2005の旅 湖水地方編

花花

第13日 6月28日(火) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程   Ripon --- Settle --- Sizergh Castle --- Levens Hall --- Holker Hall ---
          Hill Top --- Graythwaite Hall --- Tern Hows --- Near Sawrey
今日の走行距離   235km   今日の万歩計   15,604歩

Thorpe Lodge

Thorpe Lodge Thorpe Lodge

今日も朝から快晴、ラブリーな天気だ。蔦の絡まる部屋の窓からは清々しい緑のガーデンとプール、青い空が見える。 朝食を済ませ、支払いをし記念写真を撮り終わるとJulietは早々にお出かけだ。ホストのTommyとはとうとう顔を合わせなかった。
荷物を積み込み、さあ出発という時になって、いつものお茶のペットボトルがない。トランクの荷物も降ろして探したが 見つからない。部屋もチェックし通路もチェックしたが見つからない。仕方なく出発したが何とも腑に落ちない。 波乱の出発だ。(このペットボトルはとうとう見つからず仕舞いだ。)

Mysterious Tank

Mysterious Tank

正確な場所は確認できていないが、A59を走行中だと思う。牧草地の真っ只中に良く整備された新しい真っ直ぐな道の 進行方向右手に謎の白いタンク(あるいはドームか?)を発見する。道路わきの潅木で上部しか見えないが5、6基見える。 好奇心をくすぐられる。
横目で観察しながら走ると潅木の切れ目から全体の姿が見えた。車を路肩に停め交通量の多い道路を横断して観察する。 タンクは20個くらいありそうだ。石油か天然ガスの備蓄基地か? それにしては大小不揃いだし、配列も整然としていない。 疑問は解決しないままに車に戻りスタートしようとしたところにパトカーが現れた。波乱第2幕だ。

Mysterious Tank

対向車線に止まり、待てと手で制止しながらどこかと無線連絡をしている。しばらく待たせた後おもむろに降りてきて、 何をしていたのか?と聞く。珍しい光景だから写真を撮っていたと応えると。免許証をチェックしながら、 さりげなく車内もチェックしている。警察官は一人だが、腰に下げたピストルが不気味だ。トランクも開けさせられる。 トランクの荷物を見て旅行者と確認できたのか、行く先や車の持ち主などの尋問があり、最後はこの道路は駐停車禁止だと言い、 放免してくれたが一時はどうなることかと肝を冷やした。好奇心も程々にということか。 ひょっとすると軍の重要基地でスパイと間違えられたのかも…などと半信思う。 その後も注意して標識を見たが、駐停車禁止の標識は見当たらなかった。

Settle Station

Settle

A59からA65とYorkshire Dales National Parkの縁を快適に走り抜け Settle Station にやって来た。6月26日に訪れたRibblehead Viaductを通るSettle - Carlisle Railwayのターミナルだ。それより何より、 美しく可愛い駅だとの情報を得てやって来た。
街の入り口にタウンポストを見つける。Welcomeなどと余分なことは一切書いてない。そこが良い。
駅舎は黒っぽい屋根と壁に白い破風板と窓枠が効いた小ぢんまりした建物だ。何故か切妻の真ん中にミッキーマウスらしき オブジェが飾られている。このYorkshire Dales National Parkの片隅の街とミッキーマウスの因縁について調べてみよう。 (色々と手を尽くしたが、関連については不明だ。その前にミッキーであるという確証もないのだ。)

Settle Station Settle Station Settle Station

なるほど、この駅は2001年にはStation of the Yearに輝いているのだ。誇らしげに看板が出ている。
駅舎より跨線橋やベンチや照明灯などのペイントが素敵な色だ。明るい臙脂色で周囲の緑に映える。 跨線橋は形もまた一段と優美だ。コンテナやハンギングバスケットも沢山設置され華やかさを添えている。
サイトを見るとこの路線の各駅は同じようなデザインになっているようだ。ViaductもRibblehead以外にも沢山あるようだし、 一度乗ってみたいRailwayだ。

Settle Station Settle Station Settle Station

Settleの街を出てからもYorkshire Dales National Parkの縁を20km余り進む。なだらかで緩やかな丘にヒツジと牛。 ヒツジだけでなく牛も群れる癖があるのか1ヶ所にギュウギュウ固まっていたりする(サムッ!)。楽しくて歌が出る。 (”丘を越えて”とか”鐘の鳴る丘”だったりして…古ッ!…ご存知?)Yorkshire Dales National Park を離れ20kmも走れば、そこはもうLakedistrict National Parkなのだ。既に訪れたBrecon Beacons National Park、 Snowdonia National Parkと、この旅4つ目のNational Parkだ。次の訪問地へ入る前にKendalの街も一巡り。 (実は迷い込んだのだ、用意の地図ではあるはずの道がないのだ。波乱第3幕。)

Sizergh Castle
Sizergh CastleはNational Parkからは 少し外れているがLakedistrictの中のナショナル・トラストのプロパティーだ。
14世紀の城は壮大と言うほどではないが、しっかりした造りのお館の雰囲気で、今も当主がお住まいだ。
スケールの大きなボーダーガーデンや奥行きあるシュラブ・ガーデンの色遣いに深みを感じる。
今は緑の壁を這うアイビーは秋には真っ赤に紅葉するのだろう。館に上る階段にはエリゲロンが咲き乱れている。 妻の大好きな花だ。

Sizergh Castle Sizergh Castle Sizergh Castle Sizergh Castle Sizergh Castle

Levens Hall
4年ぶりのLevens Hallだ。 2001年に初めて訪れた時と同じ感動で迎えられた。
Levens Hallのシンボルと言えるであろう王冠のトピアリーは健在。
300周年(1994年)を記念して造られたバラ園のバラも立派になった。ハーブ・ボーダーも厚みを増した。
ティールーム前の花壇は新設されたようだ。マーガレットと白妙菊がヘッジとトピアリーを映えさせる。

Levens Hall Levens Hall Levens Hall Levens Hall

ここはSteam Collectionがあり、蒸気自動車を集めているようだ。Steam Busが駐車場に展示されている。日曜日には お客さんを乗せてガーデンの周りを走る催しもあるようだ。
入場して直ぐの芝の広場からは、沢山のトピアリーが一望できる。重なり合って、これも奇妙だ。
ホール前に前衛的な作品を展示してあった。作家の顔が日本人に見えたので、話しかけたら台湾の人だった。 この庭のイメージを描いたものだと言う。女性の髪が風になびくようだと感想を述べたら、妻に対して、君の亭主は 今、他の女性のことを考えているから注意しろと忠告している。(冗談にしておこうね。)
ゴールドも色の変化を与える。右手前は鳥だろうか?犬・蛙・亀など動物の形に見えるものも沢山ある。
4年前より木が大きくなっているように思えるが、310年の歴史の中のたった4年では気の所為だろう。 4年前の写真があれば、その変化を較べられるのだが残念だ。14世紀からだというホールは質実剛健で清しい。

Levens Hall Levens Hall Levens Hall Levens Hall Levens Hall

左からシルクハットのジェントルマン、傾いた五重の塔、ソフトクリーム(と妻は言う。私には吾妻橋のアサヒスーパードライ ホールの屋上の金のモニュメントと同じで、う○ちに見える。)、ジェントルマン、つば広帽にスカートのレディーに見える。 人により、方向により違って見えるのが楽しいのだろう。
暑くて汗をかくのは陽射しの強さだけでなく、興奮している所為もあるだろう。愉快な時間だ。
尚、トピアリー・ガーデンについては このサイトTopiary in the United Kingdom が面白い。ご覧あれ。

Levens Hall Levens Hall Levens Hall Levens Hall Levens Hall

Holker Hall
Holker Hallも4年振りの訪問だが、4年前の記憶が乏しいのだ。
しかし、このホールとその前庭から伸びるプラタナスのアーチを見て思い出した。それにしても16世紀初めのホールは優麗だ。

Holker Hall Holker Hall Holker Hall

2002年のエリザベス女王のGolden Jubileeを祝って制定したFifty Great British Treesに選ばれたThe Great Holker Limeは、 胴周り7.9メートル、樹齢400年近いライムの木だ。
噴水の周りは巨大な石楠花の林だ。4年前に驚異の目で見たのを思い出す。今は濃い緑の葉を繁らせている。
ネプチューンの像の両脇からカスケードが始まり、涼やかな水音を立てて流れていく。サンクン・ガーデンも 涼やかな色遣いで気持ちが良い。パーゴラの白いバラ、奥の壁のピンクのクライミング・ローズを背景にブルーの デルフィニウムが輝く。ベンチに座り暫し時を忘れる。

Holker Hall Holker Hall Holker Hall Holker Hall

そのベンチから眺めていた小屋の屋根の鳩の彫刻が動いた。ずっと彫刻だと思っていたのは白い鳩だったのだ。 妻も同じように感じたらしい。ビックリしてそばに行っても鳩は逃げない。この小屋は鳩小屋だったのだ。 中には沢山の鳩がいた。
木陰にあった大きなシーソーで童心に返り遊ぶ。大好きなモンキー・パズル・ツリーも空に向かって伸びる。 根元のひこばえの芽も強い棘で触ると痛い。

Holker Hall Holker Hall Holker Hall Holker Hall Holker Hall

Hill Top
4年前は口蹄疫(foot-and-mouth disease)が猛威を振るっており、閉鎖中だった Hill Topはピーターラビットファンならずとも 1度は見ておきたい。閉館は16時30分だ。急げや急げ。ところが、またもや道に迷い込みEsthwaite Water の対岸に出てしまったのだ。気が付いた時には引き返すより、ぐるっと廻ってしまったほうが早そうだ、ということで 湖岸ドライブを楽しむ。波乱第4幕。
Hill Top到着は16時15分だ。パーキングには日本語の案内もある。さすがに日本人に人気のプロパティーだ。 受付で会員証を提示すると、気の毒そうな顔で入館は1時間前で締め切ったと言う。エッ!まさか!波乱第5幕か? 良く訊いてみると、建物への入館は締め切ったが、ガーデンとショップは17時までだと判明。やれやれ、 私達の目的はガーデンだ。
パーキングに車を置いてガーデンの入り口であるショップに向かう。ここは歩き慣れたる道だ。 4年前にランチとディナーをしたパブ Tower Bank Arms の前を通り、ショップを通り抜けて待望のガーデンに辿り着いた。
ガイドブックやサイトで見慣れたあの入り口が見えてきた。幸い入場者は我々のみだ。あの有名なベンチも空いている。
素朴なベンチだ。世界中のベンチでこれほど多くの人が座るベンチもないだろうと労わりたくなる。例に漏れず記念撮影。 良い雰囲気だ。
Beatrix Potterが愛した庭がこれなのだ。彼女の人柄が偲ばれる。

Hill Top Hill Top Hill Top

ピーターラビットが出てきそうな雰囲気がするキッチンガーデンだ。黄色い花はアザミのように見えるが葉っぱがまったく違う。 珍しい花だ。ヒツジも放たれ、気が付くと草むらにピーターを探している自分がいる。今度はメルヘンの世界に迷い込んだようだ。

Hill Top Hill Top Hill Top

Graythwaite Hall
4年越しの望みを叶え満足だ。今日からのB&BはHill Topのパーキングから歩いても2分だが、まだ17時陽は高い。 Hill Top優先で先ほど通り過ぎてきた Graythwaite Hallは18時までだ。 迷わず戻る。
パーキングにはHonesty Boxなるものが置いてあり、入場料2ポンドはこの箱に入れてください。とあった。4ポンドを投入し 入場する。ホールはプライベートで入れないがガーデンはご自由にどうぞということだ。
ガーデンの隅に巨大な椅子を発見。妻一人座らせて撮っても大きさが表現できない。小石を組み上げカメラを固定し セルフタイマーで撮ってみた。成功!(この旅で唯一のセルフタイマーだ。)
ホールは高台に静かに建っている。この中でどんな人がどんな生活を繰り広出ているのだろう?覗き見したい衝動が走る。
なだらかな芝のスロープのイチイの生垣に赤い小さな花を付ける蔓性の植物が緑の中で鮮やかだ。 イチイの木だけに寄生する植物かもしれない(未確認)。

Graythwaite Hall Graythwaite Hall Graythwaite Hall Graythwaite Hall Graythwaite Hall

Tarn Hows

Tarn Hows Tarn Hows

18時10分ようやくEes Wyke Country House到着。荷物を部屋に運び込み、休む間もなく、明日に備えて ペトロール・ステーションへ行く。一番近い街Hawksheadにはないとのことで、Conistonの街まで走る。ここも勝手知ったる B5285、楽しいドライブだ。
真っ直ぐ帰るのは勿体無い。Tarn Hows に寄り道だ。4年前と同様静かに佇んでいる。今年は時間も遅いのでより静かだ。親子連れが1組、 ピクニックの帰り仕度をしている。その子供が時折母親を呼ぶMommyの声も遠ざかった。怖いほど静かだ。
余り風を感じないのに、湖面にはさざ波が立っている。湖面に映る山を撮りたかったが上手く行かない。

Ees Wyke Country House
4年前に宿泊しとても印象深かったので、その旨を付し予約したところ、”John and Margaret(当時の経営者)は2002年に 引退しましたが、同じ方針で経営していますので失望させることはありません”との返事が届いた。が、Esthwaite Waterを 眼下に見下ろす高台にあり、Hill Topの直ぐ隣というロケーションの魅力は再訪の価値ありだ。
4年前より調度が充実し清潔に保たれたラウンジで食前酒をいただきながらメニュー選びをし、Esthwaite Waterを見下ろす テラスに出て食事を待つ。西日が湖面にキラキラと反射し眩しい。

Ees Wyke Country House Ees Wyke Country House Ees Wyke Country House

さて、準備が出来て席に着く。4年前のEes Wykeの食事はおいしくてボリュームがある家庭料理の感じだったが、 今年は洗練されたレストランの雰囲気だ。前菜は私がタルト、妻がスコッチ風スープ。タルトはパプリカ・アーティチョーク・ オニオンなど野菜がとてもおいしい。スープも具沢山でおいしいとのこと。魚料理はPrawnのリゾット風だ。 久々のお米はおいしかった。

Ees Wyke Country House Ees Wyke Country House Ees Wyke Country House Ees Wyke Country House

肉料理も柔らかく、コクのある濃厚なソースが素晴らしい。私はラムのステーキ、妻はカモのローストだ。
隣の席にフランス人のご夫婦が座った。毎年この時期に湖水地方からスコットランドを釣り旅行するという。 旦那が釣果自慢をすると奥さんは肩をすくめ両手を広げてみせる。湖水地方の鱒もスコットランドの鮭もそんなに お馬鹿じゃあないというわけだ。
食事も終わりデザートを待つ頃に日没を迎えた。湖面を赤く染め緩やかに暮れていく。明日の晴れも約束されたようだ。

Ees Wyke Country House Ees Wyke Country House Ees Wyke Country House Ees Wyke Country House

デザートも美しく盛られおいしい。チーズと葡萄が良く合う。初めての経験だ。ホステスの名前は前のホステスと同じで Margaretだ。しかし、お愛想が違う、前のMargaretは陽気で良くお喋りして持て成してくれたが、今のMargaretは無愛想だ。 持て成しの気持ちはあるのだろうが、今ひとつ態度に表れてこない。唯一惜しまれる点だ。
食事の後はもう一つのラウンジでフランス人ご夫婦とコーヒーを楽しむ。私はスコッチをいただく。フランス人の旦那は 盛んに妻にサービスしてくれる。この辺りがイギリス人と少し違うかなと思う。陽は沈んでも白夜は続く。波乱の一日は終わる。

Ees Wyke Country House Ees Wyke Country House Ees Wyke Country House Ees Wyke Country House Ees Wyke Country House


”Topic” Map 地図   Topic一覧はこちらへどうぞ
イギリス人と日本人の地図の書き方の違いについては、2003年の旅の7月11日の項で「こちらの人の地図は少し違う。 日本人なら方位・距離感・目標物を記し、三叉路や五叉路の角度も正確に記すが、こちらでは全ての道路に名前が 付いているから、 その名前を基準に説明する。例えば「 A ○○○○を△△△の街で右折し B ○○○△に入り、○△●の街で 左折した□○△▲Streetに面している」と線をつないで説明するが、曲がる角度や線の長さが実距離と一致しないのだ。 おまけにカントリーサイドではまともな十字路など無いのだから、何度か曲がる内に日本人の感覚では方角が狂ってしまうのだ。 こんなところも文化の違いだ。」と述べた。(この件は、リンボー先生が”ホルムヘッドの謎”(文春文庫)の ’地図の書けないイギリス人’で詳しく著している。)

Thorpe Lodge

その良い例を今朝お別れしたThorpe LodgeのJulietに見た。26日の夕食のホテルを教えてくれた時、「今、地図を出すから。」 とパソコンを操作しプリントアウトした紙にはこう書いてある。
"Turn right out of the drive, turn right onto the bypass, go straight over the 1st roundabout and turn right at the second roundabout signed Boroughbridge. Go past the racecourse, over the river bridge, about 400 metres after the bridge the Blackamoor is on the left."これで全てだ。地図などどこにも見当たらない。
Julietにすれば、これが地図なのだろう。すかさず用意の地図を差し出し、Blackamoorの位置を示してもらう。 右の地図の赤の円がBlackamoorだ。緑の円のThorpe Lodgeから上の説明を追っていけば、なるほどと理解できる。 これも慣れだ。これが文化だ。
ちなみに2日目のRestaurant 27はこう記されている。
"Park the car in the Market Square and walk towards the Cathedral. The restaurent is on the left just before a small turning off Kirkgate.右の地図では青の円の辺りだ。この記述で良く探し当てたものだ。
地図はMultimap.comから検索。 お世話になっているサイトだ

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