第9日 4月28日(月) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程 Mil Mar Guest House --- Hidcote Manor Garden --- Chipping Campden ---
Broadway --- Heathrow LONDON 19:00 (JAL 404) -----
今日の走行距離 260km
今日の万歩計 11,700歩
Mil Mar Guest House
”ブルーベルを訪ねる”08年の旅も最終日の朝を迎えた。晴れてはいるものの風が冷たい朝だ。
この時期のイギリスとしては、好天に恵まれた旅であったと感謝する。
3泊した部屋は壁紙、カーテン、ベッドカバーとヘッドボード、クッションカバーなどバラ柄で統一されている。
その徹底振りには驚かされる。髭剃りを済ませ、シェーバーのスイッチを切ろうとするが動かない。
押せど引けどもどうにもならない。仕方がないので、カーペットに転がして食事に行く。ウィ〜ン・ウィンと唸っている。
昨朝まで満席だったダイニングも今朝は我々のみだ。祭りも終って人々は仕事に戻ったのだ。我々の旅も終わりを向かえた。
とはいえ、帰れば日本ではゴールデンウィークの幕開けだ。
部屋に戻るとシェーバー君はご臨終だ。このシェーバーを始め不要になった書類などのごみの処理をお願いし、
僅かに残ったバランタインと緑茶のパックをプレゼントしSandraとJimに別れを告げる。
コッツウォルズの丘(Hill of Cotswolds)
当初の予定ではロンドンの北のバッキンガムシャーやハートフォードシャーのブルーベルウッドを訪れることになっていた。
しかし、昨夜のディナークルーズの時に「コッツウォルズに行ってみよう。」ということで意見が一致する。
コッツウォルズは本サイト”花と英国”のサブタイトル”イギリス・カントリーサイド・ガーデン巡り・ドライブ旅行”の
原点となった場所だ。
そして、そこには私のガーデン造りの手本のガーデンであるヒドコート・マナー(Hidcote Manor Garden)があるのだ。
もう一つのお手本はこの旅の2日目に訪れたシシングハースト(Sissinghurst Castle Garden)だ。
何となく、両方見ておきたくなったわけだ。
コッツウォルズは4回目になる。資料なしでも何とかなるとは思うが、”大きな街を出るときは要注意”が経験則だ。
無事、B4632に入り信号のない快適なドライブを楽しむ。所要時間30分足らずだ。
ヒドコート・マナーに近付き、B4632からUnclassified道路に入ってからの景色が素晴らしい。歓声の連続だ。
曲がりくねった道だが車の往来も皆無だから、車を止めてゆっくり眺め、撮影できる。
風が強く、次々に白い雲が現れては流れ去る。これぞ我が原風景だ。
ヒドコート・マナー(Hidcote Manor Garden)
ヒドコート・マナーの直ぐ隣に
キフツゲート・コート(Kiftsgate Court Gardens)がある。
3代亘る女性ガーデナーが造り上げてきたガーデンとして有名で、先頃NHKテレビでも放映された。01年に訪れ、印象深いガーデンだ。
オープンしていればラッキーだと期待して車を止めるが、この時期の月曜日は午後2時からのオープンとの表示だ。残念。
さて、ヒドコート・マナーに到着。
05年の2度目の訪問で失望させられただけに、期待と不安の入り交じった思いで入場する。
結論、ヒドコートは裏切らなかった。素晴らしいガーデンがそこにあった。
ヒドコートは「20世紀を代表するもっとも美しい庭園のひとつ」だ。米国出身のローレンス・ジョンストン(Lawrence Johnston)
が1907年から約30年もの歳月を掛けて造ったもので、その後のイングリッシュガーデンに大きな影響を与えたとされている。
その特徴は”アウトドアールーム”と呼ばれ、庭を屋外の部屋に見立て、レンガや柘植などで細かく仕切られた幾つもの
ガーデンがある。その一つひとつが趣の異なるテーマにより様々な植栽がなされている。
前述のシシングハーストやティンティンハル(これも私の大好きなガーデン)がこの手法を取り入れている。
能書きよりもスプリングカラーの美しいガーデンを紹介しよう。先ずは受付の建物の入り口からコートヤード(The Courtyard)
との間のガーデンだ。手前の白色はスイセン、黄色はユーフォルビア、奥の紫色はパンジーだ。
次はメイプル・ガーデン(The Maple Garden)、青と赤のヒヤシンスに目が覚めるようだ。おぼろげな桜も印象的だ。
右の生垣をくぐると
ホワイトガーデン(The White Garden)だ。4つの小鳥の形をしたトピアリーで有名だ。今は花は少ないが、
チューリップやプリムラ、そして、葉色が白やシルバーの植物が植栽されている(写真右)。
小鳥の口の中に小鳥の巣を見つけたおじさんが「見ろ! 見ろ!」と大騒ぎしている。
次に入った部屋がオールド・ガーデン(The Old Garden)だ。ビックリ仰天”スプリング・バルブの爆発だ〜!”と叫びたくなる。
チューリップの色の数々、その間の青はブルーベルだ。
そして、次の季節を待ちスタンバイしている草木の多様な葉の色と形が、ガーデンに厚みを与える。藤色の美しい石楠花も満開だ。
なかなか先に進めない。まだ、オールドガーデンを彷徨っている。チムニーのある蜂蜜色の瀟洒な建物と
色鮮やかなガーデンが、共に引き立て合う。かめ息が出る。スイセンもまだチラホラ残っている。
The Circleという円形の芝生のガーデン(陽だまりのロンデルのお手本であるシシングハーストのロンデルの元祖だ。
チョッとややこしいか?)を抜け、レッド・ボーダー(The red Border)に出る。
エバーグリーンの芝が眩しい。ここも植栽はチューリップが中心だ。そして、銅葉色の葉の植物が深みを演出している。
The Circleに戻り、フクシア・ガーデン(the fuchsia Garden)に入る。フクシアにはまだ早いが、
柘植のヘッジの幾何学模様が美しい。プール・ガーデンとの境の更に有名な小鳥のトピアリーもキッチリ刈り込まれている。
プール・ガーデン(The Bathing Pool Garden)の水は決して綺麗とは言えないが、水のある風景はいいものだ。写真写りも良い。
続いてアッパー・ストリーム(The Upper Stream Garden)に来た。プール・ガーデンに流れを発し、センター・ストリーム、
ロワー・ストリームとガーデンを横断して流れいく。さて、プールガーデンの水源はどこだろう。
ヒドコート・カラーの青いベンチで一休み。
ワイルド・ガーデン(The Wilderness)を散策する。樹木と潅木の間を緩やかに蛇行して小道が延びる。花もなく、
人影もない。小鳥のさえずりと時に隣のロングウォークを行く人の声がする。静かな時間だ。
元に戻って、次はウインスロップ・ガーデン(The Winthrop's Garden)で日時計を見つける。
日時計に古き時代への郷愁を感じるのは私だけだろうか。日時計が好きだ。
忙しく花の手入れをしているナショナルトラストのガーデナーに話を聞いたり、
ガーデンをよちよち駆け回る男の子に声を掛けたりして、アルペン・テラス(The Alpine Terrace)に遣ってきた。
ジョンストンは自らプラントハンターとして世界を回ったというから、アルプスからも高山植物を待ちかえったのかもしれない。
アルペン・テラスの上段にスティルト・ガーデン(The Stilt Garden)がある。Stiltは竹馬とか脚柱という意味があるようだが、
何とも奇妙な一角だ。樹木はシデの木らしい。それを2つの長方形の並木にし、その真ん中を歩けるようにしてある。
芝の中の白い可愛い花がはっきり写っている。
洒落たアイアンのゲートの先の光景だ。ようやく芽吹き始めた高木と青い空、白い雲、暫し佇む。
さて、いよいよ楽しみにしてきたロング・ウォークの出発だ。両側をシデの木(イチイと思っていた)生垣で挟まれた
真っ青な芝の散策路だ。
突き当たりから望むのはコッツウォルズの雄大な丘陵だ。緑の牧草地と黄色の菜の花畑、手前の黄緑の作物は何だろう。
素晴らしい光景を楽しみ、Uターンすれば、突き当たりに見えるのは素敵なガゼボだ。月曜日の午前とは言え、
往きも帰りも人影なしのロング・ウォークの写真が撮れるとは、まだまだシーズン前なのだろう。
平らに見えて、コッツウォルズの丘陵地に造られたのだから、結構高低差のあるガーデンだ。
登ってきたのがシアター・ローン(Theatre Lawn)だ。分厚いヘッジで囲われた広大な芝生の広場だ。
ハウスの北側の部分にローズ・ウォーク(The Rose Walk)がある。バラはまだ芽が吹き出したばかりだが、
バラがなくても美しいガーデンだ。心落ち着く光景だが、バラのシーズンには心躍る風景に変わるのだ。
隣は果樹園(The New Orchard)だ。リンゴの古木が白い花を付けている。その手前に横から張り出しているのは桜だ。
最後に本日のハイライトのオールドガーデンを覗き、2時間余りの滞在で今回のヒドコートにサヨナラする。
多くのことを学ばせてもらえた。ガーデンの品格の高さを感じた。ここには繰り返し訪ねることになろう。
チッピングカムデン(Chipping Campden)
私がイギリスノカントリーサイドで住んでみたい街・村の双璧が、23〜25日に訪れたフィンチングフィールド村と、
ここチッピングカムデンの街だ。
チッピングカムデンでも下の写真8枚の茅葺屋根の家々がある辺りに魅せられた。
この美しさに説明はいらない。只々、見惚れるだけだ。
道端も家の外も中も何と美しく手入れされていることか。3度目の訪問になるが、新鮮なショックを覚える。
ガーデニングとはこういうことを指すのだと思い知らされる。奥の深さというか、頂の高さというのか、
”自分基準”を磨かせてくれる街並みだ。
ただ残念なことは、前2回の訪問時は個々の住宅が見られた一角が、高い塀で視野をさえぎられていることだ。
危惧するに、私のような観光客の視線を避けてのことなのかもしれない。頑丈なアイアンゲートから垣間見るガーデンの
素晴らしさは変わっていない。
オープンガーデンとプライバシーの兼ね合いは難しいところだ。よそ様のガーデンを見せていただく者のマナー、
エチケットの問題だろうが、フロントガーデンの精神・機能を思うと少し淋しい気持ちにもなる。
街に戻り、ウインドーショッピングをする。ウインドーのディスプレーが美しいく、楽しい気分だ。
左2枚は同じ店の入り口の左右のディスプレーだ。余りに綺麗だから写真は撮ったが、何のお店か分からない。
八百屋か果物屋に思えるが、リンゴの手前の赤い値札には"Hydrangea £4.99"と書いてある。花屋かもしれない。
使われている花も果物も本物を使っている。
次は見た通り肉屋(Butcher's shop)だ。何とも美味しそうで唾が出る。いつかフラットなど借りて長期滞在型の旅ができたら、
こんな店で買い物をして自炊を楽しんでみたいものだ。夢が広がる。
右は店の看板だ。"Jola Glass Studio"と書いてある。サイトで調べたら
こんなお店だった。覗いてみればよかった。
スーベニアショップを覗いてみると、羊の形の可愛いバッグを見つける。迷わず、孫娘へのお土産とする。
(後日談 : 最初は怖がったらしいが、その後、痛くお気に入りとなり、お出掛けには手放さないそうだ。)
この街を”花咲く至宝の村”と表現しているサイトがあった。言い得て妙だ。この蜂蜜色の建物がたまらなく美しい。
左は1627年に建設されたマーケットホールだ。中に入ると往時のざわめきが聞こえるように感じる。
また、中世の香がするようにも感じられる。単にかび臭いだけかもしれない。
町の中央、ハイストリート(写真右)と裏通り(写真中)に挟まれた島にパーキングがある。隣の建物がTown Hallで、
その向こうにWar Memorialがあり、その隣にMarket Hallが続いている。
全ての建物がこの地方で採れるライムストーンと呼ばれる石灰岩で造られているから、色彩に優美な統一感がある。
それは何百年もの歳月が重なり、醸しだされるものであり、また、それはその美しさを守っていこうとする住民の思いの賜物だ。
この街に来て茅葺屋根の家々とハイストリートを見ると、何故か満足して他の観光スポットを忘れてしまう。
今回も大満足で次の街に向かう。
ブロードウェイ(Broadway)
ブロードウェイもすっかりお馴染みになった。いつものChurch Closeのパーキングに車を止める。”Pay & Display方式”に
新しいシステムが取り入れられている。チケットを購入時に車のナンバーを打ち込まなければならないのだ。
”Pay & Display方式”とは、事前に利用したい時間分のチケットを買い、そのチケットをフロントガラスなどに表示しておく仕組みだ。
予定時間をオーバーすると、駐車違反で罰せられるので、誰しも長目の時間のチケットを買う。時間が余っても返金は出来ない。
だから、残り時間があるチケットをこれから駐車する人にあげる習慣がある。私もいただいたこともあれば、あげたこともある。
しかし、ナンバー打ち込みはそれを防止する策と思われる。しがないご時勢になったものだ。
パーキングからハイストリートに向かう商店街の入り口にCookwareやTablewareを扱う店がある。
Table Mannersだ。明るくて清潔な店だ。
根っからの食いしん坊であるし、料理もするのでこういう店を覗くのが好きだ。我が家の愛用のSalt Millsが壊れたところだ。
アクリル製で小振りで、デザインも機能性も気に入ったものが見つかる。
お土産としてThomas Josephデザインのティータオル(Tea Towel)
を数枚求める。Thomas Josephは羊の絵を好んで描くが、その羊は"Silly Sheep"と言われ実にほのぼのとした絵だ。
求めたティータオルを特別公開しよう。"rush hour"と題した、羊の親子が道路を占領する絵だ。イギリスのカントリーサイドでは
良く見かける風景で、こうなると車は羊さんがどいてくれるまで、じっと待つしかない。ラッシュ・アワーという訳だ。
あんまり可愛いから自宅にも1枚残した。
写真左は上述のTable Mannersの店先のハンギングバスケットだ。何とも華やかだ。
真ん中はハイストリートのグリーンベルトの大木だ。木も建物も年季を感じさせる。
右は婦人洋品店の壁を伝う藤の木だ。あと1週間もして満開になったらさぞ素晴らしい光景だろう。
この年季の入ったお店で最新ファッションが扱われている。そのギャップが面白い。
ヒースロー空港に向け、A44をひたすら走る。Moreton-in-Marsh、Chipping Nortonお馴染みの街を駆け抜ける。
Blenheim PalaceのあるWoodstockを抜けるまでは、変化に富んだ風景を楽しみながらのドライブだったが、
Oxfordの郊外でA40となる辺りから、単調な道になる。M40に入ってからは、いつもの通り睡魔と闘いながらのドライブだ。
15時30分十分な余裕を持ってヒースロー空港のハーツにチェックイン。今年も無事故でドライブを終えられたことに感謝する。
事務所の片隅を借り、最終パッキング。しっかりロックし、ベルトを締める。
ヒースロー(Heathrow)
今年のヒースロー空港は特に厳しい取り締まりもなく、平穏な雰囲気だ。日本航空のカウンターも閑散としている。
日本ではゴールデンウィークが始まり、出国ラッシュだろうが、日本へ帰る便は空いているのだろう。
この日程を組めるのもリタイアーの特権だ。
出国手続きをし、免税店で買い物をする。荷物があるので順番に買い物に行く。私が先に買い物する。
バランタイン30年を2本とシングルモルト2本求めて戻ると、妻は中年の日本人男性から「直ぐ戻るから、
この荷物を見ていてくれ。」と言われ、引き受けてしまったので動けない。待てど、一向に戻ってこない。
時間に余裕があるから良いが、失礼な男だ。ようやく戻ってきたので、今度は妻が買い物に行く。
買い物が終れば毎年恒例のCaviar House Prunierの
"Seafood Bar"でカンパイだ。あれだけ好物だった生牡蠣を最近は美味しいと思わなくなった。この冬のシーズンは、
いただかず仕舞いだ。ここは1年中、生牡蠣がいただけるので珍重してきたが、生牡蠣以外にも美味しいものはある。
スモークトサーモンとシュリンプカクテルをオーダー、白ワインでカンパイする。
機内は案の定空席が目立つ。さしたるエピソードもなく無事成田着。無事スーツケースも出てきて、
通関のカウンターでトラブルだ。ここ何年も書いたことのない”携帯品・別送品申告書”を出せと言う。
後で調べると、昨年の7月から変わっているようだ。12時間の旅の疲れと寝不足の頭には、案内が不十分に思えたので、
書類を書いて出直した時に、しっかり苦情を言わせていただく。
長い”2008の旅 ブルーベルを訪ねて 〜サウスイースト・イーストアングリア〜”を最後まで
ご覧いただきありがとうございます。旅から戻って約半年、間延びした旅行記となってしまい、申し訳なく思います。
内容についてはインターネット等で確認し、間違いのないよう期した積りですが、保証はできません。
この旅行記は、イギリスのカントリーサイドのガーデンの素晴らしさをお知らせし、イギリス大好き仲間を増やしたいと念じ
作成しております。旅行案内としてご参考いただく場合は、ご自身でのご確認を怠りなく願います。
それも旅の楽しみの一つと考えます。
焼き直しになりますが、街や村・ガーデン・B&Bの紹介もアップします。” イギリスで買ったお気に入り”も
どうぞお楽しみに。
来年の旅は何となくコーンウォール地方で固まりそうな気配です。面白い情報がございましたらご一報ください。 【完】
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