第4日 6月24日(日) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程 Norton Sub Hamdon --- Athelhampton House Garden --- Hardy's Cottage ---
Osmington White Horse --- Ashton Farm --- Greenings --- The Giant ---
Sherborne Castle Garden --- Stembridge Tower Mill --- Norton Sub Hamdon
今日の走行距離 285km
Carpenters
今朝も変わらずフルイングリッシュブレックファストだ。だからといって、厭きる事はない。
Mike達の姿が見えないと思ったら、3人で日曜のミサに出かけているとのことだ。
Chrisと昨日のクロッケーの楽しかったこと、夕食が美味しかったことなど、おしゃべりをする。
フィッシュ・アンド・チップスは食べたかと訊くので、毎年英国第一夜に食べていると話すと、それは良かったと喜んでいる。
しかし、イギリスでは政府の奨励でフィッシュ・アンド・チップスを食べなくなったのだそうだ。
メタボリック・シンドローム予防のためだ。
交通取締りが強化されている話になる。Chrisは50mph規制の道を15マイルオーバーでポリスに捕まったそうだ。
「ポリスは90マイル以上で走るくせに、たった15マイルで・・・。」と嘆いている。
「私もいつも90マイル以上で飛ばす。」と言うと、「それはいけないわ。安全運転しなければ。」と言う。
自分だって捕まったくせに。でも、忠告通り気をつけよう。
Mike達がミサから帰り賑やかになる。沢山の友達に会えたと喜んでいる。クロッケーのお礼を言い、TomとSophiaにお土産を渡す。
Tomには小さな印伝の巾着がついたキーホルダーだ。印伝とは鹿皮に漆で紋様を施したものだ。Tomには「うるし」が理解できた。
Sophiaには縮緬の小さながま口だ。コインケースとして用途は理解されたようだ。縮緬について若干解説する。
二人は午後にはロンドンに帰るとのこと、お別れをし、いつもより1時間遅く出発だ。今日もMikeの大きな傘が活躍しそうだ。
車内から携帯でBournemouth Eyeに問い合わせると「今日は雨天のため運転中止」だとのこと、残念無念!!!次の機会としよう。
Athelhampton House Garden
気を取り直してやってきたのはDorchester近郊のAthelhampton House Gardenだ。
入り口左が茅葺のCoach House、芝に挟まれた通路の正面に15世紀のCountry Houseが小ぢんまりと建っている。
その右側にガーデンが広がっている。雨が降りしきる所為ではなかろうが、水の庭の印象を受ける。
というのは、噴水や池が至る所に見られるからだ。そして、沢山の彫像も見られる。
幾つかに仕切られたアウトドアルーム・ガーデンのスタイルだ。彫像の足元のタイムベッドは妙案だ。
The Coronaと名付けられた庭。古びたレンガの壁は正に光冠だ。後のイチイの生垣も足元の植栽も見事だ。(左から2枚目)
ボーダーの植栽も良く手入れをされている。オーナメントやファーニチャーも年代を感じさせる。
メインはThe Great Courtというサンクンガーデンだ。周りのテラスから見下ろせる芝の広場の中央に噴水が築かれ、
12本の巨大なピラミッド型のイチイのトピアリーが囲んでいる。スケールの大きなガーデンだ。(写真右)
雨宿りがてら室内も見学する。3階の窓からガーデンが見渡せる。グレート・コートのイチイのトピアリーが目に付く。
The King's Roomの豪華さとベッドの小ささにビックリさせられる。
お館の裏に回ると壁を這う素晴らしいバラに出合えた。マイガーデンもこんな風に出来たらと願う。
鳩小屋の壁にも美しいバラがクライミングしている。屋上にも小屋の中にも白鳩がひしめいている。
Hardy's Cottage Osmington White Horse
次はナショナルトラスト管理のHardy's Cottageだ。小説家・詩人Thomas Hardyの生家だ。
トーマス・ハーディーの作品については何も知らないが、コテージ・ガーデンを見たくて遣ってきた。
パーキングから森の中を歩くこと10分くらいでコテージの裏手に出る。
道路脇にハーディーのアメリカのファンが建てたモニュメントがあり、1840年ハーディーがここで生まれたと記されている。
コテージの前庭は草花が生い茂り、静謐で自然な趣がいかにもコテージガーデンだ。 壁をつたうバラも華やかさはないが豊かさを感じさせる。
1800年にハーディの曾祖父が建てたという家は天井が低くさほど大きなものではない。
イギリスにはミステリアスなものが沢山ある。それらを訪れるのも楽しみだ。今日はOsmington White Horseに遣ってきた。
Weymouth湾に面した羊が草を食む牧草地や麦畑の上の急斜面に刻まれたホワイトホースだ。長さ280mあるという。
ユニークなのは人が跨っていることだ。他には例がないという。
元は馬だけだったが、1789年ジョージ3世がWeymouthを訪れたのを記念してジョージ3世を付け足したという説が有力なようだ。
また、ハーディーの小説にはトラファルガーの戦いの勝利を祝うためにつくったと書かれているという。
拡大写真で見るとホワイトホースの中に白く見えるのは羊でなく、Dorset Countryside Ranger Serviceの人だ。
驚いたことに、「この日、ジョージ3世とその愛馬が手入れ(gets a 'grooming' )された。」との情報を帰国後ネットで知った。
こんな思いも寄らぬ珍情報に出合えるのも、旅行記を記すための情報集めがあるからだ。愉快だ。
Goulds Garden Centre
相変わらず雨が降り続く。次の目標に向けて走行中Goulds Garden Centre
の看板を見付けUターンする。
大きなガーデンセンターだ。プランツのコーナーでは陽だまりに植えたい草花の名前をチェックし、種を探す。
ガーデン・ファーニチャーのコーナーには陽だまりに持って帰りたいものがリーズナブルな価格で並んでいる。
当然持ち帰られるわけもなく、写真に収めて手造りの参考にする。ため息が出る。
可愛いフェアリーを見つけゲットする。まだまだ見たいがキリがないのでほどほどに切り上げる。
もう一つミステリアスなものを訪ねたい。地図を見ると02年の旅で訪れたHardy Monumentの近くに
スタンディング・ストーンのマーク(凡例にPrehistoric monumentとある)が並んでいる。Nine StonesとKingston Russellだ。
地図上で見当をつけてUnclassified道路をショートカットしていて、上のガーデンセンターに出合うし、
右のような景色にも出合う。牧草地や農耕地が雨に霞んで幻想的だ。これがカントリーサイド・ドライブの醍醐味だ。
さて、用意した2万5千分の1の地図の上では、確かにその地点に到着したのだが、何も見当たらない。
人気もなく、たまに通る車は雨しぶきを上げて通り過ぎるだけだ。行き来すること3度、諦めた。
Ashton Farm
今年の旅で新しく企画したことの一つにナショナル・ガーデン・スキム(National Garden Scheme
NGS参照)の訪問がある。
過去にNGS登録のガーデンには何度も訪れたし、宿泊もした。しかし、オープン当日に訪れた機会はない。
今年は是非オープン当日に訪れたいとイエロー・ブックを取り寄せた。憧れの1冊だ。
ところが案内を見て分かったことは、オープンはほとんどが日曜日だということだ。今回の旅では今日しかないことになる。
今日のオープン・ガーデンでロケーションが合致したのがAshton Farmだ。先程Nine Stonesへ行く途中で場所は確認できていた。
しかし、これまた今回分かったことだが、オープンはほとんどのNGSが14時からだ。クローズは17時か18時だ。
ということで、先にNine Stonesへ回ったのだ。途中どこかでティールームを見つけクリームティーするつもりが見つからなかった。
Ashton Farmは名前の通りファームハウスだ。B道路から外れて段々細くなる私道のドンヅマリの荒野の中の一軒家だ。
何棟もある大きな納屋の中で元気な若い女性が3人ほどで受付をしている。
”ngs gardens open for charity”のロゴ入りのシールを胸に貼って入場する。
家の壁はバラが這い、周囲は厚い植栽の花壇が取り囲んでいる。家の裏手の斜面を回遊するようにガーデンが広がる。
バラのトンネルやブッシュが丁度見頃で香も楽しめる。樹木の種類が豊富なガーデンだ。葉の色や形が様々だ。
クレマチスのオベリスクのようにオーナメントが天然素材で作られている。果樹園も立派だ。
しかし、ファームだけにワイルドな印象だ。私達にはもう少し整ったフラワー・ガーデンが趣味だ。
ゆっくりと楽しませてもらい入り口に戻るとオーナーの奥さんから歓迎の挨拶があり、手作りケーキを薦められる。
サービスは娘さんとお母さんだ。空腹に素朴で甘いケーキが嬉しい。オーナーは駐車場で誘導をしてくれた方のようだ。
Greenings
もう1ヵ所、今日のオープンのNGSが近くにある。Dorchesterから北西に10kmほどのChilfromeという村の2軒がそれだ。
2軒とも訪ねたいが、今日はChrisお薦めのSherborne Castleも訪れなければならない。どちらか一方に絞ろう。
イエローブックの短い紹介文から判断する。ファームハウスとコテージガーデンのようだ。今度はコテージガーデンにしよう。
Unclassified Roadで着いた小さな村に黄色のNGSのポスターを発見。しかし、ここはファームの方だ。
立派な門構えに立ち寄りたい衝動を振り払って、更に進むと牧草地に中にGreeningsが現れた。大きな黒い犬が2匹お出迎えだ。
左手に2階建ての住居。そこからT字に平屋の作業場や納屋が連なる。その前に素晴らしいボーダーが広がる。
イエローブックにWell-estblished herbaceous bordersとあるが、正しく完成したボーダーといえる。
歓声とため息が出るガーデンだ。他の訪問客も「素晴らしいわね!」と声を掛けてくる。しっかり陽だまりの参考にしよう。
作業場の裏手はポンド・ガーデンだ。上の池に井戸から汲み上げた水を溜め、流れ出した水を巡らせたガーデンだ。
その水を溜めた下の池には睡蓮が浮かんでいる。住居の裏に回る通路はハーブボーダーで、ラベンダーが見事に咲き揃っている。
そして、木戸の向こうは、一転ホワイトガーデンだ。芝の広場を挟んで両脇に白バラやシルバーリーフの草花が清楚になびいている。
全体の調和が素晴らしいガーデンだが、一つひとつの花も活き活きとして見事だ。
お出迎えの2匹の大きな黒い犬はお客さんの犬らしい。人懐こく付きまとってくる。実は大きな犬は苦手で怖いのだが・・・。
オーナメントは非常に少ない。草花の植栽の直球勝負だ。キッチン・ガーデンのデザインも見応え十分だ。
温室では夏野菜が実っている。コンポストの袋に直接、トマトが植え込んである。ずぼらではなくお洒落な演出と理解しよう。
Sherborne Castleのlast admissionを考えると時間はないのだが、ここまで来たら寄りたいところがある。
Cerene AbbasのThe Giantだ。02年の旅でCerene Abbasに宿泊した際、思いもかけぬ対面をしたThe Giantなのだ。
今年の旅でもこの地区の宿として、02年に印象に残ったこの村のB&Bに電話をしたのだが、閉鎖されていたのだ。
確認のため前を通ると看板が外されていた。
The Giant君は手入れが行き届いていないのだろう、影が薄くなってしまった。ご興味ある方は02年の旅行記をご覧ください。
Sherborne Castle Garden
Sherborne Castleに到着。ゲイトには"CLOSE"と出ている。時間は16時38分、last admissionは16時30分だ。
なんとも諦めきれない。扉は閉められていないので、車を進めると門番が出てきて「Gardens only ?」と訊く。
「イエス!」と応えると入れてくれた。やれやれ、冷や汗ものだ。
相変わらず小雨が降り続け、パーキングの車の数もわずかだ。ガーデンに入っても人影がない。心細いくらいだ。
そんな気持ちを吹き飛ばしてくれる鮮やかなピンクのバラが迎えてくれた。
オランジェリー前のボーダーも見事に咲き揃っているが、フラワーガーデンはここだけのようだ。
ここには湖を挟んでOld Castle(写真下右)とNew Castle(写真下右から2枚目)が対峙している。
Old Castleは12世紀、New Castleは16世紀のものだという。New Castleには当初はフォーマル・ガーデンもあったようだ。
ところが18世紀の城主があの有名な”ケイパビリティー・ブラウン”に湖を造らせたのだ。
(ランドスケープ・ガーデン参照)
ブラウンは今までのガーデンを全て壊して湖を造り、回遊式のランドスケープガーデンをここに造ったのだ。
それは当時の最新式庭園であり、その後英国中に流行した、いわゆるイングリッシュ・ガーデンなのだ。
Chrisが薦めた所以もこの辺りにあるのだろう。しかし、私達はやはりフラワー・ガーデンが好きだ。
New CastleからOld Castleまで湖畔の散策路をゆっくり歩く。嵐で倒れた樹齢250年の樅の木の展望台が新旧の堆肥を見せる。
雨に煙る湖からこの城の歴代当主やブラウンの怨念が立ち昇るようで背筋がざわざわする。
時刻は閉館の18時。ゲイトには門番もいない。ゲイト脇に吊り下げられたハンギング・バスケットの素晴らしいこと・・・。
Sherborne CastleからCarpentersまでは20km足らず、真っ直ぐ帰るには少し日が高い。
少し遠回りしてStembridge Tower Millまで足を伸ばす。ナショナルトラスト所有の風車だ。
小さな村にある風車だ。簡単に見つかると思っていたのに、あにはからんや大迷いするとは・・・。
ようやく狙いをつけて入り込んだ道路は、だんだん細くなりでこぼこ道だ。どうやら湿地帯のようで、
地図には"Danger Area"の文字があちこちに見られる。とうとうと水を湛えて真っ直ぐ伸びる放水路に遭遇したり、
冠水した道路を渡ったりの心細いドライブの末、ようやく到着する。
1822年に造られ、1910年まで使われていたという。茅葺屋根のかなりの高さのタワーだ。
人影もなく湿った風の吹く荒野に静かに佇んでいる。使われなくなってほぼ100年、未だに大切に保存されている。
Mason's Arms
Carpentersに到着は19時30分、今日も20時にディナーの予約を入れてもらっている。
例によってMikeが説明してくれる道はUnclassified Roadだ。
十分には理解できないが、昨日は行き着けたから今日も何とかなるだろうと出発する。
それが間違いの元、とんでもない隘路に入り込む。折からの雨でぬかるんだ道はスリップするし、
Uターンしようにも、そんな場所がない。道路わきの雑草やブッシュを掻き分けながら進み、何とかUターンする。
「道なりに進む」と言われた地点で間違えたようだ。どっちも道なりに見えるよMike。
その後もう一ヶ所で迷ったが、何かデリバリーしているらしき女性ドライバーの親切を受けようやく到着。良く迷った一日だ。
今日のオーダーは ・ Lamb rump with rosemary mash and cranberry and mint jelly
・ Shell on crevettes with lemon mayonnaiseだ。
盛り付けも綺麗で、生野菜は新鮮、温野菜はゆですぎず美味しくいただく。rosemary mashが気に入った。帰国したら真似てみよう。
帰り道はウェーターに広い道を訊いて遠回りしてかえる。急がば回れ。
写真たっぷりの旅行記をご覧ください
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