第8日 4月27日(日) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程 Mil Mar Guest House --- Everdon Stubbs --- Coton Manor Garden ---
Spratton(NGS open garden) --- Stratford-upon-Avon(Evening Cruises) --- Mil Mar Guest House
今日の走行距離 220km
今日の万歩計 14,900歩
Mil Mar Guest House
今朝も6時30分に目覚めた。朝食まで今日のルートをシミュレーションしたり、荷物の整理をする。
今夜がラストナイトなのだから。部屋の窓のお洒落なカーテン越しにハンギングバスケットが見られる。
ステンドグラス、一輪のバラ、カーテンとバランスも良い雰囲気だ。
8時30分、いつものようにフルイングリッシュブレックファーストだ。何とも規則正しい生活だこと・・・。
しかし、それも朝の内だけ、1歩外出すれば遅くまでほっつき歩く毎日なのだ。
今日は03年に訪れ好印象のコトン・マナーやナショナル・ガーデン・スキムのオープンガーデンも訪れる予定だ。
今はうす曇りだが、良い天気になりそうだ。9時15分B&Bをスタート。
エバードン・スタッブス(Everdon Stubbs)
最初の訪問地はEverdon Stubbsだ。
幹線道路は順調に進んだが、B361からUnclassified道路に入るBadbyの村で迷う。小さな村で少し走ると通り抜けてしまう。
行ったり来たり、予想よりずっと細い道路を進むのが正解だった。
迷った一因は路上駐車の車が多くて道を塞いでいたこともある。靴を履き替え、リュックを背負って、ウォーキングに向かう
準備をする人の姿が沢山見られる。帰国して調べると、この村から1km足らずの森(Badby Wood)もブルーベルで有名なのだ。
それ程に多くのブルーベルウッドがあり、多くの人々がブルーベルを楽しんでいるということだ。
心細くなる細道を抜けEverdon村を抜けて辿り着いたEverdon Stubbsは道路の両側にブルーベルが咲き乱れている。
道路わきにスペースを見つけ駐車し、早速森に入る。森に見えるが正確にはスタッブス(Stubbs)なのだ。
(森とスタッブスの違いの詳しいことは上記サイトの"Site Description"をご参照に)
何はともあれ、ブルーベルに少し倦んでいた気持ちが吹っ飛んだ。最初の感動が戻ってきた。と言うより、それ以上の感激だ。
煙るような吹き出したばかりの新緑の下に、淡く鮮やかなブルーのカーペットがどこまでもどこまでも続いている。
落葉が幾重にも重なった小路の柔らかな感触を足裏に感じながら、先へ先へ、奥へ奥へといざなわれる。
小路は緩やかに弧を描いているから先への期待感がいや増すというものだ。ここではピクシーに誘われるようなゾクゾク感でなく、
心が開放される爽快感がある。ブルーベルへの新しい認識だ。素晴らしい。
ブルーベルの海に溺れるが如くさまよい疲れ、車に戻ってお茶で喉を潤し、興奮を冷ましていると、
ライディングの一団がやってくる。女性ばかりの10人余りのグループだ。にこやかに笑顔を振り撒いて通り過ぎて行く。
白馬が多いのも女性好みか。日曜日の午前をこんな風に過ごす豊かさを知る。
一団をやり過ごしたが、行く手は同じだ。しばらく後ろに着いて走っていたら、道が少し広くなったところで、
先に行けとの合図が出る。ゆっくり追い越して行くと、それぞれに右手で挨拶を送って寄こす。
ノーサンプトン(Northampton)の郊外の平原をひた走る。時に小さな村を通過し、また農地・牧草地のただ中を走る。
この季節は菜の花の黄金の園がどこまでも続く光景が素晴らしい。左奥の丘も間もなく黄金色に染まるだろう。
コトン・マナー・ガーデン(Coton Manor Garden)
Coton Manor Gardenは5年前に訪れとても良い印象を受けた。
今年の旅でシェイクスピア生誕祭に興味を抱きStratford-upon-Avonを宿泊地と決めた時、
真っ先に「Coton Manor Gardenが近いな。」と感じた。
調べてみればコトン・マナー・ガーデンは美しいブルーベル・ウッドを持つことでも名高いのだ。これは天啓と言えよう。
コトン・マナー・ガーデンは17世紀の大きくは無いが瀟洒なマナーハウスを囲むフェミニンな庭として知られる。
そして、Garden Schoolも開催されるだけに、センスの良さが際立つガーデンだと思う。
私にとってのイングリッシュ・ガーデンの雛型・典型と言える。
写真下左がそれだ。私にとって花は背景が大事なのだ。花だけをアップで見ても余り楽しくない。出来ればこの光景のように、
建物が背景にあれば最高だ。それが叶わなくともガーデン・ファーニチャーやオーナメント、コンテナなどとの
対比を大切にしたい。
コッツウォルズのハニーカラーにも似たハンプトンシャーの石で出来たハウスの壁にはバラや藤がつたい、テラスを経て
エバーグリーンのローンが広がり、芝の中には宿根草ガーデンが刻まれ、噴水があり重厚なコンテナが置かれている。
今の時期花はないが、四季折々の光景が瞼に浮かび、めまいがしそうだ。
いや、そうはしておられない。宿根草ガーデンの植栽をつぶさに観察する。妻はメモを取り出し、盛んに記録している。
この旅の目的の一つには、”花のない時期のイギリスのガーデンやいかに”も含まれるのだ。その意味でもコトン・マナーは
たくさんのことを教えてくれる。
写真は順に、テラスのチューリップのコンテナ(木製)、テラスのエンジェル・ファウンテン(壁をつたうのはモッコウバラか)
とチューリップのテラコッタ、オールド・ローズガーデンの噴水(これもエンジェルが支えている)、後は宿根草ガーデンと
イチイの生垣。
テラスから続くローンに刻まれたガーデンは5年前に訪れた時にはローズガーデンだったはずだ。説明によれば、
1920年からバラが植えられてきたが、バラの病気のため2006年に160本のバラが抜かれ、表土を入れ替え、
宿根草ガーデンに造り替えられたものらしいコトン・マナーをしてもこんな事が起きるのだ。ガーデニングの難しさを知る。
イチイの生垣を抜けるとウッドランド・ガーデン(Woodland Garden)だ。ここも前回訪れた時の印象は残っていない。
と言うのは、ユリノキ、ハンテンボク、ブナ、クルミノキなどの樹木の根元を飾るのは、球根植物やヘレボなど春の植物が多いからだ。
今年はチューリップやヘレボが見事に咲いているし、ブルーベルも見られる。
更に、前回はなかったと思う噴水やオーナメントも置かれていて、非常に手の入ったウッドランドに仕上がっている。
写真上左はウッドランドの小路、ブルーベルが楚々と咲いている。こんなブルーベルも良いものだ。
写真下左3枚もウッドランドの植栽だ。明るい林だ。
写真上左から2枚目は前回仰天したボーダーだが、今の季節は花は見られない。芍薬の赤い新芽の勢いが良い。
ウォーター・ガーデンの(Water Garden)の木のトンネル(写真上中)を抜けると果樹園(The Orchards)だ。
ここは今、正にスイセンが満開だ。様々な種類のスイセンが目が覚めるように鮮やかな色彩を見せる。(写真上右2枚・下右)
果樹園を抜けると芝の広場に出る。Goose Parkだ。その名の通り、ガチョウやカモが芝の上で羽根を休めている。
上記のホームページでは"Ornamental Birds"として紹介されており、たくさんの種類がリストアップされている。
左はツクシガモ(筑紫鴨・Shelduck)だ。よく見かけるカモだが、日本では絶滅危惧種に指定されている一夫一婦のカモだ。
チャボは元気に芝生の虫をついばんでいる。何とフラミンゴもいるではないか。コトンマナーにはミスマッチに感じるが・・・。
水鳥の池の向こう側に見える淡いライムグリーンのブナの森がブルーベルウッドだ。はやる気持ちを抑えて、人の流れにあわせ
ゆっくりと向かう。
ホームページで"the most spectacular bluebell woods in England"と豪語する林に入ると、皆一様に歓声を上げる。
5エーカーの林に"native English bluebells"の海がさざ波を打って広がっているようだ。
入り口で「日本人か?」と声を掛けてきたイギリス人も「ここのブルーベルは素晴らしいから十分楽しみなさい。」と言う。
極めてなだらかな斜面の頂まで、見渡す限りブルーベルのカーペットのパノラマだ。その中、外周を緩やな弧を描いて巡る小径と、
真ん中を貫く小径がある。外周をゆっくりと登り、下りはデジカメで動画を撮りながら歩く。小鳥のさえずる声と
落ち葉を踏む音、そして、擦れ違う人の「ハロー!」の挨拶が背景音だ。
新緑のブナの葉は茂りきっていないから光を通し、森が明るい。今は生憎のうす曇だが、陽が射していれば、
木漏れ日に光るブルーベルは更に美しいことだろう。
入り口に戻ると、先程声を掛けてきたイギリス人はまだベンチに座っている。「素晴らしいブルーベルウッドだった。」と
声を掛けると「それは良かった。でも、夫婦でロマンチックな気分に浸っているいるのに、皆が声を掛けて邪魔をする。」と笑う。
皆に声を掛けて、お喋りを楽しんでいるのは自分だろう。ジョークがきつい。
かつて森が立ち入り禁止であった時代、”ブルーベルは妖精たちに集会を知らせるために鳴らされる鐘であり、そして、
その音を聞いたものは誰もが、直ぐに死ぬ。”と人々は信じていたとの民間伝承を知る。何だか、嬉しくなる話だ。
ブルーベルウッドから戻りハーブガーデンへ。ハーブもようやく新芽を吹き出したところだ。ここでも日時計を発見。
生垣仕立てのリンゴの木も可愛い蕾が開き始めた。グラベルガーデンの石橋も良い雰囲気をかもし出す。
橋の向こうの女性像は髪を洗っているのだろうか、艶めかしい。
Main Lawnの片隅の大きなアカシアの木の下に古井戸とコンテナに囲まれた雰囲気の良いコーナーを見つける。
やはり、このシーズンはチューリップなど球根植物がポイントとなる。周辺のボーダーガーデンもそのシーズンになれば
目を奪われるのだろうが、今はまだ色味は無い。しかし、その手入れ具合には目を見張る。刈り込みや支柱など今から万全だ。
すっかり満足し"Garden Shop"を覗く。時刻も13時半、"Stableyard Cafe"は室内外共に満員の盛況だ。
リンゴジュースとエルダーフラワーサイダーを求め、B&Bのサービスのショートブレッドやペトロール・ステーションで
求めてあったショーとブレッドでランチとする。夜は6時半からディナークルーズの予定だからこれくらいが丁度良い。
孫にイギリスから電話をする約束をしたが、先日は留守だった。時差があるので上手く通じないものだ。
今日は通じた。孫の質問攻めで、すっかり長電話になった。
オープン・ガーデン(Open Gardens)
イギリスにはナショナル・ガーデン・スキム(The National Gardens Scheme : NGS)
というチャリティー組織がある。(NGSについては
”2005年の旅 TOPIC 6月18日”の項を参照)
個人のガーデンが、その最も美しい時期に一般公開され、その入場料をチャリティーに回される仕組みだ。
そのディテールを収録した本がイエローブック(The Yellow Book)だ。07年から購入し、幾つかのプライベート・ガーデンを
見せてもらい、その魅力にはまり始めている。(奇しくも、今年の表紙の写真はブルーベルだ。)
問題は公開日の多くが週末に偏っていることだ。従って、私共の旅程ではワンチャンスしかないのだ。この旅では今日しかない。
ストラットフォード・アポン・エイボンのあるワーウィックシャー(Warwickshire)とコトンマナーのあるノーサンプトンシャー
(Northamptonshire)ではこの日のオープン・ガーデンは3件しかない。オープン・ガーデンの最盛期は5・6・7月なのだ。
やはり、イングリッシュガーデンの旬はこの期間だろう。しかし、旬を外れた時期のイングリッシュガーデンの視察も
この旅の目的の一つだから、Northamptonshireの1件は、7つのガーデンが合同で一斉に公開されると知って、迷わず決定した。
それが"Spratton Gardens"だ。Sprattonは地図で調べると小さな村だ。そこに7つのガーデンがNGSに登録されているということは、
紛れもなく美しい村に違いないとの確信のもと遣ってきた。(イエローブックのディテールは右の通りだ。
この短い文章の行間を読み、臭いを嗅ぎ取るのも楽しい作業だ。)
A5199から一歩入ると、静かな佇まいの家々が並ぶ。High Streetといっても店があるわけでもなく、
こぎれいな民家が並ぶ。フロントガーデンが美しい家だと思ったら、"ngs"の黄色い小さな標識があった。
この家に入ろうとする黄色い案内図を持った人に聞くと、突き当りを右に行ったところにパーキングがあり、
その奥が受付だという。村のコミュニティーホールらしき大きなパーキングに車を止める。
The Stables
黄色の標識に導かれ着いたのが"The Stables"だ。一人4ポンド(7軒まとめて)の入場料を払い、ステッカーと案内図を貰う。
玄関前のアプローチの左右は緑の芝と古びた石やレンガを組んだ塀がマッチし、安らぎを覚える。(写真上左2枚)
玄関の左手を回りこむとろロックガーデンがあり、その上にボーダーガーデンが伸びている。ボーダーは後にして、
家の裏に回ると、ロックガーデン風の水の流れが池に注ぐ爽やかな光景だ。その先には緑豊かな農地が広がる。(写真上右)
更に時計回りに回っていくと、パーゴラが現れる。絡まっているのはクレマチスかハニーサックルか。背の高い樹木、
とりどりの色合いの潅木に奥行きを感じる。植え込みの宿根やシュラブも厚みがある。
The Stablesというから元はもっと素朴な馬小屋風だったのかもしれない。今は小ぢんまりしたモダンな家だ。
家を一回りしてボーダーに上がる。手入れの行き届いた芝のカーペットは気持ちが良い。まだ花はほとんど無いのだが、
この彩の美しいこと、色彩計画(Colour Scheme)のなせる業だ。NGSのこのくらいのスケールの庭がとても参考になる。
Flower in Open Gardens
次を紹介する前に、今回のオープンガーデンで見た美しい花を紹介しよう。
クレマチスは早咲きのモンタナ系だろうか。八重のスイセンが鮮やかだ。足元で伸び始めたのは何だろう。
中央もクレマチスだ。チューリップもこんなコンテナに植えられたら幸せだろう。
セダムもこれだけ大きなコンテナに寄せ植えされると見事だ。
クレマチスとビオラの植え込みはこれからが見頃だ。この季節この彩が出せるとは、驚きだ。(左から2枚目) 中央はチューリップの競演。背丈のあるフリチラリア(右から2枚目)やユーホルビア(右)も 陽だまりに上手に取り入れたいと思う。
Maltham Cottage & 11 High Street
2軒目の"Maltham Cottage"は小さなガーデンだ。ユニークなガーデンオーナメントを後で紹介しよう。
3軒目は"11 High Street"だ。ハイストリートから美しいフロントガーデンが見られる。それだけでもありがたいのに、
今日は中に入れるのだ。
ここはウナギの寝床のように奥行きのある敷地を上手く利用している。家の横を通り過ぎるとバックヤードに出る。
バックヤードに面した部屋はキッチンとリビングのようだ(写真右)。キッチンの窓からは手に取るように近くに花が咲いている
(右から2枚目)。リビングから直ぐにガーデンへ出られる。イギリスの家庭のガーデンはもう一つに部屋のような存在なのだ。
家族が生活し楽しむ場なのだ。だから、普段は他人が入ることは出来ないのだ。バックヤードについては
”コラム 英国ガーデンは楽しい”に記した。
奥へ続くなだらかな傾斜地に段差をつけ小さなガーデンが連なる。面白い形のガーデンだ。
Garden Furniture & Ornament
今度はこの日のオープンガーデンで見たガーデンファーニチャーやオーナメントをお見せしよう。
イングリッシュガーデンでは外せないアイテムだ。実にバラエティーに富んでいる。
下の4点はいずれも最後に紹介する"Spratton Grange Farm"のものだ。
樹木の根元にこんなに可愛いフェアリーの像が置かれている。妻が「どこに行ったら買えるのかしら。」とソワソワしだした。
池のほとりにはつがいの鶴のオーナメントが見られる。立派な噴水も置かれている。門扉も何と優雅なフォルムだろう。
左2つは2軒目の"Maltham Cottage"のものだ。ミニウォーターガーデンといった趣のコーナーの樽とポンプ、如雨露、
そして、水の吹き出し口と水辺で遊ぶ蛙、楽しい光景だ。池のほとりには水生植物の中に鶴のオーナメントだ。
中央は"11 High Street"のものだ。二つのオーナメントがミスマッチに見えるが、狭いガーデンの泣き所だろう。
右から2枚目は"Mulberry Cotage"の像だ。斬新な現代アートがガーデンの片隅で目を惹く。
右の古典的な像は上の4つと同じ"Spratton Grange Farm"のものだ。
Mulberry Cottage
4軒目が"Mulberry Cottage"だ。左がコテージの名前になっている"Mulberry Tree"だろう。桑の木と言うが、
こんな大きな桑の木は初めてだ。正にシンボル・ツリーだ。
入り口右手の土手にチューリップやプリムラ、パンジー、スイセンなどいったい何種類の花が咲いているのだろうか、
苗の販売もしているくらいだから、自家育苗だろう。花はなくとも、この葉色と葉形の妙に唸らされる。
自宅前のテラスはしっかり花で囲まれている。パンジーの花の大きいこと。
Flower in the street
NGS以外のお宅でもフロントガーデンの美しい家が沢山ある。街角でこんな光景が見られるのは幸せだ。
コンクリート・フェンスを彩る懸崖の花の名前は不明だ。
しっかりカットされた芝からどうしてこんなに綺麗な花が出揃うのか、ため息の出る光景だ。ここを動きたくない。
写真中央もこんな景色の中に住みたいと思う。どうしてこんなお洒落な道になったんだろう。
壁を伝うのは、手前の方が藤で奥の方がバラだろう。これが咲いたらどんなだろうか、またその時期に来て見たいものだ。
道路端にこんな大きなユーフォルビアが何事もないように咲いている。高台の教会もスイセンのハナに囲まれている。
The Granary & Northbank House
5軒目は"The Granary"は美しい花と街角で紹介した背の高いユーフォルビアが沢山咲いているガーデンだ。
6軒目は"Northbank House"でこれが圧巻、花で溢れている。家の東側に緩やかなアンジュレーションのある
ガーデンが広がる。古びた石やレンガで段差を付け区切られ、変化と展開が演出されている。
植栽の豊かさと芝の青さに焦燥感を感じる。どう真似ればこんなガーデンに近づくことが出来るのだろう?
決して気候風土だけの所為にはしまいと、観察する。
Sundial in Open Gardens
次はこのオープンガーデンで見た日時計の数々だ。陽だまりにも日時計を置こうと、ガーデンセンターなどで探し求めているのだが、
なかなか見つからない。こんなに色々な形のものがあるのだから、何時かはきっと見つかるだろう。
左から3軒目、5軒目、6軒目のガーデンのものだ。6軒目の花の美しさは何としたことか。右2つはこの後の7軒目のものだ。
Spratton Grange Farm
さて、7軒目は同じ村の中でも少し離れていて、車で移動しなければならないようだ。プライベートガーデンを6つも
見せていただいて大満足したから、これで帰ろうかとも思ったが、折角だからと訪ねることにする。
村の集落とはA5199を挟んで反対側だ。ファームの標識が出てからもかなり走らされる、広大なファームだ。
"Spratton Grange Farm"と地図に出ている。
大勢のスタッフが好奇の目で迎えてくれる。胸に張ったngsのステッカーを見せると、ご主人らしき方が、
歓迎の言葉と道案内をしてくれる。フォーマルガーデン(写真左)の入り口で「家の回りをぐるっと回ってください。」
とのことだ。
なんとも手入れの行き届いたガーデンだ。高木、潅木、宿根草、球根、一年草がバランスよく配置されている。
そして、ファーニチャーやコンテナの類も豊富に置かれている。その癖、決していやみにならない。
フォーマルガーデンの先は広大な芝の広場が広がり、一番低いところにポンドがある。その先はどこまでも農地だ。
立派な邸宅の回りも斜面を活用したロックガーデン風の美しい庭だ。ため息ものだ。家の壁沿いの植え込みも無力感を覚えるほど
美しく整っている。
屋敷の前の牧場には馬が数頭放たれ、向こうには羊の姿も見える。テラスにはライトアップ用の照明も見える。
満開の桜がチラホラと花びらを散らせている。ここに来て花見が楽しめようとは思いもしなかった。
右から2枚目の写真の奥に見えるガゼボからの光景が右の写真だ。中のベンチに座っていると眠くなってきた。
こんなシチュエーションでまどろめたら至上の幸せと言うものだが、旅の身には許されない。
さすがにGrangeを名乗るだけのことはあるが、ガーデンはお金があれば出来るというものではない。
肝心なことはオーナーの花心であろう。ここだけでなく、7つのガーデンのオーナーに敬意と感謝を捧げSprattonを後にする。
次なる目標はStoke woodに向け走る。ここもWoodland Trust管理の森だ。A14のジャンクション3で迷う。
何が起きたのか分からない。ジャンクションが地図と違い、目的のB576が見つからないのだ。
通り過ぎてジャンクション4でUターンしようとしたが叶わない。ジャンクション5で引き返したが、
帰路もジャンクション3はマジックのようだ。狐につままれたとはこのことか。
あと5km足らずの場所まで来ているはずだが、こういう時は、きっぱりと諦めるに限る。それが経験則だ。
一路Stratford-upon-Avonに向けひた走るが、途中から物凄い豪雨になる。雷まで鳴り出した。
ディナークルーズは荒天中止と聞いている。何だか不吉な予感がしてならない。
B&Bに戻るとディナークルーズまでには少し時間がある。明日の帰国に備えて、荷造りの点検をする。
全ての荷物をベッドの上に出し、スーツケースに詰め込んでみる。重量オーバーは間違いなかろうが、
何とか2つのスーツケースに収まりそうだ。
幸い雨は上がった。タクシーを呼んでもらい、乗り場に向かう。(B&Bのホステスもまだディナークルーズは経験がないそうだ。)
Evening Cruises
昨日の下見通りの場所にThe Countess of Evesham
は係留されていた。70フィートのクルーザーは伯爵夫人という名前の通り優雅に、そして、静かな佇まいで待ち受けている。
早速記念撮影をして乗り込む。
進行方向左側の中ほどの席に案内される。船内は木製で調度もクラシカルでゴージャスだ。
”ストラットフォードのオリエント急行”とも言われるそうだが、肝心のオリエント急行を知らないのでノーコメントとしよう。
客数は4人グループが1組とカップルが6組だ。聖誕祭も最後の日曜日だからだろう半分ほどの席が空いている。
18時25分出航、船は係留所(canal-basin)を出る時から、何やらややこしい操作をしてロック(Lock 閘門)を越えていくようだ。
全部で4つのロックを越えるらしい。その都度船員が手動でロックを開けたり締めたりして水位を変えている。
その度に船はゆらゆらとゆっくり上がったり下がったりだ。
生憎また降りだした。暮れなずむ船窓から川岸の柳や芝の緑が美しい。昨日散策した辺りだ。(写真下左2枚)
食事に夢中になっていると、いつの間にかホーリー・トリニティー教会が遠くに見えるところまで来た。(写真下右から2枚目)
石橋の下をくぐる。雨は益々強くなる。
静かで落ち着いた空気の中でディナーをいただく。3コースのメニューだ。妻はスープとサーモン、私は野菜サラダとステーキだ。
付け合せの温野菜もたっぷりサーブされる。ワイングラスを傾けながら、この旅を振り返る。色々な出来事に話の種は尽きない。
川岸はライトアップされているから、陽が傾いても景色を楽しめる。窓越しであるし、暗くなって手振れもありお見苦しい写真だが、 強い雨に牛達が木の下で雨宿りしている姿が面白い。(写真下左)大きな白鳥が急に目の前に現れビックリする。(写真下左から2枚目) コンクリートの護岸は見当たらない。長い年月植樹による護岸が繰り返されてきたのだろう。岸辺の樹木も巨大だ。
降り返し点のロックでは下船させてくれた。川は2手に分かれ、一方は堰となり、一方がロック=閘門だ。
2つの水門の一方を開けることで水位を上げたり、下げたりする仕組みだ。このロックを通るために船は細長いのだ。
船尾の厨房ではデザートの準備に大忙しだ。乗組員は船長と船員一人、厨房にシェフと助手、ウェートレスの計5名だ。
雨は上がりかけているが、霧雨と堰の水しぶきがかかり寒い。帰路に着くとデザートだ。甘い甘いチョコレートタルトと
アイスクリームだ。デザートが終っても時間はタップリある。
妻は紅茶、私はスコッチのシングルモルトをダブルでいただき、この旅最後の晩餐を心行くまで楽しむ。
21時30分過ぎ、無事に係留所に到着する。充実した3時間のクルーズだった。
雨は上がったが、日曜日の夜の街は人影も少ない。早々にタクシーを拾いB&Bに戻る。
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