Drum Castle Garden ドラム城
ストーンヘブンから北へ20km、ディーサイドにドラム城がある。
ナショナル・トラスト(The National Trust for Scotland NTS)の管理だ。ここもなぜか前回見逃した城だ。
パーキングは有料だ。ナショナル・トラストのメンバーも有料なのかどうかはっきりしないが、支払っておこう(ペイ&ディスプレー)。
入り口の正面に立つのが13世紀のタワーだ(写真下左)。スコットランドで最も古い無傷のタワーで高さは70フィート(21m)だ。
右手が17世紀の建物に19世紀になって増築された邸宅だ(写真下中2枚)。様々な建築様式が混在するという。小ぢんまりした城だ。
タワーに登れるというので一も二もなく登ってみる。それほど高くはないが、緑に包まれた静かな環境が良く分かる(写真下右)。
気まぐれで城内を見学してみる。各部屋毎に日本語の解説シートも置いてあり、この手の物としては分かりやすい日本語だった。
ダイニングルームやベッドルーム、図書室、子供部屋など面白く見学する。廊下に積んであった丸い箱は帽子を入れる箱(Hat Boxes)だった。
とても清新な雰囲気で、家具調度の様子も今現在どなたかが住んでいるようだ。ボランティアのガイドにその感想を話すと「皆さんそうおっしゃいます」とのことだ。
ここは1323年から1975年までアーヴィン家(Irvine family)の居宅であったので、新しい気が流れているのだろう。
美しい小径(写真下左)をウォールド・ガーデンに向かう途中に池(The Pond Garden)がある(写真上左)。一面に藻がはびこっているのは感心しないが、
水生植物でも様々な色形があることを知る。素晴らしいカラー・スキムだ。サンダイアルや像なども立っていて、単に池でなく、ポンド・ガーデンなのだ(写真下左から2枚目)。
ウォールド・ガーデンはオリジナルは1780年に造られた4mの高さの分厚い石壁に囲まれた60m×100m位のガーデンだ。これを4つに仕切って、
そこに17、18、19、20の各世紀のバラを含むガーデンを当時のデザインで再現したもので、"Garden of Historic Roses"と名付けている。
NTSの創立60周年(Diamond Jubilee)を祝って1991年に造られたものだ。
いずれも基本的にシンメトリーなフォーマル・ガーデンだが、17世紀の物は単純だ。中央に丸い池があり、ヘッジで囲んだ4つの花壇とトピアリーを
配したものだ(写真上中2枚)。草花はハーブ類が中心で、バラの種類も少ないようだ。勿論、地面はエバーグリーンの芝で覆われている。
柳を編んで作ったパーゴラやトンネルは17世紀にあったのだろうか?(写真上右)30日に訪れたパークヘッド・ハウスで見たものと瓜二つだ。
分厚い壁にふさわしくクライミングするバラもクレマチスも幹が太く木質化して、長い壁全面を覆い尽くしている。
4つに仕切る十字の通路はイチイの厚いヘッジで囲われ、可愛いローンデージーが咲き乱れる幅の広い芝の通路で気持ちが良い。
十字の中央にはお洒落なガゼボがある(写真下左)。
"Garden of Historic Roses"の説明パネルには"We invite to take a stroll through time, to experience the blooms, colours, forms and scents of four centuries
of rose growing and garden design. "とある。今の季節は花も、色も、形も、香りも十分に体験できないのが残念だ。ここもバラ満開の季節に再び訪れたいリストに入れておこう。
18世紀の庭は若干シンメトリーが崩れている。フランス、イタリア、オランダなどの模倣からイギリス独自の庭に発展する期間だ。
バラを寒さから守るためヘッジも高くし、シュラブや低木を植え込む工夫をしている(写真下右2枚)。オーナメントなどもふんだんに取り入れている。
19世紀の庭は整形式に回帰しているが、ヘッジはなくなり、極めてシンプルでバラ中心の植栽だ。まだバラが咲いていないので寂しい庭に見えるが、
スタンダード仕立てのバラも咲いたら見事だろう(写真下左2枚)。バラの周囲には草花も沢山植栽されている。
19世紀は王族、貴族がプラント・ハンターを世界中に送り珍しい植物を盛んに採取した時期であり、植物の種類が飛躍的に増えたのだ。
バラの品種改良について詳しく知らないが、19世紀後半から20世紀に大いに発展したもののようだ。ここには"historic gallica group"から
"20th-century hybrid shrub roses"まで、7つのグループの400種類のバラがあるという。
20世紀の庭はカラースキムが配慮された見事な植栽に変わる。いわゆるイギリスらしい植栽が見られる(写真下右)。
全てにおいて良くコントロールされている。NTSがゴールド・ジュビリーの記念で造ったガーデンだけに威信をかけての整備だろう。見習うに不足なしだ。
Address | Drumoak, nr Banchory, Aberdeenshire, AB31 5EY |
Telephone | 0844 4932161 |
Web Site | Drum Castle Garden |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。
「旅行記」もご覧ください。