ナイマンズ Nymans
今年の最初の訪問地はナイマンズだ。02年、07年に次ぐ3度目の訪問になる。
最初の訪問地として選んだのは特に思い入れがあってのことではない。私の旅程の作り方は、見つかった様々な情報をジャンル毎に色分けした付箋紙を
地図に貼り付けることから始める。そして、その数に応じて地区ごとに宿泊数を割り当てるのだ(今回はこの過程を経ずに宿を決めてしまった)。
今回のケント・サセックス地区は手持ちの地図でほぼ5ページに収まる。各ページにつけた付箋紙は10枚から20枚だ。
数の少ない2ページに1日を当てれば4日を要すことになる。大方の見当で決めた宿泊数にピタリ当てはまる(こじつけに過ぎない)。
移動効率を考え同じ地区を1日で回るようにプランニングする。
イギリスのガーデンには開園日が限定的なものが多い。今年リストアップしたこの地区のガーデンは95、
その内、週に1日か2日しかオープンしないガーデンが15もあるのだ。これらの中で優先順位の高いガーデンから予定日を割り当て組み合わせていく。
本日に割り当てられた26ページには15のガーデンと1つのガーデンセンター、1つのティールームの付箋紙が付いている。当然全部は回れない。
優先順位を◎、○、△で記し、開園時間、閉園時間、移動効率を考慮して9ヶ所に絞った。その1番最初がたまたまナイマンズとなった訳だ。
B&Bから1時間足らずのドライブで到着。オープン20分前だ。ナショナル・トラスト(NT)の会員証のカードを提示し入場する。
パンフレットのガーデンマップを見ながらどう回るか迷っていると、ボランティアらしき上品な女性が遣ってきてアドバイスしてくれる。
アドバイスはガーデンマップの番号順でなく、反対周りが良いとのことだ。
アドバイスに従い入ったところが"Herbaceous Borders"だ(写真上4枚)。木々でセパレートされた通路の両側に落ち着いた色合いの植栽がなされている。
大好きなセントーレアが見事に満開だ。オダマキも今が盛りだ。大きなジャイアントポピーと可憐な白いフウロウソウ(ゲラニウム)の対比も面白い。
"Studio for Workshops"の建物を経て左手に"Rose Garden"がある(写真上左3枚)。直径25mほどの円形ガーデンで中心に噴水がある。
バラの季節には少し早いかもしれないが、ところどころで開花が始まり芳香を放つ。手入れをしていたガーデナーに訊ねると
「私はここに来て初めてのシーズンだから例年と比べられないけれど、一般的に今年は花が遅いようね」とのことだ。
先に進み"Walled Garden"のゲートのアーチを潜る(写真下左)。Walled Garden中央のランタン型トピアリーに囲まれた赤大理石の噴水(写真下左から2枚目)
との間が"Summer Border"で7月になれば色鮮やかなボーダーになるらしい。一角に置かれた華やかなフォルムのベンチが際立っている(写真上右)。
5年前にもあったが、今尚新品のように白さが目に沁みる。
Walled Gardenの一部はキッチンガーデンだ。元々Walled Gardenはキッチンガーデンだったものが多いのだが、ここで注目したいのは豆などの蔓性野菜や
背の高い野菜の支柱に剪定枝を利用しているところだ(写真上右から2枚目)。いずれは植物で覆われ見えなくなるのだが、自然の素材を使う方が馴染む。
Walled Gardenを反対側に抜けるとハウスがあり、その前に広大な"Main Lawn"が広がり、巨木がいくつも聳えている(写真下右2枚)。
ローンのそこここに石楠花が盛りと咲いている。蔓性の植物で作った巨大なバスケットが面白いアイディアだ。夏には中の花が育って花篭になるのだろう(写真下左から2枚目)。
ハウスは19世紀からのメッセル家(Messel family)の居宅で、今残っているのは1920年代に建てられた邸宅が1947年に火事 によって破壊された廃墟だ。
焼け残った一部分は現在公開されているが、例によりパスする。その蜂蜜色の石壁には白い蔓バラが伝い、その前庭のシンプルなフォーマルガーデンと相俟って
とても爽やかな雰囲気を醸し出している(写真下左2枚)。
前庭の一角にある鳩小屋(Dovecote)にも蔓バラが伝っている(写真下右から2枚目)。隣接するガーデンの生垣のトピアリーが城壁のように見える(写真下右)。
コンテナのアガパンサスが咲き始めている。随分早い開花だ。
Main Lawnから見る廃墟(Ruins)もペーソスよりもロマンを感じさせる(写真下左)。聳え立つ巨木はすなわち古木ということだ。かなり傷んできている。
"Croquet Lawn"の脇の藤棚は今が満開だ。そこから"Rock Garden"、"Heath Garden"、"Tennis Lawn"と続く。"Italianate Loggia"と "Sunk Garden"
は工事中で立ち入り禁止だ。残念。
"Prospect"からの眺望を楽しむ。牧草地の先に深い森が広がっている。ガーデンには幾つかの彫像があるが、すべてが素朴な感じのものだ。
"Round House"と称する木の蔓で編みこんだ円形のガゼボも素朴なものだ(写真下左から2枚目)。
"Lime Avenue"を抜けて(写真下中)、メドウ(Meadow)の向こうに見える"Temple"まで辿り着けばガーデン一巡りだ(写真下右)。
出入り口ではボランティアたちが花を使って飾り付けをしている。何のための飾り付けか尋ねると「クイーンズ・ダイアモンド・ジュビリーのためよ」とのことだ。
イギリスでは今年は5月最終月曜日のバンクホリデー(国民の休日)を6月4日月曜日に移し、5日火曜日をダイアモンド・ジュビリーの特別の休日にして、
2日土曜日から4連休でエリザベス女王即位60周年を祝うイベントが各地で開かれるようだ。それとは知らずに決めた日程だが、
どこかでイベントに遭遇できる幸運を願っている。
Address | Handcross, near Haywards Heath RH17 6EB |
Telephone | 01444 405250 |
Web Site | Nymans |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。
「旅行記」もご覧ください。