第25日 6月14日(月) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程 Balloch B&B --- Armadale 〜Ferry〜 Mallaig --- Glenfinnan(Monument, Viaduc) --- Neptune's Staircase ---
Nevis Range Gondola --- Inverlochy Castle --- Ards House
今日の走行距離 251km
今日の万歩計 10,300歩
Balloch B&B バロッホ B&B
今日は打って変わって上天気だ。ホステスや泊まり客同志の挨拶も"Lovely day"が飛び交っている。
ここのソーセージはあまり感心しなかったので、ソーセージ抜きのフルスコティッシュをオーダーするとベーコンとスクランブルがたっぷり出てきたが、
マッシュルームは今日もない。ここの食器は全て同じシリーズで揃えてある。淡い色遣いが良い。
陽の光に誘われて庭に出る。小さな庭だが、色々趣向に富んでいる。ウッドデッキを下りアーチゲートを潜り、グラベル風のガーデンに出る。
そのかたわらにサンダイアルとベンチブランコが置いてある。楽しい庭だ。
Countryside カントリーサイド
9時スタート。A87を南下すると間もなく後方に昨日は見られなかったオールドマン(Old Man of Storr)が見え始めた(写真下左2枚 中腹の突き出た岩)。
パーキングスペースを見つけては2度、3度と停車して眺める。
山々が見られなかった昨日のお返しのように良く晴れて、遠くの山まで見通せる。
スカイ島南部の山岳地帯クイリンヒルズ(Cuillin Hills)の山並みも素晴らしい眺めだ(写真下右2枚)。
A87はSligachan村から東に進む。アーマデールへのA851の分岐を通過してKyleakin村まで走る。ここにビューポイントのマークが付いているからだ。
スカイ島とグレートブリテン島を分かつ海峡に臨む閑静な住宅から見るスカイ大橋(Skye Bridge)は殊の外美しい(写真右)。
ここへ来る途中、工事のため片側交互通行で渋滞があった。本土側のビューポイントにも行く予定だったが、念のため断念しよう。
Armadale 〜Ferry〜 Mallaig アーマデール 〜フェリー〜 マレイグ
05年にはグレートブリテン島のマレイグ(Mallaig)からフェリーでスカイ島のアーマデールに入り、スカイ大橋を渡って北に上がった。 今年はその逆を行く。北からスカイ大橋を渡ってスカイ島に入り、アーマデールからフェリーでマレイグに渡ろうという訳だ。 渋滞もさほどひどくなく、11時05分の最終チェックイン(Latest Check-in)に対し10時40分に到着する。 フェリーターミナル(Ferry Terminal)には既に10台以上並んでいる。係員の指示に従い車を止め、予約票を渡しチェックインを済ませる。
アーマデール湾(Armadale Bay)は小さな湾だが、引き潮で更に狭い。ヨットやボートが係留されている。対岸にOld Pierも見える(写真右)。
周辺に幾つかあるショップを覗く。クラフトショップでハイランドカトルをデフォルメしたフィギュアが愉快な顔をしているのが面白く求める。
フランス人のカップルが「昨日も雨の中、スカイ島のあちらこちらでお会いしましたね」と話しかけてきた。そういえば美人奥さんには見覚えがあるような。
フェリーが近付いてきた。Caledonian MacBrayneの"MV Coruisk"だ。
全長65m、車40台と旅客249名が定員で14ノット(26km)で航行するという。接岸しランプウェイが降りるや否や、
車が吐き出されるように上陸してくる(写真下左から2枚目)。上陸が終わればこちらの乗船の番だ。ほぼ満杯の車が乗り込んだ。
車のない旅客も意外なほど多い。
スカイ島の美しい海岸線に別れを告げ本土に向かう(写真下右から2枚目)。上天気だからほとんどの人が上甲板に出て心地良い海風に吹かれている。
航行時間わずか25分でマレイグ港(Mallaig Harbour)に到着だ(写真下右)。青い海と青い空がこの先の行程を祝福しているようだ。
Glenfinnan(Monument, Viaduc) グレンフィナン(モニュメント、ビアダクト)
マレイグからはA830を30分のドライブだ。スラロームとアップダウンを繰り返し、視界には常に湖の景色がある。
そして、その向こうには姿の良い山並みが見える。
検索の中で”Glenfinnan Candles"の情報を得、訪れたが閉まっている。テーブル用やクリスマス用のキャンドルをと思っていたが残念だ。
ナショナルトラストのGlenfinnan Monument Visitor Centreのパーキングに駐車する。
ビジターセンターでメンバーズカードを示しモニュメントに向かう。シール湖(Loch Shiel)の湖頭に高さ20m程の円塔の上に像が立つモニュメントがある。
この像はボニー・プリンス・チャーリーことチャールズ・エドワード・スチュアート(Charles Edward Stuart)とも無名のハイランダー(Unknown Highlander)ともいわれる。
というのも、ボニー・プリンス・チャーリーが1745年8月にジャコバイト蜂起の旗揚げを行った場所が正にここなのだ。
1746年カロデンの戦いに敗れたボニー・プリンス・チャーリーはフローラ・マクドナルドの助けでフランスに逃亡したことは昨日述べた。
この戦いで亡くなった同族を追悼し、1815年にアレキサンダー・マクドナルドによって建てられたのがこの記念塔だ。上の像は1834年に追加されたものだ。
無名のハイランダーとした方がアレキサンダー・マクドナルドの気持ちに近いように思える。
上から下りてくる人がいないか声を掛けて確認し、螺旋階段を登る。擦れ違いが難しいほど狭い階段なのだ。塔の上からは360度の素晴らしいパノラマだ。
シール湖の美しさに心打たれる。水色と空色の美しさを再認識する。この美しい湖にも未確認生物(Unidentified Mysterious Animal)の目撃情報があり、
シーラグと呼ばれるのだそうだ。ゴーストだのUMAだの、”出る”ものが好きな国民だ。
眼を山の方に転じると鉄道高架橋(Viaduct)が見える。1897年から1901年の間に造られた鉄道橋だ。
長さは375mで21のアーチがある。高さは30mだ。コンクリート製だが、自然にしっくり融合して美しい。ハリーポター他幾つかの映画のロケ地でもある。
ここを"The Jacobite steam train"という蒸気機関車が1日1往復する。その姿をぜひ見たいものとタイムテーブルを調べたが、往きはもう行ってしまったし、
帰りの時間までは2時間もある。楽しみは次の機会に譲ることにし、今日の所はポストカードで我慢しておこう。
ビジターセンターでポストカードを求めているとフランス人カップルもショップを物色している。一足お先に出発する。 (写真右はポストカードより)
Neptune's Staircase ネプチューンの階段
イギリスでは18世紀から19世紀にかけ運河が非常に発達した。19世紀半ばからは鉄道にとって代わられるが、20世紀後半からはレジャー用として復活し、
現在数千マイルもの船舶運河がグレートブリテン島中を巡っているという。
運河の発展に伴い技術革新が進み、谷を渡るビアダクトや山を貫くトンネルで水路を短縮したり、ロック(Lock 閘門)やボートリフト(Boat Lift)により高低差を解消できるようになった。
ボートリフトの一つはこの旅の5月28日に訪れた回転式ボートリフトのフォルカーク・ホイールであり、
もう一つはリバプールの近くにアップダウン式のボートリフトがあるという。いずれ訪ねてみたい。
フォートウイリアム(Fort William)のリニ湖(Loch Linnhe)とインバネスのビューリー湾(Beauly Firth)間の100kmを結ぶ
カレドニアン運河(Caledonian Canal)はその間にロヒー湖(Loch Lochy)、オイッヒ湖(Loch Oich)、
ネス湖と3つの湖がある。それぞれの間に高低差があり、これを結ぶ運河には合計29基ものロックがある。1803年に出来たものだ。
中でもフォートウイリアムの北のバナビー(Banavie)村に8基のロックが階段状に連なるネプチューンの階段なるものがあるという。500mの間に8つのロックがあり、
約20mの高低差を解消する。8つのロックを通過するには1時間30分を要するという。勿論イギリスで最も長いロックだ。
沢山撮った写真で8基のロックをイメージしていただける物がなかったので"Flickr"の写真をお借りした(右上)。
拡大写真はFlickr。
もう一つ面白いことはネプチューンの階段の南を通るA830と"The Jacobite steam train"の鉄道の鉄橋が船が通る時、回転して水路を開けることだ。
A830の"Banavie Swing Bridge"と鉄道の"Banavie Railway Swing Bridge"だ。さしずめ、船の踏切と言ったところだ。ここに至った時、随分長い渋滞に出合ったのだ。
たまたま船が通過し、踏切が閉まったことによる渋滞だったのだが、気が付いた時には時すでに遅く、写真撮影のチャンスを逃がした。そこで"About Lochaber"の写真を借用した(右下)。
拡大写真はAbout Lochaber。
写真の左の手前の白い欄干がA830の鉄橋、奥のトラス橋が鉄道橋だ。船が通過すると右にスイングして、船の右側に見える道路や線路とドッキングする仕組みだ。
前置きが長くなったが、ロックにしろ、ボートリフトにしろ、ビアダクトにしろ、こういう構築物が殊の外好きなのだ。あしからず。
さて、自前の写真でロックの上りを説明しよう。ロックを開け、水位を下の水路と等しくし、ボートをロックの中に入れる。写真の場合は人がロープで牽引している(写真下左)。
次に、下のロックを閉じる(写真2枚目)。続いて、上のロックを開け、下の水路と水位を等しくする。そして、ボートを上のロックに移す。これの繰り返しで上って行く。
1つのロックで2m以上上がるのが、岸壁の水に浸かった色の違いから理解いただけるだろう(写真3枚目)。下りはこの逆の操作が行われる。
閉じたロックの上は通行できるようになっている(写真4枚目)。
係留されていたボートの中に”風水”という名前の船があった。イギリスでは今漢字がブームのようだから、こんな名前も付けるのかもしれない。
あるいはカナルボートを持っている優雅な日本人がいるのかもしれない。運河の制限速度は時速6.4kmだから100kmのカレドニアン運河を渡るには、
3日は掛かるだろう。何とも優雅なホビーだが、私には合わない。
ロックの開閉は、今は電動だが、当初は手動だったのだ。その時代の巻き揚げ機(capstan)が今も運河の脇に残っている(写真2枚目)。
四角い4つの穴に棒を差し込んで4人で回したのだろう。
ボートをもやう杭も同じ色で塗られている。例のフランス人マダムがこれに座り長い脚を組んでカメラに収まっている。様になる。
言葉を交わし「またどこかでお会いしましょう」と別れた後、妻が同じポーズをしたが・・・。多くを語るまい(写真3枚目)。
次の目的地はイギリス最高峰のベンネビス(Ben Nevis) 、といっても高々1,343 メートルなのだが、 この麓付近にゴンドラがあり650mの高さまで運んでくれるという。
あの山が最高峰だろうか? ゴンドラへの期待が募る。
Nevis Range Gondola ネビス・レンジ ゴンドラ
ネビスレンジ ゴンドラはレンジと断っているように最高峰のベンネビスの山腹ではなく、
Aonach Morの北面に敷かれたゴンドラだ。海抜90mから650mまで全長2.3kmを15分で登る。
元々はスキーヤーを運ぶものだったが、夏場はマウンテンバイクや登山客やパラグライダーにも人気があるようだ。
勿論、観光客にも素晴らしいスペクタクルなパノラマを楽しませてくれる。Top Stationから少し上には雪渓も見られる。
ゴンドラが途中で止まることがある。故障かと心配したが、お年寄りが乗り降りする為に止めることがあるのだ。太ったお年寄りは膝が悪くて動きが鈍いのだ。
こちらでは障害があっても旅を楽しむ方が多い。
バイクを吊り下げて上がるゴンドラが多い(写真下右)。初級から上級までのオフロードコースがあって、一気に駆け下る姿が見える。中にはとんでもない転覆をして、
動けなくなっている人もいる。かなり危険なスポーツに見える。歩いて上り下りする人も大勢見られる。
広いパーキングの一隅に何やら丸太が林立している。人影はないが好奇心に駆られて行ってみると。アスレチックのようなもので"High Wire Adventure"と呼ぶらしい。 リニューアルしたばかりのようだ。中年男性のグループもやってきてわいわい言いながら見上げている。1人がチケット売り場の小屋から係員を呼んできて、 デモンストレーションを頼んだらしい。イケメンの若いお兄さんが身軽に登って渡ってみせる。命綱を着けているとはいえ、これにはチャレンジしたくない。
Inverlochy Castle インバーロッキー城
フォートウイリアムの街中はパスするとして、リニ湖畔にCastleの表示がある。立ち寄ってみる。
CastleはOld Inverlochy Castleだ。その歴史は13世紀に遡るというが、
残っているのは17世紀の廃墟だ。4隅のタワーとカーテンウォールは比較的良く残っているが後は何もない。白日の下、ここまで廃墟だと無機質に見える。
19世紀に出来たNew Inverlochy Castleというのが少し北にあって高級ホテルとして営業しているのだという。
Countryside カントリーサイド
A82をリニ湖に沿って南下する。リーベン湖(Loch Leven)がリニ湖へ開口する部分に架かる橋がバラチュリッシュ橋(Ballachulish Bridge)だ。
1975年に開通したペパーミントグリーンの鋼鉄製トラス橋だ。ニックネームが"King Kong's coathanger"だそうな。言いえて妙だ(写真左)。
この橋を渡ってA828に乗り換え更にリニ湖東岸を南下する。Portnacroish村辺りで右側の海に浮かぶ廃城が見えてくる。
ストーカー城(Castle Stalker)だ。駐車スペースがなかなか見つからない。
ずばり"Castle Stalker view cafe"なる看板が見つかる。ここのパーキングを拝借し、このロマンチックな城に見惚れる(写真右)。
Ards House アーズハウス
今日も無事に日程をこなし17時30分、B&Bのあるコネル(Connel)村に着いた。A828とA85が交わる交通の要衝だ。
ポストコードで出した地図がA85を逸れた地点を示しているので迷ってしまったが、別のB&Bの女性が「家よりずっと立派なハウスよ」と丁寧に説明してくれた。
A85沿いにアーズハウスはあった。道を挟んで向かいがパーキングになっている。湖に面した見晴らしの良い所だ。パーキングから撮ったハウスが左の写真だ。
この村の名物がコレル橋(Connel Bridge)だ。B&Bのパーキングから目の前に見える(写真右)。両端を3連のアーチ橋に挟まれた150mの鋼鉄製トラスト橋だ。
上述のバラチュリッシュ橋と良く似たデザインだが、1903年開通というからこちらが元祖だ。湖面からの高さは15m、美しい橋だ。
橋の下の水色の建物が今夜のディナーの"The Oyster Inn"だ。
The Oyster Inn
アーズハウスのホステスのマーガレット(Margaret)のお薦めは徒歩5分のThe Oyster Innだ。
この付近は複雑に湖が入り組み合う地形だ。窓から湖の見える清潔なレストランでディナーだ。今日は車の心配もないので、先ずはエールビールから始める。 オーダーは
・ Half dozen west coast Oysters Six Oysters served on crushed ice with lemon セルガキ
・ The Oyster Inn celebrated Ocean Pie Natural smoked haddock, salmon, mussels, prawns, and squid,
topped with mashed potato and glazed with mature Scottish cheddar, served with a green salad シーフードパイ
・ Chargrilled Scottish Rib-eye Steak served with chips, mushrooms, onion rings, tomato リブアイステーキ
セルガキの大きいことにびっくり、潮の香りが口に広がる。シーフードパイも具がごろごろ入っていて、掘っても掘っても底が見えてこない。
リブアイステーキの盛りつけのシンプルさ。楽しくなる。見事完食した。
この旅も早25日に及んだ。残りの日程は1週間だ。レンタカーのトランクはお土産で一杯だ。嵩張る物や重い物、不要な衣類などを別便で送らないと
スーツケースに入り切らない。飛行機の受託手荷物にするには、そこまで運ぶのが大変なので郵送にする。余り早く送りすぎて、帰国前に届いても受け取る者がいない。
明日オーバンのポストオフィスから送れば、帰国後まもなく届くだろうとの計算なのだが、どんなものだろう。
ということで、段ボール箱を2つ用意してきた。ディーンズのショートブレッド18個が嵩張るし重い。サンダイアルのヘッドは形が悪くパッケージし難い。
ブロンズのフェアリーも重い。衣類で周囲をカバーしながら詰め込む。押し込めば結構入るものだ。ガムテープでぐるぐる巻きに封をした。
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