第9日 6月29日(金) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程 Etchingham --- Denmans Garden --- Leonardslee Garden --- Nymans Garden ---
Sissinghurst Castle Garden --- Bodiam Castle --- Etchingham
今日の走行距離 273km
Denmans Garden
今年の旅も大詰めを迎えた。今夜一晩限り、明日の夜は機内だ。
今朝もWiltshireとScotlandのご夫妻の賑やかな会話の中で朝食を済ませスタートする。
デンマンズまではロングドライブだ。あの池のほとりに佇んでいた少年像を思い浮かべつつ、A27をひたすら西進する。
5年前のデンマンズは様々なオブジェやオーナメントがガーデン各所に隠されている、との印象だったが、入場してビックリ。
いきなりオブジェやオーナメントがゾロゾロ並んでいる。ショップが拡張されていたようだ。
奇妙なものからメルヘンチックものまで日本に連れて帰りたくなるものばかりだ。
そして、リーズナブルなのだ。値札を見ては妻と顔を見合わせ、羨望のため息をつく。
こんなオーナメントがあるとガーデンのデザインも沸いてくるというものだ。
ガーデンは雨上がりの所為もあるだろうが、5年前のワイルドな印象より更に個性的になっている。
濃密な緑の中をゆったりと通路が弧を描いている。これに比べると陽だまりは箱庭的になってしまったとの反省も浮かぶ。
池のほとりではあの少年が今日も水面を見つめ、物思いに耽っている。。もう一人いたはずの少年の姿が見えない。
潅木と大型の草木が多用されている。花の色より葉の色や形を活かした植栽だ。ジョン・ブルックス氏の個性なのだろう。
この厚い植栽を陽だまりで実現するには色々と問題がありそうだ。現段階では”今がベスト”としておこう。
この旅であたりの花は紫陽花だ。今日は雨上がりだけに一段と鮮やかに輝いている。
Leonardslee Lakes and Garden
レオナーズリーは私がガーデン選びの強い味方にしているサイトで評価の高いガーデンだ。期待してやってきた。
Lakes and Gardenというだけに7つの湖を持つ広大なガーデンだ。見え隠れする湖を眺めながら幸いに、まだ残っている石楠花の森を歩く。
お屋敷の周りのなだらかな丘には紫陽花が満開だ。見事な色の競演だ。
納屋であったらしい建物の壁のハンギングバスケットが素晴らしい。こんな大きなものを我が家の壁に吊るしたら家が傾く。
中庭にはアイアンアートというのだろうか、針金や鋼鉄製のオブジェのガーデンが見られる。
建物に入ってビックリク、ララシックカーの展示がされている。”Collection of Victorian motor cars (1883 - 1900)”とある。
保存状態なども非常に良いようだ。展示だけでなく、イベントなどでは動かして楽しむのだろう。優雅なことだ。
その先にはDolls houseが展示されている。”Miniature 1/12th scale estate of a century ago”とある。
1世紀前のこのエステートの様子を表しているのだ。とても活き活きとしていて雰囲気が良く伝わる。
様々なシーンが表されている。その数も半端でなく、時間を忘れて見入る。
Nymans Garden
ナイマンズ・ガーデンは19世紀の末にその歴史が始まる、比較的新しいガーデンだ。広さは600エーカーというが実感できない。
メッセル家が3代にわたりプランツ・ハンターを支援し世界中から集められた貴重な植物がコレクションされている。
それ故に、ナショナル・トラストが保存すべきガーデンとして最初に管理したガーデンだという。
ボーダーの植栽は厚く、ワイルド・フラワー・メドウの先にも様々な巨木が林立している。
スタンダード仕立てのフクシアは5年前より一回り背が伸び、幹も太くなったようだ。垂涎し溜息あるのみだ。
2代目夫人が収集したオールド・ローズのアーチにはかろうじて花が残っていたが、ローズ・ガーデンは残念ながら盛りを過ぎた。
サマー・ボーダーの夏花にはまだ少し早いようだ。それぞれのガーデンの盛りに中るには現地に住むしかない。
華やかな白いベンチはニューフェースのようだ。フォーカルポイントとなることだろう。
サマー・ボーダー入り口のゲイトは5年前と変わらぬ佇まいだ。イチイのランタン型(王冠と間違えていた)のトピアリーも変わらない。
イタリア・ベローナ産の赤大理石の噴水も健在だが、水の噴き出し口は良く見ると不気味だ。
このサマーボーダーも植えたばかりだ。それだけに端正な植え込みが良く分かり勉強になる。
廃墟の前の広い芝生広場に巨木が聳え立つ。プランツ・ハンターが持ち帰ったレバノンスギで今は絶滅危惧種になっているらしい。
ランタン型トピアリーの左の白い木は日本から運ばれた山法師かもしれない。これもプランツ・ハンターの仕事だろう。
1947年の火事で消失した邸宅の廃墟も良く管理されてる。植物と渾然一体となってかもし出す雰囲気はなんとも言えない。
"Monkey Puzzle Tree"が"Climate Change Puzzle"。洒落ている場合ではない。モンキーパズルの木がまっ茶色だ。
気候変動により枯れ始めているようだ。ナショナルトラストのガーデナー達の危機感と決意が伝わる。
アガパンサスの大きいこと並でない。このトピアリーは形としても面白いし、日照や風通しにも良いだろう。
Sissinghurst Castle Garden
”世界中のガーデナーの聖地”ともいわれ”イギリス人が最もあこがれる庭”と称されるシシングハースト・カースル・ガーデンだ。
5年ぶりに最も楽しみにしてきたガーデンだ。遠くから懐かしのタワーが見え心躍る。駆け出したい気分だ。
作家のヴィタ・サックヴィル・ウエストが廃墟となっていた城を購入し、夫のハロルド・ニコルソンと共に庭を築き始めたのは1930年だ。
邸宅の真ん中にあるエントランスのアーチを抜けると、邸宅とタワーとレンガの壁に囲まれたフロント・コートヤードだ。
一面の芝の中にイチイの大木が4本、そして、周りはボーダーだ。ブルーやパープルの色彩が見事な植栽だ。
真っ先にホワイトガーデンに行く。5年前は6月11日に訪れた。しかし、ホワイトガーデンの中央のアーチのバラには早すぎた。
正直なところ、今年はこのバラに標準を合わせて日程を組んだのだが・・・。残念ながら僅かに白い花を残すのみで茶色の花殻に覆われていた。
今年は温暖化の所為かどこでも、どの花も花期が早いようだ。それはそれでまた、別の花が見られるというものだ。次の機会を楽しみにしよう。
ホワイトガーデンの片隅のシルバーリーフの木陰に女性像が秘かに佇んでいる。
ホワイトガーデンから整然と刈り込まれたイチイの通路(Yew Walk)に通ずる。ここを通ってローズガーデンに向かう。
ローズガーデンも生憎花はほとんど終わっている。シシングハーストはヒドコートマナーのアウトドアー・ルーム・ガーデンの流れを汲む。
したがって、イチイやレンガで仕切りがされている。そんな入り口から次のガーデンを覗く時のワクワク感が堪らない。
右の写真はローズガーデンのロンデルを通して先の女性像を望む図だ。
写真左はローズガーデンからフロント・コートヤードのイチイの大木を望むの図だ。
バラは終ったがクレマチスが満開で迎えてくれる。Lutyens' Benchだ。目が覚めるような鮮やかさだ。
ローズガーデンと言っても植栽は多様だ。バラはなくともこの美しさ、とても真似ができない。
ローズガーデンに隣接してコテージガーデン(Cottage Garden)がある。このガーデンのテーマはyellow & orangeだ。
ビビットな黄色・橙色・赤色の草花で覆いつくされている。中央には4本のIrish Yewsががある。
ローズガーデンとの境界のブロック塀越しのタワーの眺めも素晴らしい。
コテージガーデンからお堀(モート Moat)までの通路がモート・ウォーク(Moat Walk)だ。起点はイチイの生垣に囲まれLutyens' Benchがある。
今は緑一色のモート・ウォークだが、季節には左手にアザレア、右のレンガ塀からは藤が覆い被さるらしい。
遠くに見えた像はお堀の対岸にセットされている。心憎いデザインだ。
モート・ウォークの終点の右手がハーブ・ガーデンだ。入り口の前庭にタイムの絨毯(Thyme Lawn)が広がる。
小ぢんまりしたハーブ・ガーデンには沢山の種類のハーブが植栽され芳香を放っている。
中でも気に入ったのはタイム・ベッドとタイムのベンチ(solid platform)だ。
この2つを5年前に見たときから秘かに構想していた”タイムベッド付きベンチ”を陽だまりで手作りした。
モート・ウォークと平行するナタリー(Nuttery)を折り返す。Nutteryの意味が分からない。電子辞書では精神病院と出た・・・?
検索したが極めて少ない情報から植えられているのはセイヨウハシバミでその実(へーゼルナッツ)のなる所と解釈しておこう。
立ち並ぶセイヨウハシバミの木陰の芝の道を下草など眺めながら進むとライム・ウォーク(Lime Walk 写真左から2枚目)に出る。
このライムは柑橘類のライムではなくシナノキのことだ。この並木の両側は春には様々な球根が咲き乱れるらしい。いつか訪れてみたいものだ。
もう一度ローズガーデン(写真右)を通ってTower Lawnと呼ばれるタワーの前庭に出る。
この芝の片隅に奇妙な花を見つけた。Puya Alpestris(写真左)の緑色の花だ。造花といわれても納得しがたい色形だ。
今日はタワーを最後のお楽しみに残した。懐かしい螺旋階段を登って最初に確認したのがローズガーデンのロンデルだ。
このロンデルのイメージを陽だまりにも再現しようと試みた。陽だまりの
ロンデルも5年もすればそれらしくなるだろう。
次に目が行くのはコテージガーデンだ。こんなコテージで日々ガーデニング三昧が多くのイギリス人の憧れなのだ。Me too !
ホワイトガーデンには否が応でも目が行く。このCanopy(中央のアーチ)のRosa Mulliganiiの満開にいつかは行き当たろう。
こうして上から見るとローズガーデンの植栽の厚さ・高低が良く分かる。レンガの壁もほとんどレンガが見えないくらい植物に覆われている。
白い煙突はビールのホップを乾燥するサイロの屋根でケント地方では良く見かける。オースト・ハウスと言うのだそうだ。
このオースト・ハウスが改装されヴィタ・サックヴィル・ウエストとハロルド・ニコルソンに関する展示がされていた。
Front CourtyardのPurple Borderの植栽の厚さにも驚かされる。壁の向こうはデロス(Delos)と名付けられたガーデンだ。
デロス(Delos)はエーゲ海の歴史ある小さな島らしいが、何故その名がつけられたのかは知らない。木々の下には珍しい宿根草が多い。
シシングハーストは私を刺激するガーデンだ。再訪を誓いタワーに別れを告げる。
Bodiam Castle
シシングハーストを発ったのが18時。この旅最後のディナーは5年前と同じくThe Curlewと決めている。シシングハーストから僅か10分で到着。
しかし、いぶかしがる妻を尻目に素通りして左折。まだまだ陽は高い。情報は沢山仕込んであるのだ。その一つを訪れよう。
それが英国でもっともロマンティックなお城の一つと言われるボディアム城だ。1385年に建てられ、現在はナショナルトラスト管理の城だ。
見渡す限り緑の平原で心細くなるような駐車場には車が1台だけだ。マウンドの先に見える城を目指す。
先客は3世代のファミリーだろうか、子供が歓声を上げて走り回っていたが、いつの間にか姿を消した。
静寂の中、満々と水を湛えた濠に美しい姿を浮かべる。城の外観は方形で完全な形で残されている。
フランスの侵略に備えて建てられたが一度も戦うことなく残ったようだ。静かな贅沢な時間が流れる。
The Curlew at Bodiam
時刻も19時。今日も昼食はレオナーズリーでアイスクリームとクッキーで済ませたきりで腹ペコだ。
マスターも奥さんもしっかり覚えていてくれた。黙っていても指定席に案内してくれた。 今日は3コースをオーダー
Startersは
・ Crab,Langoustine and Coriander Risotto
・ Ham Hock and Pasley Terrine with Homemade Piccalilli
Main Coursesから
・ Local Rump of Lamb with Horseradish Polenta Braised Root vegetables and Beetroot Jus
・ Fillets Monk Fish with Confit Potatoes Courgette Sabzi and Saffron Milk Foam
Dessertsは共に
・ Vanilla and Lemon Pannacota's with Black Cherry and Raspberry Sorbet
前回のリゾットの美味しさが忘れられず、もう一度オーダーしたら、盛り付けを変えて出してきた。やはり一級の味だ。
その他のメニューもメインの食材やソースはとても美味しい。食器も盛り付けもとてもセンスが良い。Saffron Milk Foamも斬新だ。
しかし、付け合せのHomemade Piccalilli、Braised Root vegetables、Courgette Sabziは初めて口にしたが、美味しいとは言えない。
満席で大忙しの中だが、奥さんもウェートレスもなにくれとなく声を掛けてくれる。心地良い時間を過ごす。
帰り際に「また5年後に来るよ。」と言うと、「そう言わず、明日にでも待ってるよ。」との返事だ。
できればそうしたいものだ。しかし、この店にはまたいつかきっと訪れることだろう。
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