第23日 6月12日(土) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程 Braemore Square Country House --- Inverewe Garden --- Gairloch --- Victoria Falls ---
Attadale Gardens --- Eilean Donan Castle --- Balloch B&B
今日の走行距離 260km
今日の万歩計 17,800歩
Braemore Square Country House ブレイモア スクエア カントリーハウス
ブレイモア スクエアでの朝食はメニューを変えてみる。
妻は大好きなサーモンのスクランブルエッグ、私はスモークハドックをいただく。ハドックの塩気をポーチドエッグがマイルドに包んでとても美味しい。
WendyとEddieは何彼と声を掛けてくれる。今日のアラプールの天気予報をプリントアウトしてくれたが、私達の行先はスカイ島だ。
リビングといい、廊下といい、写真で埋まっている。家族のポートレートのようだ。イギリスでは家族の写真を良く飾るが、ここまで多いのも珍しい。
帰国後気付いたのだが、ホームページに"There have been sightings of resident ghosts in the main house"と載っていた。知らなくて良かった。
Countryside カントリーサイド
A832は穏やかなスラロームを描き、心地良いアップダウンを重ねる。遠くに山々を、近くに沢と湖、時に緑豊かな雑木の中を快適なドライブが続く。
Little Loch Broomを10km余り右手に見て疾走する。一丘超えると素晴らしい景色が広がる。グルイナード湾(Gruinard Bay)だ。
カーブを曲がる度に新しい景色が開ける。その都度、写真に収めようと駐車場所を探すがなかなか見つからず、思うような絵が撮れない。もどかしい。
写真下左4枚は3ヶ所で撮ったグルイナード湾だが、あの感動の美しさが捉えられていない。
ユー湖(Loch Ewe)に沿って南下する。水の色が美しいコバルト色に変わる(写真下右)。ユー湖の湖尻に今日の第1訪問先がある。
Inverewe Garden インヴェリュー ガーデン
"One of the most beautiful places in Scotland"と謳われるインヴェリュー ガーデンは
ガーデン・スキーム(Scotland’s Gardens Scheme)のガーデナー達に口を揃えて訪問するよう薦められた。というのは、ここには世界中から集められた珍しい
草花や灌木、樹木が2,500種以上あるからだ。5年前に訪れた時は余りい印象ではなかった。今日は違った目で眺めてみよう。
ユー湖には暖かい海流が流れ込んでいるため外来植物も育つのだ。とはいえ、スコットランド西岸の塩を含んだ強風は厳しく、
1862年にガーデンを造り始めたオスグッド ・マッケンジー(Osgood Mackenzie)は風を遮る防ぐ森林造りから始めたのだ。
最初に入るのはウォールド・ガーデン(Walled Garden)だ。湾曲した壁に囲まれ斜面にテラス状にボーダーやフラワーベッド、
グラベルガーデン、キッチンガーデンなど様々なガーデンが含まれている。予想外に花が咲いていて楽しめる。
先に進むとハウスが見えてくる。ハウスは火災に遭い、20世紀に再建されたものだ。ハウスの前の斜面にはロックガーデンが展開する。
Gairloch ゲイロック
A832のゲイロックの村を過ぎた所にビューポイントのマークがある。小さなパーキングがあり、人で賑わっている。 ゲイロック湖(Loch Gairloch)の湖岸に沿って立ち並ぶ白い壁の家が緑の大地と黄色のエニシダとマッチし美しい。絵のような風景だ。 ピンクを帯びた砂浜も美しく光る。
Countryside Victoria Falls カントリーサイド ビクトリアフォール
ハイランド(Highland)の中でもこの辺りはWester Rossと呼ばれる地域だ。A832は小さな湖Am Feur-Lochの辺りでは舗装も危ういシングルトラックになってくる。
遠く、近く、幾つもの山が重なって見える(写真下左)。たかだか1000m足らずの山ばかりだが。
左手にマリー湖(Loch Maree)が見え始めてしばらく行くとビクトリアフォール(Victoria Falls)の案内が見える。右手の荒れ果てた森の中に滝を見つける(写真下左から2枚目)。
ビクトリアフォールといっても世界3大瀑布の一つではない。1877年にマリー湖を訪れたビクトリア女王に因んで命名された落差20m余りの滝だ。
日本人から見れば何の変哲もない滝だが、起伏のないイギリスではこの位の滝でも珍しいのだ。
振り返ればマリー湖が静かに佇んでいる。薄曇りの空を映した湖面は神秘的でもある(写真下右から2枚目)。
昨日もそうしたように、より海岸線近くを走るべくA896へと入る。道はまたしてもシングルトラックとなり待避所(Passing Place)の標識の連続だ。
しかし、交通量も少なく、マナーの良いドライバーが多いので快適なドライブとなる。
アッパートーリドン湖(Upper Loch Torridon)畔にビューポイントがある。小刻みに切れ込んだ入り江が美しい(写真下左3枚)。
天気が良ければ湖の向こうの山々も見られるのだろうが残念だ。近くにシャクナゲの群生が美しい場所もあった。
Shieldaigから海岸沿いにローカルロードが通っている。周遊する計画だったが、50km、1時間は要するだろう。
時計とにらめっこの末、無理はやめる。A896からA890に合流し南へ。
Attadale Gardens アタデール ガーデンズ
結論から言おう。アタデール ガーデンズは期待以上のガーデンだった。
訪問リストの優先順位は○だったが、◎に格上げだ。
19世紀末にシュローダー 男爵(Baron Schroder)により造られたコニファーとシャクナゲの散策路のガーデンが、
1980年の嵐の後、オーナーのニッキー・マクファーソン(Nicky Macpherson)によってすっかり造り変えられたのが今のガーデンだという。
入場すると上下2つのパスがある。下のパスを選ぶ。そこは水路の流れに沿ってウォーター・ガーデン(water gardens)になっている。
強烈なパンチを食らった思いだ。そのカラースキムには声もない。植物の多彩さと組み合わせの素晴らしさ、オーナメントの配置、感動だ。
これを今後の参考にしなくて何になる。眼と脳裏にしっかり焼きつける。
途中から上のパスに上がる。そこは"Old Rhododendron Walk"だ。シャクナゲの花色も派手派手しくなく感じが良い。
高いパスから見下ろすハウスはエレガントでロマンチックだ(写真上右)。周りの樹木は余り大きくないので明るく感じられる。
写真上左から正面から見たハウス、サンクンガーデンからのハウス、ジャイアント日時計(Giant Sundial)からのハウスだ。
ハウス正面を過ぎるとサンクンガーデン(Sunken Garden)が現れる。円形のサンクンガーデンには十字の通路があり中心に日時計がある(写真下右)。
その隣が直径35フィートというジャイアント日時計だ(写真2つ上の右から2枚目)。彫刻された指針(ノーモン)、時刻を示す石板、周りの石敷きなど、
それぞれが専門のアーチストや職人によって造られたものだ。格が違う。
続いて日本庭園(Japanese Garden)がある(写真上左2枚、下左)。イギリスの日本庭園は得てして「それはないよ」というものが多く、
日本でイングリッシュガーデンを名乗る際の他山の石としているのだが、ここの日本庭園は本物だ。数寄屋門をくぐると飛び石伝いに行くと
燈篭の脇に筧(かけひ)と蹲(つくばい)がある。ホームページでは燈篭を"lantern"、筧を"running water"、蹲を"basin"と訳している。
枯山水も本格的だ。箒目(砂紋)もくっきりと鮮やかで手入れの良さが窺える。他にも枯れ滝と思われるものもあり本格的だ。
ガーデンの一番奥が"Old Rhododendron Dell"だ。大きな古いシャクナゲが数多く見られる(写真上右から2枚目、2つ下左)。
次はシダ園(Fern Garden 写真下左から2枚目)だ。三角形のフレームで形作られたドーム(Geodesic Dome)の中に大小のシダ類が葉色も豊富に植栽されている。
これは園ではなくガーデンだ。陽だまりでもシダ類を上手に使ってみたい。
次のキッチンガーデンで、もう一つの感動だ。綺麗に刈り込まれたヘッジの中に整然と植えられた野菜たち。それでいてフラワーベッドを見ているようだ。
イギリス式キッチンガーデンとフランス式ポタジェが上手く混ざり合った感じがとても素晴らしい。(写真上右から2枚目)
アタデールのホームページの中にキッチンガーデンが載った日本の記事が紹介されている。この記事では次のように表現している。
「英国の人々にとって、庭は、家の中と同じようにくつろいですごす、いわば第2のリビング。キッチンガーデンも単に野菜や果物を収穫する場所ではなく、
庭の景観の大切な一部でもある」と。私もガーデンは斯くありたいと常日頃考えている。是非ご覧いただきたい。
このサイトはPDFF形式ファイルのためご覧いただく場合には"Adobe Reader"が必要だ。お持ちでない方は、右のバナーのリンク先からダウンロードされたい。
Japanese Review of Kitchen Garden Page 1
Japanese Review of Kitchen Garden Page 2
Japanese Review of Kitchen Garden Page 3
写真上中2枚は上述のウォーター・ガーデンだ。睡蓮の咲く隣には鯉(Bream)と名付けられた彫刻(Sculptures)がある。
薄いオレンジの九輪草が群生している。とてもいい感じだ。この印象も陽だまりのポンドガーデンに備え、強くインプットした。
右は同じく上述の"Old Rhododendron Walk"のシャクナゲだ。
ガーデンのあちこちで沢山の彫刻が見られる。ガーデンにモニュメントは欠かせない。"Sculptures Collection"を紹介しよう。
写真上左は"Crowned Eagle" カンムリクマタカ。2枚目は"Cheetah"チータ。3枚目は"Heron"アオサギ。3つともブロンズ製だ。
いずれもリアルな作品だ。それぞれ作者も異なるし、同じブロンズといっても色が違うものだ。
写真下左は"Reclining figure"横たわる人体。2枚目"Torso"胴。3枚目は"Big Bird"ビッグバード。4枚目は"Exultation"歓喜。
横たわる人体と胴は石製で同じ作者だ。これは何とか理解できる。ビッグバードと歓喜はブロンズ製で同一作者、これは私には理解不能。
ベンチなどのガーデンファーニチャーも大切だと思う。最後に現れたのは温室(Conservatory)だ。小さな温室だが、石組みのレイズドベッドに
亜熱帯の植物が植栽されている。温室といえば、鉢植えを並べている所が多いが、カラースキムを踏まえての見事な植栽にヘッドガーデナーの力を見る(写真下右)。
Eilean Donan Castle アイリーンドナン城
5年ぶりのアイリーンドナン城だ。パーキングが随分整備されたが、
お城そのものは少しも変わらずそこに佇んでいた。しかし、残念ながら今回も陸続きだ。モン・サン・ミッシェルと同じ現象が起きているのかもしれない。
Loch Duich、Loch Long、Loch Alsh、3つの湖の出合いに浮かぶ極々小さな島には6世紀ごろから居住されていたが、13世紀中ごろに最初の城が出来たという。
城は拡張されるが、1719年のジャコバイトの反乱(Jacobite uprising)で部分的に破壊され放置されていた。
1911年にジョン ・マクレー・ギルストラップ中佐がこの島を買い、20年を費やして再建したのがこの城なのだ。
島へ渡るアーチ橋はこの再建時に造られたものだという。
世界で最も写真に撮られた城"The most photographed castle in the world ?"ともスコットランドで最もロマンチックな城"Scotland's Most Romantic Castle"
とも謳われる。(私は賛同しかねる、何故ならDunrobin Castleがあるから)
それでも、このアーチ橋を渡る時にはロマンチックな気持ちになる。城門の落とし格子にそんな気分を払拭される。ここには激しい戦いがあったのだ。
壁に刻まれた1912は再建の始まった年、1928は市民に公開した年だろう。再建の完成は1932年のことだというが、そんなに新しくは見えない。
写真下右から2枚目の右隅に青く見える島影はスカイ島(Isle of Skye)だろう。今宵から2晩はあの島の住民だ。そろそろ島に向かおう。
Laundrette コインランドリー
AA(The Automobile Association)のルートプランナー(Route Planner)で調べた時間よりずっと早く行程をこなせた。
裏返せばスピードの出しすぎということになるが・・・。今やこの高速運転が毎年の英国旅行の楽しみの一つなのだから。
B&Bには18時ころ到着と伝えていたが、16時30分に着いてしまった。案の定、留守だ。しばらく待っていると、汚れた作業服のむさい男が現れた。
漁師をしている旦那で「B&Bのことは奥さんでないと分からないと」言って電話をしてくれ、取り敢えず部屋には案内してもらえる。
この街ならコインランドリーがあるだろうから、今からならちょうど良いと準備しているとホステスのBarbaraが戻って来た。がらっぱちな女性だ。
そして、観光地だけにビジネスライクだ。それはそれで良い。コインランドリーとレストランの場所を教えてもらい。レストランの予約もしてもらう。
「予約に遅れるな」とのことだ。どちらも歩いて行ける範囲だ。
沢山の洗濯物をビニール袋に入れランドリーに向かう。場所は直ぐ分ったが、扱い方が分からない。ちょっと怖かったが、
近くに屯していたお兄ちゃんに訊ねてみると、親切にも階段の上にある店の人を呼んできてくれた。このランドリーは階上の宿屋が経営しているもので、
そこのカウンターでコインを求めないといけないらしい。洗濯物の量を見て「12枚必要だろう」と言う。1枚が0.2ポンドで4分使えるのだ。
5ポンド渡すとコインを取り行き戻ってきてセットしてくれた。「ドライヤーは直接小銭を入れて使える」とのことだ。
17時を回りお店は皆閉まっている。5年前に買い物をしたケルト模様ろけつ染め屋も健在だ。明日の昼に寄ることにしよう。
少し街をぶらついているとレストランの予約時間18時が迫る。
Sea Breezes シーブリーズ
Barbaraお薦めのシーブリーズは小さな店だ。
お客は引きも切らずだが、予約のない客はすべて断られている。片隅に席を得、オーダーだ。マネージャーがお愛想良くアドバイスしてくれる。
先ずは ・ Half a dozen Skye oysters on the half shell with lemon and tabasco は欠かせない。もう一つのスターターは
・ Crisp filo parcel of French brie, basil and plum tomato set on a bed of mixed salad leaves with a saffron and herb チーズの重ね焼きだ。
メインは ・ Pan roasted Barra scallops with red pepper and pea risotto with parmesan and truffle oil
Barraはスカイ島の西に連なるWestern Islesの一番南の島だ。もう1品はマネージャーの一押しの ・ Langoustine ヨーロッパアカザエビだ。
オーダーを済ませた所でコインランドリーの洗濯が終わる時間だ。妻を待たせランドリーに行き、ドライヤーに移す。
初めてのこととて何分回せば良いか分からない。居合わせた大学生らしき男性に訊ねると、洗濯物の量を見て30分くらいかかると言う。
1.6ポンドで32分回るようセットして戻る。往復10分余り、どんぴしゃりで生ガキとチーズが出てきた。二人でシェアして楽しむ。
Portree ポートリー
レストランは港の岸壁の脇にある。港町らしくカラフルに塗られた店が並ぶ。港にはクルーザーやヨットが浮かび旅情を高める。
ランドリーに行くと乾燥が終わった洗濯物がベンチの一隅に積んであった。30分ほど時間オーバーでルール違反だったのだ。
ビニール袋に入れて担いでB&Bに向かう。シティーセンターのパーキングに野ウサギが遊んでいた。カメラを構えても逃げる様子もない。
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