第28日 6月17日(木) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程 Ards House --- Stonefield Castle Hotel --- Tarbert Castle --- Claonaig 〜Ferry〜 Lochranza(Castle) ---
Catacol --- Brodick(Castle, Shopping) --- Dunvegan Guest House
今日の走行距離 258km
今日の万歩計 9,300歩
Countryside カントリーサイド
例により、フルスコティッシュの朝食を済ませ、マーガレットと感謝と別れのハグをする。
マーガレットは地元のシングルモルトをナイトキャップにしている私を余程のウイスキー好きと考えたのだろう、
お土産だと言って”ウイスキータブレット”をプレゼントしてくれた。タブレットとはスコットランドの郷土菓子で、砂糖やクリーム、
バターなどを煮詰めて作るファッジに似たお菓子だ。これに様々な香料や果物などを混ぜ色々な味のものがあるが、ファッジより砂糖菓子然としている。
カントリーサイドをドライブしていると右の標識を良く見かける。森林公園の案内標識と思われるが、木の下で何をしているのかで妻と意見が分かれる。
私には読書をしているように見えるのだが、妻にはお弁当を食べているように見えるらしい。だからどうした、とは言わないが…。
Stonefield Castle Hotel ストーンフィールド ・キャッスル ・ホテル
ストーンフィールド ・キャッスル ・ホテルのガーデンが良いとの情報だ。
A83から取り付け道路を500m程進むと湖岸に豪壮というほど大きくはないが、19世紀の32室しかない小ぢんまりしたお城が現れた。
パーキングに車を止め、辺りを見回すがガーデンらしきものが見当たらない。レセプションで「ガーデンを見たい」と伝えると
「城の周りがガーデンよ。どうぞご自由に」とのことだ。またしても同じ過ちをしてしまったようだ。ガーデンの概念が違うのだ。
私達はフラワーガーデンを思い浮かべてしまうが、こちらでは敷地全てがウッドランドガーデン(Woodland Garden)なのだ。
折角なので少し林の中を歩く。ここもシャクナゲが多いようだが、花は終わっている。代わりにアジサイが色づき始めたようだ。
Tarbert Castle ターバート城
ターバート(Tarbert)の村に入ると左手に港が見える。その向こうの丘のうえに廃城が見える。フェリーの時間まで少し余裕があるので寄り道する。
A83を左折、カラフルな建物が並ぶハーバー・ストリートを走ると湖岸沿いの素晴らしい住宅街に入ってしまう。行き過ぎたらしい。
引き返すとハーバー・ストリートを入って間もない所がターバート城への登り口だった。
道路脇のスペースに車を止め、登り始める。かなりの傾斜を登り丘の上に出る。城は見えているのに結構遠い。ようやく辿り着いたが、工事中で中に入れない。
13世紀に遡るという城だが、今残るのは16世紀に建てられた部分だ。地元コミュニティーが保存しているというが、壁や天井には雑草が茂っている。
骨折り損の気分だが、ファイン湖やハーバー、ターバートの村の素晴らしい眺望で帳消しとしよう。
Claonaig
ターバートからA83をさらに南下、B8001に入って10km程でフェリー乗り場のあるClaonaigに到着。民家数軒の集落だ。
ここから西へ5kmのSkipnessにも廃城があるとの情報だが、今はその気分ではない。フェリー乗り場で海風を受けながら海を眺めてフェリーの到着を待つ。
定刻通りにCaledonian MacBrayneのフェリーが到着する。スカイ島から乗ったものに比べると格段に小さいフェリーだ。
車は10台くらいしか乗れない感じだが、アラン島(Isle of Arran)へのフェリーは本土のアードロッサン(Ardrossan)と
島のブロディック(Borodick)を結ぶラインがメインなのだ。アラン島まで30分の船旅だ。
Isle of Arran アラン島
アラン島は「スコットランドのミニチュア」と呼ばれる。地形・地質学的にも島の中央でハイランド境界断層(Highland Boundary Fault)で分断され、
島の北部がハイランド、南部がローランドの自然・景色が見られるのだという。
オークニー諸島へ渡ることを断念した段階でどこかほかの島に渡りたいとリサーチしたところ、この情報を得た。
実際のローランド、ハイランドを巡った後、この島を訪れたら面白かろうと考えたのだ。主要産業が観光とウヰスキーとビールという島だ。
Lochranza Castle ロッホランザ城
フェリーが到着したのは島の北西部のロッホランザ(Lochranza)という村だ。フェリーを下りて10mも走ればもうそこはA841だ。ナビ子ちゃんもセットしていないし、
心の準備が出来ていないからあたふたしてしまう。車の流れに追随し、路肩にスペースを見つけナビ子ちゃんをセットしようとすると、目と鼻の先に廃城が見えるではないか。
それがロッホランザ城だ。
14世紀には、かのロバートブルース(Robert the Bruce)が狩猟小屋(hunting lodge)として所有したといわれる廃城だ。狩猟小屋というにぴったりな小さな城だ。
小さな入り江のようなランザ湖(Loch Ranza)に突き出た砂州のような場所に建っているから、どこを切っても水のある風景だ。
山の姿もハイランドを思わせせなくもない(写真下中)。一部の山では自生のシャクナゲでピンクに彩られている(写真下右)。
Catacol Distillery Seal カタコール村 蒸留所 アザラシ
地図を見ると城と対岸のNewton Pointにビューマークが付いている。左手は直ぐそこがランザ湖の波打ち際、右手には緩やかな斜面に様々なデザインのサマーハウスらしき
建物が点在しているシングルロードを1km余り走ると行き止まりだ。岬までは歩かなければならないようだ。わずかな距離だが、パーキングが見つからない。
それよりなにより、昨日のディナーの時の胃のむかつきが直っていないのだ。フェリーの上で潮風に当たりだいぶ良くなってきたが、とても歩く気にならない。
実は今日は15時頃からゴルフを楽しむ計画だったのだが、それも断念したのだ。
次にやって来たのはカタコール村、海岸(Catacol Bay)も美しいが、”キャタコールの12使徒”と呼ばれる建物がある。これは、12軒の白壁の小さなコテージが
海岸線に沿って並んでいるものだ(写真下左では6軒しか写っていない)。海に向いた2階の窓の形が家ごとに異なっていて、
海で漁をする夫に妻が窓からろうそくで合図すると漁師は誰の合図であるか窓の形で識別するというロマンチックなお話だ。
アラン蒸留所は1995年創業の新しい蒸留所だ。アラン島にはかつて50もの蒸留所があったのだが、
1836年に最後の蒸留所が閉鎖されて以来160年ぶりに復活したのだという。今日の気分は車窓見物までだ。
この旅で最も残念なことは野生動物に出合えなかった点だ。オオワシやパフィンなどの鳥類、アザラシやオットセイ、イルカなどの海生の哺乳類、
そして、赤リスなども見られるものと期待してきたのだが、果たしていない。
アラン島ではアザラシに遇えるかもと期待しつつ、ブロディック(Brodick)に向かってドライブしていると、海の中の岩の上にアザラシ発見。
喜び勇んで路肩に駐車しカメラを向けるが、どこか変だ。観察すると動かないのだ。どうやら造り物らしい。騙された。
Brodick Castle ブロディック城
アラン島で最も大きな観光施設がブロディック城だろう。 海沿いのA841から重厚なゲートを通りCastle & Country Parkの丘を登って行く。パーキングに車を止め辿り着いた城はクローズだが、 ガーデンは開いている。ハミルトン公爵の居城であった荘厳な城の海に面する南東斜面に、広大なテラス式に広がったウォールドガーデンがある(写真下中)。 1710年に造られたというフォーマルな様式のガーデンだ。今日の私には階段の上り下りが少々厳しいが一巡りする。
このガーデンにはコーンウォール沖合のシリー諸島(Isles of Scilly)の有名なトレスコ・アビー・ガーデンズ(Tresco Abbey gardens)から運ばれた植物が多いというが、
ガゼボの周辺にそれと思われる植物が見える(写真上右)。アラン島も暖流に囲まれ温暖な風土なのだ。
ガーデンを縦横に仕切る通路の交点に置かれたサンダイアルも重厚なものだ。バラや藤の花が開花し始め、春爛漫の趣だ。
城がクローズの所為か訪れる客も少なく静かなガーデンを満喫する。
Countryside カントリーサイド
まだ14時30分だ。体調は良くないが、B&Bの部屋でじっとしていても気が沈むばかりだろう。島内をドライブしよう。
ブロディックの街に向かって走っていると左手に、ショップが幾つか集まった場所を見つける。"Arran Aromatics"と"Arran's Cheese Shop"と"Duchess Court Shops"などだ。
それぞれ覗いて回り、チーズショップで試食をし、気に入ったものの中から常温でも日持ちのしそうなものを幾つか求める。
島の西側にストーンサークルやスタンディングストーンのマークが目立つ。島を横断するB880を進むと間もなく工事中で通行止めとなる。
仕方なく引き返しすと、A841との分岐には"Road Ahead closed"と出ていた。ムッ。
こうなったら、A841で島を一巡りしてしまおうと、時計回りに走り出す。左手は常に美しい海が眺められる。
島の南岸を回り、西岸を北上する。時折集落が現れるが、ストーンサークルを示す案内はおろか村の名を記す標識さえ出て来ない。
地図でオーチャガロン(Auchagallon)村にアクセスが簡単そうなケルン(Cairn)の表示がある。村に入ってみると始めてヒストリック・スコットランドの標識があった。
路肩に車を止め50m程で到着した。
オーチャガロン・ストーンサークル(Auchagallon Stone Circle)
だ(写真下3枚)。海の見える見晴らしの良い丘の上にフェンスで囲まれ、窮屈気に15個の石が並んでいる。直径は15m位で石もさほど大きなものではない。
4000年以上前のものだという。のんびり眺めていると体調も回復してくる感じだ。
更に少し北に上ると右手の丘の羊の群れの中に白いスタンディングストーンが見られる。オーチェンカー・スタンディングストーン(Auchencar Standard Stone)だ。
5m以上はありそうな立派なものだ(写真右)。
ぐるっと一回りして再びロッホランザに着いた。約2時間30分のドライブだ。ロッホランザ城の周りに赤鹿を発見する。
情報では当たり前に見られるはずだったのに、この旅では野生動物に縁がなかったので嬉しい出来事だ。早速乗りつけ撮影する。
他にも観光客が3組ほど鹿の後を追ってカメラを構えている。動く相手だけに良い構図が取れない。
昼に来た時には砂浜で船腹を見せていた舟が水に浮かんでいる。潮の満ち引きが大きいのだ。
Brodick Bar ブロディック・バー
B&Bのお薦めパブはブロディック・バーだ。「歩いて行けるか?」と訊ねると「車で行きなさい」とのことで出発したが、わずか500m先だった。
無垢板をふんだんに使った素朴で温かみのあるインテリアが気持ちが良い店だ。オーダーはフィッシュアンドチップスとシーバスの料理。
体調はだいぶ良くなってきたが、自重してグラスワイン1杯のみとする。かなりのボリュームだったが、とても美味しくいただけた。完全復調といえるだろう。
B&Bに戻るとバイクが10台以上並んでいる。ライダーの団体が到着したようだ。賑やかなことだ。フェリーのラストチェックインが7時50分だから、
朝食は無理かと思ったら、そこはフェリー乗り場まで1km足らずのシチュエーションのB&Bだ。7時15分からOKだとのことだ。
ところで、今日の昼、久し振りに長女に電話したところ「10日程前に総理大臣が交代し、3日ほど前に梅雨入りして今日は30℃を越えた」とのことだ。
帰国後はしばらく浦島太郎症候群と暑さに悩まされることだろう。
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