2004の旅 デヴォン・コーンウォール・サマーセット その3

花花

第2日 6月4日(金) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程  Mere --- Stourhead --- Honiton --- Knightshayes --- Tiverton --- Bickleigh --- Exeter --- Castle Drogo ---
Drewsteignton --- Fingle Bridge --- Sandy Park

今朝も遠足の朝となった。4時には目が覚めてしまった。ぐっすり眠ったので目覚めは良い。早速 Early Morning tea と洒落こむ。お茶を飲みながら本日のドライブルートを確認する。外は霧雨だ。2階の部屋の窓からは フォーマル・ガーデン風の庭が広がっている。緑の芝にジギタリスの紫の花が映えている。ボーダーの奥には銅葉の木と 銀灰色の木がコントラスト良く植えられている。珍しい鳥が芝生の上を動き回り何かをついばんでいる。小鳥というには少し 大きいようだ。こちらではスズメも一回り大きい。植物も動物も皆大きくできている。地図によればこの街の中心近くに View Point があるようだ。朝食前に街の探検に出よう。

Mere B&B Mere 時計塔 B&B 朝食

View Point は街の裏の丘の上らしい。登り口も分からないし霧雨もあって断念し街の中心部へ出た。昨夜の レストランの辺りが中心部だった。上の写真の時計塔の向うの白い建物がそれだ。茅葺2階で宿を兼ねたインであった。 写真左側には雑貨屋のような店があり、新聞やら牛乳やらを買う客でにぎわっている。ミネラルウォーターとチョコバー、 クッキーなどを購入。霧雨は降り続いているが傘を差す人はいない。悠々と歩いている。
B&B に戻りお楽しみの朝食だ。もちろん、フルイングリッシュブレックファストを8時でお願いしてある。先ず、 オレンジジュースとグレープフルーツのコンポートでスタート。続いて写真のように珍しくビーンズが添えられたメインの 皿になる。1年ぶり、やっぱりおいしい。ミルクたっぷりの紅茶もまたおいしい。ダイニングに日本画が飾ってあった。 聞けば日本に旅行したことがあると言う。アルバムを持ってきて見せてくれた。東京・日光・京都を4日で回ったようだ。 その後、バンコク・シンガポールを3日ずつのツアーだったようだ。イギリス人もこんなツアーをするんだ。 フルイングリッシュは全てきれいに平らげた。ごちそうさま。

今日の第1訪問地は、 Stourhead 。Mere からは10分足らずで到着。18世紀にできたイギリスを代表する Landscape Garden だ。最も楽しみにしてきた庭のひとつだ。現在はナショナル・トラストの管理にあり、 朝7時からオープンとの情報から効率を考え Mere を第1夜の宿泊地としたのだ。雨も上がり陽が差してきた。
Landscape Garden とは風景庭園、回遊式庭園で人工的に造られた湖や池、森あるいはモニュメントなどを配して 自然らしく設計された庭である。あくまでも「自然のまま」でなく「自然らしく」造られたところが味噌なのだ。 Stourhead にも大きな湖とそれを囲む森の中に、フローラ寺院( Temple of Flora )、 避暑用の洞穴( Grotto )、パンテオン( The Pantheon )、いくつかのアーチ型石橋などが配置され そこが見どころのようだ。

ストウヘッド石楠花 ストウヘッド石楠花 ストウヘッド石楠花

入り口でナショナルトラストの会員証を示す。 Oh Nice! You are Welcome .と笑顔の歓迎だ。にこやかだ。 我々は Additional Member になって4年目になる。最初は、あちこち回れば会員になったほうが得かな。 といった気持ちで会員になったのだが今はその精神と活動に心から敬意と感謝を込め入会している。どこへ行っても、 お屋敷にはあまり興味はない。お目当てはお庭なのだ。
庭に入ると良い香りがする。ハーブの香りというより、スモーキーな香りだ。森の香りだろう。立派な門がある。 大木が並んでいる。リスやキジも人を恐れることなく遊んでいる。湖の周りの森の中をひと回りしよう。なんと石楠花 が満開だ。一つひとつの木が大きい。そして、花色の豊富さに驚く。白、赤、紫、ピンク、オレンジ、黄色、 それぞれに濃淡あり、グラデーションあり区別しきれない。大きなハンカチーフの木があった(写真下右)。小石川植物園で 見たものよりずっと大きい。キングサリもちょうど満開で周りが明るくなるほど輝いている(写真下左)。足元はギボウシなど 葉色の美しい植物が植えられている。

キングサリ アーチ型石橋 ハンカチーフの木

石楠花の木々の間から、湖越しにパンテオンやテンプルが見え隠れしている。湖の輝きに誘われて湖岸に下りた。 道は正に回遊している。この雄大さが人工的に造られたものだということが信じられない。森の奥に入る道もあるが 時間の都合で湖に沿った道を選ぶ。何か忘れ物をしたような気がしないでもない。

ストウヘッドパンテオン ストウヘッドパンテオン ストウヘッドテンプル

突然、洞穴が現れた。かなり大きなものだ。避暑の為の洞穴らしい。確かに涼しい。岩から水が湧き出してきて泉になっている。 その上にニンフの像が横たわっている。神秘さが又涼を呼ぶ。その先には岩窓があり湖を隔てて遠くテンプル望める。 この眺めも清涼感がある。さらに先にはゼウスの像が泉を従え立っている。荘厳さが又涼を呼ぶ。良く設計されている・・・。

避暑用の洞穴ニンフ 避暑用の洞穴岩窓 避暑用の洞穴ゼウス

次の訪問地は Honiton 。レースの街として有名らしい。妻の好みということで経由して行くことにした。少し長い移動だ。 この辺りはコッツウォルズ辺りと景色が少し違うようだ。道路わきの潅木も背が高く、視界を奪う。牧草地の境界も石でなく 潅木だ。面白いものを発見。牛のための信号らしいのだが定かではない。主要国道 A303沿いに牛の横断のために信号とは・・・?
Honiton の街に到着。道路に沿って広がる典型的地方都市の趣だ。裏通りのパーキングに駐車し、レースの店を探す。 しかし、見つからない。レース博物館も、レースショップもあるとウェブサイトで確認した。ポストコードをマルチマップに 入力しその地図をプリントアウトした。この辺りに間違いないはずだ。細長い街を行ったりきたり。レースのことだから女性に 聞くのが良いと地元の女性らしい人を選んで聞いてみた。「ええ、確かその角を右に行ったところだと思うわ。」。行けども 見当たらない。45分間歩き回って結局、レースの欠けらも見つからなかった。早くもいたずらものの妖精”ピクシー”の いたずらが始まったようだ。

ブルーガーデン エリゲロン 菖蒲と睡蓮

レースのショッピングはあきらめ、次なる訪問地は Knightshayes Court だ。ここもナショナルトラストの 管理である。なかなか派手なお屋敷だ(写真下左)。19世紀からの建物らしい。フロント・ガーデンが素晴らしい。長いボーダーが3段ある。 色も様々だ。イエローやブルーを中心に淡い色彩で心が落ち着く。花の種類も様々である。お屋敷の壁を飾る藤やつるバラなど 大きな木からポピーやエリゲロン(写真上中)のような小さな草花まで効果的に配されている。また、様々な珍しい大木がある (写真下中)。大きな池もある(写真上右)。緑の芝生のロングウォークの先には羊たちがのんびり草を食んでいる(写真下右)。

ナイツヘイエスお屋敷 ナイツヘイエス大木 ロングウォーク

Tiverton にやってきた。お目当てはクリムティーなのだ。クリムティーとは、スコーンにジャムとクロテッドクリームを たっぷり付けて、ミルクティーと共にいただくアフターヌーンティーの簡易版のようなものだ。そのクロテッドクリームの 名産地がここデヴォンと、この先訪れるコーンウォール地方なのだ。それぞれ、デヴォンシャークリームが1番、いやいや コーンウォールクリームのほうが、と譲らないのだそうだ。それでは両方試して見ねばならない。そして、おいしいクリムティーを 出すティールームがこの街にあるとの情報をウェブサイトから仕入れてあった。まずはパーキングを見つけ街の散策。 この後の訪問地 Exter に注ぐ River Exe を挟むように発展したかなり大きな街のようだ。立派な教会が川の両岸に 聳えている(写真下左)。ポストオフィスで道を尋ねる。例によって懇切丁寧に教えてくれる。同じことを何度も繰り返し説明した後、 「本当に分かったかい」と心配してくれる。「ありがとう。何とか分かったつもりさ」
ウインドー・ショッピングをしながらタウンセンターに向かう。人も車も多い。教えてくれた通り、時計塔とモニュメントが現れ (写真下中)、「 Tea Shoppe Four and Twenty Blackbird 」はあった。店はお客で一杯だ。ドアを開けても急がしそうで 応答なし。しばらく待たされる。頃合を見計らって、案内を請うと2階席に通された。クリムティーをオーダーし、窓から 街の様子を観察しながら待つ。週末の喧騒の中、今自分が異国の片隅でこんなにゆったりした時間を過ごしていることが不思議に 感じてくる。
クリムティーが運ばれてきた。スコーン、ジャム、デヴォンシャークリーム、カップ&ソーサー、ティーポット、 ミルクピッチャー、ティーストレイナー、ホットウォータージャグとナイフにフォークとテーブルの上は満杯だ(写真下右)。 シュガーポットは不要につき下げてもらった。スコーンは、ほっこりとして、デヴォンシャークリームは濃厚で糸を引き、 マスカルポーネ・チーズのようだ。ジャムの甘さとマッチし、さらにミルクティーが調和する。おいしい。愉しい。 探し当てた甲斐があるというものだ。満足してもと来た道を帰る。先ほど道を確認したおばちゃんに出会う。 礼を言うと「おいしかったでしょう。楽しみましたか」と応じてくれる。なにやら募金活動をしているようだ。 心ばかりの寄付をする。

ティバートン街並 タウンセンター クリムティー

A396を南に5km程下り、 Bickleigh という小さな村の手前、 A3072との分岐辺りで Exe 川を渡る。 この時右側に立派な茅葺の建物を発見。川の先には Mill と Railway Centre があった。パーキングに車を 入れ、橋に戻る。交互通行しか出来ない細い石橋の下は静かに、しかし、豊かな水の流れだ(写真下左)。暑さを忘れさせて くれる。茅葺の建物はフィッシャーマンコズテージのようだ(写真下中)。レストランのテラスにはアフターヌーンティーを 楽しむ人たちの姿が見える。優雅な光景である。橋の上流の岸辺の民家のガーデンは何としたことか。豊かな緑の中、岸に 沿ってボーダーガーデンが色彩豊かに造られている。うらやましい。こんなロケーションで庭を楽しみ生活できたら どんなに素晴らしいことだろうか。この村にはお城もあるようだが先を急がねば・・・。

River Exe フィッシャーマンズコテージ 川岸の民家の庭

Killerton House に着いた。同じくナショナルトラストの管理下にある。広大な敷地の中、ゆったりとした 設計である。ここのボーダー・ガーデンは他の庭園が手本とするくらいのもので、植物の特性を熟知した設計となっている。 背丈、葉の色と形、花の色と形、花期を程よく組み合わせ、次の来訪を期待させるに充分なものがある(写真下左、中)。 日差しは強いが、吹き抜ける風は爽やかだ。インフォーメーションがお薦めのコースを歩く。ベアー・ハットという茅葺屋根で 壁には竹を使って風通し良く設計されたサマーハウスが丘の上に建っている(写真下右)。その裏手にはロックガーデンが 広がり、その奥には洞穴があり、冬の氷を夏まで蓄えておくアイスハウスのあとが残っている。昔の貴族の栄華が偲ばれる。 遠足の子供たちが遊んでいる。

ボーダーとお屋敷 広大な敷地 ベアー・ハット

Exeter の街に入る。さすがにデヴォンの州都である。大きな街だ。やはり大きな都市に来ると道が複雑だ。 いささか時間の無駄をする。既に17時30分になってしまった。大聖堂は幅のあるどっしりした威容である(写真下中)。 残念ながら時間が遅く中に入ることは出来ない。カセドラルを囲むように広場になっている。横に回ってみると何度か増築を 重ねた跡が見られる(写真下右)。街の繁栄の証だろう。広場を挟み、立派なティンバーハウスのホテルと ティールームがあった(写真下左)。しばらく街行く人々を眺め、次に向かう。

ティンバーハウス エクセター大聖堂 <エクセター大聖堂

次なる目標は、 Castle Drogo である。オープン時間は過ぎているが、今夜の宿の近くである。外観だけでも 拝みたいと向かってみた。広いパーキングとヴィジターセンターらしきものはあるが、 Castle の姿は見えない。 明日・明後日の当地滞在中に時間が出来れば再訪しよう。予定に入れていなかったが、地図を見ていて気になっていた場所がある。 Fingle Bridge である。対向車があったらすれ違い不可能な、木々のトンネルの道を祈る気持ちで進む。 ようやく行き着いた。車1台がやっとの細い石橋があった。橋げたの部分だけが三角形に突き出していて、歩行者はそこに 退避できる。橋の下は緑に覆われた中を清流が流れる。心が洗われるようだ。橋の袂の宿のお客さんか、家族連れが野外の ベンチで談笑していた。そして、写真を撮っていると、「お撮りしましょう」とやってくる(写真左)。気持ちが良い。 遠慮なくお願いした1枚である。
時間は19時。そろそろ予約の B&B のある村 Sandy Park 向かおう。その途中 Drewsteignton という小さな村を通る。小さな広場を囲み教会、ポストオフィスや Inn などがこぢんまりと建っている。屋根は大抵茅葺だ。 パブでは屋外まで人があふれて歓談している。一昨年訪れた Canterbury 近くの Chilham という村に 酷似している。あの時出会った留学生は今も旅をしているだろうか…。

フィングル橋 チャグフォード ムール貝

目指す宿はすぐ近くのはずだ。ところがここで落とし穴。頼りの Multimap の示す場所にB&Bがない。道を聞こうにも 人影はない。30分のロスの末に探していた場所と道を隔てた反対側に B&B ” Parford Well ”はあった。 こんなこともあろうさ。さあお腹もすいた。夕食だ。主人の紹介は、 Chagford の Ring O’Bell という  Inn である(写真上中)。 Chagford はイギリスで「最も幸せな村」と謳われる村だ。村の中心は狭い道路に 駐車した車で一杯だ。おしゃれな店もあるがもう閉まっている。このお店の70個のムール貝については(写真上右)、 「イギリスはおいしいに」述べた。それにつけてもイギリスの エールビールはおいしい。こうして楽しい夕餉は過ぎて行く。長い1日であった。無事を感謝しつつ、夢の中へ…。  【T】

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