Hidcote Manor Garden 2008年4月28日 訪問
ヒドコート・マナー(Hidcote Manor Garden)
ヒドコート・マナーの直ぐ隣に
キフツゲート・コート(Kiftsgate Court Gardens)がある。
3代亘る女性ガーデナーが造り上げてきたガーデンとして有名で、先頃NHKテレビでも放映された。01年に訪れ、印象深いガーデンだ。
オープンしていればラッキーだと期待して車を止めるが、この時期の月曜日は午後2時からのオープンとの表示だ。残念。
さて、ヒドコート・マナーに到着。
05年の2度目の訪問で失望させられただけに、期待と不安の入り交じった思いで入場する。
結論、ヒドコートは裏切らなかった。素晴らしいガーデンがそこにあった。
ヒドコートは「20世紀を代表するもっとも美しい庭園のひとつ」だ。米国出身のローレンス・ジョンストン(Lawrence Johnston)
が1907年から約30年もの歳月を掛けて造ったもので、その後のイングリッシュガーデンに大きな影響を与えたとされている。
その特徴は”アウトドアールーム”と呼ばれ、庭を屋外の部屋に見立て、レンガや柘植などで細かく仕切られた幾つもの
ガーデンがある。その一つひとつが趣の異なるテーマにより様々な植栽がなされている。
前述のシシングハーストやティンティンハル(これも私の大好きなガーデン)がこの手法を取り入れている。
能書きよりもスプリングカラーの美しいガーデンを紹介しよう。先ずは受付の建物の入り口からコートヤード(The Courtyard)
との間のガーデンだ。手前の白色はスイセン、黄色はユーフォルビア、奥の紫色はパンジーだ。
次はメイプル・ガーデン(The Maple Garden)、青と赤のヒヤシンスに目が覚めるようだ。おぼろげな桜も印象的だ。
右の生垣をくぐると
ホワイトガーデン(The White Garden)だ。4つの小鳥の形をしたトピアリーで有名だ。今は花は少ないが、
チューリップやプリムラ、そして、葉色が白やシルバーの植物が植栽されている(写真右)。
小鳥の口の中に小鳥の巣を見つけたおじさんが「見ろ! 見ろ!」と大騒ぎしている。
次に入った部屋がオールド・ガーデン(The Old Garden)だ。ビックリ仰天”スプリング・バルブの爆発だ〜!”と叫びたくなる。
チューリップの色の数々、その間の青はブルーベルだ。
そして、次の季節を待ちスタンバイしている草木の多様な葉の色と形が、ガーデンに厚みを与える。藤色の美しい石楠花も満開だ。
なかなか先に進めない。まだ、オールドガーデンを彷徨っている。チムニーのある蜂蜜色の瀟洒な建物と
色鮮やかなガーデンが、共に引き立て合う。かめ息が出る。スイセンもまだチラホラ残っている。
The Circleという円形の芝生のガーデン(陽だまりのロンデルのお手本であるシシングハーストのロンデルの元祖だ。
チョッとややこしいか?)を抜け、レッド・ボーダー(The red Border)に出る。
エバーグリーンの芝が眩しい。ここも植栽はチューリップが中心だ。そして、銅葉色の葉の植物が深みを演出している。
The Circleに戻り、フクシア・ガーデン(the fuchsia Garden)に入る。フクシアにはまだ早いが、
柘植のヘッジの幾何学模様が美しい。プール・ガーデンとの境の更に有名な小鳥のトピアリーもキッチリ刈り込まれている。
プール・ガーデン(The Bathing Pool Garden)の水は決して綺麗とは言えないが、水のある風景はいいものだ。写真写りも良い。
続いてアッパー・ストリーム(The Upper Stream Garden)に来た。プール・ガーデンに流れを発し、センター・ストリーム、
ロワー・ストリームとガーデンを横断して流れいく。さて、プールガーデンの水源はどこだろう。
ヒドコート・カラーの青いベンチで一休み。
ワイルド・ガーデン(The Wilderness)を散策する。樹木と潅木の間を緩やかに蛇行して小道が延びる。花もなく、
人影もない。小鳥のさえずりと時に隣のロングウォークを行く人の声がする。静かな時間だ。
元に戻って、次はウインスロップ・ガーデン(The Winthrop's Garden)で日時計を見つける。
日時計に古き時代への郷愁を感じるのは私だけだろうか。日時計が好きだ。
忙しく花の手入れをしているナショナルトラストのガーデナーに話を聞いたり、
ガーデンをよちよち駆け回る男の子に声を掛けたりして、アルペン・テラス(The Alpine Terrace)に遣ってきた。
ジョンストンは自らプラントハンターとして世界を回ったというから、アルプスからも高山植物を待ちかえったのかもしれない。
アルペン・テラスの上段にスティルト・ガーデン(The Stilt Garden)がある。Stiltは竹馬とか脚柱という意味があるようだが、
何とも奇妙な一角だ。樹木はシデの木らしい。それを2つの長方形の並木にし、その真ん中を歩けるようにしてある。
芝の中の白い可愛い花がはっきり写っている。
洒落たアイアンのゲートの先の光景だ。ようやく芽吹き始めた高木と青い空、白い雲、暫し佇む。
さて、いよいよ楽しみにしてきたロング・ウォークの出発だ。両側をシデの木(イチイと思っていた)生垣で挟まれた
真っ青な芝の散策路だ。
突き当たりから望むのはコッツウォルズの雄大な丘陵だ。緑の牧草地と黄色の菜の花畑、手前の黄緑の作物は何だろう。
素晴らしい光景を楽しみ、Uターンすれば、突き当たりに見えるのは素敵なガゼボだ。月曜日の午前とは言え、
往きも帰りも人影なしのロング・ウォークの写真が撮れるとは、まだまだシーズン前なのだろう。
平らに見えて、コッツウォルズの丘陵地に造られたのだから、結構高低差のあるガーデンだ。
登ってきたのがシアター・ローン(Theatre Lawn)だ。分厚いヘッジで囲われた広大な芝生の広場だ。
ハウスの北側の部分にローズ・ウォーク(The Rose Walk)がある。バラはまだ芽が吹き出したばかりだが、
バラがなくても美しいガーデンだ。心落ち着く光景だが、バラのシーズンには心躍る風景に変わるのだ。
隣は果樹園(The New Orchard)だ。リンゴの古木が白い花を付けている。その手前に横から張り出しているのは桜だ。
最後に本日のハイライトのオールドガーデンを覗き、2時間余りの滞在で今回のヒドコートにサヨナラする。
多くのことを学ばせてもらえた。ガーデンの品格の高さを感じた。ここには繰り返し訪ねることになろう。
Address | Hidcote Bartrim, nr Chipping Campden, Gloucestershire GL55 6LR |
Telephone | 01386 438333 |
hidcote@nationaltrust.org.uk | |
Web Site | The National Trust |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。
「旅行記」もご覧ください。