第7日 6月28日(水) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
Kylemore House
コネマラ国立公園(Connemara National Park)
の内懐のKylemore Houseの夜は静寂そのものだ。重厚な雰囲気の部屋のキングサイズのベッドの寝心地も相俟って熟睡できた。
このB&Bは一泊で去るのは惜しい。
ホステスは大柄な勢いのある女性だ。肝っ玉母さんと言うより少し威厳も感じられる。それに引き替え朝食の
サービスをしてくれる女の子は細身で長身で頼り無げで対照的だ。
今朝もフルアイリッシュをおいしく平らげ、待望のKylemore Abbeyへと向かう。
カイルモア修道院(Kylemore Abbey)
Kylemore Abbeyはこの旅の計画の中で最も期待の高かった
ものの一つだ。ガイドブックやサイトの写真の山と湖の風景に溶け込んだかのような佇まいの美しい姿に旅情を誘われた。
そして、ガーデンにも・・・。
Kylemore Abbeyは最初はイギリスの公爵が、新婚旅行で訪れた当地を気に入って、妻のために建てたお城だという。
しかし、妻に先立たれたためここを手放し、1921年からはベネディクト派の修道院として使われているという。
全寮制の女学校も併設されている。
先ずは沢山のサイトでフォト・スポットとして登場するN70の橋の上からネオゴシック様式という修道院の建物を望む。
緑の木々の繁る山を背景ににび色に光る湖を従え静かな姿だ。しかし光の加減なのだろう暗く重い姿だ。
思い描いた美しさを捉えるべく場所を変えて撮影すること10ショット。最もお気に入りがこれだ。朝の柔らかな陽射しを浴びる
緑の中に白く輝くこの姿が求めていたものだ。Abbeyの右奥にChurchの姿も見えている。共に静粛な気を感じる。
この姿が拝めれば目的の半分は果たした。後はVictorian Walled Gerdenをと思ったが、ガーデンへのシャトルバスは
10時からの運転だ。建物の一部が公開されていたので一巡りする。ダイニング・テーブルのクリスタルと銀器が煌びやかだ。
こちらはリビングかPlayroomか、ピアノやチェスなどが置かれている。Abbeyに似つかわしくないこの2部屋は公爵の
住まいの状況を表すのだろう。他の部屋にはシスターなどの肖像画が沢山展示されている。実はほとんど興味なしだ。
木立の中を進むとGothic Churchがある。これは公爵が妻の早世を追悼して建てたものだという。何とも妻想いの公爵だ。
ここを手放した公爵の想いが理解できるような気がする。
Gothic Churchに向かって歩いて行くと杖を突いてゆっくり歩くシスターに追い着く。"Good Morning"と声を掛けて追い
抜こうとすると、「どちらから?」と訪ねられる。日本からだと答えると、「日本からきた学生にピアノを教えたことがある。」
と言う。日本からここに寄宿した人がいるとは驚きだ。記念撮影をお願いすると、杖もバッグも放り出してポーズを取ってくれた。
可愛らしい人だ。Gothic Churchは規模は小さいが手の込んだ造りだ。重厚さがある。
Kylemore Abbey Garden
10時前にシャトルバス乗り場に戻ったがバスも人もいない。Galway辺りからのお客さんはまだ到着していないのだろう。
やって来たバスは私達の貸切だ。乗車5分あまりでVictorian Walled Gerdenに到着。このガーデンへはこのルートしかないのだ。
このガーデンは公爵によって造られ、その後荒廃していたが2000年に復旧再開したものらしい。Information Centreは無人だ。
壁のゲイトをくぐりガーデン一番乗りだ。芝の斜面に幾何学的紋様に花壇が配された典型的なビクトリア調庭園だ。
明るい開放的なガーデンだ。スロープを下ると真ん中にCentral Walkが通っている。反対側の斜面を登り振り返れば
反対斜面にシンメトリーに刻まれた抑えた色調の美しい花壇が見られる(写真右から2枚目)。左上が入り口ゲート、
中央上のベンチがお洒落だ。ガーデンの中央に白い花を付けている大きなトロピカルな木はアイルランドの各所で見られた。
下の白い通路がCentral WalkでHerbaceoud Borderに繋がっている。
斜面の上には復旧された白いグラスハウスがある。鮮やかなピンクの花を沢山付けた巨大なベゼラニウムが咲き誇っている。
他にはトマトやメロンが見られた。
スチール製のハンギングが素敵だ。色がベンチやドアーなどと統一されている。植栽は少し痛んできている。
Herbaceous Borderも抑えた色調だ。Kitchen Gardenとの仕切りのヘッジの手前に植栽された草花の高低が実に見事に揃っている。
手入れが行き届いているのでとてもスッキリとしていて爽やかな印象だ。参考にしたい。
よく手入れされた花々をご覧いただこう。決して多くの種類が咲いていたわけではないが一つひとつが印象的だ。 エリンギウムも爽やかだ。ホスタのボリュームが羨ましい。フウロウソウも背丈が高く、後の黄色の花とマッチしている。 カンパニュラの色も形も様々に使い分けられている。
ガーデンを清流が縦断しフラワーガーデンとキッチンガーデンを区分している。清流の周囲は上流では林に囲まれた道、
下流はシダが覆う道が通されている。
キッチンガーデンはHerbaceous Borderやヘッジで4つに区分されている。ガーデン全体の半分を占める大きさだ。
修道院の尼僧や寄宿の学生に供されるのだろう。生活に密着したガーデンだ。
ジャガイモ、そら豆やエンドウなどの豆類、ズッキーに他ウリ類、アスパラガス、アーティチョーク、葉物、ハーブなど見ていて楽しい。
果樹園にはリンゴ、ベリー類、プラム、サクランボ、西洋ナシ、ブドウなど多種多様だ。
可愛いHead Gardener's Houseもガーデン内にある(写真下中央)。
シャトルバスでの往きにオヤッと思ったので帰りに確かめた。この木製の扉がバスが近付くと自動で開閉するのだ。
ただの木戸にしか見えないが優れものなのだ。ここの羊は立派な角を持っている。
Connemara
Abbeyを後にして入る時三脚を構えたカメラマンが陣取っていた場所でAbbeyを振り返ると何と湖面にAbbeyが映えている。
先程のカメラマンの狙いはこれだったのだ。風が止んで湖面が平静になったのか、光が高くなった加減かカメラマンは我慢強い。
私も便乗して1枚。水面に映る姿が美しい。納得の1枚だ。
Kylemore Lough湖畔に素敵な並木道がある。これで3往復目だが通る度に心ざわつくものがある。
木の霊あるいは妖精が宿るのかもしれない。実はこれよりもっと凄い情報を仕入れてあるのだ。
ただし、明日その場所を見つけられればの話だが・・・。お楽しみに。
湖の向こうにはコネマラ国立公園の山がゆったりと横たわっている。湖畔の白い家はホテルかB&Bか。
国立公園ビジターセンターからのダイヤモンド・ヒルの眺望とClifdenのSky Roadは今回は残念ながらパスだ。
今日はいよいよ北アイルランドに入る。今日も長い移動が始まる。
ウエストポート(Westport)
ほぼ1時間でWestportに到着。
通過の予定であったが余りにも美しい街並みに一時停止だ。街の中を流れる川の川べりや橋に花が溢れている。
建物はカラフルに塗られているが、落ち着いた雰囲気だ。暫し河畔をそぞろ歩く。
葬列
CharlestownからN17に入り暫く行くと10台ほど前の車が2、3人の男によって停められた。そして左手の広場から車が次々に
出てきて左折して行く。これらの車はN17に出ても極めてゆっくりと走る。50台程の車が全部出るまで待ちぼうけだ。
先を急ぐ身には少々イライラさせられる出来事だが、N17に出来た渋滞の長蛇の列は静かに待っている。
ようやく動き出したが、時速20kmほどの速度でしか進まない。2、3km進んだところで左折した車列の先頭の車を見て得心がゆく。
葬列だったのだ。先程の広場はコミュニティー・センターと思われるので、
あそこで葬儀があり埋葬に向かっているのかもしれない。子供の頃の田舎の葬列を思い出す。
信仰心の篤いアイルランド人と聞くが、葬列の前には国道の渋滞もものかはなのだろう。アーメン。
グレンヴェー国立公園(Glenveagh National Park)
グレンヴェー国立公園の
Glenveagh Castleがお目当てでやって来た。今日も工事渋滞に見舞われ予定時間を大幅に過ぎているが、Visitor Centre
のお薦めの通り、Glenveagh Castleまで歩くことにする。Visitor Centreに飾ってあったオスの赤鹿の剥製。
園内に出没するらしいが残念ながらこの日は出合えなかった。
湖に注ぐ清流の水は黒いが澄んでいる。泥炭質の所為だ。何とも豊かな森だ。アイルランドでは後ろの山のように平らな山が
多く見られる。特にこの地区には多いようだ。お城の門柱ではおおきなイーグルの像が迎えてくれる。ここに辿り着くまでに
広大な草原の中や黒い水を満々と湛える湖(Lough Veagh)の脇を45分のウォーキングだ。
陽射しは強いが爽やかな風の中、何台ものシャトルバスに抜かれながら歩く道端に見つけた花達だ。白い花と赤い実を 同時に付けたベリーと思われるもの、石楠花、アザミなどが見られる。他に小さな花を付けた名も知らぬ野の花も数多く見られる。
グレンヴェー城(Glenveagh Castle)
イーグルの門柱から緩やかな坂を登りつめると深い林の中にお城が現れる。方形の天守と円形のタワーが湖畔の山の斜面に聳える。
ガーデンへの入り口にも像がある。おおかみ?が花籠をくわえている珍しいデザインだ。
ガーデンは広大なウォールドガーデンだ。城を挟んで湖とは反対の山の斜面に築かれている。中には幾つかのパーツに別れているが、
壁に沿うボーダーガーデンにはデルフィニウム・ルピナス・フロックス・ダリア・アイリス・フウロウソウ・ゲラニウム・
オダマキ・シャクヤクなどが咲き乱れている。
この荒涼とした地にこれだけ花の溢れるガーデンを造る発想と努力に敬意を懐く。
左からシャクヤクと蕾を付け始めたユリ。色とりどりのルピナス。アイルランド旗がはためく天守とフウロウソウ。 ローズガーデンのバラだ。
白はユリ・黄色は?・紫はカンパニュラ。ガーデンの一番高い場所から白いシャクヤク越しに城を望む。咲き乱れるフウロウソウ。 オランジェリーのフクシアのハンギング。青いケシ。
オランジェリー。コテージ。ボーダー。ロビン。愉快な形のトピアリー。
思い掛けないフラワーガーデンを堪能し、帰りはシャトルバスに乗る。バスを待つ間に一人旅の日本人女性と会話する。
コーチツアーで巡っているようだ。今年の旅でも日本人には数回しか出会わなかった。
国立公園(National Park)
アイルランドには国立公園が6つある。
その内既に5つも訪問したのだ。訪れた順に並べてみよう。
◎ Wicklow Mountains ◎ Killarney ◎ The Burren ◎ Connemara ◎ Glenveagh の5つだ。
何とも効率よくというか強行軍というか廻ってきたものだ。残る1つは先程訪れたWestportの北にあったのだが、
今回は見送りとした。
国境 The Border
国立公園を発ったのは既に18時だ。残りの予定は明日に回すことにして真っ直ぐ今宵の宿を目指そう。N13を東に走ると、
英国の北アイルランドとの国境で道路はA2に変わるようだ。アイルランドのBridge Endを過ぎ北アイルランドのLondonderryに
近付く辺りで渋滞気味でのろのろ運転だ。国境を確認するには丁度良いと注意していたのだが、気が付いてみると道路標示は
A2だ。交通標識もお馴染みのイギリスの標識に変わって懐かしい感じだ。結局国境の表示は見つからなかった。
イングランドとスコットランドのボーダーでさえはっきりとした表示があったのに・・・。
和平が安定している証拠と見て良いのだろう。喜ばしい。
ポートラッシュ(Portrush) ダンルース城(Dunluce Castle)
渋滞は続く。B&Bへ「只今Londonderry通過中、到着は20時を過ぎる見込み。」と電話すると、「遅くなるなら途中
Portrushの街の"Harbour Bistro"というレストランで
食事をしていらっしゃい。」とのことだ。Harbour Bistroだけで分かる訳がないだろうと思うが、いずれにせよ途中のPortrush
で食事をしようということで街に入る。何となく進んでいると港が見えるではないか。この辺りかなということで目を凝らすと
港のまん前の白い建物にThe Harbour Bistroの文字を発見。訪ねると行列だ。名前と人数を伝え、2階のBarでギネスを
飲みながら待つ。30分待ちだと言われたが15分で席ができたとのこと。ギネス片手に1階のレストランに戻る。
相当人気の店らしく沢山のテーブルが満席だ。この旅で最も熱気を感じた場所だ。カウンターで飲み物と料理をオーダーし
料金先払いというシステムの店だ。オーダーした料理名は忘れたが、あの喧騒は忘れられない。
Portrushを出てA2を東に進むと左手に
Dunluce Castleが現れた。
既に21時を過ぎでもちろん入場できないが、スケールの大きな城の様子が見られて満足だ。
B&BはNational Trust管理のWhite Park Bay の真上にあった。白い門柱と白い家が緑の木立に囲まれ静かに迎えてくれた。ホストのBobは信頼できるプロを感じさせる男だ。 シャワーを浴びスコッチを傾けつつ明日のスケジュールの見直しをする。遠回りになるガーデンをスキップすれば、 今日パスしたところも廻れそうだ。
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