Parkhead House パークヘッド・ハウス
さて、今日のもう一つのお楽しみがSGSの訪問だ。ブランクリン・ガーデンの項で前述した"By Arrangement"のガーデンを初めて訪れるのだ。
パースの住宅街にあるパークヘッド・ハウスだ。その周辺にはナビ子ちゃんが案内してくれたが、お宅が見つからない。
見回すと道路の反対側に黄色の小さな看板を発見。旅の強力な助っ人の"streetmap"だが、ポストコード(Postcode)を入力した際、道路の反対側を示すことがあり
時に混乱することがある。この看板は私達の為に置いてくれたのだ。その証拠に帰りにはなかった。
路駐OKの道路なのでUターンして近くに止め、路地を入って行くとゲートをいっぱいに広げたお宅がパークヘッド・ハウスだった。雨もすっかり上がり、太陽さえ顔を出し始めた。
日本人旅行者であることは伝えてあったので、花の手入れをしていた女性(Madeleine マドレーヌ)が気が付いて歓迎してくれる。声を聞いて旦那さんも出て来た。
マドレーヌは泥の付いた手では握手もできないと言って手を洗いに行った間に旦那さんがハウスは300年前の建物だとかシンボルツリーは
"Spanish Chestnut"であるとか丁寧に説明してくれる。
マドレーヌが戻り、改めて握手。入口から順番に案内してくれる。一つひとつの花や木について、各コーナーのガーデン・コンセプトについてなど、
よどみなく説明してくれる。聞き役を妻に任せ、旦那さんと話す。やはり、こちらも植栽はマドレーヌ、構造物や力仕事は旦那さんという役回りだ。
写真上右や下中、右から2枚目の小道(Path)はこのガーデンで最もエキサイトしたゾーンだ。これは私のガーデンコンセプトのお手本だ。
写真下右は挿木した柳の枝で編んだものだ。私の発想では及びもつかない。こんなことにもいつかチャレンジしてみたい。
マドレーヌの説明は機関銃のように連射される。妻も負けずに応酬している。イギリスのガーデナーのバイブルの"A-Z Encyclopedia of Garden Plants"を薦められる。
妻もその名は知っていたが、帰国後早速求めた。厚さ8cm、重さ5.4kgの代物だ。
何枚かの写真を添えて礼状を出したら、喜んでくれて"Plants Names Simplified"なる小冊子を送ってくれた。
植物だけではガーデンは構成できない。オーナメントやファーニチャーも欠かせない。ここに掲げた写真の中から探していただくのも、
ガーデナーにとっては楽しみかもしれない。笛を吹く少年、髪を梳く少女、アイアン製の雄鶏とサギと日時計、石製の日時計、バードバスとバードフィーダー、
木製のフクロウ、ベンチ、トレリス、パーゴラなどが見つかるだろう。まだ見逃したものもあるだろう。かといって、くどくならないところがバランスの良さだ。
面白かったのは、パーゴラの突き当たりに鏡が置いてあったことだ。最初は随分奥行きのあるパーゴラだと思っていた。「あれ! どこかで見たような」と思ったら、
我が身ではないか、ビックリと同時に「やられた!」と苦笑いが出る。
勿論小さいながら温室(Greenhouse)もキッチンガーデンもある。温室には様々な野菜のポットがずらりと並んでいる。「トマトにこのポットでは小さすぎるだろう」と
訊ねると「ポットの下のビリール袋に入ったままのコンポストに根が伸びて行くから大丈夫」とのことだ(写真上左)。何とも愉快な話だ。
この地域の気温ではトマトは温室でないと育たないのだという。ハーブ類や瓜の類も並んでいる(写真上左から2枚目)。
案山子が立てられていたり、ちょっと不釣り合いに思われるサンダイアルやカラフルな風車も遊び心に見せてしまうのもトータルなデザインなのだろう。
この植栽の厚さ、深さ、豊かさは知識と経験、センスと情熱によるものだろう。とても追いつけないが、情熱だけは見習おう。SGSの紹介に
"with always something in flower"とある。”いつも幾つかの花が咲いている”と解釈した。私のガーデニング・コンセプトと一致し、意を強くする。
私達のためにオープンしてくれたガーデンだから1時間45分、一人占めで楽しんだ。一巡りしてガーデンの真ん中のベンチでお茶をいただく。至福の時間だ。
小さな池がある。「こんな池を造りたい」と話したら、旦那さんが「これを掘るのに3週間掛った」と腰をさする。石をどけて敷いたビニールシートを見せてくれたり、
「循環式ポンプが良い」と言ってポンプの隠し場所を見せてくれたり、水を浄化する小道具なども説明してくれる。
SGSは知らないがイングランドのナショナル・ガーデン・スキムの選考基準の一つに”ヴィジターを45分間厭きさせない見所のあるガーデン”とある。
ガーデンそのものもホスピタリティーも、まさにこれを満たして余りあるガーデンだった。名残を惜しんで辞去する。
Address | Burghmuir Road, Perth PH1 1JF |
Telephone | 01738 625983 |
Web Site | Parkhead House |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。
「旅行記」もご覧ください。