第4日 6月6日(日) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
地図を見ると我々は今、正に Dart Moor にいるはずなのだが、想像していた荒涼たる風景にまだ出会っていない。
今日の訪問予定地はムーアの真っ只中である。今日こそヒースで覆われたムーアを見られるだろう。
ヒースやハリエニシダの花にお目に掛かるには時期が早いかもしれないが楽しみである。
食前に庭を散策、広くはないが良く手入れさた気持ちの良い庭だ(写真上右2枚)。部屋もリビングもとても清潔ですがすがしく
気持ちが良い(写真上左)。 Tim の人柄なのだろう。今日もフルイングリッシュブレックファストである。美味しくて
飽きることはない。1日3食これでも良い位だ。今日は大きなリビングでいただく。テーブルや家具類は良く見れば、
バラバラなのだ。一つひとつアンティーク屋で買い揃えたものだろう。しかし、全体として違和感はなく、
調和している。この辺がアンティークの良さなのだろうか。
食後、昨日の駐車違反の反則金について相談する。「経験がないので分からないが、 Resident じゃないから
ほっておけば良いのじゃないか。後で友達に聞いておくよ」とのこと、お願いする。
先ずは Lustleigh という小さな村に向かう。 Thatched Roof の家がたくさん残っている(写真上)。 日曜日の9時30分、まだ村は眠っているようだ。出会ったおじいさんがびっくりした顔でこちらを見ている。 「こんなに早くから、変な外人がやってきた」とでも思っているのだろう。「 Good Morning 」と声をかけると、 にやりと笑いながら「 Morning 」が返ってきた。雑貨屋さんが開店準備といった感じだ。
「 The Cardew Teapottery 」に到着。ユニークなデザインの
ティーポットを作る工場と Shop がある。知る人ぞ知る Pottery らしい。
「ダートムーアにユニークなデザインのティーポット工場があった」との小さな情報から、苦労してウェブサイトを見つけた
ときは小躍りした。
満を持して10時開店と同時に店に入る。あるある、ユーモラスなもの、メルヘンティックなものあるいはユニークなもの、
広い店内所狭しと並んでいる(写真上)。どれにしようか迷う。また近いうちに来るというわけには行かないのだからと3つを
抱えていた。おいおい、誰が運ぶんだい。仕方ない。1つはアフターヌーンティーのテーブルを模したもの、1つはきのこの形の
もの、そして、ミッキーマウスの形のものだ。さらに、普段使いの頑丈なものを1つ追加(写真右)。
他に洒落たデザインのタイルにコルクを張った鍋敷きがお土産に手ごろと10枚ばかり購入。ポットの部品がごろごろ並べてある。
箸置きにぴったりだ。良い形・色目のものを漁る。絵付けができるコーナーもあった。きちんとパックしてもらい段ボールに
納める。何とか機内持ち込みできそうだ。 Shopping も
ご覧ください。
おもちゃを買ってもらった子供のように意気揚々、駐車場に戻ると、色鮮やかなクラシックカーがずらりと並んでいる。
「写真を撮って良いか」と聞くと「どうぞどうぞ、良かったら運転席に座りなさい」と親切な言葉(写真下)。
ここで待ち合わせてツーリングに出るのだとか、貴族たちの集まりかも知れない。余裕だ。(ちなみに左写真の赤いクラシック
カーの奥に見えるグレーのフォードが今年の我が愛車である)
さて、いよいよムーアだ。その名も Widecombe in The Moor という村に向かう。途中、 Haytor を通る。
Tor とはムーアに点在する奇岩である。地図を見ると至るところに Tor が見られる。ここ Heytor は、
アガサクリスティーが処女作「スタイルズ荘の怪事件」を著したホテルに近く、クリスティーも毎日散策に訪れたといわれ、
最も有名な Tor かもしれない。
Haytor Vale を過ぎる辺りから右前方に大きな岩が見えてきた。大勢の人が登っている。はやる気持ちを抑え、
より近くのパーキングに止める。
天気は快晴なのだが風が強い。帽子が飛ばされる。見渡す限りの広野の中、奇岩がそそり立つ。思っていたより
大きい(写真下左)。
ゾクゾクする。ザワワとする。不思議な自然の力を感じる。花崗岩のようだ。ザラッとした感触だ。
道も手すりもないところを皆が登っていく。急斜面で風が強い。若者とは張り合えない。 Own risk 、
半分くらいの所で自重する(写真下中)。
「広野」ではあるが「荒野」という感じはない。しかし、きれいな緑の牧草のすぐ下も岩らしい。緑の合間にヒースが広がる。
花はまだない。中に入っていけば見た目と違い湿地などもあるのかもしれない(写真下右)。
ボール遊びの子供のボールが風に流されて転がっていく。妻も一緒に追いかけて行く。無理しないで。
Widecombe へ向かう B3387を牛が横断している。車の行列ができた。その脇を羊の親子が悠々と歩いて行く。
毛がふさふさだ。 Widecombe はかなり坂を下ったところにある。村の入り口から教会を中心とした小さな姿を
見下ろせる(写真下左)。
立派な教会の下に The Old Inn がある。幽霊が出るといわれているらしいが、外観ではそうは見えない(写真下右)。
Shop でポストカードを買う。
少し下ったところに手作り工房があった。埃にまみれたガラクタの中からいくつかの掘り出し物を Get 。店ではおじいさんが
店番がてら製作に勤しんでいる。一匹のロバに大勢が乗っているフィギュアのようだ。いわれを聞くと、いわれを書いた本を
薦められ、歌を歌ってくれた。この村に伝わる寓話のようだ。
ポニーでライディングの親子が木陰で休んでいる(写真下中)。我々も名物デヴォンシャークリームをトッピンッグした
アイスクリームを求め教会前の大木の木陰で一休み(写真下右)。本当に心休まる。
この後はダートムーアの雰囲気を味わいたくて、 B3387と B3212の間の Unclassified 道路
( The AA では M、A、B 以外の道をこう表現している)のドライブを楽しむ。途中、 Hound Tor の横を
通って行く(写真下中)。しかし、想像していた景色はない。広大な緑の平原といった感じだ。黒ずんでいるところ
がヒースなのだろう。ところどころに Tor が見える(写真下左)。舗装状態もよく、情報ほど狭い道とも感じず快適な
スピードを楽しむ。ここでも羊の横断に道を譲った。愉快だ。
B3212を右に折れしばらく行くと、
「 Miniature Pony Centre 」だ。
広大な施設で入場料から察するに、1日乗馬などを楽しむ場所のようだ。入り口からポニーを眺めさせていただく。
馬より二周り以上小さい可愛い馬だ。親子でそこここに遊んでいる(写真下右)。微笑ましい。
次は Postbridge だが、途中、地図で気になる場所が2つある。またしても Unclassified に入る。
しかし、 Grimspound は懸命に探したが見つからない。この間、狭い道でのすれ違い車もたくさんあったが、
その都度お互いに気持ちの良い譲り合いと会釈だ。実に清々しい。「ドライブ−マナー」
もご覧ください。
Cairn Circle は簡単に見つかった。それは森の袂で静かに我々を迎えてくれた。感動の
ストーンサークルである(写真下)。2人以外誰もいない。石に抱きついてみる。サークルの真ん中で、瞑目してみる。
古代人に思いを馳せる。現実に戻り、こんな遺跡が看板1つ、柵1つなく道端に存在していることに感動する。
ようやく Postbridge だ。ここのお目当ては Clapper Bridge という、清流 East Dart 川に
架かる古い石橋だ(写真下左)。唯それだけのことだ。こちらの人は古い石橋を大切にするものだとつくづく感心する。
保存のためには不便もいとわない例はたくさんある。
Clapper Bridge の橋板は一枚岩の立派なものだが、幅は1メートルと少しか。この細い橋を渡りムーアを旅した
昔の人の思いを探る。橋の袂では多くの人が炎天下ピクニックである。皆ゆったりとしている。今の私にはできない遊び方である。
私流は神風・かっとび・急ぎ旅だ。川岸に黄色の花が咲いている。これがハリエニシダか…確認できない。
楽しんでいる分、時間は押している。予定の Dartmeet 村はスキップと決める。そう言いながらも予定にない
Princetown の名前に惹かれ遠回り。ダートムーアの中では大きな街だ。お洒落な住宅街を抜け、戻る。
有名な Dartmoor Inn は見つけた。この近くにもストーンサークルやスタンディングストーンが
あるはずなのだが、標識や看板はない。2度ほど行き帰りし探したが見つからない。ウォーキングの人が大勢いる。
あの辺りかもしれないがここは断念。
Garden House にやってきた。藤の花が見事だ。ハウスの壁、 Wall Garden の壁、ベンチの上の藤棚、
至るところで真っ盛りだ。色も紫、白、ピンクと揃っている(写真下左)。
中世に建てられたという展望台の狭い階段を登ると庭全体が見渡せる。全面緑だ。奥行きと高さがあり、広がりを感じる。
どちらかといえば Wild Garden の雰囲気がする。
一昨年、種を買って帰り挑戦したポーチドエッグが絨毯のように咲き乱れている(写真下右)。やはりこの気候が合って
いるのだろう。クレマチスも色形は日本でも見るがその大きさには驚く(写真下右)。
14時30分を回っている。冷たいジュースを求め、車の中で Mere で買ったチョコバーとクッキーでランチにする。
ジュースが甘すぎる。
Plymouth に到着。ここも大きな街だ。パーキングを探して走り回るうちに、目的地の The Hoe の横に出た。
折しも駐車スペースが空いた。ラッキー。「駐車券発売機」は歩道上にあった。昨日の失敗をしないよう、1時間の滞在予定だが
3時間の券を買う。券には「月曜10時まで有効」と書いてある。こりゃなんだ?と首を捻っていると、通りがかったおじさん
曰く「今日は日曜日だから無料なんだよ」と。よく見れば発券機には確かにそのように書いてある。羹に懲りてなんとやら…。
3ポンド損した。
The Hoe は思っていたよりずっと海の近くにあった。海を見下ろす緑の高台である。大勢の人が芝生に座って寛いでいる。
明るくて開放的な雰囲気だ。風もさわやかである。各国の国旗が風に翻り、街の側に大きな3つのモニュメントが屹立している
(写真下左)。1つはスペイン無敵艦隊を破ったドレイク船長、1つは戦争犠牲者の慰霊塔、もう1つは女性の像だ。
女王かもしれない。
そして、振り向いて海側を見ると、赤と白の段だら縞の Smeaton’s Tower が立っている(写真下右)。
昔は灯台であったが今は博物館とか。 Plymouth Dome も見える。これは意外とモダンだが小さい(写真下中)。
どちらも Museum になっているらしい。青い海の眺めが素晴らしい。空も青い。
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The Hoe からかなり長い階段を下り、海岸沿いに歩く。砂浜では日光浴の男女で溢れている。泳いでいる人は少ないようだ。
あっ トップレスだ。
土手には多肉植物が花をつけている。小さな広場に「 Total Eclipse of the Sun 」と刻まれた石が埋め込まれていた(写真下左)。
1999年8月11日の皆既日食の子午線のラインらしい。ただそれだけ。さらに歩くと「 Mayflower Steps 」に
出会う(写真下右)。1620年102名の英国清教徒がアメリカに向け出航した場所だ。ゲイトがありアメリカ国旗が
はためいていた(写真下中)。
Barbican も楽しみだったがショッピングは別の場所にしよう。良い街だった。
A38を通り Cotehele House を目指す。 Plymouth を出て直ぐに Tamar Bridge を渡る。
立派なつり橋だ。この川を渡れば、もう Cornwall だ。 Cornwall に入る時は無料で Cornwall から
戻る時は有料なのだそうだ。へんなの。
Cornwall の空も明るく高く輝いている。この後の旅も楽しめそうだ。
Cotehele House に到着。17時30分だ。人影もまばらでガーデンを独り占めだ。お屋敷の石の壁には様々な
つる性の花が枝を伸ばし、お屋敷は花に包まれている(写真中右)。良い具合にベンチが置いてある(写真下右2枚)。
絵になる。
その前には見事なテラスガーデンが巡らされている。芝生は柔らかい緑で思わず座り込み花の香りを満喫する(写真下)。
テラスの先は谷だ。その先はウッドランドガーデンか。広い。
今日はここまで。今日もいくつかの積み残しがあった。それも予定の行動だ。そのお蔭で期待していたものに巡り合えた。
予定のルートでなく、近道として選んだ、 Tavistock から B3357、 Two Bridges から B3212で
Moretonhampstead へ抜けるルートの Postbridge を過ぎた辺りである。午前中にここを通る
予定であったが、寄り道をして Unclassified 道路に入った所だ。あった。寂寥たる Moor の姿がそこにあった。
見渡す限り、赤茶けたヒースの丘。その中を1本の道路が蛇行して行く。何か怖いような、郷愁を誘われるような思いで、
写真を撮るのも忘れアクセルを踏んでいた。これが Moor なんだ。
今夜で Dartmoor もお別れだ。Timのお薦めのレストランは、 Mill End だ(写真左右)。
B&B から歩いて5分の近さだ。ドレスアップして行く。
ラウンジ・ルームに通される。食前酒を頂きながらメニューの選択(写真下左から2枚目)。前菜、メイン、デザートの
コースでそれぞれいくつかのメニューから選ぶ。
食前酒とお通しのような小皿で結構長く待たされる。これに慣れないとイギリス流ディナーはこなせない。昼の神風旅行は
返上し、ゆったりとディナーを楽しむ。この小皿のオニオンリングや小エビフライ、チーズがおいしい。本番に備え、
控えめにしておく。
ダイニングに通される、手前の部屋では若者の同窓会風な会合か、十数人が和やかに会食中である。奥の部屋に通され、
3組程のカップルがこちらを注目する。「 Good Evening 」の挨拶が気持ち良い。
一番近い席の、90歳位のおじいさんとその娘さんかと思われるカップルと会話する。娘さんは「イギリスは初めてですか」と
聞くので「 Every Year we come 」と応えると、おじいさんに説明している。おじいさんは「どこから来たのか」
と聞く。「 From Japan 」と応えたら、なにやら驚きの表情だが、話は良く分からない。昔日本に来たことが
あるようだ。真心のこもった「良い旅を」の挨拶を残して、帰られた。うれしい。
コンソメスープは具沢山で味わい深く(写真下中)、ステーキは厚くてレアーで明日の活力を注入してくれる
ボリュームだ(写真下右から2枚目)。デザートも満足。
帰り道は、既に10時30分を回った。西の空はほんのり茜色(写真下右)。明日はあの西の空の下、 Cornwall
を尋ねるのだ。お天気は保証されたようだ。満ち足りた。 【T】
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