第9日 7月18日(金) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日でピーク・ディストリクトともお別れだ。今朝はまた、朝から上天気だ。しかし、空気は乾燥し冷涼で清々しい。正に高原の
気候だ。昨日の集中豪雨で変更した日程を組み替えた。いくつかの予定地を削除しゆとりある日程にした。それでも300 km
近くの移動となる。安全運転で行こう。
朝食前に Horsleygate Hall のガーデン散策。良く出来た庭だ。3日目だが厭きることがない。それもそのはず
「 National Garden Scheme 」に登録して
いるのだ。 NGS とは、個人の庭を公開しそのヴィジターのチャリティーを財源に活動するチャリティー組織だ。公開日には
ホストはお茶と手作りのクッキーなどを準備しヴィジターを持て成すのだ(常時公開の大きなガーデンも登録されている)。
素晴らしい組織だと感動する。 Horsleygate Hall の今年の公開日は8月1日だと言う。2週間後だから
丁度良い時期に訪問したことになる。私達が到着した3日前にお出かけしたのは公開日のお手伝いをしてくれるボランティアの
方との打ち合わせであったとのこと。ワイン1本下げての夫婦での訪問、お洒落な感じだ。 NGS の選考基準の一つは
ヴィジターを45分間厭きさせないことなのだそうだ。今までに数軒の NGS 登録の B&B に泊まったがホスト・ホステスは
一様にガーデニングを語らせたら止まることがない熱意だし、 NGS 登録を誇りとしていることが伝わってきた。
朝食を済ませ、パーキングの周りで放し飼いの七面鳥やニワトリの見送りを受けて出発。 Buxton に向かう途中、
昨夜感動の発見をした Peak District National Park のランドマークでもう一度記念撮影(写真左)。
3日間あちこち走り回ったが国立公園を示す表記はこれ以外には見なかった。標識・看板については
「 ドライブ−交通標識・風景 」をご覧ください。
さて、「 Buxton 」だ。ここの情報は、
ミネラルウォーターとクレッセントだ。パーキングはショッピング・モールの横にあった。買い物は帰りにしよう。地図を頼りに
かなり広い歩行者天国のような通りを登っていくと小高い丘の公園が見える。頂上には大きな銅像があった(写真上下・中)。
美しい女性(羽があるからニンフか?)が左手に月桂樹の冠、右手に刀という姿だ。どんないわれがあるのか?見下ろすと
クレッセントが見える(写真下左)。とすればあの前にミネラルウォーターの井戸があるはずだ。下りていくと井戸には行列が
できている。後ろから何やらわめく声がする。どうやら私たちに声を掛けているらしい。どこから来たの?そのお水はもう
飲んだ?美味しいから飲んでごらん!と一方的に語りかけてくる。今日は涼しいですねと言ったら、 No ! Very Hot !
と言ってコートを脱ぎノースリーブのブラウスになって見せたりする。面白いおばちゃんと記念撮影(写真上右)。
この地では良質なミネラルウォーターが湧出し Buxton ブランドのミネラルウォーターが商品としてあるそうだ。
この井戸は St Anns Well といい、雨が降って石灰質の地層を通ってここに湧き出るのに5,000年掛かっている
とのこと。水温は常時27.5℃とか。確かに温かくてこくがありミネラルを感じる。持参のペットボトルに汲んで帰る
(写真上左)。
この地では古くから温泉も出たとかで保養地であったようだ。その施設として Buxton Crescent が
築かれたようだ。確かに三日月形の美しいフォルムを見せている(写真下右)。何やら Bath と良く似ているがスケールの
点では Bath に一歩譲らざるを得ない。
楽しい出会いをお土産にパーキングに戻る。有形のお土産もと言うことでモールでショッピング。買い物は Sheffield
で全て済ませたはずなのだが…。明朝のパッキングが心配だ。
「 Haddon Hall 」はこの旅の最も印象に残る ガーデンだ。 Hall の各部屋に案内の人がいて説明をしてくれる。相当古いもののようだ。しかし、私たちの興味はガーデン。 ごめんなさいと素通りでガーデンに出る。下の写真は立派なホールの外観だ。左2枚は表から、右の3枚は裏のガーデンからの 姿だ。
ガーデンは3段のテラスになっていて、各段にバラ、クレマチスやデルフィニウムを中心に花壇とボーダーガーデンそして 建物の石の壁をクライミングするバラやアイビーなどどこを切り取っても絵になる光景に歓声とため息の連続だ。下はバラの 写真だ。左から白バラの花壇、黄色のバラの花壇、ピンクのバラのスタンド仕立、館の壁を這うバラ、石垣を登るバラだ。
中段には広い芝生の広場に簡素な池と噴水があり満開のラベンダーが周りを飾っていた(写真下左2枚)。石造りの塀の外を 覗く人が行列を成している。並んでみる。順番が来て、ステップに上り下を見て息を呑んだ。この光景はこの世のものとは 思われない(写真下中)。楽園とはこんな場所を言うのかもしれない。映画ジェーンエアーの舞台になった場所である。 もっと見ていたいが列は繋がっている。あわててシャッターを切り、次に譲る。しかし、もう一度拝みたい光景だ。 列が途切れるのを待ち、今度はゆっくりと愉しむ(写真下右2枚)。この写真が翌年の年賀状を飾ることとなった。
下はボーダーガーデンの写真だ。色遣いが趣味に合っている。見る者の心を安らかにしてくれる感じがする。癒しの庭だ。
このガーデンの花全てが、今、満開だ。昨日の雨に少しも負けていないし、手入れもされたのだろう。気持ちの良い庭だ。
ゲイトにあるショップも充実していた。バラ柄のティータオルなど今見てきたバラと重なりつい手が出てしまう。ここで
奇遇な出会いがあった。今朝の朝食時、今日でピーク・ディストリクトを離れる話をした同宿のお客さんで Haddon
Hall には必ず寄るようアドヴァイスしてくれた方と出会った。愉しみましたか?良い旅を!と声を掛けてくれた。
ここでも気持ちの良い買い物が出来た。 Shopping もご覧ください。
イタリア料理に凝りだして以来、ゴルゴンゾーラを始めブルーチーズが好物となった。世界三大ブルーチーズのスティルトンの
発祥の地がここダービー・シャーでありレスター・シャー、ノッティンガム・シャーの3州でしか製造されていないと知った。
ウェヴサイトで検索したところ「 Hartington 」
村に良いチーズ工場と「ショップ」を見つけた。
Bakewell から A 515を南下、 B 5054を右折し谷へ下る。かなりの下りを3 km ほど進むと小さな村が
現れた。村の中心部は広い広場があり底抜けに明るい雰囲気だ(写真左)。 The Old Cheese Shop を探すが
見当たらない。歩き回った末、少し奥まった所に小さなお店を発見。中のショーケースにはいろんな種類のチーズがいっぱいだ。
お店は6、7人入れば満杯の狭さだ。店員は愛想もそっけもない。2種のスティルトンと他3種ほど普段目にしないものを
求めた。
パーキングの近くにテラコッタの製造販売の工場があった。こんなのが欲しかった!と言うものがあったが、持ち帰りもならず
船便にするほど酔狂でもない、目の保養にしておこう。
A 515を更に南下、「 Tissington 」
にやって来た。ここにはピーク・ディストリクトの豊かな水にまつわる
Well Dressing
なる祭があると聞いた。その祭は5月に催されるのだが自然の美しい写真に惹かれ寄ってみた。この祭の起源はは止むことのない
水の供給に感謝を捧げ井戸に装飾を施したのが始まりと言われる(諸説あるが私好みを採用)。
村の道路の脇は広い芝の路側帯になっていて清潔感溢れる美しい景観を見せる。その奥を道沿いに川が流れる(写真左)。
道沿いに6つの井戸が点在する。今は涸れてしまった井戸もあるが石の井戸は残っている。一番大きなものが Hall Well
だ(写真右)。 Tissington Hall
(写真下左から2枚目)の直ぐ前にある。
駐車スペースを見つけ、腹ごしらえしようとティールームへ。先客の食べているものを見ると1つで充分二人の腹を満たしそうだ。
オープンサンド ハム・チーズがこのボリュウムで満腹(写真下左)。散策開始。先ず Tissington Hall が
現れる。何かお祭が開催されているようだ。覗いてみるとガーデンが美しい。訊ねてみると今日はオフだと言う。残念。
更に進むと Childrens Well 、 Hand Well が見つかった。 Hand Well が右下にわずかに
写っている。奥は B&B のようだ(写真下中)。 Childrens Well は名前の通り小さなものだ。 B&B も
雑貨屋も角の民家も花盛りだ(写真下右2枚)。予想通り素敵な村だった。
この旅最後?のショッピングのプランがある。
「 Ashbourne 」の
Derwent Crystal を目指す。
6客あったはずの我が家のグラスがが一つ割れ、二つ割れ(妻曰く 割ったのではなく割れたのよ)して寂しくなった。
タンブラーもペアで欲しい。良いものが見つかれば…。
Ashbourne はピーク・ディストリクト南端の街だ。ウェヴサイトによればサッカーの原点である
Royal shrovetide football
が行われる街としても有名なのだとか。サッカーファンとしては、一度見てみたいものだ。
タウンセンターのパーキングが狭い(写真下左)。何とか押し込んで散策に。 TIC ツーリスト・インフォメーション・
センターがあった。行列が出来ていたのでパス(写真下中)。自力探索。
ここの小学校は歴史ある建物と聞いて来てみたが新旧どちらも古びていた(写真下左が新校舎、左から2枚目が旧校舎?)。
丁度下校時でお迎えの車と人で一時大混雑だ。イギリスでは小学生の登下校には親が付き添わなければならないようだ。
女性の社会進出が進んでいることを考え合わせると矛盾しているように感じるのだが、一度調べてみよう。小学校の向かいが
教会だ(写真下中)。
この通りに面したホテルの名前がユニークだ。 Green Man & Black’s Head Royal Hotel だ。
ちょっと怖い感じがするが…。それにこのゴテゴテした飾り付けはイギリス人のセンスとは思えない(写真下右2枚)。
探し歩いた末に公園脇に Derwent Crystal を発見。持ち重りのするグラスとタンブラーを予定通りゲット。
クリスタルをよじった形のマドラーが気に入り1本追加しようとしたら6本単位だという。同じ形のマドラーを6本もいらない。
バーじゃないんだから、と思っていると、のんびりパッケージしていたおばちゃんマドラーを1本持って、唇に手を当て
内緒よとウインクして箱の隅に入れてくれた。おばちゃんありがとう。スコッチを飲むたびおばちゃんを思い出すよ、と
心を込めて口から出たのは Thank you のみ。情けない。ところがこれが後にトラブルを生むとは神のみぞ知る。
歩き回ってのどが渇いた。パブを覗けば美味しそうにビールを飲む姿。しかし、この後200 km 余の移動が待っている。
ふっと思い出した。イギリスにはエルダーフラワーのサイダーなるものがあるとウェヴサイトで読んだことを。パブを3軒ほど
聞いて廻ったが見つからない。食料品店も尋ねたが分からない。来年の宿題にしよう。ジュースを買ってのどを潤す。
さて、出発。狭いパーキングでドアーが充分開けられず乗り込むのに苦労するほど隣の車が接近していた。切り返しを繰り返し 脱出を試みている内に後輪が縁石から脱輪し、路上駐車の車に接触してしまった。かなり大きな音がしたが傷は付いていない。 それでも知らん振りをして去ることも出来まい。車の持ち主が現れないかと周囲を見回すと、事の次第を見ていた住民が、 路上にとめた方が悪いんだ、構わないから行けと言う。もう一度傷の具合を確認しスタート。色々あった。
一つひとつの訪問地が期待以上に素晴らしく予定滞在時間をオーバーしてしまう。この後予定の Hall の開場時間には
既に遅すぎる。まっすぐ今夜の宿泊地を目指そう。 Derbyshire 、 Staffordshire 、
Warwickshire の広大な平原を心地良く走り抜け Marston House に到着。近くのサーキットで
レースが開催されるらしく満室だ。若者が多い。荷物を運び込み、最後の晩だからレストランの紹介を頼むと、良い
レストランがあるとメニューを持ってきて推奨の料理まで教えてくれた。 Welcome Tea を勧めてくれたが
もう直ぐ食事なので辞退したら、では Welcome Walk はどうかと言う。30分でこの美しい村の散歩をしようと
言うのだ。地図でも描いてくれるのかと思ったらホスト・ジョン自らが案内してくれた。2メートルに届きそうな長身のジョンの
ストライドに合わせ小走りに村を巡る。教会の裏の墓地を抜け(写真下左)、牧場の脇を通り遠くに見える隣村の池から
水を分けてもらうのでこの村では水は貴重品だと言う(写真下左から2枚目)。雲間から夕暮れの陽が放射状に輝く(写真下中)。
この陽射しをゴッドフィンガーと呼ぶのだそうだ。リストラで今は自宅でコンピューターの仕事をしているとかプライベートな
話まで出てきた。人の良い男だ。最後にレストランの前に案内された(写真下右)。B&Bまで2分の近さだった。
ホストお薦めの料理をオーダーした。デザートも含め大満足だ。イギリスらしからぬ手の込んだ調理だった。
息子のパートナーから E−mail が届いていた。前3日の宿泊先 Horsleygate Hall に E−mail が 無かったのでここに届けたものらしい。旅の安全と Enjoy を祈ってくれた。ありがたいことだ。今年の旅最後の夜は 荷造りの準備を済ませ、バランタインで乾杯だ。 【T】
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