イギリスはおいしい

花花

フルーツ

「イギリスの食事はおいしくない」とよく言われる。しかし、幸いにも私には当てはまらない。 いつでも楽しく美味しく戴いている。味だけでなくサービスやお値段もリーズナブルで満足だ。 今までにイギリスで口にしたもので「これはどうも・・・?」と首をひねったものは 「マーマイト」とよばれる パンにつけて食べるペーストのようなものだけである。
確かにフレンチやイタリアンほど馴染みではないし、食文化の違いで口に合わないものはあるかもしれないが、 その文化の違いを楽しもうと考えれば「イギリスの食事はおいしくない」とは言えないだろう。

カリカリトースト

ただ、ボリュームの多さには呆れ返るのみである。(日本では早食い・大食漢の私をしてである)
朝食のフル・イングリッシュ・ブレックファストは、フレッシュジュースまたはフルーツ(時には両方)、ヨーグルト、シリアル (各種ありミルクだけでなくシュガーも入れるようだが私はパス)、カリカリの三角トースト(バター・ジャム各種・マーマレード そしてマーマイトも)、そして程なく熱々の大きな皿にベーコン・ソーセージ・マッシュルーム(大きさが半端じゃない)・ トマト(グリルされている)・卵料理(フライド・スクランブル・オムレツ・ポーチドの中からチョイス)・ビーンズ(時に出てくる)が 一盛りとなって出てくる。
これがおいしい!朝の散歩を楽しみながらこの一皿を思い浮かべると思わず腹の虫が鳴り出す。
私の場合、この朝食をいただけば昼はクリムティーを楽しむとき以外は大抵ショートブレッドかチョコをかじって済ませる。
もっとも一般のイギリス人はもっと簡単な朝食で済ませると聞いている。

フルーツ フルイングリッシュブレックファスト スモークトハドック

付け合わせ

ランチもレストラン、パブなどで見ている限り大変なボリュームだ。大概は大きなお皿に一盛りで出てくる。 皿から溢れる大きさの白身魚のフライに山盛りのフライドポテト(お馴染みのフィッシュ アンド チップス)、 男の私の握り拳より大きなベイクドポテトが2個とバターがどっさり(ジャケットポテト)など、いずれの皿にも 概ねポテトが添えられているようだ。これにトマトケチャップ、ワインヴィネガー、塩、胡椒を たっぷり添えていただいている。私の場合はこれをいただくとしても妻と二人で一皿で満腹だ。

クリムティー フィッシュアンドチップス デザート

さて、ディナーはどこのメニューも大抵は「スターター」、「メイン ディッシュ」、「デザート」で構成されている。 これに、「茹でた野菜」や「チップス」が添えられる。よほどお上品な(言い換えるとお高い)お店でない限りこの3品をたいらげることは 私にはできない。
「スターター」でもスープやサラダ以外は「メイン ディッシュ」と変わらないボリュームに感じる。 私の場合は大抵1品とビール・ワインを楽しむ。物足りなく感じたら「デザート」を選ぶ。甘辛両刀使いの私なので甘いと言われるイギリスの デザートもOKだ。もっともイギリス人もこれらを全て平らげているわけではないようだ。かなり粗末に残している姿をよく見かける。 物を大切にするイギリス人からは想像できない姿である。
また、不思議に思うのは料理をシェアするという概念がないようなのだ。私などは妻と別々のものをオーダーし、 シェアしあって食べたいほうなので、いつもやりづらさを感じている。 それともマナー違反なのだろうか調べてみる必要がありそうだ。

ガモンステーキ オマールエビ レモンソール

ムール貝

ところで、英語のメニューはなかなか判りづらいものだ。オーダーにはいつも苦労する。料理用語にフランス語が 多いせいなのだそうだ。出発前には付け刃で調理法と素材の単語をチェックして行くのだが、いざメニューを 目の前にするとよく判らなくて冷や汗の連続である。
「 Shell Mo ・・・・・」とあるので 「貝なら食べられるだろう」とオーダーした。出てきたのは確かに貝ではあるが丼より二周りは大きな ボール一杯のムール貝であった。ワイン蒸しのようである。ざっと数えたところ70個は下らないようだ。 そして同じ大きさの空のボールがもう一つドカン、どうやら殻入れのようだ。これにチップスとパンがついてきた。 テーブルは一杯である。ムール貝なんて好きも嫌いもパエリアかイタリアンの前菜かなんかで数えるほどしか 食べたことがない。驚きながら挑戦する。ムール・ムール・ワイン・ムール・ワイン、貝・貝・ワイン・貝・ワイン。 20個食べたところで飽きてしまった。59年の人生で食べた数より多いかもしれない。
この辺で妻の海老料理(こちらは「 Prawn ・・・・・」で期待通りだ)と交換する。ボールの重いこと。 ところが妻は美味しい美味しいと50個を平らげてしまった。ビックリ仰天・おそろしや。 (後から聞くところによれば、れっきとしたベルギーの名物料理なのだそうだ)。

メニュー


またあるときは「 Grilled ・・・・・ cheese 」とあるので「チーズのグリルとは美味そうな」とオーダーした。 焼き目もくっきり真っ白なチーズが2枚でてきたが、初めてお目にかかるチーズで歯触りも味も今一つだ (石鹸をかじっているようなという美味しくない表現が似合っている)。
しかし、塩・胡椒、ヴィネガーなど振って、チップスなどの付け合せと食べるうち美味しくなってくる。 これだから楽しいのだ。そんなこんなで「イギリスはおいしい」と叫びたい。(林望さんと一緒か?)    【T】


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