2011年の旅 ノース・ヨーク・ムーア編

花花

第10日 9月23日(金) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。

今日の行程       Burnley House --- Bridestones --- Thornton-le-Dale --- Scampston Hall --- Kirkham Priory ---
                          Castle Howard --- Whitby Abbey --- Robin Hood's Bay --- Burnley House
今日の走行距離     222km
今日の万歩計      19,800歩
出発時点の気温     12℃

バーンレイ・ハウス  Burnley House

静かな朝を迎える。メインロードからたった1本のローカルロードを4km走ったノース・ヨーク・ムーアの真っ只中なのだ。 この先は6km程行った所にローズデール・アビー(Rosedale Abbey)という小さな村があるのみなのだ。静かもむべなるかな。
窓の外には憧れの風景が目の前だ。窓の中にいる。すなわちこの村の住人なのだ。感無量だ。しかし、羊の姿がない。どこかよそを巡回中なのだろう。
リビングダイニングルームの暖炉には火が焚かれている。朝食はフレッシュフルーツの種類が多く、ヨーグルトも満足だ。 そして、ホストのデニー(Denys)が調理し、ホステスのキャロライン(Caroline)がサービスしてくれるフルイングリッシュ・ブレックファストが美味い。食欲全開だ。
食後、アシュフィールド・ハウス・ホテルでいただいてきた宿情報誌のコピーを元に地図を検索してもらう。ホストのデニーがパソコンを操作したが、 上手く検索できない。代わって操作してみたが、上手く行かない。デニ―は直接宿に電話をして場所を確認してくれる。 その情報を地図で確認すると、どうやら05年の旅で宿泊したオールド・バーン(The Old Barn)のさらに奥、2晩食事に通った村だ。 楽しい出来事があったので鮮明に思い出した。 「了解した」と伝えたのだが、何度も説明を重ねてくれる。
最後に”花と英国”のアドレスを入れると画面が現た。「ディス イズ マイ ホームページ」と伝え、妻が翻訳した英語のページを紹介すると、 興味深げに見てくれて、「後でゆっくり見るよ」とのことだ。

Ashfield House Ashfield House Ashfield House Ashfield House

ブライドストーンズ  Bridestones

ネットを彷徨っていてブライドストーンズのこんなページを見つけてしまった。 訪ねるほかないだろう。大自然の中だ。お天気の良い日にと計画していたが、早速その時がきた。
ダルビー・フォレスト(Dalby Forest)の入り口で”入場料車1台7ポンド”を支払う。ナショナル・トラストのメンバーだと伝えたが、 関係無しだそうだ。B&Bから35分で到着。パーキングには心配になるほど車が少ない。
この岩の形成はジュラ紀(Jurassic period)に遡るという記述もあるが難しいことは措いていこう。チェシャー にも同名の石塚があるようで情報が錯綜した。

Bridestones Bridestones Bridestones Bridestones

森の細道を進むこと1km足らずで最初の岩が現れる。"First Pinnacle"だ(写真上左)。そして、僅か100mばかりの間に合計4つの岩がそそり立っている。 それぞれ"Second Pinnacle"(写真上左から2枚目)、"Third Pinnacle"(写真下左)、"Fourth Pinnacle"(写真上左から2枚目)だ。
まだ10時前、人影もなく聞こえるのは鳥のさえずりだけだ。ただただ悠久の歴史と自然の造形美に浸っていると高い所から声がする。 「○○と煙はなんとやら」我が家の迷ナビが岩に登ってる(写真下左から2枚目)。申年生まれとはいえ、いやはや・・・。
次に現れた岩が"The Pepperpot"、こんなタイプの胡椒入れも無いことは無いが、余りにも不安定だ。見ているだけで心配になる(写真上下右2枚)。 見る方向と角度で色々な表情を見せる。どの岩も周囲を一回り、立ち止まって見入る度にカメラを向けていたら先に進まない。 ここら辺りのヒースはまだまだ紫色を見せてくれる。これを見るにつけ、8月末の最盛期の素晴らしさが偲ばれる。 一面紫のヒースとホットエアバルーンはいつの日かリベンジしよう。

Bridestones Bridestones Bridestones Bridestones

高所恐怖症もものかは低めの岩によじ登ってみる。ノース・ヨーク・ムーアのパノラマが広がる。これまで見た5つの岩が"Low Bridestones"で、 北北西のヒースの中に見えるのが"High Bridestones"だ(写真下左)。一方、西の方角には豊かな農地が霞んでいる。
帰りの森の中でふと気が付いた、この森の木の葉はナショナルトラストのロゴの葉に違いないと。これがイングリッシュ・オークだ。 昨日キルバーンで求めたロバート ・トンプソンの工房で使っている木なのだ。葉先には小さなどんぐりがついている。
この先のフォレスト・ドライブも楽しみたいところだが、後の予定が目白押しだ。快適に山を下る。しかし、所々に関所がある。 それが人工的に造った段差"Ramp"だ(写真下右)。大きなお屋敷の取り付け道路でも良く見られるが、ここでは否が応でも速度を落とさなければならない。

Bridestones Bridestones Bridestones Bridestones

ソーントン=ル=デール  Thornton-le-Dale

A170からダルビー・フォレストへの入り口の街ソーントン=ル=デールに遣って来た。 ノース・ヨーク・ムーアの検索の中でこの街の1枚の美しい写真を見てどうしても訪ねたくなりあれこれ調べたが、街のどこの風景か確認できない。 写真をコピーして持参し、住人に訪ねる手もあるが、ここは自力でと思い、写真に写っている川をヒントにグーグルのストリート・ビューで街を歩き回った。 長時間の検索の末、A170の橋の上のワンポイントから写真の景色が垣間見られた。欣喜雀躍、狂喜乱舞、歓天喜地、有頂天外だ。 これだから、旅の準備は楽しい。
私を引きつけた写真と同じ構図が、下左から2枚目の写真だ。いつの時代の建築かは分からないが、相当に古いこのサッチドハウスには、 今もどなたかが住んでいるので余りあからさまには覗けないが、シャッターを2回だけお許し願おう。流れる水も清く豊かで清々しい。
街を散する。丘の上の教会も小さくて可愛い。ギャラリーのウィンドーにムーアを描いた素敵な絵を見つける。孫娘の部屋に飾ってあげたい絵もある。 この2点を求めようとしたが、ドアーが締まっていたので後日訪ねることにする。
所で私達が住むハットン=ル=ホールといい、この街といい、名前がフランス風だ。地図を見ると他にも"Appleton-le-Moors"、"Appleton-le-Street" 、 "Thornton-le-Clay"、Thornton-le-Beans、Thornton-le-Moor、Thornton-le-Street、"Barton-le-Willows"、"Wharram-le-Street"など沢山ある。 この地域にこれだけ集中しているのはどういうことか? 興味深く調べてみたが、情報が得られない。

Thornton-le-Dale Thornton-le-Dale Thornton-le-Dale Thornton-le-Dale

スキャンプストン・ホール  Scampston Hall

Scampston Hall

ソーントン=ル=デールから真南に10km足らずの位置にスキャンプストン・ホールがある。
17世紀から始まるハウスは5月から7月の2ヶ月間しかオープンしていないが、2004年にオープンした新しいウォールドガーデンは10月まで開いている。
18世紀のキッチンガーデンが50年ほど放棄されていたものを現当主ご夫妻がオランダの造園家ピート・オードルフ(Piet Oudolf)にデザインを依頼し造ったものだ。
右の写真のようにユニークなデザインのガーデンだ。周囲の壁の脇をボーダーガーデンにし、"Plantsman's Walk"と名付けて極めて多種類の植物を植栽してある。 さながら植物の見本市といった感じだ。
内側は10個のブロックに分けて、それぞれ異なるデザインのガーデンが並んでいる。  (右の航空写真はピート・オードルフのホームページから)

Scampston Hall Scampston Hall Scampston Hall Scampston Hall

Scampston Hall

入場すると自動的に"Plantsman's Walk"に誘導される。上の航空写真の右上の角からはじまり、長方形の壁の3面を巡る。 右手に壁とライムの並木、、左手は生け垣に挟まれたボーダーだ。
その植栽には全て番号タグが付いていて(写真上右)、チケット購入時に渡されたリストと照らし合わせて確認できる仕組みだ。 リストには番号(Ref)、属(Genus)、種(Species)、植栽している場所(Location)、科(Family)が記載されている。実にその数は1494にもなるのだ(写真右)。 気になる植物の番号にチェックを入れながら歩く。
"Plantsman's Walk"が終わった所が"Vegetables Garden"、いわゆるキッチンガーデンだ(写真上左 航空写真の下)。野菜やハーブだけでなく草花も混植されている。
その隣が"Cut Flower Garden"、12個の円形ガーデンが整然と並んでいる(写真上左から2枚目)。下の芝、周りの生け垣、緑の洪水だ。 そして、その隣がこのガーデンで最も特徴的な"Drifts of Grass"だ(写真上右から2枚目)。稲のようなグラスが風に揺れ波打つような、流れるような、 とても良い感じに揺れている。今は緑の芝に枯れ始めたグラスの枯れ草色が鮮やかだが、季節それぞれに違った表情を見せるのだろう。
ベンケイソウが見事に咲いていて見直した(写真上右、下左)。陽だまりにももっと取り入れてみようと思う。上の1212番の種は"Iceberg"とリストにある。 検索したが、アイスバーグといえばバラしか見つからない。海外のショップには見つかったが、ポット苗を取り寄せられるのだろうか?  種なら大丈夫だろうから、挑戦してみるのも面白い。

Scampston Hall Scampston Hall Scampston Hall Scampston Hall

その隣が"Silent Garden"、真ん中に四角のプールがあり、円柱型のイチイのトピアリーが整然と並んでいる(写真上左から2枚目)。このデザインの何がサイレントなのかは理解しがたい。
その西側に"Spring Box Garden"、7つの方形の柘植の生け垣が並び、その両脇のボーダーに草花が植えられている(写真上右から2枚目)。 ここでいう"Box"は柘植のことを意味しているようだ。植栽はセダムやグラスが多用されており、春でなくとも十分鑑賞に堪える。
その西側は"Katsura Grove"(写真上右)と"Perennial Meadow"(写真下左2枚)が並んでいる。"Katsura Grove"は名前の通り、 日本の桂の木が込み合うほどに植えられ紅葉が始まっている。樹下の植栽も込み過ぎに感じる。
"Perennial Meadow"はここで最も気に入ったガーデンだ。十字に仕切った中央に噴水があり周囲4ケ所に宿根草の厚く高い植え込みがある。 "Meadow"というより立派なガーデンだ。自然が作る多彩な色のグラデーションに感嘆するし、何周も彷徨う。ここでもセダムやグラスが目立つ。

Scampston Hall Scampston Hall Scampston Hall Scampston Hall

その西側に"Spring Box Garden"とシンメトリーに"Summer Box Garden"がある(写真上右から2枚目)。デザインは全く同じだが、ボーダーの植栽に差がある。
更に西側に"Serpentine Garden"と"The Mount"がある。"Serpentine Garden"も名前の通り左右に、 かつ上下に曲がりくねったイチイのヘッジが6本走っている(写真下左)。その癖、隣には丸と十字のキッチリ刈り込まれたヘッジもある(写真上右)。 このガーデンもどう感じて良いものか戸惑うばかりだ。
"The Mount"は高さ4mほどの正四角錐台だ(写真下左2枚)。ガーデン全体のデザインや景色を確認する為のマウントだというが、 私の背丈では脚立でも立てていただかないとその全体像は把握できない。その所為もあってだろう、このガーデンは少し理解不能であり、欲求不満に陥る。

Scampston Hall Scampston Hall Scampston Hall Scampston Hall

カーカム小修道院  Kirkham Priory

Kirkham Priory

次の目的地はカッスル・ハワードだが、少し遠回りをして カーカム小修道院に立ち寄る。 A64からローカル道路に入り1km余り、珍しく踏切が閉まっている。ヨークとスカバラを結ぶ線(York to Scarborough Railway)だ。 踏切を越えると直ぐダーベント川(River Derwent)が流れ、美しい橋が架かっている。1806年に出来たものだという。
橋を越えると川岸にカーカム小修道院の"Gatehouse"が立っている(写真下左)。 この修道院は1120年にに始まったもので"Gatehouse"は13世紀のものだ。紋章などの彫刻が精巧だ。
事前の調査では火、水曜日だけがクローズドのはずなのに閉まっている。同時に着いたカップルもそんな筈はないといった顔で手を広げて見せる。 見渡したところ見事な荒廃ぶりだ。残っている建物は僅かなものだ。

Kirkham Priory

先の方に見えるタワーの近くまで道路の生け垣沿いに歩く。多分身廊東面の一部であっただろうタワーを生け垣越えに写す(写真下右)。
近くの牧草地に素晴らしい銅葉の大木が聳えてっている。ナラの木だろうか? 日本ではなかなか手に入らない。
この小修道院の回廊の壁(写真下左から2枚目)の構造が連合軍のノルマンディー上陸に備えての訓練に適合するということで、ここで訓練が行われ、 その閲兵にジョージY王(George VI)とチャーチル首相(Winston Churchill)が秘密裏に訪れたという。1944年のことだ。 廃墟とはいえ、小修道院でD−DAYの訓練とは何としたことか。美しい光景なのだが、ここでも何か心が晴れない憂鬱を覚える。
13時過ぎ、孫もまだ起きているだろう。気分晴らしに電話をしてみる。目の前の牧草地の大きな牛がこちらを眺めている様子を実況で伝えると大喜びだ。 小3と小1の孫はこの夏初めての海外旅行でオーストラリアに入っているから、外国の概念が分かってきたから話が通じる。

Kirkham Priory Kirkham Priory Kirkham Priory Kirkham Priory

カッスル・ハワード  Castle Howard

カッスル・ハワードも05年の訪問で強くインパクトを受けた。楽しみにしてきた再訪だ。 A64に戻りローカルロードに入ると間もなく一直線の並木道(The Avenue)になる。カッスル・ハワードの西側に5マイル(8km)に渡り真っ直ぐ伸びる ブナノキ(Beech)やリンデンバウム(Lime)の並木道だ。しばらく走ると"The Gatehouse"が見えてくる。Gatehouseの下まで来てオベリスクを入れたアングルに思いつく。 急停車、バックして撮った写真が下左。Gatehouseを過ぎたところで車を止めてもう1枚。こんなことができるのも通行量が少ないからだ。 このオベリスク(The Obelisk)は高さ100フィート(30m)という堂々たるものだ。このオベリスクを右折すればカッスル・ハワードだ。
パーキングに車を置き、見えてきた建物は"Stable Courtyard"だ。カフェ、ファームショップ、ブックショップなどが取り囲んでいるが、 ショッピングは後回し。"Ticket Office"で"Grounds Only Concession"2人で£16を支払い入場する。 いきなり優しいピンクのバラの生け垣が迎えてくれる。整然とした並木の向こうにハウスのドームが見える。 個人の邸宅ではイギリスで初めてドームを戴いたハウスということだ。天気も上々、絶好の日和だ。

Castle Howard Castle Howard Castle Howard Castle Howard

ハウスに向かって右手の壁のゲートをくぐると"Walled Garden"だ(写真下左)。最初に現れたのは立体的な整形花壇。ヘッジの厚さとカットの美しさが際立つ。 植え込みはベゴニアだ。前回はクリーム色の金魚草だった。背丈があったからより立体的な印象が深い。 両脇のボーダーも前回はデルフィニウムが満開で感嘆したが、今回は背丈も低く地味な印象だ(写真下中2枚)。 細長く2つ並ぶ花壇の中央のステージは前回はベンチがあって記念写真を撮ったが、今回は像が置かれ、立ち入れない。何代目かの当主の像だろう(写真下右)。 結構まめに入れ替えをしているのだ。

Castle Howard Castle Howard Castle Howard Castle Howard

Castle Howard Castle Howard Castle Howard Castle Howard

このウォールドガーデンには3つのローズガーデンがある。その一つが"Lady Cecilia's Garden"で、ジョージ・ハワード卿(Lord George)が妻のセシリア夫人のために 1975年につくったものだ。ローズガーデンの南側半分を占め東西100m×南北50mほどもある。
"Head Gardener's Cottage"の前のテラスはヘッジに囲まれた芝の広場で白いベンチがとても優雅だ(写真上左から2枚目)。中央には円形プールがあり、 天使が担いだイルカの口から水は噴き出す噴水がある(写真上左、下右から2枚目)。円形プールを挟んで反対側(東側)の突き当たりのゲートも美しい(写真下左)。
植栽はオールドローズの Albas , Gallicas and Damasksを中心にハーブや宿根草、灌木、樹木と多彩だ。ヘッジと芝でフォーマルに刻まれた経路は 一筆書きには回れず、右往左往する。
ガーデンの両脇には東西に壁とヘッジに挟まれたロングボーダーになっている。バラやクレマチスが壁を伝う(写真下右)。
要所に壺やコンテナなどのオーナメントの心憎い配置がなされている。

Castle Howard Castle Howard Castle Howard Castle Howard

北側半分のローズガーデンは西側の立体的な整形花壇から東に続く。二つ目のローズガーデンは"The Sundial Garden"を2006年から"The Ornamental Vegetable Garden" として改造したものだ。このウォールドガーデンが造られた18世紀にはハウスの住人に供給する果物と野菜を栽培する為に造られたもので、 一部を最初の目的に近い形に復帰させようというプロジェクトだ。
しかし、整然と畝を造り、野菜を効率よく作るイギリス式のキッチン・ガーデンではなく、花を取り入れたフランス式のポタジェ(Potager)の形、 すなわち、装飾的(Ornamental)なキッチン・ガーデンに改造したのだ。
十字とXをクロスさせたユニオンジャックの形の中央に重厚なサンダイアルを配置し(写真下左)、バラと野菜、果樹をミックスした植栽がなされている。

Castle Howard Castle Howard Castle Howard Castle Howard

写真下左はキッチン・ガーデンから三つ目のローズガーデンのビーナスの像を望んだのだが、間にもう一つガーデンがあるのがお分かりだろう。 しかし、どんなに調べてもガーデンの名前が分からない。要は2つのガーデンを仕切る通路といった扱いなのだろうが、 幅10m以上ある立派なダブルボーダー・ガーデンだ。
写真下右から2枚目のゲートは"The Satyr Gate"だ。1705年に造られたもので、ギリシャ神話の半人半獣の森の神・サチュロスの顔が門柱上部に刻まれている。 その上にはフルーツバスケットが乗っている。扉は真鍮製だろうか、重厚感溢れるものだ(写真下右)。

Castle Howard Castle Howard Castle Howard Castle Howard

三つ目のローズガーデンはビーナス・ガーデン(The Venus Garden)だ。ハウスの西の森にあったビーナス・テンプル(Temple of Venus)の跡から発見された ビーナスを中央に立ててある。これに円形と十字の経路を刻みデビット・オースチンを含む2000本のバラが植栽されている。
レンガ塀、生け垣、パーゴラに囲まれた空間にはバラの色と香りが満ちている。

Castle Howard Castle Howard Castle Howard Castle Howard

Castle Howard Castle Howard Castle Howard Castle Howard

ウォールドガーデンの花をもう幾つか紹介しよう。クレマチス、フクシア、白妙菊、ピラカンサスとバラだ。 9月も下旬、ここまでは期待していなかっただけに嬉しい限りだ。元気なフクシアに垂涎、古色に溢れながらも明るい感じのプランターに恍惚。

Castle Howard Castle Howard Castle Howard Castle Howard

カッスル・ハワードはロンリープラネット(Lonely Planet)社が選定した"Lonely Planet's 1000 Ultimate Sights"に載り、 その上"The World's Top Ten Greatest Mansions and Grand Houses"にも選ばれているのだ。何せ世界のトップテンなのだ。 ハウスの中については語れないが、外観とグランドの壮大さに関しては、イギリス一と素直に認める壮大さだ。
カッスルと名が付いているが、実際には城郭(castle)として使用されたことはないのだそうだ。18世紀初期に始まりハワード家(Howard family)が 300年に亘り居住している。しかし、現在の建物は1940年に火災で大半を失ったものを、 前述のジョージ・ハワード卿とセシリア夫人により再建されたもので、豪壮にして壮麗な建物だ。
何よりも素晴らしいのは"The South Parterre"だ。私のパルテールの概念をはるかに超えるものだ。特に"The Atlas Fountain"のスケールには 2度目ながら度肝を抜かれる思いだ。ギリシャ神話に登場する巨人・アトラスが天球と大地が接触しないように支えている図だ。 そのアトラスを冷やすために半人半魚の海神・トリトン(triton)がホラガイで水を掛けている。
噴水の水は1km程離れたレイ・ウッドという森の貯水池(Ray Wood Reservoir)からパイプで送られていて、"The South Lake"にある "The Prince of Wales Fountain"共々運転されているのだというが、ここでも渇水なのか残念ながら噴水はストップしている。

Castle Howard Castle Howard Castle Howard Castle Howard

"The South Parterre"の東側に"The South Lake"がある。1720年代初頭に造られた湖だ。貯水池との20mの水位の差を利用して13mの水を吹き上げるという "The Prince of Wales Fountain"は動いていない。
湖の遥か向こうにドーム型のテンプルが見える。カーライル伯爵(The third Earl of Carlisle)を祭ってある霊廟"Mausoleum"だ。1740年代の建造だという。 遠目にもかなり大きなものに見える。これが昨日訪れたリーヴォール・テラスのトスカナ寺院のモデルとなったテンプルだ。見学は特別の許可を取った団体だけに限るようだ。
ここにはもう一つ"The Temple of the Four Winds"というテンプルがある。こちらは見学できるが、歩くのに少々疲れたのでパスしよう。
数々の巨大な像やモニュメントが立っている。写真上左から2枚目のコンテナは横幅3m高さ1.5mを下らないだろう。植え込みに脚立が必要だ。

Castle Howard Castle Howard Castle Howard Castle Howard

ハウスの西側の広場は真ん中にイノシシの像があるので"Boar Garden"だ(写真下左から2枚目)。2.5トン(とホームページに記されている)のスイセンと 1万個のクロッカスやスノードロップやチューリップの球根が植えられていて早春を彩るらしい。その光景が想像できない。
ハウスの北側に見える湖は"The Great Lake"だ。1790年代に造られたもので"The South Lake"の何倍も大きい(写真下右から2枚目)。 18世紀はイギリス貴族の間でこのように湖や川や橋、廃墟や洞窟、神殿や寺院などを自然らしく造成したガーデン”英国式風景庭園”が大流行した時代なのだ。 多くの風景庭園の中でもカッスル・ハワードは最大級のものだろう。
カッスル・ハワードでは地中熱暖房(Ground Source Heating)を取り入れ環境保護にも対応しているが、"The Great Lake"もその一翼を担っているという。
入り口と"The Adventure Playgound"を結ぶ"Kelly Car"と呼ばれるトラクターで牽引する乗物が走っている。平日だけに子供の姿は少ない。
"Garden Centre"でブリキ製のネームタグを見つける。なかなか日本では手に入らないものだ。陽だまりへのお土産に3パック購入。

Castle Howard Castle Howard Castle Howard Castle Howard

ウイットビー 街と修道院  Whitby Town & Abbey

A169のアップダウンとスラロームとハイスピードのドライブを楽しみ55分でウイットビーの街に着いた。 ナビ子ちゃんに街の真ん中の"Cliff Street Parking"を指示したが、「目的地周辺に到着しました」と告げられた辺りにパーキングの案内はない。 しかし、路上駐車OKのようなのでスペースを探して進んでいくと行き止まりだ。Uターンして戻ると路駐の出来る道路は一方通行であらぬ方向に導かれる。 ぐるっと一回りして元の道に戻ると、今度は空きスペースがあった。狭い場所に何度も切り返して止め散策開始。 (帰りに気が付いたのだが、40分まで駐車OKだったのだ。1時間以上止めてしまったが、何事もなく済んだ。)

Whitby Whitby Whitby Whitby

先程の行き止まりの先の雑然と店が立ち並ぶ階段を下りると川沿いの通りに出る。川(Riner Esk)には大小の船が行き交い、停泊している。 カモメも沢山飛んでいる。港町の情緒が溢れ、観光客も溢れている。
先ずは向こう岸の丘の上にある教会と修道院を尋ねよう。橋を渡り、狭い石畳の小路を進むと急な階段が現れる。 幾つもの小説や映画のモチーフとなった”199の階段”だ(写真上右から2枚目)。妻が数を数えながら登っている。 「今なん時だ?」と茶茶を入れてやると分からなくなったようだ。急な上、蹴上げもまちまちで登り難い階段だ。 暫し休憩、振り返りると階段袂のB&B兼ティールームの名前が"Abbey Steps"となっている(写真上右)。

Whitby

階段を登りきったところが聖メアリー教会(St.Mary's Church)だ。墓地の外れから街や港を見下ろす。素晴らしいスペクタクルだ。言葉もない。 心地良い海風に当たりながら、しばらく見惚れる。
振り向けば墓石や石棺が並び、ケルト十字が立っている。ケルト十字はイギリスの詩人・キャドモンを記念したもので"Caedmon's Cross"という。
そして、ブラム・ストーカーがこの教会の墓地を見て、小説”ドラキュラ”のインスピレーションを得たというのは余りにも有名な話だ。 しかし、余りに明るい太陽の下ではその雰囲気は感じられない。のどかな昼さがりだ。

Whitby Whitby Whitby Whitby

墓石の中を少し上るとウイットビー修道院の 入口に着く。チケット売り場で会員証を提示し、パリ・ルーブル美術館の"Borghese Gladiator"の複製の像(通路から遠くて良く見えない)がある広場を 通ってビジター・センターに入る。ビジター・センターは17世紀の"Cholmley House"を修復したもので天井の高い素晴らしい建物だが、 展示品にはあまり興味は湧かない。廃墟へはエレベーターに乗り2階からアクセスする。

Whitby Whitby Whitby Whitby

この修道院も美しい。廃墟具合が素晴らしい。この旅で見てきたファウンテンズ修道院、リーヴォール修道院、バイランド修道院の "Three Shining Lights of the North"には規模では及ばないが、美しさは引けを取らない。海辺の丘の上というシチュエーションも良い。
写真上左から”北翼廊”、”南からの全景”、”西正面”、”東正面”、下左に移って、”西正面アーチゲートから東正面”、 ”身廊北面ランセット窓”、”北からの全景”、”北翼廊のバラ窓とランセット窓”どの角度から見ても、どこをとっても優美だ。
ここで警告を一つ。立派なビジター・センターだが、トイレがない。ご注意を! 17世紀の建物だからオリジナルにトイレがなかったのかもしれない。 それに、この土地の下水道の問題もあるのかもしれない。兎に角、ここにはトイレがない。パーキングか街の公衆トイレに行ってくれとの説明だ。

Whitby Whitby Whitby Whitby

Whitby

199の階段を下り、狭い小路"Church Street"を散策する。小さなお店が並んでいる。 "Honeyz"はHandmade Bath Productsのお店だが夢を呼ぶショーウインドーだ。 "Hunters"はOlde Sweetのお店だ。2階のウインドーボックスの花が見事だ。ファッジ(fudge)やタフィー(Toffee)が並んでいる。 向の"Postoffice"のショーウインドーにも可愛らしいグッズが一杯だ(写真下右)。しかし、17時を回り大方の店は閉まっている。 観光地といえども労働者の保護はキッチリしている。
通りの中央辺り、マーケットプレイスの近くに公衆トイレがあった。修道院のビジター・センターは例外として、 イギリスではどこに行っても公衆トイレが完備していてありがたい。水洗は当然、温水の出る手洗いとハンドクリーナーが必ずある。 古い街並みに似つかわしくない自動車が止まっていた。

Whitby Whitby Whitby Whitby

橋を渡り街に戻る。橋は"Swing Whitby Bridge"だ。大型の船が通る時は左右にスイングして開くのだ。 橋の中央の繋ぎ目が大きな円形を描いているのが見て取れる(写真下左)。
この街はキャプテン・クック(Captain CookことJames Cook)が17世紀に水夫の見習いとして住み込んでいた家があり、今は "Captain Cook Memorial Museum"となっている。 そして、エンデバー号の複製船があるはずなのだが、見つけられない。小さな街なのにトピックが豊富だ。
そして、嘗ては造船や漁港の街として栄え、ニシン(herring)漁や捕鯨(whaling)で賑わったのだという。今も新鮮な魚が獲れ、 その魚を使った美味しいフィッシュ&チップス屋さんの情報は多いし、クリムティーの美味しい店の情報も手に入れてきたのだが、 今食べてしまうとディナーがいただけなくなってしまう。日頃から間食はしない習慣だ。”旅は非日常”と考えているが、食べ物に関しては別だ。 最近は体重を一旦増やしてしまうと、なかなか元に戻りにくくなってしまったからだ。

Whitby Whitby Whitby Whitby

ロビンフッズ・ベイ  Robin Hood's Bay

ウイットビーから南東へ10kmにロビンフッズ・ベイという美しい漁村があるとの情報が多い。A171からB1447に入り下って行く。 右手に美しい入り江が見える。ロビンフッズ・ベイだ。写真を撮りたいが、交通量もあり、車を止めることができない。 そうこうするうちに村に着いてしまった。
"Victoria Hotel"(写真下左)の前のラウンドアバウトにパーキングがある。目の前に静かな海が見える。ベンチに座り海を眺めている観光客もいるが、 人影は少ない。広場に奇妙なモニュメントがある。どうやら"The Millenium Statue"らしい。石でできているが、何を表現しているものやらさっぱり分からない。
辺鄙な漁村の夕暮れはノスタルジアを誘われ、もの悲しくなる。お腹が空いた所為かもしれない。お目当てのレストランに向かうことにしよう。

Robin Hood's Bay Robin Hood's Bay Robin Hood's Bay

フォックス&ハウンズ  The Fox & Hounds Country Inn

昨日述べたこの地のもう一つの宿泊先候補のB&Bリバー・ファームは村のレストランの美味しい思い出とセットでの魅力であったのだ。 そのレストランがフォックス&ハウンズだ。 B&Bには帰らず直接レストランに向かう。懐かしいシッニントン(Sinnington)の村は少しも変っていない。フォックス&ハウンズは今日も繁盛していた。
メニューは妻はメインのみで ・ King Scallop, baked in a puff pastry tart with smoked bacon, shallot and parmesan  私はスターターに ・ Smoked trout with blinis, sour cream caviar and oyster  メインに ・ Fillet of pork rolled with prosciutto and parmesan  をオーダーする。
最初にパンとオリーブの実とスパイス入りのオリーブオイルが出てきた。これを齧りながらビールとワインをいただいているとスターターが来た。 マスのスモークに"ブリニ"(ロシアのパンケーキ)だ。caviar and oysterは何処に行ったのか分からないが、いける。
続いて妻のホタテが出る。大きなホタテがパイ生地に包まれている。ベーコンもボリュームたっぷりだ。この料理はお値段だけのことはある。 私のメインはボリュームは十分だったが、お味は今一つというところだ。付け合わせの茹で野菜も含め食べきれない。 鄙には稀と言ったら失礼かもしれないが、小さな村の素敵なレストランだ。

pub pub pub pub pub

写真たっぷりの旅行記をご覧ください
行程表
戻る
9月22日
旅行記
9月24日
旅行記
9月25日
旅行記
9月26日
旅行記

ピークディストリクト編 ヨークシャー・デール編 ウェールズ編

ご意見・ご感想・ご質問などご遠慮なくお寄せください。
book

home

花花