第5日 6月10日(月) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今朝も目覚めはすっきり。空模様も少し湿っぽいが、薄日の差すガーデン巡り日和だ。先ずは朝食、広いレストランを 貸し切り状態だ。他のお客さんはごゆっくりだ。今日はフルイングリッシュにビーンズが付いた。珍しい。サービスしてくれる ウェートレスがきびきびして親切だ。イギリスの女の子然としている。用意のワールドカップのロゴ入りキーホルダーを、 チップ代わりに渡すと大喜びしてくれた。店内の装飾もなかなか凝っている。
食後、街の散策。まだ開店前だが、ショーウインドーを覗いたり、ハンギングバスケットを観賞したり楽しい。流れも豊かな Avon 川(イギリスのあちこちにある)に架かる橋も美しい。街の名前 Ford は浅瀬だがどうしてどうして・・・。
さて、今日は New Forest から始めよう。 New といっても何千年前からの New なのであって、幅20キロ
メートルにおよぶ広大な森である。元は王室の狩猟場であり様々な歴史があるようだ。
村と言うより集落と言ったほうが相応しいような小さな村が点在している。その1つの民家の壁に面白いもの発見、Uターン。
それが右の空飛ぶ魔女のプレートだ。実はマイ・ガーデンにも自らのアイディアで鉄工所にオーダーした空飛ぶ魔女のハンギング・
フッカーがあるのだ。ガーデン・センターなどではあまり見たこともなく、同じ発想をした住人にお目に掛かりたいが、
人影はなし。他にもバラやクレマチスが壁を伝い、いくつものハンギング・バスケットが吊るされている(写真下右)。見事だ。
それにしても、運転しながら我が目はどこを向いているやら。老眼は進んだが、動体視力未だ衰えず。
「 New Forest 」は広大な荒野が続き、
野生の馬が草を食んでいたり(写真下左)、うっそうとした巨木の深い森が続いたり(イギリスでは珍しい)、また小さな村に
遭遇したり(写真下中)美しい景色の連続である。気持ちよく走っている間に、思いも寄らぬ方向に進んでいた。軌道修正し
Palace House を目指す。
「 Palace House 」は、 National
Motor Museum と Beaulieu Abbey を併設したテーマパークといった趣だ。入場料もなかなかだ。
敷地内は右のようなクラシック2階建てバスが巡回している(それだけ広い)。運転手は山高帽に黒のマントで決めている。
このバスで一番奥の Palace House まで行き、散策しつつ戻ることにしよう。空は上天気、風も爽やかである。
巡回中、次々に家族連れやらカップルが乗ってくるのだが2階に上がってこない。こんなに気持ちが良いのに、
珍しくもないのかな。
House の周りはさえぎるものもなく広々と明るい空間だ。周囲の景色と良く調和した重厚な House だ。
周りは池のように広い美しい川で街と区切られている。自然のお堀だ。その川の向こうの家々がまた美しい佇まいだ。
向こうからの眺めはさぞかしだろう。こんな街に住みたいものだ。
お屋敷内部には、あまり関心はないが豪華な家具調度だ。中庭にはユニークな噴水があった。馬のロッキング・チェアーは
良く見かけるが、これは馬の三輪車だ。
ショップの品揃えが豊富だ。愉快なファーマーのおじいさん・おばあさんの人形が気に入った。
(イギリスで買ったお気に入り−Interior を参照ください)しかし、それにしても
店員がノンビリだ。包み方も稚拙だ。後を待っているお客さんにこちらが謝ってしまう。でも、後のお客さんは静かに順番を
待っている。決して苦情など言わない。それが幼い頃からの生活リズムなのだろう。
National Motor Museum 。あまり興味もなく入ってみたのだが驚いた。物凄いコレクションだ。マニアに とっては垂涎の車ばかりだろう。クラシック・カーからF1までズラリと並んでいる。やはりクラシック・カーのほうが重みが あって好きだ。
「 Denmans 」は国際的に有名なガーデナーの
ジョン・ブルック氏の設計による庭だとか。そのブルック氏が訪問者と大声で掛け合いをしていた。ボーダーや
ウォーター・ガーデンなど全体にワイルドな雰囲気である。決して手入れを怠っているのでなくそういったデザインなのだろう。
私にはもう少し整然とした庭が好みだ。
さして広い庭ではないが、緩やかなカーブを描く砂利道で一画一画を巧みに作り出している。そこに植栽された草花の種類も
多彩だ。葉色のグラデーションも絶妙だ。奥行きと広がりが計算されている。
砂利道と緑の芝のコントラストも引き立つ(写真上左2枚、下左・中)。名物の青いベンチにはオウムの先客が・・・、 ちょっと失礼します(写真上左)。植栽のそこかしこにオブジェが隠れている(写真上右)。それらの発見も楽しい。 ウォータ・ガーデンの周りにはブロンズの少年像が静かな水面を見つめていた(写真下)。時折雨がぱらつくが、乾燥しているので さほど気にならない。イングリッシュライクだ。
「 West Dean 」と言えば、やはりこの パーゴラに尽きるだろう。100メートル以上のスケールもさることながら、バラ、クレマチス、スイカズラなどの 蔓性植物による見事なトンネルと足元の素晴らしいボーダーも見逃せない。また、西の外れに配された Gazebo と言う 見晴らし小屋はフリント石を使用したおしゃれなデザインだ(写真下左)。パーゴラの中央にはプールが配され和まされる (写真下右)。
Gazebo からスタートし、プールを経て東の外れで U ターン今度は、パーゴラの外からボーダーとバラやクレマチスを
楽しみながら引き返した(写真下左2枚)。飽きることを知らない。
大きな Glasshouse では果物の栽培もしているらしい。水運搬用一輪車があった。こういうもの見るとつい
牽いてみたくなる。ルーツはファーマーかガーデナーか(写真下中)。
Walled Garden は広大でゆったりとしている。キッチン・ガーデンやフルーツ・ガーデンを含め様々なコーナーがある。 点在する東屋がおとぎの国にいるような心地にしてくれる(写真上左、下中)。ハーブを含めシルバー・リーフがとても印象的だ (写真下左、右)。ここも去りがたいガーデンだ。
次の目的地は Wakehurst Garden だが、どうやら時間内に間に合いそうもない。欲張りプランだから距離的には
可能なプランなのだが、1つの庭で時間を取ってしまうと後が詰まってくる。それにこちらのガーデンは商売っ気がないと言うか、
従業員の労働時間の問題だろう、開場時間が遅く、閉場時間が早いのだ。このゆとりあるペースは、まだ真似できない。私流は
神風カットビ急ぎ旅なのだから。何時かはイギリス流になれるのだろうか?
となれば、次の手段も用意してある。 SL ステーションを見学しよう。ここには
「 Bluebell Railway 」
と言う保存鉄道が蒸気機関車を走らせているのだ。たった十数キロメートル、3駅しかない鉄道だ。その1つのターミナル駅
(3つの内2つはターミナルだ)である Sheffield Park 駅を訪ねた。立派な駅舎である。もう運行時間は
終わっている。昨年は湖水地方の Ravenglass Eskdale Railway と言うミニ SL に乗った。
楽しかったので今年も検討したが、この地域ではガーデンを優先した。イギリスでは保存鉄道は多い、またチャンスがあるだろう。
Shortgate Manor Farm が今日明日の宿だ。今年は宿の予約をしないで、現地で気ままに探してみようと いうことであったが、「 Bed & Breakfast for Garden Lovers 」 で知ったここには是非泊まろうということで予約して来た。大正解だ。この美しい良く管理された庭をご覧ください。
そんなに広くはないが、今日寄ったデンマンズ同様、緩やかに巡る遊歩道と柘植の垣根で大小に区画を仕切り、それぞれに趣の 異なる植栽をしている。こんな庭を持ちたい。宿根ボーダー、バラ、クレマチス、フクシア、名前も知らない珍しい草花・・・ ため息が出る。
時間を忘れて歩き回っていたが、もう8時過ぎた。この時期イギリスでは9時半過ぎても明るいから、つい時間を忘れる。 食事にせねば。尋ねるとパブとレストランがあると言う。今日はパブにして、明日はレストランにと決定。玄関のキーの 扱い方を教わって、いざ出発。
A 道路と B 道路の交わるランダバウトの脇に Black Lion Inn があった。1階がパブだ。昔懐かしい ミュージック・ボックスが置いてあり、現役で働いている。曲が終わるたびに、男の子(青年までいかない感じ)が 選曲しに来る。 ブレッデッド・マッシュルームがアイオリ・ソースとマッチしておいしい。ビールに良く合う。イギリス人ウォッチングを しながら、ワインも開ける(こちらも、もっと大勢からウォッチングされているんだが・・・)。
帰着。先程は B&B の案内板探しで視線が低かったのだろう、気が付かなかったが、入り口はポプラ並木だったのだ。 案内板も景観を損なわない控え目なものだ。ファームの羊さんもディナー・タイムのようだ。
玄関に着くと車の音を聞いて中から開けてくれた。そこにいたのは、さっきのパブでウォッチングしていたご夫婦だった。
相手も覚えていてあれこれ会話。奥さんが大きな声でおしゃべり!明朝のブレックファストを一緒にしようと言うことで、
8時50分で約束した。
部屋は清潔で清々しい。バスタブにビックリ。帆立貝の形をしたゆったりとしたもの。それも、ふかふかのじゅうたんの上に
直接置いてある。何てこった。良い眠りに就く。 【T】
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