Castle Kennedy ケネディー城
カレイン城は予想以上に壮大な規模だ。ナショナル・トラストの所有で正式には"Culzean Castle & Country Park"となっている。
カレイン城は14世紀まで遡る歴史がある。16世紀末にケネディ家の所有となり、18世紀にデービッド・ケネディ伯爵(Earl David Kennedy)が
建築家ロバート・アダム(Robert Adam)に命じ建てたのが現在の城だ。
パーキングに車を止め、森の中を歩く。突如として廃墟と化したアーチから美しい城が見える。石垣に挟まれた通路を進むと城の南テラスに噴水が見下ろせる。
馬小屋らしき建物も重厚だ。ゲートを潜ると大きな芝のサークルを囲んで東側に時計塔が聳え立つ。屋上にはセント・アンドリューズ・クロス(St. Andrew Cross)が
へんぽんとひるがえる。
海に面した側には大砲が備えられている。可愛い姿がユーモラスだ。その写真の左奥の小さなゲートから城に入る。内部はパスして城の外を散策する。
写真下右から2枚目が南面からの城の姿だ。優雅だ。北面の姿はさらに優雅なのだという。海岸から50mの断崖に建つ城は"Castle in the air"とも謳われ、
その姿は船に乗って海上からしか見ることができないようだ。
また、王立スコットランド銀行(the Royal Bank of Scotland)の紙幣の裏側はスコットランドを代表する城が印刷されているが、5ポンド紙幣はこのカレイン城なのだ。
他にはエジンバラ城(1£)、グラミス城(10£)、ブロディック城(20£)、インバネス城(50£)、バルモラル城(100£)
とそうそうたる顔触れの仲間なのだ。全ての城をこの旅で訪れ、この目にすることができ幸運だ。
カレイン城はナショナル・トラスト(National Trust for Scotland)のプロパティーだが、そのいきさつにエピソードがある。
1945年、第4代侯爵の未亡人は、城と周りの敷地をナショナル・トラストに寄贈するにあたり、彼女が西ウィングを使用すること、城の最上階をフラットに転換して、
第2次世界大戦の勝利に対するスコットランドからの感謝の気持ちを込めて、ヨーロッパ連合軍の最高司令官アイゼンハワー将軍に使用してもらうという条件を付けた。
アイゼンハワーは、1946年に初めてカレイン城に来て、この贈物を大変感動して受け、彼はその後3回ここを訪れている。
一度は大統領になってからで、短い期間だがカレイン城はホワイト・ハウスになったのだ。彼がここに長く滞在したのは引退してからで、
平和で静かなカレインの美しい庭園で絵を描いたり、散歩したり、近くでゴルフしたりして楽しんだという。そして"This is somewhere I can relax"という言葉を残している。
アイゼンハワーが使用した最上階は現在"Eisenhower Apartment"として宿泊施設や結婚式などに利用できるという。
こちらを参照
テラスに下りる。1段目の重厚な壁には対照的に清楚なバラがクライミングしている(写真上右2枚)。植栽は全体的にエキゾチックな雰囲気のものが多い。
次の段が"Fountain Court"だ。広大な芝の広場にデザインされた池がありその中心に噴水がある。貝殻をモチーフにしたその姿は壮麗だ(写真上右)。
広大なカントリーパークの絵地図の"Swan Pond"が目につく。深い森の中を1km歩いて到着、池の周りの広場には小学生の遠足だろうか、
子供達が楽しそうにはしゃいでいる。
アイスクリームをいただきながら白鳥の親子を眺め暫し時間を忘れる。
次に訪れたのはウォールド・ガーデン(Walled Garden)だ。お城が18世紀後半に建てられた時、新しく造られたガーデンだ。
2.5ヘクタールのウォールド・ガーデンは海岸からの潮風から植物を守る役割を果たしている。そして、果物や野菜を収穫する役割もあったのだ。
庭で咲いた花は城の室内を飾ったことだろう。ガーデンが王族や貴族の権勢を誇るステータスシンボルとして発展しながらも、
生活と密着したものであった点が、今日のイギリスのガーデンに受け継がれているところが好きだ。
超ロングなボーダーガーデンは先が見通せないほどだ。ゆったりと植栽されたゲラニウムやルピナスの伸びやかなな様は清々しい。
ガーデナー・ハウスだろうか小さな建物の周りは正にコテージ・ガーデンだ。ガーデンにこうした建物があると深みが出る。
延々と続くシャクヤクのボーダーが華やかで目を奪う。ガーデンの切り替えポイントとしてサンダイアルやオーナメントが置かれている。
写真下右の円形植え込みもアイディアに富んだデザインで好きだ。
少し異様な風体・風采のお年寄りが2度3度と声を掛けてくる。ガーデンの説明や花の名前を教えてくれたり、写真を撮ってくれたりする。
こちらの方の親切は身にしみて感謝しているが、度重なると胡散臭くも感じる。そうそう、この優雅な城にも例により、幽霊の目撃話があるのだ。
ウォールド・ガーデンと一口に言ってもスケールの違いがある。カレイン城の滞在時間2時間半、我々の神風かっとび急ぎ旅では異例の長時間になった。
ショップでモダンな柄のマフラーを見つけ、3本ゲット。お土産も大方揃ったようだ。
Address | Maybole, Ayrshire, Scotland, KA19 8LE |
Telephone | 08444 932149 |
Web Site | Culzean Castle |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。
「旅行記」もご覧ください。