2011年の旅 ヨークシャー・デール編

花花

第7日 9月20日(火) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。

今日の行程       Ashfield House Hotel --- Embsay Bolton Abbey Steam Railway --- Harlow Carr ---
                          Harrogate --- Fountains Abbey --- Ashfield House Hotel
今日の走行距離     137km
今日の万歩計      18,200歩
出発時点の気温     12℃

アシュフィールド・ハウス・ホテル  Ashfield House Hotel

今日は曇り空だが、空気は冷涼で気持ちが良い。朝食前に村を一回りする。メインストリートのホテルのガラス張りのラウンジは朝食のお客さんで賑わっている。 インテリア店、チョコレート店、ギャラリー、本屋、ワインショップ、クラフトショップなどが並んでいるがまだオープン前だ。 "SPAR"は開いている。"Postoffice"でハガキをポストに入れているとドアーが開いた。随分早い開店だ。 帰国便では間違いなく手荷物が重量制限オーバーとなるだろうから、2つに分ける必要がある。そのための段ボール箱があるか探す。 あったものの小さいので、もっと大きいものはないかと問い合わせると、裏から使用済みの段ボール箱を持ってきて「これで良いか?」と差し出す。 余りによれよれなのだが、ご好意を無にはできない、ありがたく頂いておく。こちらの段ボールは日本に比べ薄っぺらだが、 多くは1回こっきりでリサイクルするのだから、こちらがリーズナブルだ。
さて朝食だ。私はグレープフルーツのシロップ漬けにヨーグルトをたっぷり乗せる。妻はドライフルーツも取り合わせる。 オレンジジュースとベリーのシェイクもいただく。メインは妻がスモークトサーモン&スクランブルエッグ、私はフルイングリッシュ、 ただしベーコンはハーフサイズでとオーダーすると若いウェートレスは戸惑っていたが、ジョーはちゃんと半分にしてくれた。
ランドリーサービスをお願いしたところ、ひとまとめにして部屋の隅に置いておくようにとのことだ。助かる。

Ashfield House Ashfield House Ashfield House Ashfield House

エンブセイ−ボルトン・アビー蒸気鉄道  Embsay Bolton Abbey Steam Railway

今年の旅のエリアにも幾つもの保存鉄道が走っている。その中から エンブセイ−ボルトン・アビー蒸気鉄道を選んだ。 スキプトンの郊外のエンブセイ(Embsay)と昨日訪れたボルトン・アビーの間4マイル(6.4km)を15分で走るラインだ。
このラインはスキプトンとイルクリ―(Ilkey)を結ぶミッドランド鉄道(Midland Railway)の一部として1888年に開通し、 1965年に廃線となったもので1997年に保存鉄道として再開されたものだ。

Steam Railway Steam Railway Steam Railway Steam Railway

10時エンブセイ駅到着。始発時間30分前だが、パーキングはコーチや乗用車で混雑している。急いで切符売り場に走る(写真上左から2枚目)。 1888年開通当時の駅舎の前には古いトランクが積んであり旅情をそそる(写真上右から2枚目)。

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蒸気機関車の"Norman"が入線してきた(写真上左)。1943年の製造というから私より1年年長だ。1944年にはフランスに渡り 1946年にイギリスに戻され、1976年まで現役で使われた後、博物館などに展示され、2010年にここで現役復帰したという。 往路は後ろ向きに連結して走るようだ(写真上右2枚)。
団体客も多く、各車両とも混雑している。前2車両だけ何故か空いている。良く見ると"FIRST CLASS"と記されている(写真下左から2枚目)。 チケット売り場に戻り、料金を訊くと「2ポンドプラス」とのことだ。チケットを求め乗り込む。 一番前の車両は座席は固定ではなく優雅な椅子が並べられている。椅子や壁、床の色も統一され落ち着いた雰囲気だ。取り付けられた扇風機もレトロだ(写真下左)。 2両目は1面が長い革張りのソファーで大きなテーブルのある車両だ。窓も広くゆったりとした空間だ。ひょっとすると食堂だったのかもしれない(写真下右から2枚目)。

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往きは一番前の車両で椅子を窓側に向け車窓を楽しむ。景色は概ねヨークシャー・デールのなだらかな斜面に牛や羊が、のどかに草を食んでいる贅沢な光景だ(写真下中2枚)。 しかし、時に岩山の険しい景色も見られる。エンブセイ駅近くで見られた岩山は"Embsay crag"と思われる(写真下左)。 ボルトン・アビー駅近くでも線路の南側に険しい岩山が見られる(写真下右)。
写真上右はドアのガラス窓の開閉用のベルトだ。ロックを外し、窓ガラスを下げベルトの穴をフックに引っ掛けて止めるシステムだ。レトロだ。

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一番前の車両だから煙突から出る煤塵が窓ガラスに当たりバチバチ音がしている(写真下左)。ボルトン・アビー駅で機関車の入れ替えをする。 復路は蒸気機関車は前を向いて走る。機関手が内部を写して良いと体を引いてくれた。蒸気機関車の各部品は重厚で重量感に溢れているが、 トータルのシステマティックな姿は優美でさえある。
ボルトン・アビー駅舎は保存鉄道として再開時に建てたものだと言う。ショップを覗き2人の男子の孫に機関車のイラストが入ったキャップを求める。 帰りは2両目のソファーでティーをいただきながら返りたいと思いティールームでテイクアウェイを頼んだら「テイクアウェイはやっていないが、 これを持って行きなさい」とマグカップを渡される。「カップはどうすればよいか」と訊ねると「あなた方の良い記念品になるでしょう」とのことだ。 おおらかな対応に心身ともに温まるティーとなる。とはいえ、厚手の大型カップは手荷物の重量を増すばかりだ。

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ハーロウ・カー  Harlow Carr

ハロゲート(Harrogate)のお目当ては2つ。ベティーズ(Bettys)のクリムティーとハーロウ・カーだ。 クリムティーの時間には少し早いので先にハーロウ・カーを訪れる。
ハーロウ・カーは王立園芸協会(The Royal Horticultural Society RHS)のガーデンだ。王立園芸協会は”ガーデニング・園芸の奨励”を目的とする慈善団体で 総裁はエリザベス女王が務められている。1804年にロンドン園芸協会として始まり1861年に王立園芸協会となった由緒・歴史ある団体だ。 会員数は世界で約37万人という。日本支部もあるようだ。幾つかのフラワー・ショーを開催しているが、最も有名なのはチェルシー・フラワー・ショーだ。
他にもウィズリー(Wisley)、ローズムーア(Rosemoor)、ハイド・ホール(Hyde Hall)の3つのガーデンがある。私達はウィズリーに1回、 ローズムーアに2回、ハーロウ・カーも2回目だ。ハイド・ホールはまだ訪れていないが、いつの日かその機会が来るだろう。
エントランスにここの果樹園で収穫した90種類ものリンゴが展示されている。リンゴに直接その種名が記されていた。色・大きさ・形が多様だ。 イギリスには数百種のリンゴがあるという。ニュートンが重力を発見したのが頷ける・・・? 甘い香りが漂っている。
最近イギリスのガーデンで流行っているのが柳の枝を編みこんで様々な造形物を造る手法だ。"Willow Weaving"と呼ぶらしい(写真下左から2枚目)。 その元祖がここハーロウ・カーで、教室も開かれているという。柳のしなやかさを生かした優美な曲線が素敵だ。園内各所に見られる。

Harlow Carr Harlow Carr Harlow Carr Harlow Carr

ハーロウ・カーは2001年に"Northern Horticultural Society"と合併して再設計されて変化しているようだ。05年に訪れた時より格段に拡張されている。
05年には見られなかったエリアに向かう。RHSの創立200周年を記念して2004年に造られた"Gardens Through Time"だ。 19世紀当初のタウンハウスから20世紀後半のアウトドアー・ルームまでのガーデンの変遷を7つのガーデンで表しているコーナーだ。 BBCがシリーズで放送したもので良く知られている。ということを帰国後知った。
RHSはガーデニングの普及が目的だから訪問者に色々なガーデンを提示しているものと思って見ていたのだ。それでも大きな間違いではないだろう。 ホームページに"Find inspiration for your garden"とある。私も"inspiration"を見つけよう。
そう知ってみると、上右から2枚目は19世紀当初のタウンハウスであったのだろう。下左2枚は20世紀初頭のコテージガーデンだろうか。 そして下右から2枚目もコテージのキッチンガーデンのようだ。細かく区分された仕切りがコンクリートの壁のため、どのガーデンも趣に欠ける。 フラワー・ショーの恒久版といった雰囲気で感心しない。その証拠に写真が少ない。

Harlow Carr Harlow Carr Harlow Carr Harlow Carr

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上述のようにRHSはガーデニングの普及や情報発信が目的だから"Learning Centre"と"Teaching Garden"を備えている(2010年完成)。 ここでは大人だけでなく、子どもへの教育にも力を入れているようだ。さすが”庭師の国”のRHS、女王様を総裁に戴くだけのことはある。 また"Library"も併設しているし、様々なワークショップも開かれている。しかし、英語力不足の私には立ち寄っても無駄だろうと通過する。
地植えだけでなくコンテナの寄せ植えも見られるがスケールが大きい。子供ならかくれんぼができそうだ。 池の端に静かに佇む少年の像は手にアヒルの子を持っているのだ(写真上右から2枚目)。何かほのぼのと温かいものを感じる。
"Main Borders"を歩く。幅5mほどの芝の通路が長く伸びており、左右に交差する通路とに仕切られた部分には素晴らしい植栽がなされている。 ここには1万8千種以上の植物があるという。そしてこの北の地にどんな植物が合うのかを教えているのだ。 写真下左はMain Bordersの真ん中あたりから"Plant Centre"方向を眺めている。

Harlow Carr Harlow Carr Harlow Carr Harlow Carr

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Main Bordersの突き当たりはガーデンの何倍もの森が広がる。この森の木の種類も豊富だ。森の道を進むと"Old Bath House"に出た。 ここでは18世紀に温泉が見つかり、19世紀にはBath Houseが建てられ人々が温泉を楽しんだ名残だ。ここにベティーズのティールームがあった。 エントランスにもベティーズがありどちらも混雑している。この後訪れる予定のハロゲート本店の混雑が気になる。
戻ってくるとキッチンガーデン(Kitchen garden 写真下左)がある。その植栽も実に豊富だ。 その隣にセンテッドガーデン(Scented Garden)が現れた。 色々植栽されていたはずだが、写真はバラだけだ。上右から2枚目はここの200周年を記念してデビッド・オースチン(David Austin)から創出された "Harlow Carr"だ。素敵な香りがする。
最後はアルペンハウス(Alpine House)2009年に出来たばかりの温室に2000本のアルペン植物が植えられている(写真下右)。
出口へはプランツ・センターとショップを通らなければならない。持って帰れないと分かっていてもつい見惚れてしまう。 反動だろうかショップで種を11袋も求めてしまう。陽だまりへのお土産だ。娘へのお土産にクリスマスツリー・アドベントカレンダーも求める。

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ベティーズ  Bettys Cafe Tea Rooms

ハロゲートの街で05年と同じパーキングに車を置きベティーズに向かう。 05年にはベティーズでのお茶を忘れてお土産だけになった。今年は何としてもハロゲートのベティーズでお茶をするする積りで遣ってきた。
心配した通り、お店の前の歩道に30人ほどの行列だ。最後尾に並んで待つとメニューが渡される。新宿のお気に入りスパゲティー屋と同じだ。 15分ほどで順番がきたと思ったら、中で再び行列だ。そして通されたのは地下の落ち着いた雰囲気のティールームだ。
クリムティーのセット+ティー1をオーダーする。待つ間もなく3段盆にスコーンが2つとクロテッドクリーム、ストロベリジャムが恭しく登場だ。 ナイフで水平に2つに割って、クロテッドクリームとストロベリジャムをたっぷり塗る。これでもかと塗っても十分足りるだけついている。 これを頬張る。そんなにお上品に食べなくても良い。紅茶はミルクをたっぷり入れていただく。何杯もお代わりする。 3つのポットは”ティールームブレンド”紅茶とミルクとホットウォーターだ。飲みきれないほどある。 これがクリームティーの美味しい食べ方だ。念願叶って、お腹も心も満ち足りた。

Bettys Bettys Bettys Bettys

1階のショップに立ち寄る。05年に買ったクッキーもチョコも正直美味しくなかったが、今のティールームで評価は変わった。 紅茶が美味しかったのでお土産用に2缶、コーヒー好きの娘夫婦にコーヒーを1缶、知人へのチョコは店員の女性のお薦めに従い1箱を求める。 店員さんと記念写真をお願いすると快く応じてくれる。お決まりのような「お撮りしましょう」の言葉に甘えてお願いするとお決まりのようにボケている。
ベティーズは両親を亡くしたスイス出身のフレデリック ・ベルモント(FrederickBelmont)が10代でヨーロッパ各地でパンと菓子の修行を積んだ後、 イギリスに渡り1919年に最初の"Bettys Cafe Tea Rooms"をハロゲートにオープンして以来、成功を収め発展ものだ。 しかし、オンラインショップで世界に開かれてはいるが、ティールームはノースヨークシャーにのみ6店という展開だ。 日頃から大をもって良しとする風潮に疑問を感じている所だけに、この辺りの節操を見習いたいと思う。
店内にケースに並ぶお菓子もワクワクしてくるような物ばかりだ。外から見るショーウインドーもセンスの良いディスプレーがされている。

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ハロゲート  Harrogate

ハロゲートの散策に移ろう。隣はギフトショップだ。 旅の留守中にマイガーデンの水遣りを頼んでいるシルバーさんにハンドバックを、色違いで妻ももう一点購入する。 その隣がお馴染の"Edinburgh Woollen Mill"だ。リーズナブルな価格でカラフルなセーターが並んでいる。 娘のパートナー2人、息子、自分を含めどの色が誰に似合うか吟味して4枚購入。
次は05年に孫のおもちゃを求めた店に入る。来年小学校入学の孫娘に数字のおもちゃを購入する。 同じビルのクラフト店に木製のフェアリーがあり、気に入ったのだが持ち帰るには大きすぎると迷った末に断念し、帰国後おおいに後悔したものだ。 その店に同じものがあったら、今年は連れて帰ろうと決めてきたのだが、お店が変わっている。旅のショッピングは一期一会”迷ったら買え”の我が経験則は真理だ。 (後日追記:フェアリーがあったのはハロゲートではなくヨークのクラフト店だった。とんだ勘違いをしたものだ。)
写真下左は"War Memorial"、第一次大戦の戦没者追悼のため1923年に建てられたものでベティーズのはす向かいに見える。 左から2枚目は"Royal Hall"、1903年建築のエンターテインメントやイベントの会場だ。 3枚目は緑地帯の花壇、後の建物は"Harrogate borough Council"だ。 右は街灯のハンギングバスケット、巨大だ。後のドーム屋根は"Royal Bath"、 今でもスチームバスは健在なのだ。この1枚が2012年の年賀状になる。
"Valley Garden"も予定に入っていたが、"Fountains Abbey"でゆっくりするなら、そろそろ切り上げなければならない。時間よ止まれ。

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ファウンテンズ修道院  Fountains Abbey

ファウンテンズ修道院はナショナル・トラストの数多いプロパティーの中でも、 年間入場者数が常にベスト5に入る人気を誇る。1987年には世界遺産にも登録されている。
ファウンテンズ修道院は1132年にヨークの"St Mary 's Abbey"で内紛を起こした13名の僧が”人が住むより野獣に適す” "more fit for wild beasts than men to inhabit"と言われたこの地に基盤を置いて以来、16世紀半ばまで何回にもわたって、 増改築を繰り返し発展したイギリス最大の修道院だ。一時は1,000人もの修道士が住んでいたという。ただその発展も"Lay brothers"といわれる 聖職を行わなず労働のみをする平修道士に由るところが大きかったとの史実を聴くと宗教とはと首を傾げたくなる。 例により、ヘンリー8世の修道院解散により破壊され廃墟となっているが何とも美しい。16世紀当時の壮麗さが偲ばれる。
ビジターセンターのパーキングからかなり下って行くと美しい廃墟が見下ろせる。心そわそわ急ぎ足になるが、その前に"Fountains Hall"の脇を通過する。 16世紀末に一部は修道院の石を使って建てられたマナーハウスだ。どことなく厳めしく疎外感を覚える建物だ。現在では結婚式やイベントなどに使われている(写真下左)。

Fountains Abbey Fountains Abbey Fountains Abbey Fountains Abbey

修道院は広大な芝の中に建っている。芝に下りて一番近くにあるのが"Guest House"だ(写真上左から2枚目)。スケル川(River Skell)を渡って対岸から見ると 川は修道院の敷地内の一部が暗渠になっているのが分かる。12世紀にこの工事がなされているのに驚く(写真上右から2枚目)。この写真の右側の建物が、 トイレ"Reredorter"で川に流す水洗式だったというから恐れ入る。
写真上右が最も大きな建物で"Lay brothers' dormitory"だ。上述の平修道士の生活の場でもあったのだ。大きな建物ではあるが、 平修道士の数からいったら狭い空間であったことだろう。トイレもここに繋がっているようだ。 ここだけは天井が残っている(写真下左)。見事な造形だ。ただ、見た目には分からないが天井には8種類のコウモリが生息しているのだという。
下左から2枚目は建物全体の中心にあり、どの部屋とも繋がっている"Cloisters"回廊だ。修道士の瞑想と訓練"meditation and exercise"の場であったのだ。

Fountains Abbey Fountains Abbey Fountains Abbey Fountains Abbey

写真下左は西正面(West Front)とタワー。2枚目は西正面ゲートから身廊を望む。真ん中は回廊のゲートから"Chapter house"を望む。
右から2枚目も回廊に隣接する"Warming House"修道士たちが暖を取る部屋だ。この部屋の天井もまだ残っている。 回廊から繋がる部屋は他にも"Kitchen"台所と"Refectory"食堂、"Monk's dormitory"修道士の寮などがある。
写真上右から2枚目は南から望んだタワーと"Chapel of nine altars"祭壇だ。見たこともない広がりを見せる祭壇だ。
私達はカントリーサイド、それもガーデン中心に歩いているので日本人に出会う機会は少ない。しかし、ここは有名な観光地、団体に出会った。 金沢大学の学生だという男女半々の10人位の団体だ。ケンブリッジで1ヶ月の語学研修を受けて、帰国前に1週間ほどの観光旅行をしているとのこと。 語学研修なら旅行も団体でなく個人でした方が良かろうにとは思うが口に出すまでもあるまい。”花と英国”の宣伝をして旅の無事を祈念し合って別れる。

Fountains Abbey Fountains Abbey Fountains Abbey Fountains Abbey Fountains Abbey

写真上右と下左が"Chapel of nine altars"内部の写真だ。ランセットアーチが林立する厳かな眺めだ。9つもの祭壇が必要なほど多くの巡礼者があったのだろう。
建てられた時代により建築様式が異なるのでより複雑な印象を受ける。それにつけても、豊かな修道院であったことが窺える。 そして、800年も前に建設が始まり、廃墟となって400年も経つ、その時間の流れが胸を打つ。
そして身廊(Nave)に遣って来た。2つ上右の写真が身廊の東面、下左が西面だ。全長120mに及ぶ壮麗なものだ。下左から2枚目は側廊(Aisle)、 身廊の南北両側に通っている。
最後はタワーだ。下中は南から見たタワー。右から2枚目が東から見たタワー、右は下から見上げたタワーだ。
(参照 ファウンテンズ修道院についてはこのサイトが詳しい。)

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スタッドリー・ローヤル・ウォーター・ガーデン  Studley Royal Water Garden

ファウンテンズ・アビーから北西に流れるスケル川に沿って スタッドリー・ローヤル・ウォーター・ガーデン がある。アビーとガーデンを合わせて世界遺産である。
1693年にエステートを相続したジョン・エズラビー(John Aislabie)はイギリスの大蔵大臣まで務めたが、公職を追放され、 1718年からこのウォーター・ガーデンをライフワークとして造成した。 ジョンの死後は息子のウィリアム(William)が修道院の廃墟を買い取るなどして父の仕事を拡張したのだ。
ジョンはフランスの影響を受け整形式のガーデンを造ったのに対し、ウィリアムは当時イギリスで流行した風景式庭園のスタイルを取り入れたという。

Studley Royal Studley Royal Studley Royal Studley Royal

ジョンが設計したフォーマルで幾何学的なデザインのガーデンが写真上下の中2枚に見られる。橋の下から流れ落ちるカスケードに始まる運河(Canal 写真上左から2枚目)が 両岸をスフィンクスがガードする地点で再びカスケードとなり(写真上右から2枚目)、その先に壮大なデザインのウォーター・ガーデンが展開する。
左岸はヘラクレスとアンタイオス(Hercules and Antaeus)の闘う像(写真上左)に始まり、小さなバンケット・ハウス(The Banqueting House)があったり、 半円形の池がありその縁にもう一つの闘う像(写真上右、下左から2枚目)が見られる。
その先の手摺りもない狭い板橋を渡って右岸を戻ると、大きな三日月型(crescent moon)の池の中央に満月型(full moon)の池を組み込んだ"Moon Pools"が見えてくる(写真下右から2枚目)。 満月型の池の中央にはネプチューン像(Neptune)、その両サイドにバッカス像(Bacchus 写真下左)と ガレノス像(Galen 写真下右)が凛として立つ。写真下右から2枚目の池の中に小さく写っているのがネプチューン像、その奥の建造物はテンプル"Temple of Piety"だ。 このテンプルはジョンにより1730年に当時ヨーロッパで流行した"neo -Classicism"に則りデザインしたもので、彼の死後ウィリアムにより再設計されたものだという。

Studley Royal Studley Royal Studley Royal Studley Royal

下左の写真の風景は”自然の中に静かに佇む修道院廃墟”に見えるが、”自然のまま”ではなく息子ウィリアムが”自然らしく”造ったガーデンなのだ。 ウィリアムはファウンテンアビーの廃墟とホールも買収しガーデンを広げたのだが、父ジョンの造ったガーデンを大切に保存しつつ、 時代に即したガーデン造りをしたことが窺える。谷を開き造られたであろうウッドランドの散策路にはリスの可愛い姿が見られる。
2時間の滞在ではステンドグラスが美しいと聞く"St Mary's Church"まで見ることはできない。それでも18時までオープンはありがたい。 時間ぎりぎりゲートを出たが、パーキングにはまだ車が沢山あった。帰路"Church"と"Obelisk"を見通せる場所があった。

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アシュフィールド・ハウス・ホテル  Ashfield House Hotel

またペトロールが底をついてきた。このFIATは燃費が良くないようだ。帰り道とは反対だが、リポン(Ripon)の街の方が見つけやすいと思い遠回りしたが、 探す時には見つからないものだ。大きく時間をロスしてホテルに帰着。大急ぎで着替えてラウンジに行くとマンチェスター(Manchester)からの2組のご夫婦がいた。 「マンチェスターのゲームを見たかったがチケットが手に入らなかった」と話すと「メンバーの私達でも手に入らない」とのことだ。
写真下左はラウンジのミニバー、セルフサービス。今日のメニューは2人とも同じものになった。スターターに
・ Grilled Goats Cheese & Beetroot Salad  メインは ・ Scotish Salmon, Hollandise Sauce  だ。
これがどちらも美味しい。一昨日失望した分をカバーしてくれるほどだ。ベスの陽気なサービスが場を和ませ盛り上げる。

Ashfield House Ashfield House Ashfield House Ashfield House

Ashfield House

アニータ(Anita)は付け合わせの野菜のグリーンピースとカリフラワーをストップと言うまでたっぷり盛ってくれる。
デザートは ・ Pomegranate Jelly と ・ Homemade Pecan Pie  をオーダーする。待っているとガス風船を手にしたベスを先頭に、アニータ、ロサ、ジョーが入ってきた。 何事かと思いきや、私と背中合わせの席の女性の誕生日のお祝いパフォーマンスだったのだ。メニューを良く見れば一番上に "HAPPY BIRTHDAY TO Rosemary McLaren"と記されている。ガス風船を女性の椅子に取り付け、特製のケーキがプレゼントされ、全員でハッピーバースデーの歌を歌い、 拍手でお祝いする。こちらも楽しくなる。メニューには風船のイラストも描かれ、予告していたのだ(写真右)。
デザートも美味しくいただき、ラウンジに移ってコーヒーをいただく。全員は座りきれないのだが、ひじ掛けに腰かけたり、立ったままでお喋りが弾んでいる。 残念ながら私1人が会話の輪に入れない。既に22時を回った。旅の疲れも少し溜まってきたことだし、この辺りで切り上げ休むことにしよう。
部屋の壁に素晴らしいタペストリーが架かっている。美しくロマンチックだ。決して豪華ではないが、リラックスできる部屋だ。

Ashfield House Ashfield House Ashfield House Ashfield House

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