第3日 6月23日(土) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程 Norton Sub Hamdon --- Wilton House Garden --- Heale Garden ---
Bournemouth --- Kingston Lacy Garden --- Norton Sub Hamdon
今日の走行距離 320km
Carpenters
今日は朝の内はまだ雨が降ってはいないが、雲は低く暗い。昨日と同じようなお天気になることだろう。
8時30分、朝食に下りて行くと、Chrisがテーブルを指差す。お土産のランチョンマットを早速使ってくれたのだ。
「色もテーブルクロスとマッチしてとても素敵だわ。」と喜んでくれる。おっしゃる通り、なかなかいい感じだ。
今朝も同じくフルイングリッシュだ。トーストの他にクロワッサンが出た。とても美味しいのでこれも手作りかと思ったら、これはFortnam & Maisonだそうだ。
成型した形で売っており、まとめて買って冷凍しておくのだと言う。前の晩に外へ出しておくと翌朝には丁度いい加減に
発酵し、オーブンで焼くのだと言う。
紅茶もクロワッサンもサービスのあとはAGAのオーブンの上で温めておいてくれる。「温かい方が美味しいものね!」と
細やかな心配りだ。紅茶の足し湯も薬缶で沸騰している。
マーマレードが苦味が利いて美味しい。蓋に手書きで"Seville Orenge"とある。
「Chrisのお手製か? Seville Orengeとはどんなもの?」と訊ねると、スペイン産のオレンジで1・2月に出回る
マーマレード専用のオレンジだという。もちろん手作りで季節に大量に作るのだそうだ。セビリアといえば聞いた覚えもある。
Chrisはクッキングに限らず裁縫など家事が大好きだと言う。昨夜帰省した息子のTomも「お母さんのお料理は美味しいから、
子供の頃は太って困った。」と言う。
鳥取県に2年住んでいたと言うTomとも直ぐ打ち解けてあれこれ話が弾む。鳥取県の中学校で英語を教えていたらしい。
同じく鳥取県の小学校で英語を教えていたのが奥さんのSophiaだ。
Tomは日本各地を旅したようだ。京都・奈良を始め北海道から九州まで回ったそうだ。Japanese Gardenで好きなのは
竜安寺だと渋いことを言う。
Mikeから「今晩このメンバーでCroquetをしないか?」とのお誘いがある。「どこでするのか?」と聞くと、
「玄関の前の芝で。」との返事。”これが英国だ!”と感動し、是非教えて欲しいとお願いする。
一旦部屋に戻り、支度を済ませて出発しようと表に出ると、玄関前の芝にクロッケーのゲートがセットされ
ボールや木槌が用意されていた。好奇心で見ているとMikeが悪戯っぽい顔で「6時試合開始だ。」と言う。
楽しみだ。是非晴れて欲しいものだ。
Wilton House Garden
今日の最初の訪問地はWilton Houseだ。ジェーン・オースチン原作の「プライドと偏見(Pride & Prejudice)」や
「いつか晴れた日に(Sense & Sensibility)」など多くの映画の舞台となったお館だ。
昨年「プライドと偏見」を見た。美しいピーク・ディストリクトの風景が印象深い。豪華絢爛なお屋敷内部には関心は薄いのだが、
映画の舞台となったChatsworth HouseやHaddon Hallの素晴らしいガーデンは2003年に訪れた。
Wilton Houseのガーデンも素晴らしかろうと、エリアからは少し外れているが訪ねることにした。
A303を飛ばすこと1時間、Salisbury近郊のWilton Houseに到着。立派な門構えだ。Visitorは別の入り口から入場し、
脇の門からお館の前庭に入る。塀や壁をクライミングするバラが時代を経たレンガと良く合う。車寄せの前に噴水が上がり、
その前の整形式ガーデンの植栽はハーブが中心だ。ここにはOld Riding Schoolも併設されているようだ。
お館内部はパスしてガーデンに出る。お館に沿って奥行きのあるボーダーが連なる。目を転ずれば広大な芝生の広場に
巨木がゆったりと植えられている。
お館の先に立派な橋が見える。Palladian Bridgeと言うらしい。重厚な橋だが開放されていない。流れる川はNadder川だ。
遠くの林の丘に神殿風の建物が見える。
一旦お館に戻り、お館前から真っ直ぐに伸びる道を歩く。途中に2000年を記念した水の落ちるモニュメントなどがあり、
突き当りがWhispering Seatだ。一方の端でささやいた声が反対の端で聞き取ることができる構造だという。おもしろい。
Whispering Seatの脇からキングサリのアーチが伸びている。その先にもオブジェがあり、
小山のように植え込みされたガーデンがある。フウロウソウや潅木の小道があり、芳香を放つ白バラのアーチが重たげだ。
護岸されていないNadder川は豊かにゆったりと静かに流れている。対岸にはボートハウスも見られる。
次に現れたモニュメントはEgyptian ColumnとLoggiaだ。土台と柱はエジプト花崗岩で柱の上の銅像はヴィーナスだ。
コラムは17世紀、ロッジは19世紀に造られたものだ。壮大なランドスケープだ。
Whispering Seatを反対側に行くとRose Gardenだ。黄色のハニーサックルと真っ赤なバラがビビットだ。
その先がWater Gardenとなっているが、どうやら日本庭園を模したものらしい。パンフレットによると
赤い太鼓橋はestate carpentersによって造られたとある。設計もestate Gardenerによるものであろう。
”庭師の国”イギリスのガーデナーをして異国のガーデンを造るとなるとこんな”もどき”に陥ってしまうのだ。
気候が違えば植物も違ってくるし、灯篭などのオブジェの使い方もお門違いになりかねないのだ。
ガーデン陽だまりでも他山の石としよう。
Water Gardenのアスチルベが美しい。色も何種類か見られる。陽だまりにも取り入れたい草花だ。
広大な敷地の巨木の陰から荘重なお館や建物が見え隠れする。Adventure Playgroundの長い滑り台で遊ぶ子供達の歓声が響く。
Wilton Houseのショップで買い物をして表に出たら大雨だ。降りしきる雨の中、Salisburyの北に位置するHeale Gardenに向け走る。
この雨の中でも羊さんはお食事だ。今日の草は水っぽいかもしれない。
ガーデンに着く頃には晴れてくれると期待したが、止んでくれない。
どうやらMikeが貸してくれたおきな傘が役に立ちそうだ。
昨晩一旦お返ししたのだが、「明日も必要になるよ。」と受け取ってくれなかったのだ。
Heale Garden
パーキングからPlant Centreを抜け、粗末な平屋の建物が受付兼ティールームだ。丁度昼時、雨宿りがてらランチタイムを
楽しむ人が多い。
Plant Centreとしても有名らしい。傘を差して物色する人が大勢見える。Plant Centre脇の木戸を開けてガーデンに入る。
点在する大木の間を木立と潅木で覆われた緑豊かなウッドランドだ。
果樹園の中にリンゴの木で作られたトンネルがある。苔むした古木はこのガーデンの歴史を感じさせる。
ボーダーも植栽も緑厚く深い。Walled Gardenの真ん中に古びた日時計があった。この旅では沢山の日時計を見た。随時紹介していこう。
果樹園を囲む壁も厚く古い。這い登るバラやフジも年輪を感じられる。
お館のテラスのフェンスも苔むして歴史を感じさせる。ここから先はPrivateだ。16世紀に建てられたというお館は工事中だ。
いまもじっさいにRasch家の住居だというが人影は見えない。
果樹園の脇にあった建物にはテラスのベンチで読書をする人の姿が見えた。週末ののどかな時間だ。
River Avonの支流がガーデンの片隅を二重に流れている。近寄ると水鳥が一斉に飛び立ち、もう一方の流れへ飛んでいった。
鱒が釣れそうな雰囲気だ。
ここにも日本庭園があった。こちらは幾らか本格的といえるだろうか。それにつけても、どうして橋を赤く塗るのだろう。
Nikko Bridgeと説明されているが"日光”のことだろうか。
19世紀に作ったという茶室(Japanese Tea house)は川の上に建てられているが、藁葺きで本格的なものだ。
(情報では日本から職人を呼んで造らせたらしい。t現在は茶室には入れない。)周囲には紅葉や楓、灯篭が配されている。
泉水庭園というところか。
もう一つのアーチはキングサリやクレマチスやハニーサックルなどで濃密に覆われている。緑豊かな公園だ。
帰りはもう一度Plant Centreを覘く。持って帰れないと分かりながらつい覘いてしまうものだ。
not for saleの珍しい草花に魅入る。
雨は降り続く中、Bournemouthに向け走る。A345に出て、Salisburyの外周道路を経てA338を南下すれば良いのだが、
A345が見つからないままSalisburyの街に入ってしまう。南西方向に見当をつけて走る内に、ようやくA345に出合う。
右手にイギリスで最も高い大聖堂を眺めつつ工事と週末が重なり渋滞する外周道路を進む。A338に入りスムーズに動き出す。
ところが大失態だ。RingwoodでA31と重なるところで、右左を間違えて右へ曲がってしまった。気付いた時には
Uターンしようにもランドアバウトがないのだ。それもそのはず、New Forest National Parkの真っ只中だ。
おまけに、正にバケツを逆さにしたような雨で片側2車線の道路の車が止まってしまう有様だ。
A31を下りる道があったので下りてみたがUターンは出来そうもない。しばらく先に進んでみると馬が放牧されていた。
子馬も沢山いる。結局元に戻り、M27のジャンクションまで行ってUターンして引き返す。
往復30km以上、小1時間のロスだ。
Bournemouth Eye
Bournemouthのお目当ては”Bournemouth Eye”
という熱気球に乗ることだ。熱気球と言ってもロープで繋がれていて高さも500フィートだという。それでも是非乗ってみたい。
元々高所恐怖症ではあるが、テレビなどで見るにつけ熱気球には一度乗ってみたいとかねがね思っていたのだ。
この雨でも飛ぶのかどうか心配だ。Bournemouthの街が近付いたところで電話を入れてみる。今は雨で休止しているが、
今後のことはまだ分からないという返事だ。
街に入った頃にはさっきまでの雨が嘘のように陽が射してきた。吾が晴れ男ぶりに満足は良いが、大きな街のパーキング探しは
いつもながら苦労する。道路標識はしっかりしているから、パーキングは見つかるのだが、Bournemouth Eyeに近いパーキングは
どこも満車だ。行ったり来たりしている内にトイレに行きたくなった。ペトロール・ステーションを見つけぺトロールを入れ、
トイレを借りようと思ったら、トイレはないという。そんな非情なことがあろうか・・・。
(この旅ではもう1ヶ所同様なケースがあった。大きな街のペトロール・ステーションではこんなこともあるのだ。)
必死の我慢でパーキング・スペースを見つけ、パーキングの隣のホテルに駆け込みトイレを拝借。ホッとしてテラスを見ると、
結婚パーティーのカンパイが始まったところだった。トイレ借用のお礼に帰りにクリームティーをしよう。
先程の非情なペトロール・ステーションでもそうだったが、街行く人に訊いてもBournemouth Eyeではとおりが悪い。
余り認知されていないのかも知れない。「Balloon! Balloon!」と説明すると「オオ! あれか。」と言う程度だ。
(そう言えば、B&Bの二人もその存在を知らなかった。ホームページのコピーを見せたらビックリしていた。)
揚がっていれば150メートルの高さだから見えるはずだ。どうやら期待薄と思いながらも尋ね尋ねてようやく探し当てる。
案の定、Balloonは地上に固定されたままだ。受付とかチケット売り場が見当たらない。電話をして問い合わせると
「今日は天候が悪いので中止だ。」と言う。こんなに良いお天気に回復したのにどうして? さっきの電話の返事は何だったの?
疑問は湧くがどうなるものでもない。明日のチャレンジとしよう。
となれば、空いた時間でガーデンをもう一つ訪れよう。ホテルでのクリームティーも明日に伸ばし、
公園の売店のソフトクリームを楽しむ。向こうの建物から音楽が聞こえる。なにやら音楽会が開かれているらしい。暫し鑑賞。
Kingston Lacy Garden
この17世紀からの邸宅はナショナルトラストのプロパティーである。入り口で素晴らしいバラと時計塔に迎えられる。
ガーデンに入るとそこはSouth Terraceだ。鮮やかな黄色のバラの植え込みの中に、金色に輝く日時計が鎮座している。
日時計その2だ。
お館の方でコーラスの歌声が聞こえる。階段をステージに着飾った紳士淑女が伴奏もなしに歌っている。いい声だ。
正面で熱心に聴いている女性に訊ねると年に一回の行事らしいが詳細は聞き取れなかった。
テラスから1段下がって広大な芝の広場South Lawnが広がる。
広場の西側に美しい姿の松の巨木が青空に映える。
お館の東側には整形式ガーデンがある。ベゴニアが育った姿を想像したらコーンウォールのLanhydrock Houseを思い出した。
芝の上をチョロチョロするリスに引かれてローンの端まで歩く。その先は更に広大な牧草地だ。
明日Bournemouth Eyeに再チャレンジとなれば、明日の予定のガーデンを一つ訪ねてしまおう。
という訳でLytes Cary Manor Gardenに向かう。B3082 → A350 → A357と乗り継いで、A303に入る予定だった。
ところが途中で渋滞に嵌った上、何とA357からはA303に繋がっていないのだ。
予定外の事態に地図を広げて勘案する。Lytes Caryを諦めてB3153 → B3165とB道路を進めば昨日のゴルフ場に出ることを発見。
B道路ドライブを楽しむことにする。時間も6時丁度くらいにB&Bに帰れそうだ。
写真右はドライブの途中で出合った並木道。昨年訪れた北アイルランドのDark Hedgesを彷彿させる。
Dark Hedges程の古木ではないが、距離も長く手入れも行き届いている。もう一度引き返したくなる道だ。
Croquet
週末の所為だろうか空いているはずのB道路が混んでいてB&Bに戻ったのは6時ぎりぎりだ。
朝、玄関前にセットされていたクロッケーのゲートなどが片付けられている。
もっと早く戻るべきだったかと反省しつつ玄関を開けるとMikeを始め4人が笑顔で迎えてくれる。
「雨に降られて大変だったね。バルーンには乗れたか?」と、矢継ぎ早の質問だ。「お蔭でMikeの傘が役立った。
バルーンは明日再チャレンジだ。」と答える。「クロッケーをするか?」の問いに「是非!」と答えると、
「部屋に荷物を置いてくる間に準備をする。」と言う。どうやら待っていてくれたようだ。
木槌(マレット)もボール(青・赤・黒・黄)も4つある。ゲート(フープ)は6ヶ所だ。
そして、真ん中にペグと呼ばれる杭が立ててあるボールと同じ色で塗り分けられている。
簡単にルールを説明してもらう。6つのフープを2周して、最後にペグに当てて終了らしい。その順序を競うもののようだ。
マレットでボールを打つフォームに驚いた。ゴルフ発祥の地だから当然ゴルフのパターの要領(日本のゲートボールのように)
かと思ったら、ボールを開いた両足の間に置き、股の下でマレットを振ってボールを打つのだ。なかなか難しい。
フープを通過した時は続けてもう1度打てる。また、相手のボールに当てた時は、自分のボールを相手のボールに接触させて打ち、
相手のボールを好きな方向に動かした後、もう1度自分のボールを打てるのだ。この時敵のボールは意地悪に、
味方のボールは親切に動かすのだ。Mikeは自分が人のボールに当てた時は、思いっきり意地悪に人のボールを飛ばすくせに、
自分が当てられた時は「You are kind.」だの「You are tender.」だのと言って手心を乞うて笑わせる。
それを受けたChrisは、Mikeのボールを親切な方向に打つと見せかけてとんでもなく強く打ってあらぬ方向に飛ばしておいて、
「あらゴメンナサイ! 手がすべったわ。」と澄まし顔で言って皆でお笑いだ。
1ゲーム目はChrisのこの援護でTomと組んだ私のチームが1位となる。ChrisとSophiaのチームが2位、Mikeと妻のチームが最下位だ。
ここでMikeが「喉が渇いたが飲み物は何にする? 紅茶かコーヒーか? ワインかビール? スコッチもあるぞ。」と言ってくれる。
遠慮なく白ワインをお願いすると、Tomがキッチンに走りシャンパンを持ってきた。威勢良く栓を抜きグラスに注いでくれる。
初めてのクロッケーで興奮した喉に心地良い。陽もようやく傾き、木陰を渡る風も爽やかだ。本当に良い経験をさせていただいた。
Mikeがもう1ゲームしようと言い出し、今度はMikeと妻、Chrisと私、TomとSophia夫妻の組み合わせで試合開始。
Chrisが予約してくれたレストランの予約時間が迫ってきたので、6つのフープを1周したハーフで試合終了する。
今度はMikeチームが1位でMikeもご機嫌だ。
クロッケーはゲートボールの元祖で野球の元祖と言われるのがクリケットだ。
参考までにそれぞれの日本の競技協会の公式サイトを紹介しよう。詳しいルールなどはこちらをご覧ください。
”日本クロッケー協会” ”日本クリケット協会”
The Cat Head Inn
今日のお薦めのレストランは隣村Chiselboroughのインだ。大縮尺の地図を貸してくれて説明してくれる。
私の見たところでは一度A道路に出て村に入ったほうが早いと思われるのだが、MikeもChrisもUnclassfied Road
での丘越えのルートを勧めるのだ。言われた通りのルートで正解、野ウサギやキジに出合うことが出来た。
小さな村のインの周辺は車で溢れている。何とかスペースを見付けパーキング。店内も盛況だ。
お薦めはSea foodだ。先ずはビールを飲みながらメニュー選びだ。この辺りも慣れてきたものだ。
難しい単語は電子辞書で調べ料理を想像する。今日のオーダーは
・ Field Mushrooms Topped With Garlic & Stilton.
・ Salmon & Prawn Fishcake With Coriander Mayonnaise.
・ Grild Whole Lemon Sole With Darsery Butter. の3点だ。ビールの後は白ワインに替え、どれも美味しくいただく。
今年の旅で感じたことは生野菜がたっぷり付いてくるようになったことだ。満腹・満足。
8時から1時間半食事を楽しんでも、帰り道は明るい。またまた野ウサギと遭遇。
写真たっぷりの旅行記をご覧ください
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