2010年の旅 スカイ・オーバン編

花花

第26日 6月15日(火) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程        Ards House --- Dunstaffnage Castle --- Ardchattan Priory --- Kilchurn Castle ---
                         Inveraray(Castle, Shopping) --- Loch Lomond(Curuise) --- Ards House
今日の走行距離      232km
今日の万歩計       14,900歩

Ards House  アーズハウス

今日も上々の天気だ。アーズハウスのホステスのマーガレットは何処かマダムの風格があるが、 ホスピタリティーは最高だ。気は遣ってくれるがお節介ではない。そんな距離感があり、イギリスの個人主義と解釈する。
とても明るいダイニングの窓際に席を占める。ブラックプディング・エクセプト・フルスコティッシュとスモークトサーモン&スクランブルエッグだ。 ブラックプディングはStornoway産、スモークトサーモンはInverawe産と食材にもこだわりがあるようだ。
ここの小さな看板に"Ards House Guest House"の下に"Tigh Na Ard"とある。6月1日から3泊した"Tigh Na Leigh"で学習した通り "Tigh Na 〜"はゲール語で”〜の家”の意味だ。そして、"Ard"は”岬あるいは小丘、高台”の意味だという。”岬の家”がピッタリくる。

Ards House Ards House Ards House Ards House

Countryside  カントリーサイド

Countryside Countryside

部屋に戻り窓からハウスの裏庭を見ていると野ウサギがぴょこぴょこしてる。旅人の私でさえさほど珍しくなくなった。土地の人にとっては迷惑な存在なのだ。
オーバン(Oban)に向かうと直ぐにガーデンセンターがある。Poppies Garden Centreだ。 9時10分なのにもうオープンしている。立ち寄ってみるが、求めているものは見つからない。流木を利用して作ったガーデンファーニチャーが素晴らしい。 求めて日本に送りたい気がするが、そこまでは・・・。

Dunstaffnage Castle  ダンスタッフネイジ城

昨日の訪問予定であったが、オープン時間を過ぎていたので、今日の1番の訪問となったのが ダンスタッフネイジ城だ。
ここは城が出来る前の7世紀ごろに、あの運命の石(即位式の石 The Stone of Destiny) がアイルランドから運ばれてきた場所だという。そして、9世紀にスクーン宮殿に移されたのだ。
さて、城は露出した岩の上に13世紀に最初に建てられ、現在でもその当時のものが残っている。1746年には既に何度も述べたボニー・プリンス・チャーリーの 逃亡を助けた罪でとらえられたフローラ・マクドナルドが短期間だが、ここに幽閉されたという。運命の石といいボニー・プリンス・チャーリーとフローラ・マクドナルドといい、 史跡を訪ねているのだから当然と言えば当然だが、見事に繋がっている。
極めて重厚な造りだ。写真下左から2枚目の右手の石段を上り城に入る。台形の形をし、2ヶ所の角が円塔がある。嘗ては円錐形の屋根が載っていたのだろう。 一部には屋根も残っている。周囲は2m以上の分厚い城壁で囲まれ、その上を歩くことができる。そこから見るダンベグ港(Dunbeg Harbor)が美しい(写真下右)。

Dunstaffnage Castle Dunstaffnage Castle Dunstaffnage Castle Dunstaffnage Castle

Oban  オーバン

オーバンはさすがに大きな街だ。ポストオフィスを探すのに街を2巡ほどした。歩行中の女性に訊ねてようやく見つける。 ポストオフィスは幾つかあるらしいのに、探す時には見つからないものだ。オフィス前の道路がパーキングOKで真前に止められた。

postoffice

窓口が2つしかなく、並んでいる。こちらの並び方は必ずフォーク型だ。順番が来て、女性係員に段ボール箱を差し出すと「それは隣の窓口で」と言う。 隣が開くのを待って責任者らしき男性が受け付けてくれる。重量を量り、書類とみらめっこをして「200ポンドくらい掛かる。飛行機に預けた方が安いが、 それでも良いか。」と訊く。200ポンドは予想以上の値段だが、飛行機の乗り継ぎがあるから仕方がない。「OK]と応えると書類を寄こす。 記入している間も窓口は閉めたままだから、行列は長くなる一方だ。隣の窓口で用を済ませた人が睨んで行くような気がする。「中身は何だ」、「保険はどうする」、 「高価なものでなければ不要だ」などやり取りが続く、スコッチ訛りで妻は十分に聴き取れないようだ。 全ての手続きが終わってオフィスを出た時には20分以上経過していた。無事に届けと祈るばかりだ。街でのショッピングの意欲も失せて次の目的地に向かうことにする。

Ardchattan Priory  アードチャッタン修道院

北に戻りコレル橋を渡るとアードチャッタン修道院の 案内標識がある。右折してローカルロードを8km先だ。エティーブ湖(Loch Etive)を右手に見ながらのシングルトラック道路だ。意外と交通量が多く行き違いに苦労する。 ナビ子ちゃんは「目的地付近に到着」と言っているがそれらしき看板がない。迷ナビが「さっきゲートのようなものがあったわよ」と言う。「それを早く言ってよ」と 嘆きつつUターンも一苦労なのだ。小さなアイアンゲートがあり、どうやらそれらしいが、標識はない。これでは対向車に注意を払っていたら見逃してしまう。 狭いゲートの中にパーキングらしきスペースがあり車が1台止まっている。そこに止めて、林の中を奥に進む。
1230年に設立された小修道院の廃墟が現れた(写真下左 Choir House)。惨憺たる荒廃ぶりだ。壁の裏に簡単な屋根を架けて墓石(Grave Slabs)や十字(Cross)が立てかけてある。 14世紀から15世紀初頭のものだという。写真下右の十字は"MacDougall Cross"といい1500年のものだという。何だか背筋が寒くなってくる。ガーデンに向かう。

Ardchattan Priory Ardchattan Priory Ardchattan Priory Ardchattan Priory

Ardchattan Priory Garden  アードチャッタン修道院ガーデン

修道院はヒストリック・スコットランドのプロパティーで無料だったが、隣の アードチャッタン修道院ガーデンは個人の所有で有料だが、 スコットランド・ガーデン・スキムへのチャリティーのようだ。受付はなくオネスト・ボックスに6ポンド投入する。 修道院の修道士の家で修道院が出来た頃からガーデンも始まったようだ。現在のガーデンはビクトリア調に変わっているが13世紀の面影も見られるという。

Ardchattan Priory Ardchattan Priory Ardchattan Priory Ardchattan Priory

惨憺たる廃墟を見た後だからでなく、素晴らしいガーデンだ。ハウスの前が広い芝の広場でその脇がボーダーガーデンになっている。モンタナ、ルピナス、ポピー、 そしてローズガーデンがあり、バラも咲いている。手入れも完璧だ。ボーダーの中の象の石像あたりが13世紀の面影か? サンダイアルも重厚だ。 写真にはないがハウス前の芝の広場の直ぐ南にはエティーブ湖が広がり、対岸の山並みを含め素晴らしい借景だ。

Ardchattan Priory Ardchattan Priory Ardchattan Priory Ardchattan Priory

Kilchurn Castle  キルチャーン城

キルチャーン城は 5年前に訪れた時は車での入り口が見つからず、フェリーも時間が合わなくて、遠くから眺めるだけで終わった。リベンジはフェリーでと思い、 懐かしい跨線橋を渡って乗り場に到着したが、様子がおかしい。古い客車のカフェ兼チケット売り場は閉まっているし、船着き場に蒸気船の姿がない。 2艘とも出はらっているのかと美しい城や崖の上のホテルを眺めながら待つがいっこうに現れない。仕方がない、徒歩で行くことにしよう。

Kilchurn Castle Kilchurn Castle Kilchurn Castle Kilchurn Castle

キルチャーン城のパーキングへの案内板は今年も見つからなかったが、見当をつけて未舗装道路に入りこむとCallander and Oban Railwayの線路脇にパーキングが見つかる。 そこから700mほど河原のような道を歩く。この道は湖の水量が多くなると浸水してしまうのだという。前方には常に美しい城が見える。 1450年に建てられた5階建ての城館はコーリン・キャンベル 卿(Sir Colin Campbell)によって17世紀まで拡張を続け、現在の姿になったという。 コーリン・キャンベル 卿は上述のDunstaffnage城の主でもあったのだ。どちらも美しい湖を背景にしたロマン溢れるシチュエーションだ。

Kilchurn Castle Kilchurn Castle Kilchurn Castle Kilchurn Castle

1760年に落雷によっ損傷を受け廃城となったというが、外形も整っていて丁度良い荒廃ぶりというところだ。オー湖(Loch Awe)を背景にした美しく神秘的な姿に酔う。
先程蒸気船を待った船着き場やホテルも目と鼻の先に見える(写真下左から2枚目)。何処からやって来たのかゴムボートで岸に乗りつけ、赤い砂浜を城に向かうカップルがいる。 広い干上がった砂浜で気が付いたが、今は湖の水量が少ない時期で城の桟橋まで蒸気船が通れないのかもしれない。
どうやら、今朝食べたスモークトサーモンは、このオー湖の河口付近Inverawe Smokeryで産したもののようだ。

Kilchurn Castle Kilchurn Castle Kilchurn Castle Kilchurn Castle

Inveraray  インバラレイ

インバラレイ城に遣って来た。全体的に5年前よりずっと整備されている。 入場チケットはカッスル&ガーデンのみでガーデンオンリーはなく料金も随分お高い。商業主義が見え見えで嫌気がさしてパーキング入り口でUターンする。 歴史あるお城やガーデンの維持管理はお金が掛って難しいらしい。
インバラレイの街のThe Avenueのパーキングに車を止める。 湖岸から懐かしいAray Bridgeが見える。18世紀に出来た美しい橋の佇まいは5年前と変わらない。
Main Streetをウインド―ショッピングする(写真下中)。写真の正面はパリッシュ教会(Parish Church)だ。A道路の真ん中に建っていて、 道路は教会を避けて上り下りに分かれて通っている。古い物を大切にするというか、あるがままを受け入れるというのか、文化の違いだ。 教会らしくない建物だが、尖塔は倒壊の危険があるため壊したままのようだ。ビストロのウインドーに美味しそうなスィーツが並んでいる。 小さめなケーキとカプチーノで小休憩。
土産物店のパーキングにコーチの団体客が到着したようでバグパイプのウエルカムパフォーマンスが始まった。2、3曲演奏を聴く。 ナイトキャップ用に地元のスコッチ・オーバンを求める。

Inveraray Inveraray Inveraray Inveraray Inveraray

Loch Lomond  ローモンド湖

ローモンド湖は湖水面積でイギリスで最も大きく、容積ではネス湖に次いで第2位だ。 スコットランドの他の湖同様、氷河によって削られた細長い湖だ。05年の旅でローモンドの西岸のターベット(Tarbet)の船着き場で立派な 観光船を見かけ、団体さんが笑顔で乗り込むのを 羨ましく見送った覚えがある。今回はこのイギリス一の湖のクルーズを楽しみたいと遣って来たのだ。
電話で予約を入れると「予約は不要」との返事だった。湖畔の案内所でチケット売り場を訪ねると桟橋でクルーから直接求めるようにとのことだ。 16時の"Ptarmigan"というクルーズまで30分ある。湖畔の芝の広場に寝そべって目を閉じていると、リゾートらしいざわめきも心地良く眠気を誘う。
定時にスタート、東岸のRowardennanまで往復1時間30分の旅だ。乗客はカップルばかり10組位、静かなクルーズを楽しむかのように口数も少ない。
時折すれ違うジェットスキーやゴムボートの人に手を振って挨拶をする。ローモンド湖の長い東岸の北部には公道はなくほとんど未開拓のようだ。 湖畔の最高峰ベンローモンド(Ben Lomond)の優しい姿が左手にずっと見える。(写真下右)。

Loch Lomond Loch Lomond Loch Lomond Loch Lomond

Rowardennanで降りる人はなく、3人のバックパッカーが乗り込んできた。帰りは西岸沿いに進む。西岸に沿ってA82が走っている。 湖畔には個性的で瀟洒なサマーハウスが幾つも見られ、この国の豊かさを見せつけられる。
1組のカップルがシャッターを押してくれと言ってくる。例によって換わりに撮りましょうと撮ってくれたが、余り良い出来栄えではなかった。

Loch Lomond Loch Lomond Loch Lomond Loch Lomond

Piazza  ピアッツァ

帰りはA82からA85を通り、B&Bのあるコネルを通過し一気にオーバンの街に入る。2時間のドライブだ。5年前に行きそびれた EE・USKを訪れると案の定満席だ。相変わらず人気のようだ。
今日の所は05年にランチをしたピアッツァにしておこう。 こちらも賑わっていて、しばらく待たされてから席に案内される。オーダーは
・ "Zucchine Ripiene" Courgette stuffed with parmesan, breadcrumbs & garlic butter ズッキーネ・リピエネ ズッキーニの詰め物
・ "Bruschetta" Roasted loaf with garlic butter and diced fresh plum tomatoes, basil and extra virgin olive oil お化けブルスケッタ
・ "Margherita" Mozzarella, tomato & fresh basil 超厚ピッツァ マルガリータ
・ "Spagetti alla Puttanesca" Classic dish consisting of capers, olives, anchovies, black pepper and fresh tomatoes プッタネスカ 娼婦のスパゲッティ
オールトマトでかぶってしまったが、イタリアンとはそうしたもの。
ズッキーニは少し火を通しすぎたようだが、なかなか美味しい。ブルスケッタの大きさは何ということだ。半端じゃない。それでもここまでは完食したが、 次のピッツァの厚さにまた驚きだ。半端ね〜。続いて出てきたスパゲッティの太いこと。麺はすべからく細麺が好きなんですが・・・。 ピッツァはモッツァレラの部分だけ、プッタネスカ中のオリーブやケッパー、ニンニク、アンチョビ、トマトだけほじりだしていただいただけで満腹だ。
突然、アーズハウスのホステスのマーガレットが現れ「楽しんでいる?」と声を掛けられ、びっくりだ。EE・USKで息子さんとディナーをした帰り際に 私達を見つけて声を掛けてくれたのだ。「私達もEE・USKに行きたかったが、満席だった」と言うと「明日行きたいなら、今予約した方がいいわよ。 今私が予約してきてあげる。何時にする」、「19時30分に」。出て行ったかと思うとあっという間に帰ってきて「OKよ」。何んとも手早いこと、小気味良い。

Piazza Piazza Piazza Piazza

Oban  オーバン

腹ごなしに埠頭の辺りを散策する。レストラン前に素晴らしい帆船が停泊している。夕暮れ時なのにフェリーやボートが行き交っている。 トワイライトの港は何故かペーソスを感じさせるものだ。哀愁に浸る。
目を山側に転じるとマクレイグの塔(McCaig’s Tower)が見える。明日は必ず訪ねてみよう。今日求めたスコッチウイスキー”オーバン”の 蒸留所もこんな街中にあるのだ。B&Bに帰ってオーバンを楽しむことにしよう。

Piazza Piazza Piazza Piazza

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