第8日 6月28日(木) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程 Etchingham --- Rye --- Great Dixter Garden ---
Scotney Castle Garden --- Sedlescombe Golf Club --- Etchingham
今日の走行距離 116km
King John's Lodge
今日は朝からラブリーなお天気で、絶好のゴルフ日和だ。心が弾む。
朝食に下りる。ここのフルイングリッシュブレックファストはヨーグルトや果物が出ない。
別に不満があるのではないが、少し寂しい気がするし、他のお客さんが毎朝美味しそうに食べているので、
久し振りにシリアルに手を付ける。今まで思っていたより美味しく食べられる。
WiltshireとScotlandのご夫妻が現れ急に賑やかになる。昨日の訪問地や今日の予定などが話題だ。
二組は友達同士だが、昼の行動は別でディナーを一緒にしているようだ。適当に距離を置いた友人関係が好もしい。
それにつけても、良く喋り良く食べるご婦人方だ。
結婚式に参列の若い女性も食事に加わるが、年配の夫婦者に囲まれて、所在無げだ。
昨日の結婚式はどうだったか問い掛けると、「とても素敵な結婚式で、泣いてしまった。」と頬を染めて嬉しそうに話してくれた。
四人組みのお喋りは続いているが、途中で失礼し、出発の準備をしていると、Richardがノックをする。
「広い部屋が空いたから、今夜からそちらへ移ってもらえる。荷物を纏めてベッドの上においてくれたら、移しておく。」と言う。
「部屋を見たい。」と言うと、「今はまだ使用中だ。」と言う。ちょっと迷ったが、別の部屋を体験するのも良かろうと、いわれた通りにする。
こちらの英語力が問題なのは分かっているが、Richardの頑迷な思い込みも相当なものだ。よしとしよう。
Rye
ライの街に遣ってきた。5年前の旅で強く印象に残った街だ。何か郷愁をそそる街だ。
5年前と同じパーキングに辿り着く。町の散策も5年前と同じMermaid Streetから始める。
5年前と同じ佇まいだ。と、言いたいところだが、少し変化がある。5年前は古びたアンティーク屋さんだった店がティールームに変わっている。
しかも、目立つ色に塗られて・・・。でも、建物を改築したりはしていないようだ。Mermaid Cornerという名前も残っている。
Old Borough Armsという同じ名のホテルのティールームのようだ。
5年前にはTICとMermaid Cornerの間に、住所表示の陶板プレートの工房があったはずだが、今年は見つからない。
前回は見送ったのだが、今年は1枚作成してもらっても良いかなと思っていただけに残念だ。
Mermaid Cornerの左の通がMermaid Streetだ。玉石を埋め込んだ石畳の登り坂は先がカーブして私を誘う。
ティンバー・ハウスやレンガ造りの家々の立ち並ぶ中に、ひと際古めかしい宿屋がある。
Mermaid Innだ。11世紀の建物だという。
中世には海賊や密輸業者のたまり場であったという。嬉しくなってくる。
中世の街並だからフロントガーデンはないが、少しのスペースに工夫して花が飾られている。
ウインドー・ボックスであったり、ハンギング・バスケットであったり、コンテナであったりする。それが建物と調和している。
花もインパチェンスであったり、ロベリアであったり、アゲラータムであったり、日本でも見られるものだが、色鮮やかだ。
古い家の壁にもバラや藤や蔦などを這わせている。窓に填まった古いガラスの特有の輝きが郷愁を誘う。
曲がりくねった坂の裏道には、何故か惹かれてしまうものがある。妖精でもひそんでいるかのようだ。
ハンギング・バスケットの見事さには、残念ながら追い着けない感があるが、この目の保養が後々の肥やしとなるだろう。
花にあふれた街並みを歩くと、足の裏から伝わる石畳の刺激も相俟って、心弾む思いだ。
Mermaid Streetの突き当りを右に曲がって登るとChurch Squareだ。丘の上に
セント・メリー教会St. Mary's Churchがある。
900年以上の歴史を誇り、古い部分は1150年頃の建造だという。そして、イギリスで最も古い時計塔があるのだ。
1561年頃の建造らしい。教会の天井から18フィートの振り子がぶら下がり、揺れている。
前回の訪問は夕方だったので既に閉まっていたのだが、この時計塔に登られるという。野次馬としては登らずには置けない。
登り口を探すが見つからない。教会内から登るのではなく、道路から直接の登り口があった。しかし、鍵が閉ざされている。
神父さんに尋ねると、10時30分に開くという。付近を一巡りして戻る。どうやら1番乗りができそうだと思いきや、釣り銭がない。
パーキングのためにコインを切らさないよう注意しているのだが、うっかり切らしてしまった。教会の売店にも釣り銭がないという。
教会の前のLion Streetの土産物店に入り、幾つかの買い物をして小銭を作る。
1番乗りは逸したが、チケット売りのおばあさんに気を付けてと声を掛けられ、石造りの螺旋階段を登る。狭くて急な階段だ。
教会の天井には8つの鐘が並んでいる。下からの操作で歯車を使って鐘を鳴らす仕組みだが暗くて良く見えない。時計の歯車も見えない。
更に階段を登ると"Through this door to see the view !"と書かれたドアーが現れた。屋根の傾斜に沿っているからオーバーハングだ。
外に出ると気持ちの良い風が吹き渡っている。見晴らしも素晴らしい。また一つ5年越しの望みが叶った。
写真左は北の方向の眺め。左の道路がLion Street、その突き当りがHigh Streetだ。古い街であることが良く分かる。
左から2枚目は西の方向だ。手前が教会の屋根で二つの塔も写っている。狭い街中にも緑が多い。
真ん中は南の方向だ。Rother川が注ぐ先はRye Bay、すなわちEnglish Channelだ。ドーバー海峡も目と鼻の先だ。
右から2枚目は我々が駐車したTIC近くのパーキングの先にある風車だ。塔の先端の風見鶏には1703の文字が読める。
ハイストリートに出て、お土産やさんのショーウインドーでフェアリーに出会う。重いを承知で連れ帰ることにする。
寝そべって読書するフェアリーと、左手に花籠を抱え、右手で花びらか何かを吹き飛ばしているフェアリーだ。
一人しか居ない店員が、箱を取りに行ったり、包装に時間が掛かったりでレジを待つお客さんの行列ができた。
こちらは申し訳ないと恐縮しているが、店員はどこ吹く風だ。お客さんも苦情を言うでもなく静かに並んでいる。
ハイストリートは少し雑然としてはいるが、店先には花を欠かさない。豊かさ・温かさを感じさせる街だ。
Great Dixter Garden
5年前の旅では見過ごしたグレート・ディクスターに遣ってきた。有名なガーデンライターであるクリストファー・ロイド氏の庭として人気が高いという。
入場すると左手はメドー・ガーデン、右手にはこの地方独特のポップの乾燥小屋と納屋を背景にバーン&サンクンガーデンがある。
植栽は厚く、高い。また、色彩は濃く、多彩だ。中央にポンドが設けられている。ハウスへの通路との仕切りのイチイの生垣も厚い。
マナーハウスは15世紀のチューダー朝の邸宅だが、恐ろしい傾きようだ。
写真を撮っていると例によって「お撮りしましょう。」と声が掛かる。お言葉に甘える。玄関前のコンテナの色彩も個性的だ。
邸宅の裏に回る。雰囲気は同じだ。植栽はワイルドで色彩はビビットだ。好みとは少し異なる。
納屋か家畜小屋か、屋根が波打っている。フクシアも大きな木になっている。こればかりは日本ではできないことだ。
邸宅の南のロング・ボーダーが見応えがある。様々な草木の植栽が厚く、高く、長く続く。立ち止まることが多く先に進まない。
ロング・ボーダーの南側は広大なメドー・ガーデン、北側は一段高くなったHigh Gardenが広がる。
メドー・ガーデンにはこの季節さしたる花も見つからず、ワイルドに荒れている。
High Gardenは厚いイチイの生垣に囲まれた広大なスクエアーを十字の通路で4つに仕切ったガーデンだ。それが2つ連なる。
それぞれの区画が異なる植栽をされているようだが、色彩的に似通っているので単調だ。感動に乏しい。
High Gardenの並びに可愛いトピアリーが18もある。鳥にもリスにも見える。
オリジナルは雉や闘鶏やブラックバードなどなどを意図したようだが、今では孔雀と呼ばれているらしい。
幾つもの鳥が向き合っている姿をロイド氏のお母さんは”鳥の議会”とも”鳥の団欒”とも呼んだらしい。愉快な例えだ。
この庭の植栽や色彩は今ひとつ、私の好みのガーデンではない。ロイド氏が亡くなって変貌してきているのかもしれない。
Scotney Castle Garden
真っ先に展望台に回る。5年前と少しも変わらぬロマンに満ちたな眺めだ。イギリスで最もロマンティックな庭の一つと謳われる。
この14世紀の廃城はランドスケープ・ガーデンを造るために、自らの居城を壊してしまったというから凄い。
そして、新しい(といっても1830年代のことだが・・・)居城をこの高台に建てたのだ。
新居は5年前は末裔がお住まいでNo Entryだったが、今年からナショナルトラストにより公開されているようだ。
展望台脇のガーデンのラベンダーが実に綺麗だ。我が陽だまりのハーブヒルもこんな風にしたいものだ。
5年前より2週間遅い訪問だが、前回満開だった石楠花やカルミアはすっかり終ってしまった。
古城のほとりの円形のハーブ・ガーデンは陽だまりのハーブヒルの潜在的な手本かもしれない。
傍らのベンチでしばしロマンティックな雰囲気に浸る。ベンチの後の花壇のカラースキムも優しくソフトだ。
廃城の壁をクレマチスやバラが彩る。藤の季節も美しいことだろう。何時までもこの空気に接していたいガーデンだ。
Sedlescombe Golf Club
今日のお楽しみの締めくくりは復学して2度目のゴルフだ。午後4時のスタートで1ラウンド回れるなんて嘘のようだ。
Sedlescombe Golf Clubに到着は14時過ぎだ。
前回の轍を踏まないよう、何としてもランチをいただいてからスタートしようと、早めに到着した。
セドゥルスクーム・ゴルフ・クラブは予想していたよりずっと立派なゴルフ場だ。大きな駐車場を囲むようにパッティング・グリーンが7面。
その奥にテニスコートやクラブハウス、プロショップ、ホテルなどが並んでいる。ここでもゴルフの受付はプロショップだ。
先ずは受付を済ませ、クラブとトローリーを借りる。Changing roomsは別の場所にあり、ドアーロックの暗証番号を教えてくれる。
「着替えたら何時でもスタートして良いよ。」とのことだが、その前に今日こそはしっかりランチを取らねば。
メニューはクラブハウスサンドウィッチだ。テラスのテーブルに着き、1パインとのビールも添えてボリュームたっぷりのサンドウィッチにパクつく。
パッティング・グリーンはパターゴルフが出来るように9つのカップが刻まれており、番号がつけられている。
若者4人が賭けでもしているのだろう、盛んに歓声を上げてプレーをしている。ゼスチャーが大げさで面白い。
スタートは3時30分。一番のティーグランドから見える人影は、Driving Rangeで熱心に練習する数名だけだ。
こんなのんびりしたゴルフがしたかったのだ。お天気も上々でコースも広々として気持ちが良い。
リンクスではないが海が近いだけに風は少々強い。空の雲もどんどん流れていく。ブライトンで求めた妻のウインドブレーカーも大正解のようだ。
時折、隣のコースにプレーヤーを見るが、前がつかえることもなく、後から追われることもなくのびのびとハーフを終る。
コースの途中に売店などない。ということは、トイレもないということで、これは少し都合が悪い。
10番ティーにトローリーを置き、レストランで小用を済ませて戻ると、父親と中学生くらいの親子と思われる二人が待っている。
「お先にどうぞ。」と言うと、息子を指差し「時間が掛かるから、先にどうぞと。」と言う。
妻を指差し「もっと時間が掛かりますから。」と言うと、笑いながら「それではお先に。」とスタートして行った。
木曜日の午後6時少し前、お父さんの仕事帰りを待って夕食前に親子二人で9ホールのプレーとは、微笑ましくも羨ましい生活だ。
父親が言う通り、息子の方は余り上手ではないようだ。お蔭でつかえない程度に前にプレーヤーがいてくれて心強い。
それでも、最後まで後から追われることはなかった。
Buggy2台に6人の男女の若者が分乗し、同時にプレーしている姿も見かけた。他人に迷惑をかけなければ、何でも自由なのだろう。
ゴルフと言うよりゴルフコースを堪能してプロショップに戻る。時間は19時50分、係員が慌しくクラブを外してくれた。
トローリーを指定の場所に返せばそれで全てOK。
Pub White Horse
喉も渇きお腹も空いたのでゴルフクラブのレストランで、とも考えたが、ゆっくりお酒も楽しみたい。
それならB&Bに近い所が良いと、Pub White Horseに遣ってきた。
3日前にデザートを間違えるアクシデントがあったから顔を覚えていてくれた。パブのカウンターでビールをいただく。
渇いた喉にしみこむようだ。
「ゴルフ帰りだから、美味しい。」と言うと、どこでプレーしてきたか訊く。
スコアーカードを見せると、「そこはいいコースだ。」とうなづいている。
メニューを決めてテーブル席に案内される。
今夜のメニューは
・ Mixed seafood risotto, home grown spinach & rocket oil と
・ Confit of duck, rosemary potato cake, spinach, black grape honey jus だ。
オーダーが終るとメニューを下げようとするので、旅行記に全食事の写真とメニューを掲載しホームページにアップするので
メモを取りたいと言うと、真新しいメニューをくれた。
メニューにはフランス語が使われていることが多く、分かり難いことが多い。ここでもconfitとjusがフランス語のようだ。
confitとは低温の油で長時間揚げる料理法と解釈している。jusはジュースのことだろう。
顔馴染みとなったウェーターが何くれと無く気を遣ってくれるのが嬉しい。ビールの後は赤ワインをグラスでいただく。
グラスにも大小があって、大は250ml、小は180mlだ。もちろん大の方だ。
King John's Lodge
充実の一日にすっかり満足しキングジョンズロッジに戻る。Richardが出てきて「荷物は移しておいた。」と言って新しい部屋に案内してくれる。
今朝までの14世紀の部屋より幾分広めかと思われる程度の広さだが、天井が高いのと形が正方形なので広く感じるのだろう。
Elizabethan様式の部分の2階の部屋だ。結婚式に参列した女性が今朝まで泊まっていた部屋だろう。
この部屋も築何百年というものなのだろう。壁は漆喰で新しく塗られているが、木の部分にその歴史が読み取れる。
ドアーの鍵は壊れていてロックするどころか、上手に引っ張らないと抜けてしまうという代物だ。ドアーの前にスーツケースを置いてガードする。
そう言えば、キングジョンズロッジのドアーのトラブルがウェブサイトに載っていた。
”Richardが窓から落ちながら脱出”などという想像しただけで愉快になるエピソードは下記サイトでお楽しみください。
あけの秘密の花園
アニスのコンテナガーデン
DreamGarden
写真たっぷりの旅行記をご覧ください
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