第9日 6月24日(金) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
The Old Barn
今朝は雨が降っている。九日目にして初めての雨だ。お天気の変わり易いイギリスでは珍しい程晴天が続いた。
ここ3年は、自称晴れ男・晴れ女の我々が行くところ晴天続きだ。午後のCanal Boatの旅までにはきっと晴れるだろう。
外は雨だが、キッチンからはBGMに合わせてハミングするChristineの明るい声が聞こえる。吹き抜けの2階まで声が届く。
ダイニングも大きな掃き出し窓があり明るい。調度はアンティークで揃えてあり、しっとりと落ち着いた雰囲気だ。
それを伝えると、3年前ご主人のリタイアを機に長年の夢だったB&Bを開くためにこの地に移ってきたこと、その時に
貯金を全て費やして揃えた自慢の調度であることなど陽気に話してくれる。
ジュースはフレッシュ、フルーツはフレッシュとシロップ漬けが用意されている。ホームメイドのヨーグルトと一緒にいただく。
フルウェリッシュもボリュームたっぷりだ。トーストのほかにゴマ入りポテトスコーンなるものが出た。
パンもジャムもホームメイドだ。たっぷりのミルクティーと共にいただく。
食後はChristineが家の中を案内すると言う。贅沢な間取りだ。事務室らしき部屋に、立派な日本人形が飾られている。
彼女のおばあさんが日本に旅行した時のお土産だと言う。人形の名前を藤娘=wisteria daughterなどと教えてきたが、
正しいのだろうか?
Shrewsbury
雨の中Shrewsburyに向けて車を走らせる。ShrewsburyはChester同様中世の街でチューダー様式のハーフ・ティンバーが
数多く見られる街との情報だ。
途中昨日見たChirk Castleの近くでViaductが見えた。一瞬のことであり雨も降っているので諦めたが、
帰りか明日の朝には何とか撮影したいものだ。
イギリスの交通標識の信頼性についてはドライブで述べた。ただ1つ、
目障りなスピードカメラについては疑問に思っていたが、移動カメラによる取り締まりに遭遇した。地元民の車だろうか、
不自然なスピードの落とし方をするので習って追随したところ、左路側帯にカメラらしきものを積んだトラックがいた。
あぶないアブナイ。追い越さなくて良かった。
さて、Shrewsburyはタウンセンター近くに駐車できた。
昨日訪問予定であったので細かい地図は昨日のファイルに入れたままだった。TICを見つけ観光地図をいただき散策開始。
写真を撮っていると、青年というには少し老けた男性が話しかけてくる。”いい街だろう!この街で最も古い建物を
教えてあげよう”と案内してくれた(写真下左)。白く漆喰で塗りつぶされているが、壁には1344と記されている。
向かいの建物には1450と出ている。
チューダー様式のハーフ・ティンバーでも上の写真のように凝った模様のティンバーのものと、下の写真のようにシンプルな
模様のものが見られる。建築の年代の差か?それとも富の差か?興味ある点だ。上の右2点など明らかに傾いているのが分かる。
下の真ん中の写真の手前の白い部分は最も古いと教えられた建物の続きだが、通りの石畳の磨り減り具合などに古い通りの
名残を感じる。これらの建物が現役で商店として、レストランとして、オフィスとしてあるいは住まいとして使われながら
保存されているのだ。イギリスだ。
上ばかり見て歩いた所為で首が疲れた街だ。
Powis Castle
昨日スキップしたPowis Castleはナショナルトラストでも人気のプロパティーとの情報で、
短時間でも良いから寄ってみようと向かった。走ること30分余り、A458からUnclassified Roadに入る、
後1km地点のランダバウトで通行止めだ。ランダバウトを回転しながら様子を見ると、大型トラックから積荷の丸太が
荷崩れして道を塞いでいる。回り道も示されていないし、地図でも見当たらない。残念だが今回はPowis Castleには縁が
なかったものと諦めよう。(思えばこれが1回目の通行止めだ。この後何度も通行止めにあった。)
となると、A5で見かけたGarden Centreに寄ってみよう。この辺りは随分旅慣れたものだ(と一人悦に入る)。
スケールの大きなセンターだが、これはと思うものには出会えなかった。(もちろんプランツは喉から手が出るほど欲しいが、
それは出来ない。)壁に取り付ける燭台と蝋燭、日陰用の洋芝の種(ある構想があって大箱を買う。これが重くて後で後悔する)
を購入。
Llangollen Castle, Valle Crucis Abbey
今日のメイン・イベントはCanal Boat Tripsだ。14時10分スタートを予約している。少し早めにLLangollenに着いた。
ここではCanal Boatの他に蒸気機関車のターミナルでもあり、街は観光客で賑わっている。専用駐車場と乗り場を確認し、
街を避けCastleとAbbeyを見学した。Castleは道を間違え山頂まではいけなかったので遠景を車窓見学だ。相当な廃墟ぶりだ。
Valle Crucis Abbey
は牧草地の真っ只中に小ぢんまりと佇んでいる。こちらの保存状況は良いようだ。
厳しい修行のためにあえて、この深い谷に建てられた修道院だ。厳粛な静けさが伝わる。
Canal Boatに乗る前に腹ごしらえをと、このバラ窓を眺めつつショートブレッドとチョコチップスでランチとする。
Canal Boat Trips
期待通り空はすっかり晴れ上がった。
Canal Boat Tripsの情報を知ったときには、
飛び上がるほどに嬉しかった。余り知られていない予期せぬ情報だったからだ。満席などと言われてはならないと、
2ヶ月前に予約の電話をしたところ、「こんなに早くに予約しなくても大丈夫、3,4日前にまた電話してね。」とかわされた。
Llangollen BridgeからA452を横切り、少し左に行った路地の階段を10mばかり上がると、そこがLlangollen Wharf だ。
ショップ兼チケット売り場で予約の旨伝えると"Trip A"の予約だが"Trip C"に変更だと言う。往きがCanal Boatで帰りがバスの
予約が逆になっただけだから問題なし。見晴らしの良いテラスのティーガーデンもあるが、そこまでの時間はない。
お土産売り場でポストカードを求め、運河を眺めてバスを待つ。ベンチに座った犬連れの見知らぬ夫婦が声を掛けてくる。
話してみると昨夜食事をしたThe Handで隣の席に座ったカップルだ。同じボートかと聞いたら、
犬はボートに乗せてもらえないので、昔ながらの馬が牽いて進むボートにしたと言う(写真下左)。
こちらなら45分だから、犬を待たせておけるという訳だ。お互いに楽しいクルーズをと声を掛け別れる。
この運河The Llangollen Canalはイギリスで
最も人気のある美しい運河と言われる。LlangollenからNantwichの北でShropshire Union Canalに合流するまでの41マイルの
運河だ。ウェールズの水をイングランドに供給する目的で作られたものらしい。2つのAqueduct、2つのTunnelそして、
42のlockがあるらしい。我々の旅はこの内の最初の数マイルを辿るものだが、最も人気のPontcysyllte Aqueductを渡る旅だ。
バスがやって来て出発。乗客は20人足らずだ。(これなら慌てて予約することもないか。)Froncysyllteの乗り場から
Canal Boatに乗り込む(写真上中)。隣は船頭と売店の女性
個人所有のボートには綺麗に花を飾り立てたものもある。本当に花好きな人が多いのだ。
この乗り合いのボートも窓も壁も天井も磨き上げられピカピカ光っている。清潔で気持ちが良い。ボートは歩く速度よりも
ゆっくり・のんびり進む。
出発して間もなく、お目当てのPontcysyllte Aqueductに差し掛かる。水路の幅は狭いので鉄製の壁とボートの隙間は5cm
にしか見えない。時々ゴツン、ゴツンと壁にぶつかりながら進む。壁は歪んでいるし、柵も無く、下は38メートルの谷底だ。
高所恐怖症の私の心臓には良くない。
谷を流れる川はDee川だ(写真上中)。この上流でこの運河に水を取り入れているのだ。この落差は運河が
いかに緩やかに流れているかの証だ。
Aqueductを過ぎると間もなく水路はT字路で、Llangollenへは左に折れる。そこには道標や水鳥のモニュメントがあり
心和ませてくれる。。
ボートはゆっくりと進む。側路を歩く人に追い抜かれてしまう。売店でコーヒーをもらい、豊かな時間の流れを楽しむ。
幾つもの橋をくぐり、緑に溢れた牧草地を眺め、優雅なお館も見える。遠くにはスノードニアの山々だろう、霞んで見える。
待望の跳ね橋も現れた。これの動力は何だったろうか?見落とした。ひょっとすると人力かも?花で飾ったボートと
また擦れ違った。じょうろのモニュメントも可愛い。最後に船頭さんの雄姿を1枚。船内放送で色々説明してくれたけれど、
ほとんど聞き取れなかった。悪しからず。
2時間ののんびり旅が終わった。ボートを降りても心身の動きが緩慢だ。Llangollen Stationを見てもLlangollen Bridgeを見ても、
感動が沸いてこない。眠くさえなってきた。これではいけない。Chesterを目指さねば。
Pontcysyllte Aqueduct
Pontcysyllte Aqueduct
を下から眺めたいと思い、Chesterに向かうA539を右に折れ、Pont-Cysyllteに寄り道した。
しかし、Dee川に下りるには谷をかなり下りないといけない。断念し、橋の上に出てみた。
この橋はDee川を跨ぐ水道橋だ。水路は鋳鉄で造られ、長さは1,007フィート(307m)、幅11フィート(3.3m)、深さ(1.6m)であり、
これが石のアーチに取り付けられ、Dee川からの高さは126フィート(38m)ある。幅3.3mであるが、
現在は歩道橋を設置してあるから、水路の幅は2.3mがいいところだろう。ボートの幅は7フィート(2.1m)だから、
ボートと壁の間は10cmだ。だから、時にはゴツンと音がするがする。雨などの増水で溢れることはないのだろうか。心配だ。
Chester
Chesterに辿り着いたのは18時過ぎだ。大聖堂もお店も閉まってしまった。シマッタ!ってこともないが、
中世のチューダー様式のハーフ・ティンバーは午前に訪れたShrewsburyと変わりなく、大きな感動は沸いてこない。
贅沢な話だ。
ハーフ・ティンバーをこれだけ並べると、目の錯覚あるいはめまいを起こしそうだ。
The Rowsというショッピング・アーケードを散策する雰囲気を味わっていただけるだろう。16〜18世紀の建物が多いという。
Shrewsburyより新しく、規模も大きいように感じる。
写真上右はEast Gateの上にある時計台だ。1897とあるのは、ヴィクトリア女王即位60周年を記念して建てられたからだ。
East Gateそのものは14世紀からのものだという。
兎に角良く歩いた。写真下左はChester Cathedral。写真下左が街を囲む城壁の上(全長3.2kmの4分の1ほど歩いた)。
写真下右の建物には1664の文字が見られる。
私には何か物足りない。そう、花が見られなかったのだ。イギリスの街では珍しいことだ。
The Hand
Chesterを出て間もなく、再び雨が落ちてきた。B&Bを素通りして、直接The Handに着いたのは20時を優に過ぎていた。
昨夜に増して車も多いし、庭には白いテントが張られ、雨の中でバーベキューをしている。店に入ると人でごった返している。
何かの団体の貸切かとも思える。カウンターの中にオーナーを見つけ聞いてみた。今日は開店2周年記念でバーベキューは
サービスだから自由に食べてくれと言う。取りあえずビールを頼んだら、これもサービスだと言う。
サービスと言っても2度目の来店の旅行者が甘えるわけにもいかないだろうと、席を探しウェートレスにメニューを頼んだが、
どうも上手く話が通じていない。しばらくしてやって来た若者の回りくどい説明によれば、今日はレギュラーメニューは
出来ないらしい。となれば遠慮なくバーベキューをいただこう。雨の中をテントまで走り列に並ぶ。
香ばしい匂いと煙に腹の虫がなる。ビーフ、マトン、チキン、バーグ、ソーセージと並んでいる。コーンはどうだ、
ジャケットポテトもあるぞ。と薦めてくれる。生野菜はセルフサービスだ。少し遠慮目にいただいて席に戻ろうとすると、
声を掛けてくる人がいる。昨夜ここで会い、昼にボート乗り場で会ったご夫婦だ。これで3度目、ここの泊り客だったのだ。
空腹には勝てない。話もそこそこに席に戻り、肉にかじりつく。おっと、写真を忘れた。上手く誤魔化してあるが、
元はもう1枚肉があったのだ。人込みの中を泳ぐようにしてワインをいただいてきて楽しむ(こちらは有料)。
ラッキーで賑やかなディナーを楽しませてもらって店を出たら、イギリスの遅い夕陽もすでに沈んでいた。
The Old Barn
The Old Barnの清潔でゆったりした室内だ。本当に気持ちの良い二晩を過ごした。
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この旅の直前に読者からMailをいただいた。嬉しいことにマイサイトをご覧になってWest Countryに行きたくなって、
5年ぶりの渡英を決められたおっしゃる。
Mailの質問は保険に関してであった。大変良く勉強されている方で、保険嫌いで保険は最低限と言う考えの私としては、
逆に教えていただく結果となった。私がいつも利用するHertzの保険制度について記しておく。(イギリスの場合。
詳しくはHertzのホームページなどで確認下さい。)
◎ レンタル料金に含まる保険
・ 自動車損害賠償保険(対人・対物保険) 対人・対物とも無制限
・ 車両損害補償制度(CDW : Collision Damage Waiver) 紛失、破損などによる損害補償(免責あり)
・ 盗難保険(TP : Theft Protection ) 盗難による損害補償(免責あり)
◎ 任意で加入できる保険
・ 搭乗者傷害保険(PAI : Personal Accident Insurance)・携行品保険(PEC : Presonal Effects Coverge )
PAI 契約者および同乗者が事故により負傷した際の保険
PEC 携行荷物(現金等は含まない)の盗難、破損による損害補償
・ SUPER CDW レンタル料金に含まるCDW/TPの免責部分の補償
例によって契約者の不注意や火災・天災は補償しないとかあれこれ但し書きがある。十分理解して契約すべきだろうが、
約款などに目を通す時間はない。保険嫌いたる所以である。
人の命や怪我に対する補償は大きな負担であるし当然ながら基本の料金に組み込まれている。
免責部分は自らの安全運転・自助努力への意識付けとして考えている。免責額は500.00 GBPである。
ちなみに保険料はPAI/PECは1日あたり5.50 GBP、SUPER CDWは1日あたり12.93 GBPであった。私はPAI/PECのみ契約した。
読者の質問のお蔭で安全運転と盗難などのリスク管理の意識は高いものになった。また、安全運転の誓いとして、
孫の写真も身近に置いた。
写真たっぷりの旅行記をご覧ください
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