Crathes Castle Garden クラシズ城
到着は18時過ぎだ。しかしここは大丈夫。"Garden open all year daily 9am to dusk"なのだ。パーキングには1台の車もない。
ガーデンへの入り口探しに少し迷ったが、この広大なガーデンを二人占めで楽しめる。幸にして雨も上がった。
ここクラシズ城は既にこの旅行記で何度も登場のスコットランド王ロバート・ザ・ブルース(Robert the Bruce)
から土地を授かったバーネット家(Burnett family)の350年に亘る居城だ。
土地を授かったのは14世紀だが、最初の築城は16世紀、18世紀に東ウイングが加わるなど整備された典雅、端麗な城だ。
しかし、我々のお目当ては城ではない。ここには"The Sissinghurst of Scotland"と謳われる20世紀当初に第13代当主ご夫妻が手掛けた美しいガーデンがあるのだ。 4エーカー(5300坪 190m×90m)のガーデンを8つの部屋に仕切ったアウトドアルーム・ガーデンだ。アウトドアルーム・ガーデンの元祖はコッツウォルズの ヒドコート・マナー・ガーデン(Hidcote Manor Garden)だが、ご夫妻もここを手本としたらしい。なぞらえられたシシングハースト・ガーデンのヴィタ・サックヴィルも ヒドコート・マナー・ガーデンを参考にしたのだ。
されど、ここは元祖ヒドコートを凌ぐスケールだ。何といってもその仕切りの一部は1702年に植えられたイチイ(Irish yew)のヘッジなのだ。 ”樹齢300年の大木”とは耳にするが、”樹齢300年のヘッジ”はおいそれとお眼に掛かれまい。 トピアリーも3mを越す大きなものから小さなものまで数多く、形がユニークで愉快だ。
8つの部屋はそれぞれテーマを持っている。バラが主役の"Rose Garden"や2連の草木ボーダーの"The Double Herbaceous Border"、6月が見頃となる"June Borders"、 そして、色彩別に"The Red Garden"、"The Golden Garden"、"The White Border"などだ。一つのルームが広いから見応えがある。
城のあるレベルからガーデンは2段のテラス式に下がっているから城からの見晴らしが良い。1段目に4つ、2段目にも4つのルームがある。
高低差があるから階段がありガーデンに変化をもたらす。
噴水が2つと池が1つ、水のあるガーデンも心癒す。石の壁もありバラやクレマチスがクライミングしている。サンダイアル、モニュメント、テラコッタ、
アーチ、パーゴラ、ガゼボ、トピアリーと、私がガーデンに求める全ての要素が組み込まれている。
ガーデンマップなどの案内もないし、まだ花も咲いていないので何処がどのガーデンなのかは明確ではないが、何となく雰囲気で想像してみる。
花はなくとも十分に楽しめるガーデンだが、ここも花の満開時に再訪すべきガーデンのリストに二重丸で入れておこう。
お城が高い所にあるから、ガーデンのそこかしこからお城が眺められる。ガーデンは建物と調和した時より美しいが、
その建物がこのピンクのロマンチックな城とくれば、言うことなしだ。
ここの敷地は530エーカー(17万坪)、その中に6つの散歩道(Woodland Walks)が巡っていて、自然と野生生物を楽しめるという。
NTSに譲渡されたのが1951年だ。個人の力でこれを管理するのは難しいことだろう。ナショナル・トラストという受け皿があってこそ、
こうしたものが継続・維持されて行くのだと思う。ナショナル・トラストを創設した人々の英知に尊敬の念を抱くと共に、現在の運営を支える
ボランティアの人たちに感謝する。
Address | Banchory, Aberdeenshire, Scotland, AB31 5QJ |
Telephone | 08444 932166 |
Web Site | Crathes Castle Garden |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。
「旅行記」もご覧ください。