第30・31日 7月15日(金)・16日(土) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
Bould Farm
とうとう最後の朝を迎えた。感慨にひたる間もなく、荷物の最終確認をする。テロの影響でセキュリティー・チェックは
ますます厳しいだろう。手荷物に金属製品(特に便利したアーミーナイフ)など入れないようにチェックする。
(03年クリスタル製マドラー1本でチェックに遭い苦労した経験あり。旅行記を参照ください。)
割れ物(特にシングル・モルト)も充分チェックし、管理の分担を確認する。
最初は昨日見つけておいたガーデン・センターだ。残念ながら気に入ったものは見つからず、花と野菜の種を数点求める。
Upper Slaughter / Lower Slaughter
少し遠回りになるが、4年前に印象深かったUpper & Lower Slaughterを訪ねる。
先ずはUpper Slaughterへ。村の教会横の小さなパーキングの周りもEye川の畔も4年前とちっとも変わらない。
村の通りはしんと静まり、Eye川は晴天続きなのに豊かに流れている。村を一周り10分の間に会ったのはウォーカーの
カップル1組だけだ。しっとりとした村だ。帰りは愛車フォードでフォード(浅瀬)を渡ってみる。水溜りで遊ぶ子供の心境だ。
(写真1列目左2枚、2列目左3枚。その他はLower Slaughter。)
一転Lower Slaughterは明るい陽性な村だ。Eye川は川幅が少し広がり両岸の家々も開放的でどのお宅も花を欠かさない。
古井戸を上手に利用してあったり(写真上中、下左)、ハンギング・バスケットに竹ぼうきをあしらったり、
アイディア豊富だ。このセンスを学ばなければ。
川の流れも道路も優美な曲線だ。イギリスの庭造りにおいて「自然は直線を忌み嫌う。」という言葉がある。
英国式風景庭園の”自然らしさ”を表すための言葉だが、この風景を見ているとその言葉の意味が分かってくる。
水のある風景は心を癒す。イングリッシュ・ガーデンが池や川を取り入れる理由も分かってくる。
Blenheim Palace
Blenheim Palaceはチャーチル元英国首相のご先祖の初代
Duke of Marlboroughが1704年フランス軍との戦いに勝利し、その功績を讃えアン女王から与えられたものだという。
兎に角広大だ。係員の誘導に従い駐車する。右手に大きな湖と橋が見え、左手に壮麗な宮殿が見える(写真左)。
湖をQueen Poolと呼びそこに架かる橋をVanbrugh's Grand Bridgeという(写真中)。Vanbrughの設計図では橋の中央は
アーケードになっているらしい。未完なのだ。
その橋の向こう側にColumn of Victoryが見える(写真右から2枚目)。上記の戦勝記念塔だ。塔の上は初代公爵の像だ。
橋から真っ直ぐ進むと宮殿正面のゲイトに当たる(写真右)。豪華にして重厚なゲイトだ。もちろんVisitorは別の入り口からだ。
立派な構えの門Visitors Main Entranceから入ると右にインフォメーション・ショップ・トイレなどがある。
左手はThe Orangeryだ。もう一つの更に立派な門をくぐって初めて宮殿の正面広場に出る。上のゲイト内側から宮殿を撮るが
全部入りきらない(写真左)。
Book Shopを通り抜けFormal Gardensに出る。様々な彫刻がある。チャーチルもこれを見て育ったのだろうか?
Water Terracesの1段下の第2テラスのBernini river-gods fountainだが、水は出ていない。良く理解できない(写真右)。
Water Terracesはスケールが大きくて私のデジカメでは全体像は捉えられない。何よりプールの周りのノットガーデンが
素晴らしい造形美を見せてくれる。1925年から5年がかりで造られたものだというから案外新しいものなのだ。
Water Terracesはベルサイユの、Bernini river-gods fountainはローマのピアザの噴水の縮尺模型だという。
やはりFormal Gardens(整形式庭園)においてはフランスやイタリアが1枚上なのだ。
第2テラスから続く林の小道を辿って行くと目前にRose Gardensが姿を現す。周囲をぐるっとアーチで囲んだ広大な円形花壇だ。
先ずはアーチの下を一回りする。頭上も左右もバラの花だ。白とピンクのclimbing rosesが植え分けられている。
風に乗り芳香が漂う。
バラの裾は藤色のハーブの花が厚く覆う。満開を過ぎ落花盛んというところだ。散った花びらを踏みしめゆったりと歩く。
擦れ違う人も穏やかな笑顔で挨拶を交わす。
中の花壇は中央にマーメイド(?)の像がある池を配し、シンメトリーに区切られた花壇に赤・ピンク・白のバラが咲き乱れている。 周りのアーチのバラとの配色も考慮された見事なローズ・ガーデンだ。 ベンチでは老婦人が二人お茶を飲みながらお喋りしている。これはしばらく動きそうもない。
その先にCascadeの案内がある。好奇心に駆られ行ってみることにする。しかし、水量が少なく少々期待外れである(写真左)。
元に戻り、宮殿の東側に廻るとThe Italian Gardenがある(写真中)。宮殿東館とThe Orangery(温室=写真の白い窓の建物)
に面した明るい庭だ。中央にMermaid Fountainを配し周りをヘッジで形作られた花壇が囲む。真っ赤なゼラニウムの鉢植えが
幾つも置かれている。ここには入場できない。今でもMarlborough家の子孫がお住まいでプライベートの区域には入れないのだ。
宮殿の屋根から大きな石造が屋敷を見守っている。
広い芝の広場の向こうから賑やかな音楽が聞こえてくる。何かお祭りでも開かれているようだ。誘われるまま行ってみると、
Blenheim Palace Tattoo and Country Fairが今日から開催らしい。
柵の中でドッグ・レースが行われている。本格的な賭けをするものでなく、お遊びのようなものだ。写真左のような箱に
入れられた犬が、ゲートが開き囮のウサギのぬいぐるみが動くと、それを捉えようと追いかける。障害を飛び越える犬もいれば、
下を潜り抜ける犬もいる。追いかけるのをサボる犬もいる。その様を面白可笑しく解説し観衆を喜ばせるショーだ。
一回りして戻ると牧羊犬のショーが始まる。羊の代わりにアヒルを使ってトンネルや階段に追い込んでみせる。
子供達も参加させ、犬に追われたアヒルが子供達が作った列の間をお尻をふりふり通り抜ける。子供達は大喜びだ。
アンティークの国・コレクターの国の面目躍如の2つの展示を見る。一つは蒸気自動車だ。それも乗用車でなくワーキング・カー
というのだろうか珍しい自動車だ。片やクラシック・カーの展示だ。マニア垂涎というところだろう。
Stag Owners Clubというクラシック・カー・マニアのクラブのようだ。
他にはNational Hedgelaying Societyの生垣の展示がされている。生垣はイギリスのカントリーサイドに特有なもので、
野生動物の棲家でもあり保護しようという協会だ。生垣にも地方により使用される木や形の違いがあるのが良く分かる展示だ。
即売場もあり乳製品などを売っている。アイスクリームを求め芝に腰をおろして牧羊犬のショーを見る。
予定外の催し物を楽しんでいるうちに時間がなくなってしまう。他にもガーデンや蒸気機関車まであるようだが、またの機会だ。
余裕を持って出発とする。
The Compleat Angler
長くも楽しかった旅の締め括りに選んだのは
The Compleat Anglerだ。
4年ぶりの訪問だ。美しいテムズ川の畔に立つホテルでアフターヌーンティーを楽しむのだ。懐かしいMarlowの街を通り抜け
テムズ川に架かるつり橋を渡った川岸にそのホテルはある。その佇まいをホームページでご覧いただけば、
きっと行ってみたくなるに違いない
相変わらず花で飾られている。ガーデンではウエディング・パーティーが宴たけなわだ。今日の暑さでは皆上着を脱いでいる。
3時30分まで待って席を乞うとサンデッキに通される。暑さを敬遠して室内の席を求めると、怪訝な顔をされた。
確かに後から来る客はサンデッキから埋まって行く。こちらの人は本当に日光浴が好きなのだ。
待つ間もなくアフターヌーンティーが運ばれてくる。銀製の3段の盆に盛られた物は下からサンドウィッチ・スコーン・ケーキだ。
サンドウィッチはキュウリ・ハム・サーモンの3種。スコーンはクロテッド・クリームとジャムがたっぷり。ケーキも3種ずつ。
たっぷりのミルクティーでいただく。朝からアイスクリームだけのお腹だが最後は少し堪える。
ホテルからの眺めだ。左から対岸の教会。テムズ川に架かるつり橋 Marlow Bridge。対岸の優雅な建物。別荘だろうか? 行き交うナローボートと遊覧船だ。時の流れが止まったかのごとくだ。
Heathrow
少々の渋滞はあるものの無事レンタカーを返す。4,980マイル=7,970キロメートルの旅となった。我ながら良く走ったものだ。
今年は駐車違反もなかった。無事の終了を感謝しフォードのハンドルを撫でてサヨナラする。
Heathrowもすっかりお馴染みだ。免税店で息子と婿殿の誕生日祝いのネクタイを2本求めると心は「シーフードバー」だ。
ここで生牡蠣とスモークトサーモンをいただくのが恒例の締めとなった。アフターヌーンティーが効いているので生牡蠣は
半ダースにしたら、1つおまけしてくれる。奇数は二人で分けづらいのだが…、ありがとう。
白ワイン1本で搭乗案内があるまで人間ウォッチングも恒例となった。
Heavy
帰りのフライトは少々揺れが激しかった。このところJALの不祥事が多いだけに不安になる。やはり安全は安心だ。
JALには早期にしっかりした業務改善を講じてもらわねば。
さしたるエピソードもなく、一眠りしているうちに無事成田に到着。しかし、ランディングしてからゲートに着くまでが
異常に長い。また不安になる。結局タラップを使って降り、バスで到着ゲートへ移動する。先を争っての乗車風景に、
日本に帰った実感が湧く。情けない。
後はいつも通りの手順だ。成田エクスプレスで東京駅へ、夕食に弁当とサンドウィッチを仕込み、中央線で東小金井まで。
車中で気が付いた。スーツケースに"HEAVY"のステッカーが、"28kg"とある。随分オーバーしたのね…JALさん御免なさい。
(妻のスーツケースには貼られていない。だからどうだとは言わないが…。)
今年はタクシーの運転手の態度が良く、最後は気持ち良く帰宅となる。感謝。
長い旅の長い長い旅行記となった。ここまで読んでくださった方はどれほどいらっしゃるのだろうか。読んでくださった方は
余程の英国好きか、そうでなかった方もきっと英国好きになってくださったことでしょう。本当にありがとう。
この後も「イギリスで買ったお気に入り」他順次掲載します。時々覗いてください。改めてありがとう。
”Topic” 風呂 Bath Topic一覧はこちらへどうぞ
お風呂事情について考察する。風呂=Bathの語源となった街バース=Bathのあるイギリスだが、お風呂事情では日本が優ると思う。
(公衆便所では決定的に遅れを取ったが…。)
私達が宿泊するのは多くがB&Bであるが、ホテルでも一般家庭でもその事情は大きく変わらないと考えられる。
先ず第一はお湯の出が悪く、タンクのお湯の量が少ないことだ。一般にイギリスではボイラーで湯を沸かしタンクに貯めて置く。
そのボイラーもタンクも小さいのだ。だから、バスタブを2回も満たせばお湯は終わり、敢え無く水風呂となる。
(湯水の如く流し放題の日本と大違いだ。)だから後から入る妻はどうしても水風呂になってしまう。
しかし、改善はされているのだろう。今年の29泊では水風呂は経験していない。
写真はバースのRoman Baths 1999年コッツウォズル・ホームステイの旅で訪問時撮影。
そして第2はバスタブしかないことが多いのだ。シャワーがないのだ。イギリスのバスルームには洗い場はないのだから、
お湯を満たしたバスタブで石鹸を使いシャンプーをしたらどうしてすすぐのかが問題だ。イギリス人はバスタオルで拭いてOKと
するらしいが、こちらはそうは行かない。さっぱりしたい。
そこで考えたのは、最初はバスタブ3分の1くらいのお湯が貯まったところで入り、身体を洗いシャンプーをする。
そして一旦石鹸を流したら湯をこぼす。3分の1しか入れてないので待ち時間は少ないしお湯の節約になる。
そしてもう1度お湯を満たし身体を温め、すすぐのだ。
この苦労も今では出来るだけバス・シャワー付を確認して予約するし、どちらかしかなければシャワーを選ぶことにしている。
イギリスでは夏でも日本で生活するような大汗は掻かない。だからシャワーで充分だ。
ぶるぶる震えてお湯が溜まるのを待ったのも、今は昔の苦労と言うものだ。しかし、油断は禁物だ。
何故なら相手はイギリスだから。
写真たっぷりの旅行記をご覧ください
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