ドライブ

花花

イギリス・カントリーサイド・ドライブは快適だ。その理由の一つとして Roundabout があることは、 「ラウンドアバウト」で述べた。他にもいくつも理由がある。 あくまでもカントリーサイドにおける経験だが・・・。

Roundabout2

左側通行・右ハンドル

もちろんこれが大前提。初めての海外ドライブが55歳。今更右側通行・左ハンドルなぞ自殺行為だ。

道路

ともかく道路が整備されていて走りやすい。道路には M・A・B の3種類がある。
● M は Motorway (日本の高速道路)。 M の後に1桁または2桁の数字をつけて識別する。たとえば、 M1、 M40といった具合だ。地図を見ると全国を網の目のようにカバーしている。無料がうれしい。
● A は主要道路(日本では国道か)。 A の後には1〜4桁の数字をつけて識別する。桁の少ないほど主要道路というが、 必ずしもそのようには思えない。同じ3桁でも片側二車線中央分離帯ありの道路もあれば、1車線しかなく B 道路にも劣る道路もある。まあ、交通量に見合っているから問題ないのだが。(州をまたぐような長区間のものは桁が少ないとの説も)
● B は地方道路(日本の県道・市道か) B の後には4桁の数字をつけて識別される。短い区間でもしっかり識別されていて分かりやすい。
どの道路もおおむね適度なスラロームとアンジュレーションがあって飽きない。時には、とてつもなく直線が続いたり、 ジェットコースターのようなアップダウンの激しい道(勾配25%なんてのもあった)も出てきたりして、それも楽しい。
● 上記以外の道も全てに名前がつけられている。 Avenue 、 Street 、 Lane であったりする。 ややこしいのは途中で名前が変わることがある。このような道は車で走ることは少ないが、街の散策などで お目に掛かることになる。地図を用意しよう。

お馬が通る

速度制限

イギリスにおける速度制限については良く分からない。インターネットで調べたら諸説出てきた。 自分にとって都合の良いものを採用している。それはこうだ。
● M 道路および片側二車線の A 道路 ―――――― 70マイル/時(112km/時)
● A 道路(片側一車線 )  ―――――――――――― 60マイル/時( 96km/時)
● B 道路 ―――――――――――――――――― 30マイル/時( 48km/時)
ただし、イギリス人はスピード狂が多い。この速度制限を守っている人は少ないようだ。 紳士淑女の国のはずだがハンドルを握ると人が変わるようだ。それがうれしい。スピード狂を自認する私としては イギリスの高速は楽しくて仕方がない。あるウェブサイトによればヘリコプターでの取り締まりもあるとか。 ただし、100マイルまでなら大丈夫だろうとあった。ここがうれしい。私個人設定の制限速度とピタリ合致だ。

規制解除

ただ感心するのは、街や集落が近づくと30マイルあるいは40マイルの制限となる。これはみんな見事に良く守る。 そうなのだ、 Ownrisk とルール遵守がキッチリ区別されているのだ。これが好きだ。
解除の標識(右の黒丸に斜め線の標識だ。解除と認識するまで時間がかかった)が出たら一気に加速だ。 (制限速度の10%オーバーで捕まった報告もある。為念)

信号

牛の信号

カントリーサイドでは信号がほとんど無い。例の Roundabout があるからだ。そして、信号のサイクルが非常に短い。 横断歩道でのんびり渡っていると直ぐ赤になってしまう。直ぐ変わるから止まるのもストレスでない。
また、信号の順序も少し違う。青→黄→赤は日本と同じだが、赤→青ではなく、赤→黄→青の順に変わる。 黄色の段階でスタート準備ができる。どちらも、無駄な交通遮断を減らす合理的な考えだと思う。
ところで牛のための信号がある。れっきとした A 道路にである。実際に作動しているところに出会いたいと願っている。
信号が少ないから、スムーズな走行ができる。だからうれしい。

交通標識

交通標識が少ない。必要最小限に絞られている。だから的確なのだ。slow と出たらスピードを落とさないと曲がりきれなくなる。 必然的に標識に従う。絵と数字・文字で分かりやすく表現されている。案内標識も色や形が統一されていて分かりやすい。 観光案内的なものは茶色に白で示される。ナショナル・トラストの施設の標識はかなり充実していて助かる。
しかし、これも必要最小限なのだ。高速のジャンクションや Roundabout の標識も分かりやすくユーモラスでさえある。 楽しいドライブとなる。

GIVEWAY

イギリスでは「一時停止= STOP 」の標識はほとんど見ない。その代わりに「 GIVE WAY 」の標識が常に出てくる。 「道を譲れ=対抗優先」ということだ。 Roundabout の入り口でもそうなのだが、 譲る相手がいない場合は止まらなくて良いのだ。だからスムーズな走行ができるのだ。うれしい。
ただ一つ目障りなものがある。スピードカメラの標識である。 ほんとにそんなにカメラがあるの?と思うくらいだ。最近の傾向か?まあ少し抑止効果となって良いのだが。

マナー

さすがジェントルの国、マナーが良い。本当によく道を譲ってくれる。このときの互いの会釈がお洒落だ。 笑顔とともにハンドルに置いた右手の平を軽く相手に向け立てるだけ。キマッテル。
カントリーサイドのすれ違いできない細い道で出会った時、睨み合いなんてことはまず無い。 実に快くバックしてくれる。そして例の会釈だ。気持ちが良い。自ずとこちらもそうなる。
また、イギリスでホーンの音はめったに聞かない。人を煽ったり、威嚇したりはしないのだ。もちろん、危険回避のホーンは必要だ。
運転マナーではないが、ドライブ中、道に迷ってよく道を尋ねる。これに対しても実に親切で、懇切丁寧に教えてくれる。 自分がわからないと、周りの人をつかまえてまで聞いてくれたりする。うれしい。

パーキング

車社会のイギリスである。駐車場は充実している。カントリーサイドにおいては大方が、 Pay & Display 方式だ。 駐車スペースを見つけ駐車する。ぐるりを見渡すと、 Pay Here の標識が見つかる。その下にチケット発券機がある。 小さな機械だ。そこで、必要な時間分のチケットを購入し、見えやすいところに置くか、窓ガラスに貼り付けるかする (時間が書いてあるほうが見えるように)。
チケット購入の前に、注意書きをよく読もう。18時過ぎたら無料とか、 日曜日は無料の場所もある。また、注意したいのは、 Long Stay と Short Stay に分かれていることがある。 Short Stay は3時間までのことが多いようだ。それ以上の駐車が見込まれるときは、 Long Stay に入れないといけない。
私はこれで大失敗した。注意書きをよく読まず(読めないが正しい)、一番長い駐車時間にしておけばと 3時間のチケットを購入し Display 。散々遊んで戻ってみれば、窓ガラスに嫌な予感の封筒が張ってある。 良くは分からないが70ポンドの反則金の請求のようだ。やれやれ、ホテルのレストランのディナー分、飛んでいった。ここは潔く払いましょう。 ( B&B のホストに支払方法など調べてもらったら、1週間以内に支払えば35ポンドで済むとのこと。手続きを依頼)
イギリスの駐車違反の摘発は民間業者に委託されていて、出来高払いなのでわずかな時間オーバーでも 摘発されてしまうらしい。おそろしい。
スーパーマーケットの駐車場でも、 Pay & Display の所もあった。 気をつけよう。その点 Free のパーキングが見つかればありがたい。観光地では難しいが、カントリーサイドの町や村では 良く見かける。ありがたい。いずれにしろ、駐車のために行列を作って待った経験は無い。ここが好きだ。

ペトロール

イギリスでは、ガソリンをペトロールという。 Petrol Station (ガソリン・スタンド)は、 M 道路や A 道路沿いに適度に配置されている。給油はセルフサービスだ。空いているポンプの前に停車し、 自分でキャップを開ける。選ぶノズルは Unleaded =無鉛(緑色)だ。ノズルを差込み、レバーを握ると ペトロールが出る。満タンになれば自動的に停止する。ノズルを戻し、キャップをしっかり閉める。 自分のポンプ・ナンバーおよびメーターのリッターと価格を確認し、屋内のレジに向かう。 “ Pump Number ○. Please ”で OK 。セルフが楽しい。
ペトロール・ステーションは、ちょっとしたコンビニ並だ。ミネラルウォーターやショートブレッドなど手軽にゲットできる。 ついでに、トイレも済ませておこう。ただ、ペトロールの価格には驚く。高いのだ。 リッターあたり85ペンス(2004年6月)もする。この時は円安であったから180円以上になる。 まあ高速料金の無料を考えれば、しかたがない。

The AA & Multimap

私のカントリーサイド・ドライブを支えてくれる、ありがたいサイトだ。
「 The AA 」 = The Automobile Association である。日本自動車連盟( JAF )の イギリス版というには歴史もサービス内容も違いが大きすぎる。 AA が1905年創立に対しJAFは1962年なのだから。
AA のサイトで一番重宝しているのは、“ Route Planner ”だ。出発地名と目的地名および経由地名を入力すると、 ルート・プランが示されるのだ。区間距離・積算距離・ Route ・ Directions が示される。
Route 欄には通行する道路番号が。 Direction 欄では通過する地名・目標物、 Roundabout・Junction における方向指示など懇切丁寧でうれしい。初めてのドライブを計画した時、 赤坂の英国政府観光庁で5万分の1の区分地図を見つけ、そのコピーに検討の末のルート・プランをマーカーで入れた。 その後、 Route Planner を発見、入力して驚いた。最良のルートを選んだつもりが、 大きく異なるルートが示されたのだ。検討してみると、 AA に軍配である。それ以降 Route Planner 依存症である。
その他に AA サイトでは、“ Where to Stay ”や“ Where to Eat ”で宿情報・食情報を入手している (地域別に検索できる)。宿は5段階の星で評価されている。私は4つ星以上から選択し、概ね満足している。
食では2004年に“ AA Hospitality Awards ”の“ Seafood Restaurant Award ”に 輝いたレストランと“ Pub of The Year ”を受賞したパブを訪ねた。期待通り Very good だった。 非常に楽しい。

multimap

「 Multimap 」はイギリスのみでなくヨーロッパをカバーした地図のサイトだ。 Street ・ Town ・ Postcode (郵便番号)のいずれかを入力すると、該当地域の地図が現れる。 4千万分の1から5千分の1まで13段階でお好みの地図をゲットできる。これが便利だ。
大きな Roundabout ・ Junction になると5万分の1では心許ない。その時、 1万分の1・5千分の1に拡大できれば、シミュレーション・ドライブの視界も開けてくる。安心だ。
また、大きな街では1万分の1にすれば、細かな通りの名前もしっかり把握できる。便利だ。
このサイトで面白いことができる。航空写真がカラーで見られるのだ(5千分の1は見応えありだ)。例えば Stonehenge と Avebury の Stone Circle の大きさを比較したり、まだ見ぬ Land‘s End の白い波しぶきに 胸躍らせたりできるのだ。楽しい。

風景

なんといっても風景が良い。なだらかなコッツウォルズの丘・ソールズベリーの平原・ピークディストリクトの山々・ 湖水地方の湖面・コーンウォールの海岸・ムーアの荒涼たる広がり・イーストアングリアの水郷・ エバーグリーンの牧草を食む羊や牛・ケントの家並み・高速道路からの眺め。本当に美しい。これは視界が広いからだ。 防音壁などもってのほか、ほとんどの道路にガードレールがない。そして電柱がない。さらに看板がない。 標識だって必要最低限なのだから、商業看板はほとんど見ない。これは町や村に入っても同じだ。 だから、街並みもきれいなのだ。うれしい。楽しい。

車窓からの景色草原 車窓からの景色riding 車窓からの景色町並み

マイル

道路標識の距離表示はマイル= m で表示される。うちの迷ナビゲーターは、「 Junction 1 m 」を見て、 「あと1メートルで出口よ」などとおっしゃる。「おいおいここは M 道路、80マイルを超えるスピードなんよ。 1秒で30メートル以上走っちゃうんだよ。」 そんな訳でマイルよ。
AA の Route Planner の距離はマイルにもキロメートルにも変換できる。 km の方が距離を実感できるので、 km で用意した。迷ナビが「あと3 km 先のジャンクションを左」と言う。コンソールのメーターを確かめつつ走る。 しかし、2 km 走っただけなのに、もうジャンクションだ。あわてて左へ。こんなことが何度か続いて気がついた。 メーターはマイル表示だよ。人のこと言えないね。マイルなー。

国際免許

国際免許

国際免許証は気抜けするほど簡単に交付される。正式名称は「国外運転免許証」と称す。
何か試験でもあるものかと思っていたが、運転免許試験場や指定警察署などで受け付けており、 必要なものは (1) 免許証 (2) パスポート (3) 写真1枚(縦5 cm ×横4 cm )だ。手数料は2,650円である。 私は府中試験場で取得したが、短い時は10分、長くても30分で済んだ。有効期間は1年間だ。 2003年7月に旅行した時に取得した免許で、2004年6月にも旅行できた。得した気分でうれしい。

レンタカー

レンタカーは、いつも日本からインターネットで Hertz に予約、ヒースロー空港で借りている。 ターミナル3を出るとバス乗り場となっている。一番外のラインにレンタカー各社の乗り場がある。 待つ間もなく黄色の Hertz のバスがやってくる。スーツケースは運転手が積み込んでくれる。 「重いから気をつけて」と声をかけると「ワイフ程でもないよ」との返事。楽しい。
ターミナル2→1と巡って、10分足らずで広大な営業所に到着だ。たくさんの車があるのに事務所は いつもすいている。ふしぎだ。2004年は珍しく、5組程並んでいた。それでも事務員は 急ぐそぶりもなくマイペース。何のためやら電話をしたり、コンピューターと向かい合ったりで時間がかかる。 それでも、このバスと事務所がイギリス・モードへの切り替えにちょうど良い時間を与えてくれる。大切な時間だ。

Hertzレンタカー

ここで気をつけるのは、保険はフル・インシュランス。そして始業点検だ。初めて運転する車種の場合は 各種スイッチ類の確認も大事だ。バック・ギアの入れ方、ペトロールのキャップやトランクのレバー、 ライトのスイッチとビームの切り替えなど私が実際に直面し戸惑った事例である。それとウインカーのレバーが左側、 ワイパーのレバーが右側であることにも気をつけたい。 Roundabout にはすぐ慣れた私だが、 ウインカーには未だに戸惑う。マイカーを持たない私は国内でせいぜい年10回くらいしか運転しない。 だから、イギリス・カントリーサイド・ドライブを始めてからは、イギリスでの運転時間のほうが長いのだが、 慌てるとワイパーを動かしてしまう。気をつけよう。そんな訳で、Hertz の駐車場でしばし時間を費やす。 さー、今年も無事故で楽しく行こう。    【T】

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