第10日 6月12日(土) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
いよいよ最後の1日となった。今日も良いお天気に恵まれた。出発準備は完了。フルイングリッシュ・ブレックファストも
今日で食べ納め。また1年後のお楽しみだ。
Home Leigh のダイニングはきれいに食器が飾ってある(写真下左)。ここ以外にもガラス製品のコーナーなどもあった。
ホストマザーの雰囲気にピッタリな大胆なデザインの食器でフレッシュフルーツとジュースからいただく。メインもボリューム
たっぷりで、うれしい(写真中2枚)。窓からは緑が溢れんばかりの光景だ。女性の二人づれが入ってきた。この近くの友達の
ところに遊びに来ているのだそうだ。こういった簡便な宿泊施設があると自宅に泊めてもらうより、お互いに気軽で良いと思う。
出発前にご両親も出てきた。お父さんが自分の車に連れて行って、ここを読んでくれと言う。見ればトヨタの車で、
ラジエーターのウォーニングランプの説明だ。ランプが時々点くと言う。そりゃー危ないよ。点検に出すよう薦める。今回までの
イギリス旅行で巡った場所を話したら、自分たちも行ったことがない場所が沢山あると驚いていた。スコットランドはまだか、
是非行きなさいと、地図まで出してきて説明してくれた。来年当たりに行きたいと話したら、いろいろルートを示し最後の夜は
またここにしなさいと、うまいことを言う。出発が遅れた。
Glastonbury に到着。 The AA の Route Planner では、所要時間49分となっていたが 1時間掛かってしまった。街のかなり遠方から The Tor が形の良い丘の上に聳える姿を見ることが出来た。 何か厳粛なものが感じられ、弥が上にも期待感は高まる。
街に入り Abbey の真ん前の駐車場に入れた、と思ったら Church だった。立派な Church だ。
今日はバザーが開催されるらしく準備におおわらわであった。通行人に道を尋ね、美しい街並みを歩く。
Market Cross で記念撮影(写真下左)。
「 Glastonbury Abbey 」は
16世紀にヘンリー8世の修道院解散令により破壊されているが、歴史と規模を感じさせる修道院だ。 Museum を
通り過ぎ、外に出ると、広大な緑の広場に廃墟が点在している。先ず目立つのは高い壁だけが残る大教会だ
(写真上中・右、下左から2枚目)。かなり酷く破壊されているが、入り口部分の壁はほぼ元の高さを残しているようだ。
壮大な Chapel だったことが偲ばれる。
そして、その姿も優美な Lady‘s Chapel も目を惹く(写真下左・中、上左から3枚目)。全体的に装飾などが
大教会のシャープに対比しマイルドな雰囲気を醸し出す。大教会に較べ破壊の程度が穏やかなのは、宗教上の重要さの違いだろうか。
ここはアーサー王の墓 King Arthur‘s Tomb があることで有名だ(写真上右から3枚目)。今は唯これだけしか
残っていない。教会の外の Grave で発見されたアーサー王とグウィネヴィア王妃の遺体が、棺に葬られこの祭壇に
安置されていたが、修道院解散令の際に行方不明となってしまったと伝えられる。
完全な形で残っているのは Abbort‘s Kitchen だ(写真上右から2枚目)。やはり宗教上のものでないので
残されたのだろう。ここで修道士?にであった。記念撮影をお願いしたら快くOKが出た(写真上右)。 Museum 前では
修道士のコスチュームの中学生らしき一団が大騒ぎしていた(写真下右)。こちらでは、歴史的建造物やガーデンで生徒たちの
社会見学に良く出会う。30人足らずの小さな集団だ。こうして自国の歴史と文化を理解していくのだろう。
King Arthur については生誕の地 Tintagel Castle と Tomb のある Glastonbury の
両方を訪ねたことになる。伝説は架空か事実か?何か因縁を感じて合唱。(帰国して直ぐに映画「キング・アーサー」が
公開された。早速見たが期待はずれであった)
Glastonbury におけるもう一つのお目当ては The Tor だ。一つにはアーサー王が最後の戦いで傷つき運ばれた
アヴァロン島だといわれる丘であること。一つには St. Michael’s Line というレイラインだ。
St. Michael’s Mount から北西に伸びるラインで、 The Tor 、 Stone Henge 、そして
この後訪れる Avebury を結んでいるという。調べてみると6日に訪ねた Postbridge 付近の
Cairn Circle も8日に訪れた Merry Maidens もこのラインの上にあるのだ。何と云う旅だ。
The Tor の登り口を探すのに一苦労した。この丘の麓に Chalice Well と云う、これまたアーサー王絡みの
聖なる泉がある。そこを通り過ぎたところで(もう、そうとう歩いている)若者に出会ったので登り口を尋ねたら、
いやこちらではない。もっとずぅーと下がった所を右に行けという。一緒に戻りながら話をした。日本語を話すのだ。
姫路に住んだことがあるとのこと、親近感を感じたのだが、これが食わせ物。散々迷ったあげく辿り着いた登り口は
さっき若者に尋ねた直ぐ先で良かったのだ。
グラストンベリーの丘はなだらかな螺旋状の段のある丘だ(写真下左から2枚目)。登り口に着いた時は既にかなりへばっていたが、丘の上の
Tor を見て、登る元気が出てきた。見かけよりきつい登りだったが一気に登りきる。 Tor は高く毅然と建っている。
厳粛さと畏敬の念を抱く(写真下左)。頂上からは360度のパノラマだ。グラストンベリーの街が直ぐ下に見える。
建物の色が統一されていて美しい。多くは赤茶色のレンガなのだろう、所々に大理石色の建物がある。教会とか公会堂などと
思われる。きれいな町並みだ(写真下中)。牧草地や農地がどこまでも続く景色も素晴らしい(写真右から2枚目)。
この360度を表すのには何枚の写真を繋げばよいのだろう。
「 Chalice Well 」は聖なる泉より、花の美しい ガーデンをお目当てにしていたのだが、365日オープンのはずが今日は何かの催しで午後からのオープンとのこと。残念。 外の道路端に Chalice Well の水汲み場があった。地元の人が大きなポリタンクに汲んでいた(写真上右)。注ぎ口の石には ちゃんと Chalice Well と刻まれている。順番を譲ってくれて飲んでみろと言う。一口含むと鉄分を感じさせる 味がした。ミネラル豊富な感じだ。毎朝、日本茶を500 ml のペットボトルに入れて持ち歩いているのだが、それを空にして 汲ませてもらった。そう言えばさっきの外人は Chalice Well の催しに参加したようだ。教えてあげなきゃ。
The Tor にはピクシーがいる、と聞いていた。どうやらピクシーに好かれるタイプのようだ。予定の Well の街は
車窓見学として通過(立派な教会が消える。いつか必ず訪れよう)、チェダーチーズの故郷 Cheddar も行程的に厳しい。
となればせめて、美味しいチーズの店がある街 Chewton Mendip でお買い物しよう。その街は見つかった。
街と言うより村だ。なのに店が見つからない。尋ね様にも人がいない。捜し求めて聞いた2組の労働者が、そこだと言う場所に
チーズ屋さんは見つからないのだ。食いしん坊だから諦め切れない。元に戻って同じ人に聞き直すが、そこで間違いないと言う。
もう一度探したが分からない。30分を失った。
失意のうちに次に向かう。 Midsomer Norton の街で新しく出来たらしいスーパーマーケットのパーキングに
紛れ込んでしまった。これ幸いとショッピング。チョコ、紅茶、ショートブレッド、チェダーチーズ、ブルーチーズ、
マッシュルームなど購入。他にも欲しいもの一杯。妻は安い安いを連発している。取り敢えず満足。荷物を抱えて車に戻る。
記念に店の看板を背に1枚と思いきや、カメラが無い。???・・・。そうだトイレで顔を洗ったとき棚に置いたまま
忘れてしまったのだ。ガツーン。こりゃ大変、トイレに走ったが時すでに遅し。想いでは網膜に映してあるのだと妻に苦しい
言い訳をしつつ案内所に申し出た。ああ預かっているわよ、とビニール袋に包まれた我が愛機。 Oh It’s Mine !
Thak You ! 我が人生で考えずにしゃべった最初の言葉である。涙が出るほど嬉しかった。カメラが戻ったことより、
この国の人々の Honest に。またイギリスが好きになった。
Cherhill の White Horse を目指して A 4走る。 White Horse と言っても生きた馬ではない。
この辺りの丘はチョーク層なので地表を削りチョーク層で描いた白馬がいくつかあるのだ。2002年の旅で
セルン・ジャイアンツとザ・ロングマンと云う人型のものは見たが White Horse は初めてだ。
Cherhill の村に入ると右側の丘にその姿が見えてきた。近くまで行けばもっと良く見えるのに、それが我慢できない。
脇見運転で事故ってもいけない。取り敢えずいったん停車し、写真撮影だ。なんともくっきりと白い。手入れが良いのだろう。
細身でサラブレッドのようにスマートだ。何のために造られたのか。興味は尽きない。
この旅の第3のテーマ「ミステリー」の掉尾をかざるに相応しい場所として Avebury を選んだ。 Avebury は Stone Henge と併せて世界遺産に登録されている、ヨーロッパ最大の Stone Circle である。 ナショナルトラストの管理であるが入場料も取られず、石に触ることができるのが魅力だ。規模が大きくて全体像は遠目にも よく把握できない(写真下左)。資料によれば、直径450 m のグレート・サークルの中に、直径100 m 程の セントラル・サークルとサウス・サークルが組み込まれた構造のようだ。グレート・サークル内は道路が十字形に走っており (写真下右)、道路沿いには民家も多くあり村全体が遺跡に飲み込まれている形だ。石の形は柱状のものと菱形(方形)の ものがあり、表面はごつごつしている固い石だ。遺跡は羊も共生であちこちで牧草を食んでいる(写真下中2枚)。 落し物がいっぱいで気をつけないと踏んでしまう。ここも Ley Line が通っていると言われるだけに、エネルギーを 感じようとしているのか、皆一様に石に触れている。中には人が座るのにぴったりの窪みのある石があり、写真撮影は 順番待ちだ(写真下右から2枚目)。私も石の温もりの中からエネルギーをいただいた。
広すぎてとても全ては見切れない。引き返す途中、石に身を委ね瞑想に耽る魔女?に出会った。遠回りして避けて通る(写真下左)。
Avebury の南の出口から南に伸びる B 4003に沿って2列の立石が並んでいる。 Kennet Stone
Avenue と呼ばれている。グレート・サークルへの表参道と云ったところだ(写真下左から2枚目)。伊勢神宮の参道は
大きな石灯篭に挟まれているが似ていなくもない。
Silbury Hill 派 Avebury から1 km 余り南にある、人工の形の良いマウンドだ(写真下中)。
何の目的で作られたものか、発掘調査などしたが分かっていない、謎の遺構なのだ。周囲は立ち入り禁止で更に謎を呼ぶ。
最寄りの村 Beckhampton にハンギング・バスケットの美しい茅葺屋根のパブがあった(写真下右から2枚目)。
思わず停車して1枚。
テーマ「ミステリー」の一つにミステリーサークルも考えていた。こちらではクロップ・サークル Crop Circle と
呼び、ここ Wiltshire が世界でも多発地区として有名なのだ。名前のとおり麦畑( Crop )に一夜のうちに
巨大な幾何学模様などが描かれる現象だ。宇宙人のメッセージだ、いや、人工だと諸説あるが、どのようにして造られたのかは
謎だ。ウェブページによれば、今年も出発段階で既に2件がこの近くに発生したらしい。しかし、時間が無い。道中何が起こるか
分からない。遅くても17時には Heathrow に到着予定で行動しなければ。ということで Crop Circle は
またのお楽しみに残しておくことにする。これは Crop Circle には見えないか(写真下右)。
すっかり満足して一路 Heathrow へと思いきや、また寄り道だ。 Hackpen Hill という View Point を地図上に発見、ハンドルが向いてしまう。寄って良かった。ここにも White Horse があり、現地まで足を運べた。 少し手入れが悪く牧草が生えてきて白馬とは言えないが、近々削られて白馬に再生されるだろう。妻が立っている所が 背中(写真下左)。そして、左向きの頭の部分だ(写真下中)。 View Point ではマスタードの黄色い花の絨毯の向うに 広がる平原の緑と空の青がこの旅の平穏を表しているようだ。この旅の撮影総数720枚の最後の1枚だ。
A 4361、 B 4005、 A 346を経由し M 4に乗る。順調に進んでいるが、猛烈な睡魔だ。旅の疲れが一気に
噴出している。異常な眠気だ。 Chalice Well で汲んだ水でタオルを濡らし顔を拭く。首筋を冷やす。聖なる水の
ご加護か、何とか予定時間17時15分 Heathrow の Hartz に到着。まる9日間酷使にも愚痴一つ言わず付き
合ってくれたフォードを Return 。おつかれさま。チェックはきわめて簡単、今年はペトロールも見事に使い切って
メーターは Empty だ。おみごと。
Hertz の事務所で最後のパッキング確認し、お馴染みの黄色のバスで空港へ送ってもらう。
空港では手続きもスムーズに進み出国ロビーへ、最後のショッピングはシングルモルトだ。21年物と15年物を1本ずつ 購入。あとは、この旅の第2のテーマ「シーフード」を締めくくりだ。ヒースロー空港の「シーフードバー」を知って、 今回が3度目になる。ここではキャビアが売り物らしいが、私の口には合わない(お財布に合わないのかも…)。 しかし、生牡蠣が1年中食べられるのだ。そして、スモークトサーモンも。今年は生牡蠣1ダース(6個単位で出してくれる)、 スモークトサーモン、海老の盛り合わせ、白ワイン1ボトル。これで1時間半粘ろう。カウンターの中で責任者として奮闘する 女性は日本人だった。活躍を祈念する。旅の無事に感謝し乾杯。至福の時だ。早くも来年のプランなど話し合い夢は膨らむ。 【T】
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