1999の旅 コッツウォルズ・ホームステイ

花花

第3日 6月29日(火)

フルイングリッシュブレックファストを始めていただく。
食前のグレープフルーツのシロップ漬けがおいしい。ベーコンが美味しい。ミルクティーが美味しい。
(過去にもロンドンのホテルには4泊しているが、昨夜のホテルを含めコンチネンタルのみだった。)

今日のスケジュールは”パブリック・フットパス”のウォーキングと”ヴィレッジ・ホッピング”だ。
パブリック・フットパス"Public Footpath"とは英国至る所にあり、”人間の歩く権利を尊重した遊歩道”である。
私有地といえども所有者は歩く権利を尊重し開放しなければならないのだそうだ。
ヴィレッジ・ホッピングとはコッツウォルズに点在する村々を訪ね歩くツアーだ。
生憎の小雨の中Fredに車で集合場所のパンプルームまで送ってもらう。保養地として栄えたチェルトナムの温泉付き社交ホールだという。
今日の案内係をしてくれる地元のランブリング・クラブ(歩こう会)の皆さんが紹介されいよいよ出発だ。

最初は民家の庭先を縫うように歩き出し、程なく牧草地に入る。キッスンゲートと呼ばれる動物は通れない門を通ってはいる。
羊や牛が直ぐ近くで草を食んでいる。大きな牛が近付いてきて怖い位だ。。暫くして雨は上がったが牧草地はぬかるみ足元が悪い。
牧草地の境界にはスタイルというステップ(階段)があり人は通られても動物は出られないようになっている。
色々な形がある。良く考えたものだ。乗馬を楽しむ姿も見られる。競馬場の近くも通った。歩こう会の皆さんが熱心に説明してくれる。

民家が近付く、その佇まいの美しいこと。遠目にも庭先の花色が鮮やかだ。
庭は一様にエバーグリーンの芝で覆われている。草花だけでなく潅木の葉色や形も庭を楽しくしている。
建物も様々個性的で優雅だ。これまた一様に蔦やバラが壁を這い上がっている。”庭師の国”を思い知る。

ウォーキングの最終地点は"Cleeve Hill"の頂上だ。300メートルあまりの丘だがCotteswoldの最高峰だという。
歩こう会の人が「ここから先は誰が健脚か競争だ。」と急き立てる。ゴルフコースを横切り必死で登る。2番手で到着。
下りはゆっくりと道端の野草を愛でながら歩く。息を切らして登ってくる仲間を励ます。陽も射してきて暑い。
麓の"Rising Sun Hotel"(写真右)に到着。建物も中庭も花が溢れたハンギングバスケットで飾られている。
バーでのオーダーの仕方を教わり求めた1パインとのエールビールで喉を潤しながら仲間の到着を待つ。何とも心地良い。
全員が揃ったところで”完走認定証”の授与式だ。2杯目のエールビールでカンパイし、ランチをいただく。
お迎えのバスがやって来てヴィレッジ・ホッピングに出発。

Cotswold Way Walk Cotswold Way Walk Cotswold Way Walk Cotswold Way Walk Cotswold Way Walk

最初に訪れたのはChipping Campdenだ。車窓からこんな素晴らしい光景(写真左)を見せられては興奮しないわけがない。
村の中心地で下り、フリータイムになるや茅葺屋根の家並みの通まで舞い戻る。絵本でしか見たことのない家々が並んでいる。
昨日、Stratford-upon-Avonで見たLilliput Lane のミニチュア・コテージにそっくり、驚きだ。
刈り込まれた生垣、壁をクライミングするバラ、花が溢れるウインドーボックス・ハンギングバスケット・コンテナ、青々とした芝。
我を忘れて歩き回り、写真を撮る。メルヘンの世界だ。
”こんな庭があるんだ・・・”とショックを受ける。”花は見るものでなく育てるものだ”と気付かされる。
村の中心地に戻る。コッツウォルズで最も古い街といわれる。嘗て羊毛産業で栄えた名残りのマーケット・ホールが残っている。
小さなお店が並んでいる。Kitchenwareのお店で小物を幾つか求める。食卓が楽しくなるだろう。

次に訪れたのはBroadwayだ。名前の通り広い通りを挟んで両側に様々なお店が並んでいる。ここも古い街だ。
バラに囲まれたティールームが素敵だ。建物の石塀は何とお洒落なことか。豊かだ。
通を行きつ戻りつ蜂蜜色の美しい石の家と花に見惚れる。

途中車窓見学する村々も一様に蜂蜜色のライムストーンの家が立ち並ぶ。
同じような色に見えるが村ごとに微妙な色の違いがあるのだとか。それぞれ石切り場が異なるからだという。
それらの家々のフロントガーデンを楽しませていただきながら、自分の花に対する思いの変化を感じる。

Chipping Campden Chipping Campden Chipping Campden Broadway Broadway

解散場所までFredが迎えに来てくれて"Blue Valley"(家の名前)に帰る。
英国では家に名前が付いている。表札も住人の名前でなく家の名前が記されている。生活に応じ家を買い換えていく英国の考え方だ。
妻はキッチンでJanetから料理を教わっている。その間、私とFredはサンルームのテラスに出てビールをいただく。
Fredは高血圧でJanetからお酒を控えるようにいわれているらしい。Janetに隠れて冷蔵庫から次々にビールを持ってくる。
飲み終わった缶はを小さく潰して隠すのが何ともおかしい。(帰国後自己測定用の家庭用血圧計をプレゼントした。)
ローストビーフが出来上がってお待ち兼ねのディナーだ。Broadwayの散策時にディナーのために求めた赤ワインを抜く。
それが終わると今度はフランスの春のバーゲンで纏め買いしてきたというワインがでた。
(同じ島国でもこちらは車でちょいとフランスまで気軽にお買い物なのだ。)
Janetのローストビーフは美味しい。かつてロンドンのシンプソンでいただいたものよりずっと美味しい。大満足だ。
心配していた会話だが、相手の話している内容は何とか分かるし、話せないことは妻に通訳してもらって疎通しているようだ。やれやれ・・・。
食後はリビングに移りお喋りだ。Fredがビールを持ち出すので、私もナイトキャップ用のバレンタイン17年を持ち出す。
コーヒーのJanetと妻の目が険しい。イギリスの日の入りは遅い。ようやく暮れなずむ頃まで楽しむ。

写真はBlue Valleyの正面。1階がダイニングキッチン、リビング、サンルーム、2階に3寝室とリタイア後の夫婦にはピッタリだ。
サンルームでJanetと愛犬サッシャーと共に。   玄関にてFredと妻、"Blue Valley"のサインポストも。
バックヤードは羨ましいほど広く、Fredが手作りでガーデンを造成中だ。
色々な構想を話してくれるFredの目は生き生きと輝いて私に刺激を与える。「帰国したら花作りを再開しよう。」と触発される。

Janet&Fred Janet&Fred Janet&Fred

花花

第4日 6月30日(水)

朝食前にサッシャーを連れてバックヤードとご近所を散策する。JALの整備士夫人3人組も犬と一緒に散歩中だ。
彼女達のホストは若い夫婦で共働きらしい。夕食は2晩ともパブに連れて行ってもらったそうだ。
私達のローストビーフを羨ましがることしきりだ。こちらからすればパブも魅力なんだけれど・・・。

さて、今日は”ヴィレッジ・ホッピング”と”アンティークショップ巡り”だ。
他に”ガーデニング講座”と”陶芸家窯元訪問”の選択肢があった。この辺りもよく出来たツアーだ。
最初の村はBiburyだ。美しい川が流れている。鱒の養殖場がある。ホテルの庭の美しさに目を瞠る。参った。
古い石造りの家並みが素晴らしい。アーリントン・ロウだ。14世紀に羊小屋として建てられたものだという。
その後倉庫や工房として使われ、現在はナショナル・トラストの管理となり人が住んでいるという。
真ん中の写真の後方左に登って行く細い道を行ったところで工事をしている青年と出会い話を聞く。
景観を守るために外部には一切手を付けないで内部のみリフォームするのだという。家の中も見せていただく。

Bibury Bibury Bibury

なだらかなアップダウンの丘陵地帯をバスで進む。写真でははっきりしないが一面ブルーの畑が現れる。
かと思えば黄色の花で埋め尽くされた畑が現れたりと感激の連続だ。

Bourton-on-the-Water村にやってきた。この村も中心を美しい川が流れている。
最初にモデル・ヴィレッジを訪れる。この村の9分の1のミニチュアだ。石は蜂蜜色のライムストーン、植えられた木や花も本物だ。
何と教会からはミサの音が聞こえてくる。モデル・ヴィレッジの中にモデル・ヴィレッジがある。ガリバーになった気分がする。
川に沿って緑地帯と街並みが続く。架かった石橋がまた可愛い。それを渡って右に左にと散策を楽しむ。細い横道にも花が溢れている。
川沿いのレストランでテークアウェー(テークアウトはアメリカ英語とのこと)もできるようだ。
大きなオープン・サンドイッチ1つとビールを求め河畔のベンチでランチとする。
今思えばあの時、驚きで見入った大勢の人が食べていた大きなフライとポテトが”フィッシュアンドチップス”だったのだ。

次に訪れたのはStow-on-the-Woldだ。アンティークショップで有名な村らしい。広い通のそこかしこに"Antique"の看板が見られる。
しかし、アンティークには興味がない。地元の人たちが出入りする雑貨屋のような店の棚に、陶器製の城の形のコンテナケースを発見。
思い悩んだ末、持ち帰ることにした。(「帰国したらガーデニング」の思いは募るばかりだ。)

Cotteswold Bourton on the water The Model Village Stow on the Wold

今夜は地元のパブでステイ先のホストや昨日のランブリング・クラブの皆さんなど、お世話になった方をお招きしお礼のパーティーを開くのだ。
Fredの運転でパブに向かう。既に沢山の方が参加して賑やかだ。
パブデビューの時だ。Fredが4人分の飲み物を買って来てくれる。(添乗員には飲み物はこちらが用意するよう言われていたのだが・・・)
ビールを片手に暫し立ち話。食事の用意が出来てテーブルに着く。室内だけでは収まらず屋外のテーブルも満席だ。
2杯目のビールはこちらで準備。3杯目からはワインにする。バンドも入ってますます盛り上がる。
心配したステイの3日間だが本当に楽しいときを過ごせた。FredとJanetを始め英国人の親切・人情に触れることが出来た。
有意義な3日だった。心からの感謝を捧げたい。

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