第2日 5月31日(木) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程 Danehurst House --- Nymans Garden --- West Dean Gardens --- Denmans ---
Arundel Castle --- Tudor Rose Tea Room --- Highdown Gardens --- Danehurst House
今日の走行距離 232km
今日の万歩計 24,000歩
ダーンハースト・ハウス Danehurst House
白を基調とした極めて清潔感の溢れる部屋でぐっすりと眠り、静かな朝を迎えた。天気も上々だ。
朝食前にB&Bの周囲を散策する。ロイヤル・タンブリッジ・ウェルズ郊外の住宅街の中の部屋数4部屋のB&Bだから
建物も庭もさして広くは無いが、生垣なども見事に刈り込んで手入れが行き届いている。
庭には小さな池があり鯉が沢山泳いでいる。池の周りはコニファー中心の植栽だ。
ダイニングも同じく白を基調に気持ちの良い部屋だ。食器やカトラリーやナプキン類はとても可愛らしいデザインで揃えられている。
ホステスのアンジェラの趣味なのだろう。
先ずはオレンジジュースとフレッシュフルーツにヨーグルト。美味しい、食欲が進む。カリカリトーストにバターが美味い。
イギリスで飲むミルクティーもどうしてこんなに美味しいのか? ティーポットのコージーがいかにも温かそうだ。
ホットミールはオーソドックス(というか自分流)にフライド・エッグ、ベーコン、ソーセージ、マッシュルーム、トマトだ。
メニューにはブラックプディング、ラムキドニー、ベイクドビーンズ、フライドブレッド、ポテトが並んでいた。
ベーコンの香りが良く脂が美味い。ソーセージは余り口に合わない。マッシュルームのジューシーさは何としたことか。
思い出しただけで唾が出る。
ナイマンズ Nymans
今年の最初の訪問地はナイマンズだ。02年、07年に次ぐ3度目の訪問になる。
最初の訪問地として選んだのは特に思い入れがあってのことではない。私の旅程の作り方は、見つかった様々な情報をジャンル毎に色分けした付箋紙を
地図に貼り付けることから始める。そして、その数に応じて地区ごとに宿泊数を割り当てるのだ(今回はこの過程を経ずに宿を決めてしまった)。
今回のケント・サセックス地区は手持ちの地図でほぼ5ページに収まる。各ページにつけた付箋紙は10枚から20枚だ。
数の少ない2ページに1日を当てれば4日を要すことになる。大方の見当で決めた宿泊数にピタリ当てはまる(こじつけに過ぎない)。
移動効率を考え同じ地区を1日で回るようにプランニングする。
イギリスのガーデンには開園日が限定的なものが多い。今年リストアップしたこの地区のガーデンは95、
その内、週に1日か2日しかオープンしないガーデンが15もあるのだ。これらの中で優先順位の高いガーデンから予定日を割り当て組み合わせていく。
本日に割り当てられた26ページには15のガーデンと1つのガーデンセンター、1つのティールームの付箋紙が付いている。当然全部は回れない。
優先順位を◎、○、△で記し、開園時間、閉園時間、移動効率を考慮して9ヶ所に絞った。その1番最初がたまたまナイマンズとなった訳だ。
B&Bから1時間足らずのドライブで到着。オープン20分前だ。ナショナル・トラスト(NT)の会員証のカードを提示し入場する。
パンフレットのガーデンマップを見ながらどう回るか迷っていると、ボランティアらしき上品な女性が遣ってきてアドバイスしてくれる。
アドバイスはガーデンマップの番号順でなく、反対周りが良いとのことだ。
アドバイスに従い入ったところが"Herbaceous Borders"だ(写真上4枚)。木々でセパレートされた通路の両側に落ち着いた色合いの植栽がなされている。
大好きなセントーレアが見事に満開だ。オダマキも今が盛りだ。大きなジャイアントポピーと可憐な白いフウロウソウ(ゲラニウム)の対比も面白い。
"Studio for Workshops"の建物を経て左手に"Rose Garden"がある(写真上左3枚)。直径25mほどの円形ガーデンで中心に噴水がある。
バラの季節には少し早いかもしれないが、ところどころで開花が始まり芳香を放つ。手入れをしていたガーデナーに訊ねると
「私はここに来て初めてのシーズンだから例年と比べられないけれど、一般的に今年は花が遅いようね」とのことだ。
先に進み"Walled Garden"のゲートのアーチを潜る(写真下左)。Walled Garden中央のランタン型トピアリーに囲まれた赤大理石の噴水(写真下左から2枚目)
との間が"Summer Border"で7月になれば色鮮やかなボーダーになるらしい。一角に置かれた華やかなフォルムのベンチが際立っている(写真上右)。
5年前にもあったが、今尚新品のように白さが目に沁みる。
Walled Gardenの一部はキッチンガーデンだ。元々Walled Gardenはキッチンガーデンだったものが多いのだが、ここで注目したいのは豆などの蔓性野菜や
背の高い野菜の支柱に剪定枝を利用しているところだ(写真上右から2枚目)。いずれは植物で覆われ見えなくなるのだが、自然の素材を使う方が馴染む。
Walled Gardenを反対側に抜けるとハウスがあり、その前に広大な"Main Lawn"が広がり、巨木がいくつも聳えている(写真下右2枚)。
ローンのそこここに石楠花が盛りと咲いている。蔓性の植物で作った巨大なバスケットが面白いアイディアだ。夏には中の花が育って花篭になるのだろう(写真下左から2枚目)。
ハウスは19世紀からのメッセル家(Messel family)の居宅で、今残っているのは1920年代に建てられた邸宅が1947年に火事 によって破壊された廃墟だ。
焼け残った一部分は現在公開されているが、例によりパスする。その蜂蜜色の石壁には白い蔓バラが伝い、その前庭のシンプルなフォーマルガーデンと相俟って
とても爽やかな雰囲気を醸し出している(写真下左2枚)。
前庭の一角にある鳩小屋(Dovecote)にも蔓バラが伝っている(写真下右から2枚目)。隣接するガーデンの生垣のトピアリーが城壁のように見える(写真下右)。
コンテナのアガパンサスが咲き始めている。随分早い開花だ。
Main Lawnから見る廃墟(Ruins)もペーソスよりもロマンを感じさせる(写真下左)。聳え立つ巨木はすなわち古木ということだ。かなり傷んできている。
"Croquet Lawn"の脇の藤棚は今が満開だ。そこから"Rock Garden"、"Heath Garden"、"Tennis Lawn"と続く。"Italianate Loggia"と "Sunk Garden"
は工事中で立ち入り禁止だ。残念。
"Prospect"からの眺望を楽しむ。牧草地の先に深い森が広がっている。ガーデンには幾つかの彫像があるが、すべてが素朴な感じのものだ。
"Round House"と称する木の蔓で編みこんだ円形のガゼボも素朴なものだ(写真下左から2枚目)。
"Lime Avenue"を抜けて(写真下中)、メドウ(Meadow)の向こうに見える"Temple"まで辿り着けばガーデン一巡りだ(写真下右)。
出入り口ではボランティアたちが花を使って飾り付けをしている。何のための飾り付けか尋ねると「クイーンズ・ダイアモンド・ジュビリーのためよ」とのことだ。
イギリスでは今年は5月最終月曜日のバンクホリデー(国民の休日)を6月4日月曜日に移し、5日火曜日をダイアモンド・ジュビリーの特別の休日にして、
2日土曜日から4連休でエリザベス女王即位60周年を祝うイベントが各地で開かれるようだ。それとは知らずに決めた日程だが、
どこかでイベントに遭遇できる幸運を願っている。
ウエスト・ディーン・ガーデンズ West Dean Gardens
ナイマンズで時間を取ったので予定先を一つスキップして遣ってきたのはウエスト・ディーン、
02年以来10年振りの再訪だ。
エントランスからショップを抜けると2590ヘクタール(分かりやすく言うと東京ドーム550個以上 なお分からなくなる? では
Estate Map参照)という広大な敷地を流れるラバント川(River Lavant)
の豊かな流れに出合う(写真下左)。このまま川に沿って歩けば遠方にに見える林の先が"Spring Garden"だが、その前にこのガーデンの2つの目玉を先に見ておこう。
(ただし、ガーデンは90エーカー ドーム8個弱の広さだ。)
このガーデンは1622年に建てられたマナーハウスの周りに造られたガーデンが20世紀に入って回復されたものだ。
右手に100mほど歩くと高い壁が現れる。目玉その1は"Walled Gardens"だ。このエリアは3つに別れており、最初に入ったのが"Walled Fruit Garden"。
まず目を惹いたのがお洒落なガゼボ(写真上左から2枚目)、周囲の壁と異なる素材(フリント石)の壁と茅葺の丸い屋根がメルヘンチックだ。
壁沿いにはリンゴが様々な形に整枝されて並んでいる。ピラミッド型やドーム型、シャンパングラス形などが見られる。
中央部は通路で6つに分割されており、メドウの中に洋ナシやプラムなど色々な種類の果樹が植えられている。
メインの通路2本は両脇がボーダーになっている(写真上下左)。夏に向け色鮮やかなホットボーダーに変身するするのだろう。
その2本が交差するところに年代もののコンテナがある(写真上右)。緑の湿性の苔でなく乾いた白い苔の雰囲気が良い。
その近くに今は水が涸れた灌漑用の井戸が大切に残されている(写真下左から2枚目)。
ここでもナイマンズと同じように剪定枝を使ったオベリスクやフェンスが多用されている(写真上下右から2枚目)。
このエリアの2つ目のコーナーは"Victorian Glasshouses"だ。19世紀末に建てられ、その後放棄されていたものを1990年代に復活させたもので、
全部で16棟あるという。
温室脇のオフィスの前に面白い自転車が止めてある(写真上右)。収穫した果物や野菜を運搬するのであろう大きなバスケットのある自転車だ。
面白いのはそのスタンドがバスケットのところに着いていることだ。これならハンドルが固定されるから駐輪中に倒れることが無いだろう。
(理科系頭なのでこういうものを見ると異常に反応してしまう癖がある。悪しからず。)
見事に並んだ温室の中を覗くと室内いっぱいに枝を広げた果樹を剪定しているガーデナーがいた。何の木か聞いてみると樹齢100年を越すイチジクだという(写真上中2枚)。
温室には他に桃やブドウなどの果物 、キュウリ 、 トマト 、ナス、ピーマン、トウガラシなど同じ野菜でも何種類も並べてある。
ランをはじめ様々な花も並んでいる。いったい何百種の植物があるのか想像も出来ないほどだ。
温室の先は3つ目のコーナー"Walled Kitchen Gardens"となる。作業中のガーデナーが陽気に迎えてくれる(写真下左)。
すべてが心地良いほど見事に整然と並んでいる。パセリだけでも10種類、レタスも気持ち良く植え分けられている。食べ比べてみたいものだ(写真上中2枚)。
フルーツガーデン、キッチンガーデンと区分しているが、どちらも両方をバランスよく取り込んでいる。
これがフランスの”ポタジェ”とは一味違うイギリスの”キッチンガーデン”なのだ。
十字に仕切る通路の一方はリンゴの木のアーチ、もう一方はフルーツガーデンと同様ホット・ボーダーだ(写真下左3枚)。
真っ赤なポピーと真っ黄色のハナビシソウが目に眩しい。
茅葺屋根のガゼボのあるメドウガーデンガーデン(写真下左2枚)を抜けて、もう一つの目玉である"The Pergola"に遣ってきた。 1900年代にデザイン・作製されたもので1987年の暴風で壊れたものを修復したものだ。100mを越すロングパーゴラだ。
パーゴラの東端には"Sunken Garden"があるのだが、今は改修中でロープが張られている。パーゴラの東隅に優雅なパーゴラに相応しいとは思えない モニュメントが3つ置かれている。人間の形ではあるが、首から上が無い。おへその辺りに大きな穴が開いている。 相撲の四股を踏むかのように片足を真上に上げている。どう見てもグロテスクだ。
パーゴラは円形の石柱の上に木の梁を通し、木の桁を組んだ大きなもので、バラ、クレマチス、ハニーサックル、ブドウ、フジなどが絡んでいる。
中央部分はスクエアーに広くなっていて池がある。パーゴラの上のドーム状のアーチが優美だ(写真下右2枚)。
直線のパーゴラに対し、曲線のドームを取り入れることで柔らかな雰囲気のデザインとなるのだ。
パーゴラに沿って南面はボーダーガーデンになっている。今は水色のアヤメが涼しげに満開だ。このアヤメは陽だまりに迎えたい。
パーゴラの西端はフリント石で出来たお洒落なガゼボだ。パーゴラから続く東側と南側に天井がアーチ型の出入り口、
西側と北側はガラス窓になっていてガラスにはメルヘンチックなイラストが擦りガラスで描かれている(写真下左3枚)。
ガゼボの北側にも茅葺屋根のサマーハウスが建っている。筋交いやラティスが自然木で造られていて素朴な雰囲気が良い(写真下右)。
中では2組のカップルがお茶を楽しんでいる。のどかなものだ。
この壮麗なフリント石の邸宅(Flint Mansion)は1804年に建てられたものでフリント石は遠くノーフォーク(Norfolk)から船で運んだという(写真下左)。
1971年からウェスト・ディーン・カレッジ(West Dean College)としてイギリスの伝統的な芸術(Arts) 、工芸(Crafts) 、園芸(Gardening)、
音楽(Music)などを学ぶカレッジだという。恵まれた環境だ。
フリントの壁はバラ、クレマチス、アイビーそしてイワガラミなどのつる性植物に覆われている。壁際の植栽も厚く高い。窓を塞ぎそうなほどだ。
そんな中で木バラの仕立て方が面白い。今まで見たことの無い仕立てだ。これは使えそうだ(写真上右2枚)。
ハウスの西の"Spring Garden"はすでに花が終わってしまったようだ。親切な学生の教えに従いラバント川に沿って出口に戻る。
川の対岸は羊が放牧されており、赤ちゃん羊が沢山見られる。何の警戒心も無く近づいてくる。何とも可愛い。
デンマンズ・ガーデンズ Denmans Garden
またもリストアップしたガーデンを一つスキップしてデンマンズに遣ってきた。
今年は今までに訪ねていないガーデンも巡りたいとリサーチしてきたのだが、有名な名園は外せない。ジレンマだ。デンマンズも02年、07年に次3度目の訪問になる。
50年間で内外の1000以上のガーデンをデザインしてきたという著名なガーデンデザイナーのジョン・ブルック(John Brookes)がデザインしたガーデンで、
ジョン・ブルック氏の自宅とガーデンスクールに隣接している。
エントランスから繋がるガーデンセンターの無数に並んでいるコンテナやオーナメントが気を惹くがガーデンが先だ。
先ずは"Walled Gravel Garden"に入る。壁に囲まれた砂利のガーデンだ(写真上4枚 下左2枚)。
デンマンズはこの土地の環境にあった植物を配置した設計・植栽がなされている。この辺りの土地はチョーク層で表土はわずかな土壌しかない。
そこで砂利の中でも水分を有効に活用できるよう工夫し、乾燥に強い植物を植栽したグラベル・ガーデン(Gravel Garden)としたのだろう。
壁には造成時出てきたものであろうフリント石も使われている。イーストアングリアのベス・チャトー・ガーデン(Beth Chatto Garden)と並び知られたグラベル・ガーデンだ。
セラミックの壷、ベンチ、クジャクの象や木製オベリスクなどファーニチャー、オブジェやオーナメントも効果的だ。
葉色には銅葉や銀葉、葉形にも様々な形状が取り入れられ質感も多彩で花が少なくても見飽きることがない。
ウォールド・ガーデンを出ると決して広くはない長方形のガーデンだが、芝(Lown)や牧草(Rough Grass)の中に幾つかの小さな植え込みを造り、
その間を曲がりくねった通路でつなぐ手法で広く感じられる。植え込みには多彩な樹木や潅木が用いられ、そのカラースキムは心憎いばかりだ(写真上2枚 下左4枚)。
また、ここにもグラベル・ガーデンが取り入れられている。
ここでもオーナメントやスカルプチャーが要所に使われており楽しめる。池も"Large Pool"と"Circular Pond"の2つがある。やはりガーデンに水のある景色は良い。
ただ、Large Poolの周辺の植物が生長しすぎて少し荒れた感じがする。お気に入りの少年像も葉っぱに埋もれ可哀想だ(写真上右)。
ガーデンセンターに戻りコンテナやオーナメントを見て歩く。持ち帰れるわけもないが、一つひとつを取り込んだガーデンを夢想し、暫し時間を忘れる。
アランデル城 Arundel Castle
次は始めて訪れるアランデル城だ。
アラン川(Arun River)の岸辺の駐車場に車を止め道路を渡れば、重厚な雰囲気の城門"Lower Lodge"がどっしりと構えている。
エントランスで入場料を求める。見学範囲によって値段が4段階に分かれている。一番高いのは17ポンドとお高い。
貴族といえども、個人で城を維持していくのは大変なのだろう。私たちは例によりガーデンオンリーだが、それでも8ポンドだ。
青々とした芝の中の湾曲したスロープを登っていくと小高い丘に壮大な城が聳え立つ。街並みの家々の合間からも垣間見られたように、街を見下ろす高台に築かれている城だ。
アランデル城の歴史は1067年に始まるという。そして700年に亘るノーフォーク公爵の居城であり、今もお住まいなのだ。
1846年にはビクトリア女王ご夫妻も訪れているという由緒ある城だ。
左手の林の中にローズガーデンがある(写真下中2枚)。18世紀のローン・ボーリング場の後に造られた新しいガーデンのようだ。
柘植のヘッジで囲まれたフォーマルなデザインだ。残念ながらちらほらの開花といったところだ。
城のもう一つの城門は街のハイ・ストリートに面した"High Street Lodge"だ(写真下右)。威風堂々の構えだ。
今は堅く閉ざされているが、ノーフォーク公の出入りの際は開かれるのだろう。
さて、ここでのお目当ては"The Collector Earl's Garden"だ。"The Collector"として知られる14代公爵トーマス・ハワード(Thomas Howard)
を称えて造られたもので、2008年にチャールズ皇太子を迎えてオープンされたガーデンだ。
入場して驚いた。全てが木で出来ているのだ。17世紀にトーマス・ハワード公が住んでいたロンドンの"Arundel House"をイメージし、
イギリスのオーク材を石に見立てる手法でデザインされているらしい。
南北に"Arun Fountain"という噴水が流れている。北の端の屋根にホタテの貝殻をいただいたオーク製のハウスの中から落ちる滝から始まる流れに
両側に立ち並ぶ噴水から水が注がれる(写真下左から2枚目)。そして、北の端で滝となって暗渠に流れ落ちていく(写真下左)。
そこから東西に2本のアーチパーゴラが幅3m、高さ4.5m、長さ15mに築かれ、中央部には高さ2mのドーム屋根が載っている(写真下右2枚)。
なかなかに優美なものだ。右から2枚目の後方の教会は"Fitzalan Chapel"だ。こちらも優美な姿だ。
アーチパーゴラの南側は芝の広場で"mountain"と呼ばれる4つの大きな岩が置かれている(写真下左から2枚目)。この広場の植栽はヤシとシダだけで
エキゾチックな雰囲気がする(写真下右2枚)。ガーデンの南の端の建物が"Oberon's Palace"と呼ばれる建物だ(写真下左から2枚目)。
幾つもあるオーク材の建物の中でもっとも大きい。両脇に高さ5.5mのオークのオベリスクが構えている(写真下右)。
室内の壁は貝殻で飾られており、中央には噴水が吹き上がりその噴水の上で金色の冠がくるくる回っている。
この冠は"dancing coronet"と呼ばれているという(写真下左)。
The Collector Earl's Gardenの西側に同じくらいのスペースのガーデンがある。"Herbaceous Borders"、"Flower Cutting Garden"、 "Victorian kitchen Garden"などがフォーマルに並んでいる。大きな温室も2つ並んでいる。 花、野菜、果物など豊かな実りをお城に供給しているようだ。案山子の姿もほほえましい。
Fitzalan Chapelとの境界のHerbaceous Bordersのジギタリス、アリウム、ユーフォルビア、キャットミントなどの伸び伸びとした姿が眩しい(写真下左)。
再びThe Collector Earl's Gardenに戻る。噴水の吹き出し口は金色のライオンの顔だ。間のコンテナにはアガパンサスが植えられている(写真左から2枚目)。
丈夫なオーク材とはいえ、噴水との組み合わせは耐久性が気掛かりだ。
渦巻きの紋様が施されたベンチもオーク材で出来ていて、ガッチリしている。園内各所に置かれている。
後ろに見えるアーチゲートはキッチンガーデンへの入り口だ(写真下右から2枚目)。
Arun Fountainの東の一隅に神殿風の建物がある(写真下右)。屋根も破風もコラムの柱頭も金色の鹿の角で豪奢に飾られている。
何もかもがユニークで型破りで風変わりなガーデンだ。ガーデンのデザインに決まりはない。感性を大切にし、ポリシーがしっかりしていれば良いということだ。
ティータイム Tea Time
この街に素敵なティールームがあるとの情報だ。"Copper Kettle Tea Room"という名前も素敵だ。この旅最初のティータイムにしようと街まで歩く。
ハイストリートの裏通りのパーキングの脇のショップで道を尋ねると親切に教えてくれた。教わった通りに出たが店がない。
行きつ戻りつ探したが見つからない。再び尋ねてみると「そのティールームは閉店したわ。この先の角に別のティールームがあるわよ」とのことだ。
教えられたティールーム"Tudor Rose Tea Room"は何の変哲もない店だ。オーダーは私は”クリームティー”、
妻が”アップルパイのカスタードクリーム添え”だ。クリームティーは握りこぶしくらいありそうな大きなスコーンが1つ。味は可もなし不可もなし。
カスタードクリームは生温かく、アップルパイは甘さ控えめだそうだ。「美味しい」という言葉は聞かれなかった。こんなこともあろう。
ハイダウン・ガーデン Highdown Gardens
「今年の旅は”神風・かっとび・急ぎ旅”でなく、ゆったりした旅にしたい」との妻からの提案だ。仰せの通りゆっくりティータイムを楽しんでいたら、
時刻は16時30分を回った。今日の訪問予定リストにはまだ◎が付いた2つのガーデンが残っている。
どちらかといえば"St Mary´s House & Gardens"にしたいところだが、ナビ子ちゃんに到着予定時間を問うと”17:05”と出た。
ラストアドミッションが17:00、どう飛ばしても間に合わないと判断し,、もう一つの
ハイダウン・ガーデンに向かう。
ハイダウン・ガーデンはサウサンプトン(Southampton)の東から始まりイーストボーン(Eastbourne)の西のビーチヘッド(Beachy Head)までの
広範なチョーク層の丘陵地帯サウスダウン(South Downs)の一角にあるハイダウン・ヒル(Highdown Hill)の中腹にある。
この旅ではサウスダウンのチョーク層が産む奇勝を幾つか訪れることになる。お楽しみに。
ハイダウン・ガーデンは調査では入場無料(Free Admission)になっている。ローカルロードを登っていくとナビ子ちゃんの案内終了地点にハイダウン・ホテルがある。
「ホテルに付属のガーデンだから無料なのかな」と勝手に決めつけてパーキングに車を止めてガーデンを探すが見つからない。
フロントで声か掛けたが返事がない。厨房に回って声を掛けると奥から女性が出てきて、親切に「ガーデンはここではないの。あと20mさきに行ったところよ」
教えてくれる。屋外でおティータイムを楽しむ人に笑われてしまった。またしても早とちりだ。。(無料の訳はワーシング(Worthing)市営のがーでんだからと後に判明)
このガーデンは20世紀初頭にフレデリック・スターン卿が始めたもので、夫人と共にチョーク層の地質を改良したり、
チョーク層に適合する植物を探したりして開発したものだという。また、2人の植物学者をヒマラヤや中国に派遣し珍しい植物を収集させて造ったものだ。
それゆえ、植物園的な趣で、大きな樹木の間にローズガーデンや草花のガーデンがあるデザインだ。
最初にローズガーデンが現れた(写真上左3枚、下左2枚)。宿根層などと混植した素朴な雰囲気のガーデンだ。満開には少し早いのかもしれない。
樹木の名前は分からないが、”なんじゃもんじゃの木”らしき大木があった(写真下右)。樹木の間に珍しい草花が数多く見られる。
18時にゲートが閉まると表示されていたので大急ぎで一巡りしたら30分で終わってしまった。
ザ・ヘアー The Hare
ロイヤル・タンブリッジ・ウェルズ周辺のレストランとパブの情報をそれぞれ3件ずつ仕入れてきた。昨夜のパブ・ビーコンもそのリストに入っていた。
今朝ナイマンズに向かう道筋に同じくリストにあるザ・ヘアーの
パブサインを見つけ、帰りはここと決めていた。ブライトン(Brighton)周辺で若干の渋滞に出合って19時10分に到着した。
ところが、パーキングが満車だ。周辺の道路も路駐可の場所は埋まっている。込んでいるということは人気がある証拠だ。
15分ほどうろついていると帰り客があり、ようやく駐車できた。
席を乞うと「奥のレストラン席は満席で入り口のパブの席しかない」という。「ノープロブレム」。
3時間前にティータイムを楽しんだばかりなので、メイン料理から1品ずつオーダーし、シェアーすることにする。
・ Smoked haddock and salmon fishcakes with spring onion and tomato salad は大きなフィッシュケーキが2つに、生野菜もたっぷりでおいしい。
・ Traditional ploughman's lunch with pork pie はその名の通り伝統的”農夫のランチ”で、パンとバター、チーズが3種類、ピクルス3種、リンゴ、トマト
そして、ポークパイが板のプレートに乗っている。ボリューウム満点だ。
これを赤ワインでいただきながら、混雑するカウンターや客席の人間ウォッチングを楽しむ。かなり際どいカップルもいた。
写真満載の旅行記をご覧ください
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