Llanberis 2005年6月22日・23 訪問 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
スノードン山への登山電車の山麓駅はLlanberisにある。到着は10時。チケット売り場に急ぐと、
そこには”Rocky Valleyで折り返し”とある。今日はサミットは強風のため途中のRocky Valleyまでなのだ。仕方ない。
それでも次の10時30分発は満席で、11時発の往復切符となる。
駅前の広場は人で溢れている。操車場では蒸気と煙が上がり石炭を焚く匂いがしてくる。期待は高まりそわそわして来る。
10時30分発はディーゼル機関車のようだ。我々の機関車は蒸気だと良いのだが…。
土産物店などひやかして10分前に乗り場に戻ったら、もう大勢の人が乗っている。駅員に急かされ開けてくれたドアーから
乗り込む。窓際は先客に取られた。
客車は1両だ。4名がお見合いで計8名のコンパートメントが7つで定員56名だ。これを機関車が後ろから押して登る形だ。
我々の機関車もディーゼルだ。
スタート直後は穏やかな牧草地帯を進む。線路の直ぐ近くでヒツジが草を食む姿も見られる。
しばらく進むと右は深い谷となりずっと下まで放牧場が続く。左は岩だらけの急な崖となる。あの岩が落ちてきたら、
この小さな電車はひとたまりもない。背筋が寒くなる。
そこかしこで登山者が手を振ったり、カメラを構えたりしている。子供連れや犬と一緒の人も多い。
この急坂は下りでも厳しいことだろう。時折、霧が視界を塞ぐ。
電車はHalfway Stationを過ぎいよいよ急峻な坂を上る。椅子は硬くて床に対し垂直だから急坂に来ると、
進行方向に背を向けている乗客は、前のめりになる。極めて腰に良くない。
しばらくして両脇が谷になった尾根で停車する。ここがRocky Valleyだ。駅ではない。はるか下に見える道路はA4086だ。
霧が谷底から涼気を連れて吹き上げてくる。心地良い。10分ほどの停車の間にすっかり晴れてきた。
この分なら頂上までいけそうな…と未練を残して下山となる。(後で聞いたところ、この日は終日Rocky Valleyまでだった。)
下の5枚は停車中の同じ位置からの撮影だから、代わり映えしないが悪しからず…。
Snowdon Mountain Railwayの駅は下から、Llanberis(標高 104m)、Hebron(標高 350m)、Halfway(標高 500m)、 Clogwyn(標高 779m)、Summit(標高 1,065m)の5駅だ。売りは何と言ってもスノードン山とアプト式電車だろう。 看板が物語る。Since 1896とある。100年以上経って今なお保存され、運転されていることが凄い。
アプト式(アブト式)と言われるが、公式サイトではRack and Pinion Railway(アプト式の一種)と記載されている。
写真下中央のレールの間の歯型(Rack)と機関車に設置された写真上右の歯車(Pinion)がかみ合い強力な推進・制動力を得る
仕組みだ。いかにも力強く頼もしい。保線の係員が点検している姿も見えた。。
雄大な景色の中をゴトゴトと登ってくる電車はおもちゃのように可愛い。もちろん単線だ。駅以外にも複線部分があり、
そこで擦れ違う。
駅構内のアプト式の歯型(Rack)は昨日見たものと少し違うようだ。推察するに勾配の少ない所はこのように単純な歯車で、
勾配の強い所では昨日見たようにプロテクトされているのだろう。今日も歩いて登る人、下りる人の姿が見られる。
皆ウキウキしているようだ。
今日は蒸気機関車が牽引してくれる。勾配の強い坂に差し掛かると、蒸気釜の圧力を上げるのだろう一旦停車する。
力を蓄え再スタートだ。昨日の折り返し点Rocky Valleyを過ぎ、Clogwyn駅を超えた辺りから下界に湖の姿が数多く見られる。
それぞれの湖水の色が微妙に異なり美しい。
この辺りの急坂では、進行方向に背を向けて座っている人は、前のめりになり足を踏ん張っている。愉快な電車だ。
さあSummit駅到着!ここが標高1,065メートル。頂上まではあとわずか20メートル。岩だらけの道をヒョコヒョコヒョコと進むと、
直径15メートル高さ5メートルばかりのケルンがあり、その上が頂上だ。10人も登れば満杯のSummitには長居は出来ない。
抜けるような青空、心地良い涼風、見事なパノラマ。来られて良かった。最高。車内放送では"This Summit is Heaven of UK."
と言っていた。同感。
周辺で記念撮影をし駅舎に入る。先ずはポストを探し昨夜書いたポストカード(待ち時間にスノードン山の頂上で投函と追記)
を投函する。カフェでコーヒーとケーキで一息入れながら更にポストカードを書き、切手が切れていたので売店に買いに行くと
カードを出せと言う。請求された価格が通常の47ペンスより高い。では、さっき投函した47ペンス切手を貼ったカードは
どうなるの?と聞いてみた。それは届かない。カフェの男性がポストの鍵を持っているから出してもらってここに持って来い。
とのこと。さあ一大事!5枚出した葉書は1枚がなかなか見つからない。電車の出発時間は迫るし焦りに焦る。結局この5枚は
麓駅のポストに投函した。でも「頂上で投函」に嘘はない。一旦投函だが…。
(大騒ぎの元凶のスタンプの写真は、後日正規に山頂から投函した唯一の絵葉書の受信者から映像をいただきました。)
この電車は頂上での滞在時間30分で、同じ電車に乗らないと後の席の確約はない。今日は到着が遅れ25分の滞在時間しか
なかった上に、アクシデントで最後に乗ったのだが、「あなたは写真を撮るから窓際が良いでしょう?」と席を譲ってくれた。
女性3人連れでLiverpoolからきたと言う。地元と言えるほど近いから何度も来たけどSummitまでは初めてだと喜んでいる。
あなた達はラッキーだと言うから、2日続けての乗車だと言ったら呆れた様子だ。
大自然の中、小さな電車はシュポシュポ・ゴトゴト・ポッポーとのどかに下る。写真でもお分かりいただける通り、
かなりの急坂・急カーブもあるが、Rack and Pinionで確実に安全に下りて行く。頼もしいSLだ。
Snowdon Mountain RailwayのLlanberis Stationの目の前がLlanberis Lake RailwayのLlanberis Stationだ。湖畔鉄道も魅力だ。
電車が巡る湖はLlyn PadarnだからPadarn Lake Railwayとも呼ぶのだろうが、ややこしい看板だ。
昔はスレートを運んだトロッコに花が植えられている。超狭軌が良く分かる。後方にはPadarn湖が青く横たわっている。
最前列の席を確保せんと、プラットホームの先端で待つ。公式サイトによれば1フィート11インチ2分の1のゲージだから、
約60センチだ。プラットホームから線路までの高さも50センチ足らず、極めて可愛い線路だ。
プラットホームのベンチの背もたれのデザインも蒸気機関車の形をしている。愉快だ。線路の向こうの道路を双子の赤ちゃんを
ベビーカーに乗せたお母さんが通る。我々の孫と同じくらいか?とても可愛いので声を掛ける。二卵性でBoyとGirlだそうだ。
お供の犬も可愛い。
あの湖Llyn Padarnの向こう岸を湖の外れまで行くのだ。遠くで盛んに汽笛の音は聞こえるのだが、電車の姿はいっこうに
見えてこない。
ようやく木々の上に白い煙が立ち、シュシュポポ・シュシュポポの音も聞こえてきた。黄色のミニSLが緑の客車を後ろ向きで
引っ張ってくる。待ち客に対してか、終点を告げるのか、しきりに汽笛を鳴らす。期待感を掻き立てる。
ここで機関車を接続し直す。行きは前向きで引っ張っていくようだ。目論見どおり最前列を確保。
ミニSLはゆっくり進む。踏切を渡り、何やら工場を過ぎ、可愛いSLが沢山整備されている操車場を過ぎる。この辺りは
Padarn Country Parkだが線路の脇にはスクラップになった客車や貨物車が置き去りにされている。いささか興を殺ぐ光景だ。
我慢すること暫し。景色は一変する。左側にLlyn Padarnが満々の青い水を湛え、その先のスノードニアの山々がなだらかな
雄姿を見せる。木の間隠れの眺めも楽しい。蒸気機関車の音も林の木や湖の水に吸収されるのか静けささへ感じる。
スノードン山がなかなか見えて来ない。かなり進んでから、二つの山の上に勇躍して現れる。シャープな山頂の形が良い。
山頂に雲の姿はない。楽しみだ。
終点のPenllyn駅までノンストップで進む。ここでまた機関車は後ろ向きに接続され帰路に着く。暫しの休憩時間。
スノードンとSLを入れた良い写真が撮れた(写真下左)。SLは磨き上げられている。金メッキの部分はピッカピカだ。
大切に保存されている様子が窺える。
往きに湖岸でカヌーの準備をしていた子供たち(小学生か?)が湖面に出ている。写真はカヤックをダブル・パドルで
鮮やかに操る子供たちだが、他に6人乗りのカナディアン・カヌーで先生と共に楽しんでいる子供たちもいる。
夏休み満喫だろう。
帰りは各駅に停まる。Cei Lldan駅だ。ここからPadarn Country Parkをハイキングする人達も多いようだ。
次の駅はGilfach Dduだ。操車場のある駅だ。空色と赤いSLがいた。ブルーのディーゼル車もいる。立ち入り禁止だから
良いアングルが取れない。お土産売り場も充実している。
工場に見えたのはMuseum of the slate industryだった。Caernarfon Castleの叙任式の行われた丸いスレートの壇は
ここで切り出され磨かれたのだ。ウェールズは繋がっている。
20分ほどの停車時間の後出発。ミニとはいえ踏切にはしっかり遮断機が下りている。
間もなくLlanberisという地点で、左手に見えてきたのは
Dolbadarn Castleではないか。
この城は予定していなかっただけに嬉しい。こんな山の中にどうして城が必要だったのだろうか?
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Web Site | Snowdon Mountain Railway Llanberis Lake Railway |
詳細はWeb Siteなどでご確認ください。
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