花花

”Topic” バラ窓 Rose Window

バラ窓が好きだ。初めての海外旅行は1986年のことだから、もう20年も前のことになる。会社のインセンティブ旅行だった。 ロンドン・ミラノ・パリの提携会社を6泊8日で周る旅だった。最も印象に残ったものの一つがパリのノートルダム寺院の ステンドグラス、とりわけ、ばら窓の美しさ、荘厳さだ。身震いするような畏敬の念を抱いたものだ。
ステンドグラスは元来キリスト教布教のため造られたもののようだ。聖書を大量に印刷する技術もなく、文字の読めない人が 大半であった時代、天井や壁に描いた宗教画で民衆に説いた。そして彫刻やステンドグラスへと広がっていったのだ。
また、建築様式も大きく関係していたようだ。壁で天井を支えるロマネスク様式の時代は大きな窓を開けられなかったが、 ゴシック様式になり柱で天井を支え壁に大きな窓を作れるようになり、ステンドグラスが広まったという。
円形のステンドグラスがばら窓と言われるのはその形がバラの花に似ているからに他ならない。天井近くにあるバラ窓から 射し込む光は神の光であり敬虔な当時の民衆に希望を与えたことだろう。
05年の旅は多くのCathedralやAbbeyを訪ねた。廃墟が多かったからステンドグラスはなかったものの、ばら窓の形の残った 壁は同じように私の心を惹きつけた。宗教心の希薄な私だがこれらの前では瞑目を禁じえない。

Rose Window Rose Window Rose Window Rose Window
Valle Crucis Abbey
牧草地の真っ只中に小ぢんまりと佇んでいる
厳しい修行のためにあえて、この深い谷に建てられた修道院だ
6月24日 訪問
York Minster
13世紀の製作でガラスは薔薇戦争の後に入れられたという
天井などの建築美と併せステンドグラスの光の美が厳粛さを醸す
6月27日 訪問

Rose Window Rose Window Rose Window
Dryburgh Abbey
その歴史は1150年に遡るらしい 14世紀に再建された建物も
破壊され廃墟となっているが残された一つひとつが絵になる
7月1日 訪問
Melrose Abbey
Dryburgh AbbeyやAbbotsford Houseと同じ
美しい珊瑚色の石で造られている
7月1日 訪問

Rose Window Rose Window Rose Window Rose Window
Whitby Abbey
破壊されているが良く残っているほうだ 建築様式が良く分かる
左は身廊(nave)部分 かろうじて切妻の上に十字架が残っている
7月2日 訪問
Whitby Abbey
海を見下ろす丘に美しい姿を残す 今でも石の細工は美しい
7世紀から建造と破壊の歴史を繰り返してきました
7月12日 訪問

Rose Window Rose Window Rose Window Rose Window
Tintern Abbey
この丸い部分もバラ窓というのかは定かではないが印象に残った遺物だ
左から 西の身廊の窓 北の翼廊の窓 東の身廊の窓 南の翼廊の窓だ
それぞれに異なるデザインで ステンドグラスがはまった様はさぞかしと偲ばれる
6月17日 訪問

この他にChester Cathedral、Fountain Abbey、St Andrews Cathedralなども訪れているが
ばら窓は見当たらなかった。見落としたことはないと確信するが…。
それにつけても宗教の力の大きさを感じるが、逆にその怖さをも思わざるを得ない。


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