第6日 6月27日(火) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
Harbour View
Harbour Viewには素敵なConservatoryのリビングがあるのに利用することもなくお別れだ。いつものことだが、かっとび急ぎ旅
ゆえ、折角の施設も使わず仕舞いになる。いずれの日にかのんびりした旅を楽しむこともあろう。
今日の朝食はスモークトサーモンとキッパーにしシェアーした。サーモンの塩味がスクランブルエッグと相俟って美味しい。
キッパーはスモークが少し強く感じる。
朝食のサービスをしてくれた可愛い女の子はアルバイトだという。ランドリーも彼女がしてくれたらしい。お土産の
ストラップをプレゼントすると喜んでくれた。
今日はこの旅で最長の移動となる。地図を眺めても今夜の宿泊地Kylemoreはなんと遠いことかと感じる。
貴婦人の眺め レディース・ビュー(Ladies View)
曇り空の中N71をKillarneyにむけ進む。Moll's Gapは少しガスっているため通過。ここからの下り坂がなかなかの難所だ。
昨日走った限りではRing of Kerryは道路が整備されすぎていてドライブとしての楽しみは少し欠けると思ったが、
どうしてどうして、ここは楽しいルートだ。隣のナビゲーターがノブにしがみついてスピードダウンを指示する。
狭い道幅の物凄い下りとヘアピンカーブを楽しみLadies Viewに到着。
1861年にビクトリア女王がMuckross Houseを訪れた際、女王の侍女たちがこの場所からの眺望を称えたことからLadies View
と呼ばれるようになったとのこと。小さなパーキングスペースに車は一台もいない。車を止め丘を登って行くと何かが動き出した。
何と赤鹿だが2頭ずつ2組、別々の方向に逃げ出した。突然のことでカメラの準備はしていない。残念なことをした。
白いお尻の毛が目に残る。
気を取り直して眺望を楽しむ。写真左はMiddle LakeからLower Lakeの方向を望む光景だろうと思う。2枚目はUpper Lake
とその向こうは昨日走ったGap of Dunloeの山並みだろう。少し霞んでいるが絶景というに値する。
それにつけても赤鹿の姿をカメラに収められず残念だ。ひょっとしたらと思い逃げた方向に進んでみた。すると、木の陰に
姿を発見。母鹿の顔は木の陰で、見えているのは子鹿の顔だ(写真下右から2枚目)。足音に気付いたのか、子鹿は林の奥に
逃げたが母鹿はじっとこちらの様子を窺っている(写真下右)。暫く対峙した後、静かに子鹿の方に去っていった。
立派な角があるという雄鹿は見られなかったがラッキーな出合いだ。
アデア(Adare)
キラーニー国立公園内のドライブを楽しみKillarneyの街を通過。大きな街でひと際目立つのがSt. Marry's Cathedralだ。
車内撮影のみで先を急ぐ。
N22→N23→N21とひたすら北上する。なだらかな丘陵地が続く。どこまでもエメラルドグリーンの素晴らしい光景が広がる。
妻は携帯電話で千葉に住む3歳の孫にこの素晴らしさを伝えようとしている。羊さんや牛さんがいっぱいいると説明しているが
伝わっているのだろうか。
途中ペトロールを補給する。それにつけても高い。1リットル114.9〜120.9ユーロセントだ。
日本円に換算すると170〜180円になる。1ユーロセントより細かいコインはないはずだが必ずコンマ9となっている。
イギリスでは1ポンドに近い値段だった。220円になる。アイルランド最終日には満タンにしてイギリスに渡ろうなどと
せこいことを考えてしまう。
Adareは"prettiest and
most picturesque village"に選ばれた村との情報だ。ただ選ばれたのは30年も前の話で、今では観光化されすぎて
その影はないとの情報も・・・。場合によっては通過と考えていたが、N21沿いに突如現れた人込みと茅葺屋根の家をみて
Uターン、茅葺屋根の家の前に駐車スペースを見つける。19世紀のThached Houseらしいが3棟ほどがちんまりと並んでいる。
後者の情報が正しいようだ。
Adare Manor Hotel
滞留5分で出発。間もなくAdare Manor Hotel
のいかめしいゲイトが右手に現れた。ここの庭が素晴らしいとの情報もあった。ゲイトは閉まっていたが車を乗り着けると
制服を着た門衛が出てきた。庭を見たいと言うと、庭だけを見ることはできないが、コーヒーでも飲めばハウスの周りは見られる
との返事だ。ここからはハウスは見えない。教えられたとおり一方通行の道を進むが迷子になりそうなくらい広い。
川を渡り、ゴルフコースの脇を通りようやくハウスに到着。
立派なハウスだ。写真を撮ろうとするが全体が入らない。駐車場を挟んだ芝の広場を後ずさりしていると、大きな一眼レフを持った
女性が、あの木の下がベストポイントだと指差す。なるほどおっしゃるとおりだ。
先を急ぐとはいうものの、3日目の虻蜂取らずの経験を踏まえメリハリのあるプランを組むことにした。ここはこの優雅な
マナーハウスでお茶にしよう。通された部屋は天井の高いサンクンガーデンが見える部屋だ。他に客はいない。
豪華な部屋を独り占めでコーヒーを楽しむ。
2階に舞踏会が出来そうな大きな広間があった。シャンデリアが印象的だ。ホームページによればウェディングパーティーの
スピーチとディナーの後はテーブルを移動してダンスフロアーにするようだ。
お茶の後はハウスの周りを散策する。ハウスを囲むように素晴らしいゴルフコースが展開している。ため息の漏れる光景だ。 フラワーガーデンはハウスの前に一段低く造られたサンクンガーデンだけのようだ。柘植で幾何学模様を描いたヘッジガーデンと 更に一段下げてローズガーデンがある。バラは盛りを過ぎてしまったが、周囲のベゴニアが鮮やかに咲いている。
モハーの断崖 クリフ・オブ・モハー(Cliffs of Moher)
次の目的地はモハーの断崖(Cliffs of Moher)だ。Limerickの市街は外周道路で避けて通るが渋滞に合う。ようやくN18に入り
順調に流れる。緑の大地に石造りのどっしりしたBunratty Castleが見える。Ennisの街でも立派なCathedralが目に付く。
アイルランド人には敬虔なクリスチャンが多いと聞くが、大聖堂や教会も立派だ。ここでも工事渋滞に合う。
ノンストップで2時間掛かってCliffs of Moherに到着。
荒涼とした岩原の中に広大なパーキングが現れる。どこからこんなに多くの車が来たのかと思うような数だ。コーチも
ズラリと並んでいる。パーキングから断崖への横断歩道には信号まで付いている。大きな工事も行われているようだ。
辺境の地の断崖を期待してきただけに少し気が削がれる。埃っぽいパーキングに駐車しプレハブの売店を通り抜け、信号を渡り、
工事フェンスに囲われた道を大勢の人込みにもまれて断崖を目指す。露店なども出て観光化が著しいようだ。
断崖はスケールの大きなものだ。全長8キロメートルにおよび、最も高い場所では230メートルに達するという絶壁が
大西洋からそそり立っている。今日は穏やかなお天気で風も波もなくのんびりと見ていられるが荒天では怖く感じるだろう。
あまりに穏やか過ぎてモハーの断崖の凄さを感じられないのかもしれない。海鳥が盛んに行き交っている。
立ち入り禁止の場所に入り海を覗いている人がいる。中には背を向けて写真に収まっている人もいて高所恐怖症の私は
背中が寒くなる。写真下左から2枚目で断崖の縁を岬の先まで歩く人が見える。O'brien's Towerが見つからない。
大工事は年間70万人の観光客に対応するVisitor Centreの新設工事らしい。高さ2メートル2階建ての地下施設で展示と
案内所の他にLedge ExperienceやCycloamaやRestaurantやCliff Walkなどが出来るらしい。
世界遺産(World Heritage)
Cliffs of Moherの情報を集めていてここが世界自然遺産に登録されていると記載されたサイトが複数あったが間違いだろう。
私の調査ではアイルランドの世界遺産は下記の二つだ。
☆ ボイン渓谷の遺跡群 Archaeological Ensemble of the Bend of the Boyne (1993) 文化遺産
☆ スケリッグ・マイケル Skellig Michael (1996) 文化遺産
アイルランドの3つ目の世界遺産候補のトップがこのCliffs of Moherであり、そのための工事が行われていると聞く。
観光開発が進みすぎるのも・・・と首を捻る。
アイルランド島の世界遺産としては北アイルランドに
☆ ジャイアンツ・コーズウェーとコーズウェー海岸 Giant's Causeway and Causeway Coast(1986) 自然遺産
がある。
バレン(The Burren)
The Burrenは数億年前の地殻変動で石灰岩が隆起し、
氷河の侵食により石灰岩がむき出しになった荒涼とした丘陵だ。"Burren"の語源はゲール語の「石の多い場所」の意味だという。
「不毛の地」という意味だとするサイトもあるが、どちらでも雰囲気は伝わる。
また、"The Burren"はバレン地域を示すもので「高原ではない」とするサイトもある。うなずける。
The Burrenで最も興味を惹かれたのはPoulnabrone Portal Dolmenだ。2004年の旅で訪れたコーンウォールの
Lanyon Quoitと良く似ている。是非見比べたいと真っ先に訪れることにする。
R478→R476→R480となだらかな丘陵地帯を快適に飛ばす。途中ショートカットを試みUnclassified道路に入り迷路を彷徨った末
R476に戻ってしまう。R476からR480に入った所に
Leamaneh Castle
を発見。この地に何故城が?と疑問が湧く。更に進むとcarran churchの廃墟が建っている。やはりこの地に何故教会が?と
疑問が湧く。更に荒涼たる丘陵を進むとPoulnabrone Portal Tombの標識が出てきた。
何度も写真で見た形がそこにある。思ったより小さいが存在感は充分だ。その形はこの場所に相応しいと感じる
(Lanyon Quoitでは誰が・何時・何のために・どうやってと5W1Hの疑問を抱いたが)。
「巨人のテーブル」と呼ばれるが、何と6,000年前に造られた墓らしい。小高く盛られた石の上に、私の身長ほどの高さの石
(Portal Stone)4つに支えられ3畳ほどの大きさの長方形の石板(Capstone)が少し斜めに乗っている。「巨人のテーブル」
とは言い得て妙だ。ほぼ北を向いているほうが正面らしい(写真下中)。イギリスのStonehengeと同じように夏至の太陽を
計算した方角だという。今は不毛の地といわれるが、当時は高い文明を持った人々が住んでいたのだろう。
日も射し始めこの穏やかな昼下がりでは、おどろおどろしさとか神秘とかは感じられない。
残念ながらロープで囲われていて石を直接触ることは出来ない。
周囲は石灰岩に覆われている。しかし、良く見れば風化で出来たひび割れの間には土が溜まり意外に多くの植物が生えている。
不毛の地というには当たらない。黄・紫・白・赤と色とりどりの小さな花が可愛い。
Burren Perfumery
に照らし合わせてみると、写真上左から2枚目はHerb Robert(ヒメフウロウ)、写真下左はBird's Foot Trefoil(ツメクサ)、
写真上右はHeath Spotted Orchidなどが確認できる。
The Burrenの岩原の中のドライブは続く。あちこちで道路脇に車を止め岩の中に入っている人がいる。詳しい情報を持たない
私達だが、多くの砦や遺跡があるらしい。やはり高度な文明があったのだ。
石・石・石、岩・岩・岩のバレンだが羊や牛も放牧された場所もある。左から2枚目の写真の奥に見える白い丘は石灰岩の
白さだ。近くで撮影したのが右から2枚目の写真だ。情報が少なくCaveやView Pointを捜し歩いて時間のロスし、Galwayへ向け
走るN67では右に白い石灰岩の山を見ながら豊かな緑の丘を走る。時折蒼黒く光る水を湛えた川を横切る。泥炭地帯なのだろう。
川のある風景が美しい。護岸工事がされていない川辺が好きだ。そんな川辺を散策するのも楽しかろう。
Galway Crystal
Galwayの近郊まで来て、新しい道が開通したらしく迷いながらも
Galway CrystalのHeritage Centreに到着。
広いショールームは絨毯が引かれ、照明されたショーケースの中で美しくクリスタルが輝く。じっくり検討の末、
ケルト文様のボールを求める。
ゴールウェイ(Galway)
既に17時を廻っている。イギリスならお店は閉まっている時間だが、アイルランドは別だ。市街地に入り路上に
駐車スペースを見つける。Pay & Displayの発券機を探しているとTIC(Tourist Information Centre)があった。
発券機は工事中のフェンスの向こうにあった。TICで教わったショッピング街(William St.)はケネディー・パークを横切った先だ。
アメリカ大統領のJohn F Kennedyが演説をした場所らしい。極普通の広場だ。
アイルランドならどこでも買えるのだが、出来ればGalwayで求めたいものがある。クラダリング(Claddagh Ring)だ。
結婚指輪の代わりにタイピンを貰って以来、指輪を填めたことはない。しかし、この旅の情報収集の中でクラダリングの
存在を知り、そのデザインが気に入り、妻とペアで填めてみようと思い立った。
最初に見つけた店構えの荘重な宝石店では品切れだという。「他のお店には残っていると思いますよ。」の言葉に送られて
次のジュエリー・ショップに入る。さすがに男物は少ないようだ。幾つか試してサイズの合うものに決める。
妻もデザインを合わせて決め、この場で填めて行くから包装はいらないと言うと、「では、この場で指輪交換をしなさい。」と
言う。他の店員達も集まって囃し立てる。間もなく37回目の結婚記念日になるが初めての指輪交換をする。
18時に近いがWilliam St.は観光客で賑わっている。ビルはカラフルに塗り分けられているが、高さが統一されてる所為か
すっきりしている。ハンギングバスケットやウインドーボックスの花が美しい。
ソフトクリームを求め車の中でほおばりながら到着が20時になる旨B&Bに連絡を入れる。大きい街の常で出口が分からず
大いに迷う。焦って危険なUターンをして対向車からクラクションを浴びる。
クラダリング(Claddagh Ring)は王冠を戴くハートとそれを両側から抱える手というデザインだ。ハートは「愛」、
王冠は「忠誠」、支える手は「友情」を表すという。
その謂れは諸説あるようだが「1700年代初期、ゴールウェイの近くの小さな漁村クラダ村に住んでいたリチャード・ジョイス
という金細工師が、ムーア人の海賊に捕らえられ、ウィリアム王によって解放された時、感謝の気持ちをこめて献上し、
そのリングをヴィクトリア王女が愛用したため有名になった。」という説が一般的らしい。
アイルランドでは庶民の間でも愛の証として、親から子へ伝えられるものとして、また友情のしるしとして、
多くの人が身につけているようだ。
また、どの指にどのように填めるかでもその意味するところが変わるという。それにも諸説あるが、ハートの尖を身体に向けて
填めれば既婚、ハートを外向きに填めれば未婚ということらしい。
カイルモア(Kylemore)
20時過ぎB&Bに到着。大きなベッドの大きな部屋だ。荷物を解くのもそこそこにKylemore Abbeyに向かう。もちろん入場時間は
過ぎているがその姿を一刻も早く見たかったのだ。Kylemore Abbeyは西日で輝く湖の向こうの山に黒く沈んでいる。
紹介のKylemore Pass Hotelは閑散としている。
終始、私達1組だけであった。しかし、料理は美味しい。1品はガーリックマッシュルームだ。あまりの美味しさに
調理法を聞いてみた。ガーリックのみじん切りとパン粉が入っているとのこと、帰ったら作ってみよう。もう1品は
サーモン・マス・ニシン?のスモークの3種盛だ。ボリュームたっぷりでソースも3種だ。付け合せはポテトと生野菜。
湖と山の見える特等席を占拠してゆっくり楽しむ。
食後ようやく暗くなり始めた中、B&Bを通り過ぎてもう一度Kylemore Abbeyを見に行く。その姿は闇の中だった。
それにつけても、今日は良く走った。6年間のイギリスドライブの中でも最長移動距離となるだろう。爆睡。
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