Kirkside of Lochty カークサイド・オブ・ロッホティー
今日もガーデン・スキーム(Scotland’s Gardens Scheme)のガーデンを予約してある。カークサイド・オブ・ロッホティーだ。
ロッホティーは10戸余りの集落の名前だ。ローカル道路を辿って着いた先は大きな木に囲まれたカントリーハウスだ。小さな黄色の案内が出ているから分かるものの、
深い木々で囲まれた家では案内を乞うこともできない。
敷地内に入り納屋の前に車をとめる。サンテラス側から声を掛けるが、応答がない。乗用車があるので留守の訳はないと思い、玄関に回りノックするが応答なしだ。
また昨日の二の舞かと思いつつ、再びサンテラスに回り声を掛けるとようやくにこやかにご夫妻が現れた。サンテラスと玄関を行ったり来たり、私達と反対に動いていたのだ。
それだけ大きな家ということだ。
因みにイングランドではガーデン・スキームのガイドブックの表紙はイエローだが、スコットランドは右の通りイエローの部分が少ない。
イングランドから始まった組織ではあるが、スコットランドの独立心の表れというものだろうと勝手にうがった見方をする。
IreneとJamesが「日本からのゲストは初めてだ」と歓迎してくれる。案内されたのは玄関前の一段下がったサンクンガーデンだ(写真上左)。
クロッケーが出来そうな芝の広場を囲んで周囲はボーダーになっている。Ireneと妻は植物の名前や特徴などを語りながらだから前へ進まない。
Jamesと私は付いて行くだけだ。Jamesが「君は喋れないのか?」と聞くので、「通訳は妻の仕事で私の仕事はドライバーとカメラマンだ」と応えると
「それも大切な仕事だ。ノープロブレム、私もスコティッシュしか喋れない」と言う。イングリッシュは喋らないというスコッツ魂だ。
右に回り込むとサンテラスの前の生け垣で囲ったメインガーデンに出る(写真上右3枚、下右2枚)。テラコッタや石製のオーナメントなどを配したデザインが好みに合う。
写真上中2枚の中にアイアン製で円形の支柱が幾つも使われているのがお分かりだろうか? これについては後日談がある。
家の壁はエドゼル城と同様に赤い。当地で採れるのはこの赤い砂岩なのだろう。ハニーサックルや藤だろうかクライミングしている。
生け垣を出るとウッドランドと言うほどではないが、大きな樹木や花木の下を宿根草が覆い尽くす散策路になる(写真下中2枚)。
Ireneは自慢の珍しい植物を手に取り説明してくれる。ナルコユリやアマドコロなどのユリ類、シダ類など色々な種類が植えられている。
Ireneは静かなおとなしい花が好きだが、特にアマドコロが好きだと言う。
Ireneはポーセリンのペインター、Jamesは農場を経営していたが、数年前に農場を息子に譲り、この家を購入してガーデニングを始めたのだという。
現役時代の職業の話になり、「私たち二人はファーマシストだ」と言うと、Jamesが「私はただのファーマーだ」と言って笑わせる。
ところで、イギリス人は生活に応じて家を替える。リタイアしたらカントリーサイドに家を求めガーデニングをするのが理想という人が多いらしい。
数年と言うことは、このガーデンは前の住人が造っていたガーデンが基礎となり、Irene流に変えて行ったものだろう。
Jamesはガーデニングの手伝いはあまりしないようだ。ゴルフ三昧の毎日で先日訪れたセント・アンドリュースのメンバーだという。
Ireneは「クラブのパーティーだとか何とか言って良く出かけるけど、私は連れて行ったもらったことがないの」と愚痴っている。
イギリスのクラブハウスは昔は女性禁制だったと聞くが、セント・アンドリュース辺りはまだそうなのかもしれない。
セント・アンドリュースのメンバーと言うことは並みのファーマーではない。
アストランティア(写真上左)の種を探したが見つからなかったと話すと帰国後5種類の種を送ってくれた。3種類は自分のガーデンで採ったもので、
2種類は新たに購入したものを半分分けてくれたのだ。何んとも嬉しいことだ。
外回りを一巡りしてメインガーデンに戻る(写真上右)。ハウスの脇に石の桶があり、ガーゴイルの口から水が流れ出ている。水の真ん中に三角の石があり、
Jamesが"Lady in bath"と名付けているらしい。「この石をワイフのイヤリングにしようと思う」と言ってIreneのひんしゅくを買っている。
周りにある石の幾つかは、隣人がどこかの城から持ってきたものだというが、それってありだろうか?
サンテラスでお茶をいただく。手作りのパウンドケーキが美味しい。お変わりの一切れもいただく。イギリスのガーデン巡りに毎年訪れており、
スコットランドは2回目だと話すと「スコットランドにも良いガーデンは沢山あるからもっと頻繁に来なさい」とあくまでもスコッツ贔屓だ。
メインガーデンにあった円形の支柱について「ああいうものが日本にはない」と話すと、ガーデンセンターのカタログを持ってきて
「送って上げるわよ。どれが幾つ欲しいの」と言う。そこまでしてもらう訳にはいかないのだ、ネットで取り寄せるからとカタログをいただく。
帰国後ネットで取り寄せようとしたが、何度試してみても最後にカードナンバーを入れると意味不明のコメントが出て上手くいかない。
結局陽だまりのアーチやオベリスクを作成してもらった鉄工屋に特注して、イメージ通りの物が出来た。
家族の話になり、お嬢さんがイラストレーターだと言って、幾つかの雑誌を取りだしてそのイラストを見せてくれた(写真下右)。とても愉快なデザインだ。
12月にこのイラストのクリスマスカードが届いた。2時間余りの滞在になった。ホスピタリティーに心から感謝してお暇する。
Address | Menmuir, by Brechin DD9 6RY |
Telephone | 01356 660431 |
Web Site | Kirkside of Lochty |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。
「旅行記」もご覧ください。