチン・ガーデンだ。

Glenarm Castle Glenarm Castle Glenarm Castle

Glenarm Castle Glenarm Castle Glenarm Castle

左(西)側の部分も中央に円形ガーデンを配し、イチイのヘッジで8つのガーデンルームに区分してある。下(南)側の手前から時計回りに攻めていく。 1つ目は芝生の中に球形にトリミングされた柘植が十字に配列され、中央に木製のコラムが立っている(写真上左)。 コラムはかなり新しいもののようだが、このガーデンについてはホームページでも名前を含め全く説明がない。
南側真ん中のルームはオーチャードで7本の果樹(りんご?)が植えられている。南の壁際はイエロー・ボーダーだ(写真上中)。
3つ目のルームには築山がある"The Mount"と名付けられた部屋だ。高さは5m位のものだ。 らせん状の通路を上るとガーデン全体はもちろん、街の向こうの丘や左手には海も見渡せる(写真上右)。
次のルームはガーデンの西面を南北に貫く細長いガーデンだ(写真下左)。一段高く造られており、芝の中に2列にコニファーが植えられている。 西面の壁は全面がリンゴの木のエスパリエ仕立てで覆われている(写真下中)。見事なものだ。
ガーデンの中央を東西に貫く通路が走っている。西の始まりはブナの生け垣で挟まれた通路だ(写真下右)。 通路の両脇は細い水の流れがある。カスケード(Cascade)あるいはリル(Rill)と呼ばれる。傾斜に沿って流れた水は円形ガーデンのプールに流れ込み、 噴水となって吹き上がるのだ。噴水の向こうに東側の円形ガーデンも見える。

Glenarm Castle Glenarm Castle Glenarm Castle

Glenarm Castle Glenarm Castle Glenarm Castle

通路を通って噴水のある円形ガーデンに下りる(写真上左)。5つ目のルームだ。プールの水は満々と満たされ波打っている。 ここから東の通路は波形の生け垣で囲まれている。
地図の上(北)側の3つのルームの内、西側のルームもアップル・オーチャードだ(写真上中)。中心に木製のオベリスクが建っているのでオベリスク・ガーデンと呼ぶ。 オベリスクは地元の工芸家の手によるもので、オーク材が使われているという。
北側の真ん中のルームに入って目を見張る。中央に6つのお洒落なデザインのヘッジ・ベッドが並び、その両脇に2列に果樹が植えられている(写真上右)。 果樹の足下には爽やかなブルーのカンパニュラが咲き残っている(写真下左)。ヘッジベッドの2つには鮮やかな黄色の"Crocosmia Citronella"だ(写真下中)。 ヘッジベッドの2つには背の高い渋い雰囲気のグラス類が植栽されている(写真下右)。残る2つは植物の入れ替え中だ。

Glenarm Castle Glenarm Castle Glenarm Castle

Glenarm Castle Glenarm Castle Glenarm Castle

北側3つめ(都合8つ目)のルームも円形にデザインされている(写真上左)。イギリスのガーデン・デザイン手法に“自然は直線を忌み嫌う”という言葉がある。 このガーデンではそれを随所に感じる。中央に樹木が植えられた円形の芝生を囲む通路があり、その周りを金属片フェンスで囲ってある。 金属フェンスに沿ってエスパリエ仕立てのイチジクが植えられている。その足下はダリアの植栽だ。その周囲は芝生で覆われている。 このガーデンの印象は芝生を始め生け垣、果樹の緑の豊かさ、美しさだ。そして、その緑の中のほんの一部に衝撃的な色遣いの草花の植栽を施している。効果的だ。
東側の円形ガーデン(ハーブ・ガーデン)の外回りを歩く。ガーデンの東面の壁際のボーダーの中に母子像を発見する(写真上中)。 現在の伯爵の母親であるアンジェラ・サイクス(Angela Sykes)夫人の作で、16歳の時に作製したものだという。タイトルは"Madonna and Child "だ。
ここのボーダーも大型のスカビオサやエレムルスなどインパクトのある植栽がなされている(写真上右)
母子像から南を展望する(写真下左)。母子像から北を眺望する(写真下中)。母子像から西を見通す(写真下左 噴水も見える)。 スケールの大きなウォールド・ガーデンだ。勉強になった。

Glenarm Castle Glenarm Castle Glenarm Castle

サー・トーマス & レディー・ディクソン・パーク  Sir Thomas & Lady Dixon Park

今日の最後の訪問地はベルファスト市内の サー・トーマス & レディー・ディクソン・パークディクソン・パークにある “国際バラ園(International Rose Garden )”だ。この公園は政治家であった第2代准男爵サー・トーマス・ディクソン(Sir Thomas Dixon, 2nd Baronet)が1919年に 購入したもので、彼の死後の1959年にディクソン夫人(Lady Dixon)からベルファスト市民に寄付されたものだ。面積128エーカー(東京ドーム11個分)という広大なものだ。 “国際バラ園”はベルファスト市により1964年からバラが植栽され始め現在では4万5千本のバラがあるという、世界有数のバラ園として評価されている。 毎年7月中旬に“ベルファスト・ローズ・ウイーク(Belfast Rose Week)”が開催され、その中でインターナショナル・ローズ・トライアル(City of Belfast International Rose Trials) という国際審査会が開かれ、世界中から出展があるのだという。そして、歴代の受賞したバラがここに植栽されているのだ。

Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon

このマップの赤丸部分(YOU ARE HERE)が“国際バラ園”のゲートだ(写真下右)。 ゲートから右に伸びる両サイドが茶色の通路のバラが上下6枚だ。先に何が待ち構えているかも知らず、パーキングからゲートへの導入部分だけで歓声を上げ写真を撮りまくる。 (バラのアップ写真は拡大写真からご覧いただけます)
バラ園に入場する。大小10個の円形ガーデンで構成されている。国際審査会は"Hybrid Tea"、"Floribunda"、"Miniature Rose"、"Shrub Rose"、 "Climbing Rose"、"Most Fragrant Rose"の6つのカテゴリーで審査されるのでカテゴリーごとに10のガーデンに植えられているのだ。 そして、"Hybrid Tea""Floribunda"、"Miniature Rose"については2年、"Shrub Rose"、"Climbing Roe"については3年の生育を観察して審査されるのだ。

Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon

Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon

最初のガーデン(上のマップの1番)は直径50mの円形パーゴラに"Climbing Roe"が植えられている(写真上下)。パーゴラの中は"Miniature Rose"が植栽されている。 パーゴラの両外側には"Cluster Rose"がずらりと並んでいる。審査されるバラだけでなく、過去に受賞したバラが植栽されている。 正に今が盛りと咲いている。色の洪水だ。今年のローズ・ウイークは7月17日から1週間だ。今年のバラは開花が早いようだからぴたり最盛期に行き当たった。

Sir Thomas & Lady Dixon

下の3枚もマップの1番のガーデンだ。中のバラは"LA NINA"という名前で2005年と2006年の審査で受賞したフランスで生産されたバラだ。 "Cluster(房咲き) Rose"のコーナーのバラだ。

Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon

Sir Thomas & Lady Dixon

次はマップ3番の"Princess Diana Memorial Garden"だ(写真上、右3枚)。こちらは直径25mくらいの円形パーゴラがあり、その外側に扇形のベッドが24個も並んでいる。 色遣いはダイアナ妃をイメージした白とピンクを中心に植栽されているようで、控えめで落ち着いた雰囲気だ。私のダイアナ妃の印象はもう少し華やかなものなのだが・・・。
下左はマップ1番のガーデンの見事なスタンダード仕立てのばらだ。

Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon

下の3枚もマップの3番のガーデンだ。右のバラは"BONITA"という名前で2002年と2003年の審査で受賞したデンマークで生産されたバラだ。 このバラはダイアナ妃の印象に近い。

Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon

ダイアナ妃記念ガーデン(写真下左)の次はマップ4番の"Display Garden"に入る。
直径20m程度の小さなガーデンだが、赤色をメインにしたホットな色合いだ(写真下中)。
マップ5番のガーデンは"Hybrid Tea Rose Garden"だ(写真下右)。大きなガゼボを中心に直径60mほどの大きな円形ガーデンだ。 同心円状に4重のローズ・ベッドが刻まれている。ベッドの数は80くらいだろうか、人気のハイブリッド・ティーだけにそれだけ多くの出展があるということだろう。

Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon

Sir Thomas & Lady Dixon

次に入ったのがマップ8番の"Irish Heritage Garden"だ(写真上、下左)。中心に紅白に塗り分けられたとんがり屋根を持つ大きなガゼボがある直径50mの円形ガーデンだ。 ガーデンは傾斜地にあり、高いところに紅白の小さなとんがり屋根のガゼボが8つも並んでいる。この発想はどこから来るのか理解できない。 植栽されているバラの花色も赤、紫、オレンジとビビッドな色が多い。
アイリッシュ・ヘリテージ・ガーデンから奇妙なデザインのアーチで囲われたマップ7番の"Fragrant Rose Gardenn"が(写真下中)、 その奥にガゼボをセンターに配したマップ6番の"Dickson's Display Garden"も見える(写真下中)。
その横に5本のスタンディング・ストーンをデザインに取り入れたガーデンも見えるが、名前は付いていないようだ。
バラの花は一つ一つ美しい。ガーデン・デザインも興味深い。しかし、それだけだ。植物はバラと芝生だけだ。私が今見たいのは様々な植物の特徴を踏まえて、 そのハーモニーとコントラストを考慮してデザインされたガーデンだ。ということで、この辺りで興味尽きた。時間も頃合いなのでまだ先があるようだが、切り上げる。 ご興味のある方はグーグルに地図のストリートビューで続きをお楽しみあれ。

Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon Sir Thomas & Lady Dixon

ベルファスト B&B   Belfast B&B

Belfast B&B Belfast B&B Belfast B&B Belfast B&B

B&Bに戻る。モーナがリビングのソファーにでんと構えて迎えてくれる。「今日はどこに行ったの?」との質問に「グレナーム城のウォールド・ガーデンが素晴らしかった」と答えると 「家のガーデンは見なくて良いの?」とのお言葉だ。「是非見せてください」と案内を乞う。
テラスの周りのバラが満開だ。丁度良い背丈にコントロールされている(写真上左2枚)。バラの足下に朝食で供されるイチゴが植えられている(写真上左から2枚目)。 夏の草花の苗が用意されている(写真上右2枚)。これから植え付けるのだろう。植え付けまでの間、こんな風に楽しむのも面白い
窓枠のフクシアが伸び伸びと生育している。石造りの家ならではのディスプレーだ(写真下左・中)。

Belfast B&B Belfast B&B Belfast B&B

決して広くはない。むしろ、小さなスペースだ。多種のシュラブを上手に組み合わせている(写真下中)。ハーブも種々植栽されている(写真下左)。 鉢植えのものも含め(写真上右)B&Bのゲストをもてなすに十分だろう。
ラズベリーの木も植えられてある(写真下右)。これも毎朝イチゴと共に楽しませていただいたのだ。

Belfast B&B Belfast B&B Belfast B&B

シェド・ベルファスト・ビストロ   Shed Belfast Bistro

Shed Belfast Bistro Shed Belfast Bistro Shed Belfast Bistro

Shed Belfast Bistro

シェドの店先で写真を撮っていると(写真右)中で昨夜予約を受けてくれたマネージャー? が手を振って迎えてくれる。
「約束の席は先客がまだ終わらないので、こちらの席にしてください?」と別の4人席に通された。 オーダーは メインを2品
・ "Moroccan spiced pork loin" Chargrilled courgette, couscous, pomegranate, feta cheese, harissa dressing と
・ "Organic pan fried chicken breast" Pak Choi, Red onion, massaman curry, sticky rice だ。
そして、サイドメニューから ・ "Shed salad" とした。
グリルした厚みのあるポークにはズッキーニ、クスクス、ザクロ、フェタチーズ、ハリッサ・ドレッシング、食べ応え十分だ(写真上左)。
ソテーされたチキンはマッサン・カレーがかけられチンゲンサイ、キヌサヤが添えられている。ライスはもち米だ。 シェド・サラダも新鮮だ。いずれも美味で完食する。
隣の席に座っていた老夫妻の奥さんから声が掛かる。「あなた方はどこから来たの? どこに泊まっているの?」と。 「あなた方は良い選択をしたわ。ここの料理は美味いでしょう? タウンセンターに行く必要はないのよ。今日は私の誕生日祝いだから、 ハズバンドが早くからここを予約してくれたの」とのことだ。「ハッピー・バースデイ!」と乾杯する。
デザートは ・ "Irish Cheeses" Apple, grapes, chutney and biscuits と ・ "Dhed Cheesecake" Chantilly cream とする。
隣のご夫妻の娘さんは15年前に1ヶ月の予定で東京に旅したが、余りにも物価が高いので2週間で切り上げ、ニュージーランドに旅先を変えたという。 二人が「これからダンスに行く」といって帰ったのを機に私達もマネージャーに再訪を約して帰途に就く。
B&Bに戻るとまたしてもモーナがリビングのソファーに陣取ってテレビを見ている。「ハイランド・モルツはいかが?」とスコッチ・ウイスキーを出してくれる。 アイリッシュでないことが気になったが、遠慮なくいただきながら一緒にテレビを見る。(内容はさっぱり分かっていない)気持ち良くなったところで部屋に引き上げる。

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