Balmoral Castle バルモラル城
ビクトリア女王は1842年に初めてスコットランドを訪れ、この地を大変気に入り、"my dear paradise in the Highlands"と言ったといわれる。
1848年から15世紀に建てられたバルモラル城を借りて夏を過ごした。1852年には夫のプリンスアルバートが所有者のロバート・ゴードンからこの城を購入し、
拡張を計画、1856年に完成したのが現在のバルモラル城なのだ。
爾来、歴代のロイヤルファミリーが避暑地として使用している。そのためこの地域をロイヤル・ディーサイドと呼ばれるようになったのだ。
エステートの地所は5万エーカー(600万坪)あり、自然、野生生物、建物など保護・保存されている。
王室の避暑地なのだから、当然のこと8月から10月初めまでクローズドだ。
駐車場からディー川に架かる橋を渡って敷地に入る。チケットオフィス前にトラクターに牽引されたトレーラーが止まっており、係員が「これに乗りたいなら急いで受付をしなさい」と言う。
急ぎチケットを求め乗り込む。ブレア城で子供たちが乗っていたのと同じだ。決して乗り心地は良くないが、これも話のタネだ。洒落たアイアンゲートを通り、2、3分でお城の前に到着。
大きさに仰天する。白亜の壁に白い窓枠、壁から突き出した小塔、緑青色やブロンズ色の屋根など、どこを見ても美しい。さすがに王室の所有する城だ。
一番高いサークルタワーには黄色地にレッドライオンのスコットランド王家の旗が翻る。ただ、建物の周りの広い範囲が舗装されているので、城だけをみると無機質な感じは否めない。
実際には城の南側には広大な芝のグランドが広がっており、北側はディー川との間に整備された林があり、その外側を広大な森や放牧場が取り囲んでいる。
なにせ、600万坪なのだから。空前絶後の壮麗な城だ。(因みに、我が街小金井市や東京中央区のおよそ2倍の面積なのだ)
城の前の広大なグランドの東側の"The Avenue of Conifers"を通りガーデンに来たが、菜園という感じだ。エディンバラ公が拡張した"The vegetable garden"だ。
昔ながらの質素な温室箱の中で野菜の苗が沢山育っている。既に整然と植え込まれたところもある。有機栽培で8月からの滞在時に収穫できるよう栽培しているのだろう。
お洒落だが小ぶりの温室(Victorian glasshouses)がある。中には鉢植えの草花が所狭しと置かれており、色鮮やかだ。場内を飾るための花だろう。
菜園の温室箱といい、この温室といい、古いものを大切にするイギリス人の精神が見える。
城を正面に見る位置に噴水がある(写真下右)。1925年にメアリー王妃が考案したもので半円形に積まれた石垣で囲まれている。
噴水の石段の上のアイアンゲートには入口のお洒落なゲートと同様、ジョージ5世とメアリー王妃のイニシアルGR、MRがつけられている(写真下左から2枚目)。
城のスケールからするとガーデンも噴水も質素なものだ。
その先にガーデン・コテージが(Garden Cottage)ある(写真下右から2枚目)。ビクトリア女王が時々朝食をとったり日記を書いたりした場所だという。
1863年に完成したコテージは木造だったが、1895年に現在のコテージが完成した。中の調度品もガラス越しに見られる。
城に戻る。城の西側のテラスには鹿の像の噴水があり(写真下左)、その前が1段低くサンクン・ローズガーデンになっている(写真下右)。
残念ながらバラの開花は女王の到着を待ってからだろう。
城の北側から舞踏室(Ballroom)に入る。銀製品、食器、美術品やドレスの展示が興味深い。一角で王室滞在中の様子をビデオで見せてくれる。
エリザベス女王が孫のウィリアム王子やヘンリー王子と遊んだり馬車に乗ったり、チャールズ皇太子らが乗馬やポロに興じたりする姿に
グランドの広さが納得いく。ロイヤルファミリーの微笑ましい光景に時を忘れて見入る。
このボールルームはバルモラル城で最大きい部屋で夏にはロイヤルファミリーがダンスに興じるのだという。その様子もビデオで見られた。
ショップで友人へのお土産としてティーストレーナーを求め、ディー川が垣間見える林の中の散策を楽しみながらパーキングに戻る。
Address | Balmoral Ballater Aberdeenshire AB35 5TB |
Telephone | 01339 742534 |
Web Site | Balmoral Castle |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
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