2007の旅 サウス・サウスイースト

花花

第10日 6月30日(土) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程     Etchingham --- Merriments Garden --- Emmetts Garden --- Chartwell Garden ---
                    RHS Garden, Wisley --- Heathrow  LONDON 19:00 (JAL 404) -----
今日の走行距離   130km

第11日 7月1日(日)
今日の行程     ----- TOKYO 14:45 (JAL 404)

King John's Lodge
最終日の朝を迎えた。生憎の雨だ。晴れ男晴れ女を自認してきた我々だが、今年の旅は過去最悪のお天気と言わざるを得ない。
それでも滞在型にしてスケジュールの調整が出来るようにしたため、ゴルフや乗馬は晴れた日に組み込むことができた。
これが本来のイングリッシュライクなお天気と考えるべきなのだろう。それもまた楽しいと言えよう。

毎朝眺めた踊り場からのフォーマルガーデンの姿に誘われて、雨の中ガーデンをぐるっと一周して朝食にする。
件のWiltshireとScotlandのご夫妻に別れを告げ、支払いをしようとすると、Richardがとんでもないことを言う。
「ナーサリーが開かないとカードは使えない。」と。チェックは持っていないし、現金もそんなに残っていない。
結局カード番号他を控えてもらい、サインをしてOKとなった。(8月の決済で額面どおりで処理された。)
Richardと記念写真を撮り、おいとましたが、ホステスのJillの顔は見られなかった。
朝晩出入りした駐車場側からのKing John's Lodgeの姿だ。赤いレンガの部分が14世紀からの建物で、 左のハニーストーンの部分がElizabethan様式の建物だ。それぞれの2階の窓が見える部屋が宿泊した部屋だ。お世話になりました。

King John's Lodge King John's Lodge King John's Lodge King John's Lodge

Merriments Garden
King John's Lodgeの最初の朝食でお会いした、オランダからのカップルからの情報で遣ってきたのがメリメンツ・ガーデンだ。
ここはナーサリーや造園業も営み、ガーデンは見本園のような感じだ。"Colour composition"がキャッチフレーズだ。
Cafe & Shopの壁のハンギングやトレリスに惹きつけられる。大きなコウモリ傘を借りて入場する。
Entrance Gardenから大型の植物が目を惹く。イチイの木に取り付けられた丸い枠は将来丸窓になるのだろう。面白いアイディアだ。
しかし、妙に高い位置にあり、妻には覗けない。見えるのはFormal Pottagerだ。

Merriments Garden Merriments Garden Merriments Garden Merriments Garden Merriments Garden

強い雨で水溜りのできた芝の通路を進む。Hot Border ・ Ponds & Tropical Border ・ Golden Border ・ Blue Gravel Garden などと名付けられてはいるが、その違いは良く分からない。
次々に珍しい植物が現れる。実に厚い植栽には目を見張るが、植物園のような感じでガーデンとしての魅力には欠ける。
ガーデンと花畑・花壇は明確に違う。私が求めるものはガーデンだ。

Merriments Garden Merriments Garden Merriments Garden Merriments Garden Merriments Garden

この辺り(左2枚)がTropical Borderであったろうか・・・。確かに植栽・色彩計画は素晴らしい。こんなボーダーを陽だまりで再現したい。
真ん中とその右の写真の奥の方にGolden Borderの雰囲気が感じられないでもない。植栽も管理も見事だ。

Merriments Garden Merriments Garden Merriments Garden Merriments Garden Merriments Garden

左はEntrance Gardenの丸い枠から見えたFormal Pottagerだ。ポタジェとは植栽が少し異なるように感じる、が面白いガーデンだ。
ローズガーデンはないがボーダーの中のバラが満開だ。日本の気候では、このように草花と混植すれば、たちまち病気になってしまうだろう。
Shopでは草花の種の品揃えが豊富だ。気候の違いは分かっているがダメ元で大量に購入する。

Merriments Garden Merriments Garden Merriments Garden Merriments Garden Merriments Garden

Emmetts Garden
降りしきる雨をついてA21を北上すること1時間、ナショナルトラストのエメッツ・ガーデンに到着した途端に土砂降りだ。
入場はしてみたものの、小さな折り畳み傘ではずぶ濡れだ。フォーマルガーデンの噴水の向こうのお館も雨に霞んでいる。
19世紀後半にできた比較的新しいガーデンだ。ここは"Rare and exotic trees and shrubs"と"Bluebell Woodで有名だ。
しかし、この雨ではフォーマルガーデンのバラと通路の紫陽花を観賞して早々に退散だ。

Emmetts Garden Emmetts Garden Emmetts Garden Emmetts Garden

Chartwell Garden
エメッツ・ガーデンからチャートウェル・ガーデンまではThe AAのRoute PlannerによればUnclassifiedの道路を通って10分だ。
Unclassified道路はナショナルトラスト所有のToys Hillという丘を越えていく。狭くてアンジュレーションのあるこの旅一番の難所だ。
チャートウェルもナショナルトラストなのに案内標識が出てこない。ナショナルトラストの案内標識は分かり易いと信じていたのに思惑違いだ。
雨だけでなく雷まで鳴り始めた森の中、少々心細く焦りも感じ始めた頃に、突如としてチャートウェルの入り口に出た。

さて、チャートウェルは"home of Sir Winston Churchill"、チャーチル元英国首相が晩年の40年余りを過ごした邸宅だ。
ガーデンに入ると広大な芝の広場にプールや池が見える。最初に出合ったのが"Lady Churchill's Rose Garden"チャーチル夫人のバラ園だ。
重厚な石壁に囲まれたガーデンはバラだけでなくクレマチスやラベンダーなどが咲き誇っている。

Chartwell Garden Chartwell Garden Chartwell Garden Chartwell Garden Chartwell Garden

邸宅の北側のテラスに上がると素晴らしい眺望が開ける。邸宅東側の広場には円形階段がありロマンティックな雰囲気だ。
その先はどこまでも緑の広場だ。テラスのフォーマルなローズガーデンも素晴らしい植栽だ。
邸宅内のガイドツアーは大人気のようで順番待ちだ。さすがチャーチルさんだが、私達は例によりパスだ。

Chartwell Garden Chartwell Garden Chartwell Garden Chartwell Garden Chartwell Garden

邸宅の南のスロープを行くとCroquet Lawnがあり、墓地が現れる。チャーチルの愛犬達の墓らしい。イングリッシュライクだ。
その先の谷を下りたところに、一部はチャーチル自らが積んだというレンガの壁に囲まれた、キッチン・ガーデン(Kitchen Garden)が現れた。
その真ん中を東西に貫くのがゴールデン・ローズ通り(The Golden Rose Avenue)だ。チャーチルご夫妻の金婚式を祝って子供達が贈ったものだ。
通路の両側はずらっと黄色・黄色のバラだ。その前面はラベンダーが縁取り、黄と紫のコントラストがいい感じだ。

Chartwell Garden Chartwell Garden Chartwell Garden Chartwell Garden Chartwell Garden

ゴールデン・ローズ通りの中間はサークルになっていて日時計が置かれている。この旅で見た日時計その6だ。
チャーチルは厳しい政務の合い間、ここでの家族との時間を大切にしたのだという。ガーデンとはそうありたいと思う。
キッチン・ガーデンとはいえレンガの塀沿いのボーダーガーデンは見応えがある。チャーチルさんが積んだのはこの辺りだろうか・・・。
塀の向こうに見える屋根はスタジオ(Studio)と呼ばれるコテージで、チャーチルが趣味で描いた絵が展示されていた。
コテージの庭にも小ぢんまりとしたローズガーデンが見られた。ご夫妻共にバラが好きだったのだろう。
そういえば、2005年に訪れたブレナム・パレス(Blenheim Palace)がチャーチルの生家だった。
チャーチルはあの大きな円形バラ園を見て育ったのだろうか。向こうにに比べるとこちらは全てが慎ましやかだ。

Chartwell Garden Chartwell Garden Chartwell Garden Chartwell Garden Chartwell Garden

RHS Garden, Wisley
王立園芸協会(The Royal Horticultural Society RHS)園芸を愛する人々に奉仕することを目的とした公益法人で、1804年の設立だ。
総裁はエリザベス女王が務められ、世界の会員は約37万人で、会員に様々な情報を発信し、園芸の普及と発展のための活動をしている。
ナショナルトラスト(The National Trust NT)ナショナルガーデンスキム(National Garden Scheme NGS)と共に英国のガーデニング文化を支える組織だ。 さすがに”庭師の国”、”ガーデニングの本場”イギリスだ。
RHSには4つのガーデンがある。Rosemoorは2004年に、Harlow Carrは2005年に訪れている。Hyde Hallもいずれは訪れたい。
そして、本家本元がWisleyなのだ。約100万平方メートルという広大な敷地に様々なスタイルのガーデンが配されている。

ウィズリー(Wisley)に向かうモーターウェイではすっかり雨も上がり、目の前に大きな虹が見られた。いい予感がする。
入場すると瀟洒な白い窓のハウスがあり庭は花が溢れている。右手にハーフティンバーの研究所(Laboratory)の建物が見える。
その前庭の芝生の中に日時計があった。この旅7つ目の日時計だ。テムズ川に架かる旧ワーテルロー橋に使われていた石だという。英国らしい。
同じ前庭の芝生の中にカーペット・ベッディング(Carpet bedding)があり、季節毎の草花で刺繍のように彩られるのだが、今は何とレタスだ。
レタスをこんな風に使うとは、この革新的なアイディアには敬意あるのみだ。セダムを使ったり、果物を使ったりもするそうだ。

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このようにしっかりしたデザインの元、植栽されているのだ。その向こうがフォーマルな運河と涼み廊下(Canal and Loggia)だ。
このカナルには50種の睡蓮が植栽されている。雨はすっかり上がった。ボーダーは端境期で花が少ない。
鮮やかなインパチェンスの花壇に魅了される。イチイの生垣に囲まれると別世界に入ったような気持ちになる。

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かの有名なMixed Bordersに遣ってきた。幅6メートル、長さ125メートルという、Wide & Longなダブル・ボーダーだ。
一年草・宿根草・球根などの草本と潅木や樹木などの木本が320種ミックスされている。仕切りの木はシデだ。
ときに花に近寄ってその姿を愛で、時にふわふわの芝の感触を楽しみ、丘の上のモニュメントまで散策する(左)。豊かな時間だ。
マイガーデンにもあるカンパニュラ”ケントベル”を見つけた(右から2枚目)。デルフィニウムの背の高いこと(右)。憧れの花の一つだ。

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ボーダーにクレマチスは珍しい植栽だ。蔓を絡ませるオベリスクも天然素材なのが憎い(左)。
花や葉の色・形・質感・背丈などのバランスが絶妙だ。ブルーのデルフィニウムが美しい。(左から2枚目)
ミックス・ボーダーから大きな藤棚(鉄製パーゴラ)を潜ってカントリー・ガーデン(Country Garden)に入る(右3枚)。
カントリー・ガーデンというスタイル分類は知らなかった。中心に円形の噴水とポンドがある長方形のフォーマルな花壇だ。
リンゴの木が規則正しく植えられている。しかし、花壇とはいえ、その植栽は厚く・高い。

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続いて現れたのはWeather Hillだ。以前は観測所があったのでこの名が着いているが、広範な"Rose Borders & Rose Catenary"のガーデンだ。
残念ながら、今年のバラの季節は終幕を告げようとしている。昨年からの暖冬と早い夏の到来で全ての花が2、3週間早い開花のようだ。
ローズ・ボーダーと言うには広すぎる植え込みが、これでもかと言う程続く。支柱にロープを張ったローズ・カテナリーをバラが這う。
面白い形のガーデン・ファーニチャーやオーナメントの置かれた一角のバラは丁度見頃で楽しませてくれる。クレマチスとバラの競演が見事だ。
またいつか、ここのバラの満開時に訪ねよう。

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巡ってきたのはロック・ガーデン(Rock Garden)だ。私がイメージしているロック・ガーデンとはいささか異なる。
かなり急な北斜面に造られており、沢山の低温や日陰を好む植物が植栽されている。コニファーや潅木も数多く植えられている。
この斜面を落ちる滝は日本人の設計によるものらしい。その水はポンドとなり様々な水生植物が植栽されている。
ロック・ガーデンの坂の小道を下りるとウォールド・ガーデン(Walled Garden)に着く。最初に紹介した涼み廊下の裏手だ。
ウォールド・ガーデンは東と西に分かれており、東はシンメトリーなフォーマルなデザインで、いかにもヨーロッピアンだ。
西は中心にポンドを配し熱帯性の植物を植栽している。トロピカルと言うよりジャングルだ。
RHSのガーデンは世界の園芸家へのモデルであり提案であろうとするため、多様を通り過ぎている感は否めないのはやむを得まい。
愉快な風見鶏に再訪を約してヒースローに向かう。おっと、その前にショッピングがあったのだ。

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Hertz

Hertz
今年はJALの便が更に早くなって19時だ。逆算して各ガーデンの出発時間を決めておいたのだが、 シミュレーション通り16時にハーツに到着した。
空港へのシャトルバスを待ちながら、今日買ったお土産や地図などをスーツケースに収める。 今年は免税品がないからここでしっかりパックする。
やけに騒音が酷いと思ったら、今日はヒースローを離陸する飛行機の高度が異常に低いようだ。 ハーツのパーキングの照明灯に止まってしまったかのようだ。

Heathrow

Heathrow
シャトルバスで空港に向かうが道路に小銃を構えたポリスがやけに目立つ。空港に入っても要所要所に警察犬を従え、 小銃を構えている警官が見られ、何かあったなと気味の悪い思いだ。
この時には全く知らなかったのだが、前日ロンドンで爆弾テロ未遂事件があり、私達がヒースローに入った正に1時間前に グラスゴー空港で車両突入炎上テロが発生したばかりだったのだ。
早々にチェックインし、セキュリティー・チェックを受ける。これが非常に厳しいものだった。
手荷物は1つにしなければいけない。女性のハンドバッグも認めらないのだ。ジャケットやコートは脱がされる。靴も脱がされた。 幸いにして無事に通過できたが、荷物を一つに纏めたり、再チェックを受ける人が続出で大変な時間が掛かった。いささか不安な気持ちになる。

Heathrow

晴れて出国。となれば免税店でお買い物。これも旅の楽しみだ。自分へのお土産はシングルモルト4本。決して重くは感じない。不思議だ。
もう一つのお楽しみは"Seafood Bar"だ。昨年はここで食べ過ぎて、機内で少し気分が悪い思いをした。 今年は生牡蠣半ダースとスモークトサーモンにした。もちろんワインは白だ。
心地良い酔いに警備の厳しさの不安も忘れ、ぐっすりと眠る内に成田に到着だ。旅慣れしたか、素っ気がなくなってきた。 それはさておき、今年も多くの皆様の手助けを得て、無事に楽しい旅ができたことを感謝しつつ、旅行記を完とする。

半年がかりのすっかり間延びした旅行記になってしまった。継続してご覧いただいた方には大変申し訳なく心からお詫びする。
ご感想などお寄せいただければ幸いだ。08年は春のブルーベルを求める旅になりそうだ。どうぞお楽しみに。


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