第9日 5月29日(土) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程 Belsyde --- Blackford(Highland Games) --- Doune Castle --- Inchmahome Priory ---
Stirling Wallace Monument --- Stirling Castle --- Kirklands House
今日の走行距離 179km
今日の万歩計 10,600歩
Belsyde ベルサイド
ベルサイドとも今日でお別れだ。大きな部屋だった。この部屋での動線は私にとっては我が家での動線より確実に長かった。
2階のベッドルームが主たる居場所でバス・トイレが1階だからだ。我が家では居間が居場所でバス・トイレも1階だから動線はごく短いのだ。
Nan Hayのホスピタリティーは最高だったし、親父さんは寡黙なファーマーだった。息子はイケメンで孫娘は美少女だった。
快適なリビングでの食事も2回楽しめたし、素晴らしいステイとなった。ただ、暖房の故障は最後まで直らなかったが…。
朝食のメニューがとても豊富だ。毎朝フルスコティッシュばかりでは能がないかと別の物をオーダーしてみる。
妻が ・ Scottish Smoked Salmon served with Creamy Scrambled Eggs、
私が ・ Toasted Cinamon Bagel topped with delicious Cream Cheese and served with Fresh Fruit をオーダーする。
妻はサーモンの塩気とクリーミーなスクランブルがマッチして美味しかったようだが、私は少し物足りなかった。フルスコティッシュが1番だ。
今朝はパリから来たご夫婦と相席となる。奥様はベジタリアンのようだ。昨日エジンバラから入り、15日間のスコットランド周遊だという。
この旦那さんもベルサイドを高く評価していたが、この4日間でも何組かが入れ替わり、朝食のダイニングは常に満席状態だ。
ダイニングにも色々な置物がある。ご先祖からの思い出深い物なのだろうと想像する。
外回りをもう一度散策する。ファーニチャーやオーナメント、コンテナ、バスケットなど様々な工夫でガーデンを楽しんでいる様子が分かる。
屋敷の外れにあるオートキャンプサイトに昨日の朝は見られなかったキャンピングカーが沢山止まっている。
スコットランドでは31日がバンク・ホリデーのため、今日から3連休になるので昨日から来た人もいるのだろう。Nan Hayと記念写真を取り、お暇する。
Countryside カントリーサイド
3連休の初日だけに道路は混んでいる。右の写真のように自転車を屋根に積んだ車や、カヌーを3艇も積んだ車、エンジン付きゴムボートを積んだ車もいた。
屋根に積むだけでなくキャンピングカーやモーターボートなどを牽引している車も多い。様々に楽しむものだ。コーチは見かけるが、トラックの姿はほとんど見られない。
日本の”国民の祝日”はイギリスでは"public holiday"(公休日)といい、一般的にはバンク・ホリデー(bank holiday)と呼ばれる。ずばり、銀行が休業になるからだ。
そして、その多くが月曜日と定められているのが国民にとっては嬉しいことだろう。
また、イングランド・ウェールズとスコットランドと北アイルランドでは公休日が異なる所も、いかにもイギリスらしくて面白い。イングランド・ウェールズでは年間8日、
スコットランドでは9日、北アイルランドでは10日定められている。
有名なところでは復活祭(必ず日曜日)後の月曜日のイースター・マンデー(Easter Monday)だろう。復活祭の前の金曜日もグッド・フライデー(Good Friday)として公休日だから
4連休になるわけだ。3月下旬から4月上旬、長い冬からようやく春の兆しが見える頃、イギリス人待望のホリデーと言う訳だ。
他にはイングランド・ウェールズでは、1月1日 「ニュー・イヤーズ・デー(New Year's Day)」、5月最初の月曜日「アーリー・メイ・バンクホリデー(Early May Bank Holiday)」、
5月最後の月曜日「スプリング・バンクホリデー(Spring Bank Holiday)」、8月最後の月曜日 「サマー・バンクホリデー(Summer Bank Holiday)」、
12月25日 「クリスマス・デー(Christmas Day)」と12月26日 「ボクシング・デー(Boxing Day)」の8日だ。
スコットランドの違いは、1月2日 「セカンド・オブ・ジャニュアリー(Second of January)」と11月30日 「セント・アンドリューズ・デー(St Andrew's Day)」が増え、
イースター・マンデーがなくて、差し引き1日増えて9日だ。そして、サマー・バンクホリデーが8月最初の月曜日に変わっていることだ。
北アイルランドの違いは、3月17日 「セント・パトリックス・デー(St Patrick's Day)」、7月12日 「バトル・オブ・ボイン(Battle of the Boyne)」が増えて合計10日になる。
セント・アンドリューズはスコットランドの守護聖人、セント・パトリックスは北アイルランドの守護聖人で、バトル・オブ・ボインは1690年のカトリックに対する
プロテスタントの戦勝記念日ということで、それぞれの歴史、宗教、文化の違いが反映している訳だ。休日の数に差があっても、あちらはあちら、こちらはこちらということだ。
この国の成り立ちは頭では理解しているつもりでも、想像以上に根深いものだと実感させられる。
また、これらの公休日が日曜日だけでなく土曜日と重なっても振り替え休日が設けられる点が、労働者の権利が守られるイギリスらしい。
右の写真は友人から頂いたカレンダーからスキャンしたが、スコットランドでは1月2日が土曜日なので、4日の月曜日に振り替え、4連休となっている。
また、12月25日が土曜日、26日が日曜日なので、27、28日が振り替え休日となり、イギリス全土で4連休となっている。
(写真を拡大すると、うっすらと色分けされているのだが・・・)
また、週の始まりが月曜日からであることや、30、31日が第6週になった時の表示の仕方が日本と異なることも興味深いことだ。
Blackford ブラックフォード
今日の第1訪問地はハイランドゲームズ(Highland Games)が開催されるブラックフォードだ。ハイランドゲームズとは、スコットランドのハイランド地方各地で
5月から9月にかけて行われる競技会で、ハイランドギャザリング(Highland Gathering)とも呼ばれる。
その起源は中世に遡り、折に触れて行われた屈強なハイランドの男達の力比べに端を発するといわれている。
夏の風物詩としてテレビなどで見て、いつかはハイランドで実際にこの目でゲームズを見たいと願っていた。調べてみると毎年100を超すハイランドゲームズが開催されるが、
その多くが8月の開催で、今回の旅の滞在中には15の開催が見つかったが、日程が上手く合致したのが今日だけなのだ。しかも2か所で開催されるのだ。
もう一つはバスゲート(Bathgate)で開かれるWest Lothian Highland Gamesだ。
バスゲートはベルサイドから南へ10km足らずのところだが、開始時間や後の訪問先などを勘案し、ブラックフォードに決めたのだ。
到着は10時25分、開始5分前だ。入場料を言われる通り1人4ポンドとパーキング1ポンドで9ポンドを支払ったが、シニアは1人2ポンドで良かったのだ。
若く見られたということで妻は納得しているのでそれで良しとしよう。
会場はバグパイプの音が高らかに鳴り、売店も巡回遊園地も最後の準備に大童というところだ。1870年に始まったという
Blackford Highland Gamesは今年で141回という歴史を誇るのだ。
この片田舎の小村で長く存続していることは、伝統を大切にするイギリスならではのことと感心する。
既に広い芝の会場を囲むように観客が集まり始めている。地元の人達が座っているベンチの隅に座らせてもらう。
折りしもハイランドダンスが始まった。様々な色のタータンチェックのスカートとベストに身を包んだ少女たちが(幼稚園児から中学生くらいまでか)、次々に登場し、
バグパイプの演奏に合わせ飛び跳ねるように踊る。こちらも思わず体が弾んでくる。初めと終わりに腰に手を当て、お尻を突き出すようにお辞儀をする挨拶が可愛い。
どうやらこのダンスも競技会のようで採点する審査員が2ヶ所のテント(写真下左の右の方に見える)で採点している。
到着時からポツリポツリとしていたが、生憎と強い降りになり気温もかなり下がったようで寒い。審査員や地元の方は準備良くテントを用意しているが、
旅人は小さな折り畳み傘とリュックに忍ばせてあったビニールシートを膝に掛けることしか手がないが、心浮き浮き楽しい気分だ。
売店でホットチョコレートを求め暖まる。チョコの中にマシュマロが沢山浮いていてとても美味しい。
こんなこともあろうかと、エジンバラのロイヤルマイルで求めた手袋が役に立つ(妻の手袋はサイズがちょっと合わないがご愛嬌)。
そんな中でも、男たちの力比べ(Heavy Events)が始まって、ハイランドゲームズ気分は高まってくる。先ずは丸い石を砲丸投げのように投げる競技が始まった。
キルトをはいたむくつけき男共が持つと石が小さく見え、ユーモラスだ。
次は円盤型の石だろうか、円盤投げの要領で投げる。続いて石に棒を付けたものを振りまわしてハンマー投げのように投げる。これはかなり遠くまで飛んでいった。
参加者は15名程度で次々に投げて行く。
雨も強くなりもう一つ盛り上がってこないのはアナウンスがないからだと気付く。競技の説明とか選手の名前をアナウンスし、実況なども入れて盛り上げたら面白いと思うのだが、
これが141回の伝統なのだろう。選手は気合の声を発するでもなく、ガッツポーズをするでもなく、黙々とゲームをこなしていく。モンゴルとは大分違うようだ。
いよいよ丸太投げが始まった。写真右のように直径20cm程で長さ4m余りの丸太を素手で縦に持ち上げ、これを上前方に放り上げて1回転させれば成功というゲームだ。
雨で手が滑って成功する者がいないまま競技終了のようだ。
次に自転車のレースが始まったが、濡れた芝のコースでのレースはさぞかし大変だろう。徒競争も始まったが、観客席から遠くて迫力は今一つだ。
参加者が多いのだろう、延々とレースが行われているが、ゴールするとゼッケンを回収し、係員がスタート地点に走って運んでいる姿もローカルな雰囲気で面白い。
これらの競技には賞金が掛っているし、何よりも誇りが掛っているのだろう。それだけに選手は真剣だ。
私も見ているより参加してみたい。踊る阿呆に見る阿呆だが、力比べへの参加は民族衣装(Highland Dress)の着用と事前登録が必要なのだ。年寄りの冷や水は慎まねば・・・。
若干小止みになってきたところでパレードが始まる。合羽を着ているバグパイプの楽団は民族衣装が見られずシャレにならない。続いて真っ赤なスポーツカーが現れた。
ミススコットランドが来るというので、これに乗っているのかと思ったら子供たちが乗っているようだ。ミススコットランドは族長(Chieftain)と思われる男性と歩いて現れた。
長靴を履き、傘を持ってのカジュアルなスタイルで登場だ。ここでもはっきりしたアナウンスもなく運営役員や選手と握手したり、記念写真を撮ったりする程度で盛り上がりに欠ける。
ここまで既に3時間が経った。綱引きや重い石を後ろ向きに投げ上げてバーを超えるゲームなどハイランドゲームズはこれからが佳境だろうが、この辺りで切り上げよう。
というのは、湖に浮かぶ島に修道院の廃墟があるとの情報がある。これは看過出来ない。
Doune Castle ドゥーン城
ブラックフォードから修道院に向かう途中にヒストリック・スコットランド管理の
ドゥーン城がある。
これも素通りする訳にいかない。”旅の情報は多いほど旅は豊かになる”との信条だが、情報を棄てるということは難儀なことだ。
ドゥーン城は地図で見るとアードッホ川(Ardoch Burn)がティース川(River Teith)に合流する3方を川に囲まれた地形はいかにも自然の要塞であり、
西暦1世紀にはローマ人による砦があったという。現在残る城はその多くが14世紀に建てられたもので中世の城としては保存状態が良い。
外から見ると小ぢんまりした城だ。ロードタワー(The Lord's tower)の城門(Castle Gateway)への小径が旅情を誘う(写真下左)。
城門を潜ると中庭(courtyard)が広がり、中央に井戸が残っている。中庭の北面に2本のタワーがある。左がキッチンタワーで右がロードタワーだ。
2階に上がる階段が外にもあるのが面白い構造だ(写真下左から2枚目)。写真に見える建物が5角形の城壁の2面を埋めるだけで、残り3面は城壁が囲むだけだ。
1階はすべて収納庫だったようだ。キッチンタワーの2階全面がキッチンだ(写真下右から2枚目)。その広さに驚く。その並びが大ホール(The Great Hall)だ。
このホールも広く採光が良く明るい。天井は高く美しいデザインだが、これは18世紀に復旧されたものだ(写真下右)。
ロードホール(The Lord's Hall)の壁にあった獅子と一角獣の紋章はイギリス王室の大紋章と良く似ているが、獅子と一角獣の位置が反対になっている。
他にも異なる点があるから古い紋章だろうと推測する(写真下左)。
この城は王室の所有となり狩猟小屋(royal hunting lodge)として使われたというが、大ホールとThe Lord's Hallの他にはキッチンと収納庫しかないのだ。
大きな宴会が催されたことだろうに客や使用人はどこに起居したのだろう。
下の右2枚の写真は屋根からのドゥーン村の眺めだ。豊かな森に包まれ静かな佇まいだ。また、この城は1975年の映画「モンティーパイソンと聖杯」
(Monty Python and the Holy Grail)のロケ地となり、今も尚ファンが訪れるという。
Inchmahome Priory
湖に浮かぶ島の修道院が
Inchmahome小修道院だ。
(Inchmahomeのカタカナ表記が不能だ。スコットランドも北に上がるほどケルト語の影響で難しい読みが増えてくることだろう)
そのメンティース湖(Lake of Menteith)はスコットランドの唯一の"Lake"だという。(その他の数え切れないほどの湖の多くは"Loch"と呼ばれる)
パーキングに車を止める。桟橋前には既に7、8人の列ができている。ほどなく、沖にヒストリック・スコットランドのボートが見えてきた。
思ったより小さいので、全員乗れるだろうか心配したが、後から来た3人も含め全員乗れた。湖には雨にも拘らず、釣り人のボートが幾つもも浮かんでいる。
島に向けて出発、Port of Menteith村の教会とホテルが見える。この村には民家は数軒しかないと思われるが、ホテルの前の道は路上駐車の車で片側が塞がれていた。
余程流行っているレストランがあるのか、結婚式でも行われていたのかもしれない(写真下左から2枚目)。
島の桟橋の目の前が小修道院だ。受付をするのももどかしく入場する。1238年に設立され、その当時の建物が残っているのだという。実に美しい建物だ。
写真中央の真ん中のアーチがThe West Entrance、左手のタワーがThe Bell Towerだ。写真右から2枚目は身廊を西から見た図だ。東面(East Window 右側)の窓といい、
北面(左側)のアーチの遺構といい溜め息を吐きながら見惚れるばかりだ。写真右はThe Bell Towerへの入口だ。
East Windowの美しいフォルム、かつてはステンドグラスが嵌まっていたことだろう(写真下左)。写真下左から2枚目はThe Chapter Houseの前の回廊部分の遺構だと思われる。
石の壁にはピンクの花を付けた植物がはびこっているが、遺跡を傷つけないのだろうか、心配になる(写真下中)。
写真下右から2枚目がThe Chapter Houseの中にあった彫像(Effigy)だ。右側の二人の像はウォルター・スチュワート(Walter Stewart who died around 1295)伯爵と
メアリー夫人のものだというから既に700年を経ているのだろうか、随分新しい物に見えるのだが・・・。北面のアーチのすぐ先に湖が迫っている。美しい絵だ。
その湖にこちらに向かうヒストリック・スコットランドのボートが見える。あのボートに乗って帰ることにしよう。神秘のアビーを堪能した。
Wallace Monument ウォレス・モニュメント
次なる訪問地はスターリング(Stirling)だ。ここは05年の旅では行程上パスした街だが、今回は何としても訪れたい場所が2つ。ウォレス・モニュメントとスターリング城だ。
ウォレス・モニュメントに到着したのは16時15分、17時までオープンだから余裕の到着と思いきや、受付の女性は「今日は終わりました」とつれない返事だ。
「どうして?」と食い下がってみるが「ラストアドミッションは4時15分よ。明日またいらっしゃい」だ。たった2分のことじゃないか、開始時間にはルーズなのに、
終了時間はきっちりしているのがイギリス流だ。などと毒づいてみても状況に変わりがあるわけでもない。憤懣やる方ないが、致し方ない。もう一つの目的地に向かおう。
しかし、このモニュメントの美しい姿を間近に見てしまうと、何とかスケジュールを工夫して再訪したいという気持ちになる。
Stirling Castle スターリング城
スターリング城はエジンバラ城と同様に岩山の上に立つ壮大な王家の居城だ。
その歴史は12世紀初頭のアレキサンダー1世(Alexander I)の時代まで遡るというが、それについては他に譲るとしよう。今残る建物は14世紀からのものだという。
パーキングとメインゲート(Main Gate)の間の広場にロバート・ザ・ブルース(Robert the Bruce)の像が立っている。イングランドからスコットランドの独立を奪回した
14世紀初頭のスコットランド王だ。スターリング・ブリッジの戦いでイングランド軍を破り、ロバート・ザ・ブルースからナイトに叙されたウィリアム・ウォレスを称えた
ウォレス・モニュメントがフォース川(River Forth)を挟んだ山の上に見られる(写真下左)。エジンバラ城のゲートの両脇の彫像もこの2人であった。
いかにスコットランド人の尊敬を集めているかがうかがい知れる。
メインゲートを潜るとチケット売り場やショップ、カフェなどのある広場に出る。チケットを求め先に進むとForeworkという広場に出る。
ここにはBowling Green Garden(写真下中2枚)があり、植栽は今一つだが、芝が美しく管理されていて清々しい庭だ。
1506年に建てられた重厚なゲートハウス(The Forework Gatehouse 写真下左)を潜るとOuter Closeという広場だ。左手に精巧な彫刻が施された宮殿(The Palace
写真下左から2枚目)が現れる。現在修理中で、来年3月にオープンされるという。
その並びに大広間(The Great Hall 写真下右2枚)のピンクの建物がある。ジェームス4世(James IV)によって1503年に建てられたとされる。
スコットランド最大のグレーとホールと言われ、40m×14mの広さがあり、天井も高く採光も十分で明るいホールだ。
グレーとホールの反対側の出口からInner Closeという広場に出る。宮殿とグレートホール、王室礼拝堂(Chapel Royal)、
連隊博物館(Regimental Museum 写真下左・右)に囲まれたスクエアーだ。
王室礼拝堂は1594年にジェームス6世が息子ヘンリー皇太子の洗礼のために再建したもので、スターリング城における王族が建てた最後の建物となるという。
ここで女王エアリースが戴冠したことでも有名だ。中には「ユニコーン狩り(The Hunt of the Unicorn)」と題され3枚の大きなタペストリーが飾ってあった。
連隊博物館は1496年にジェームズ4世によって建てられたKing's Old Buildingが使われている。1881年にArgyll HighlandersとSutherland Highlandersが統合した
アーガイル&サザーランド・ハイランダー連隊(The Argyll and Sutherland Highlanders Regimental)は一次・二次大戦を通じて活躍した連隊で、
一時期はここを拠点としていた。今尚、連隊本部はここに置かれているのだ。博物館は興味なくパスする。
写真下左から2枚目はInner Closeからのグレートホール、右から2枚目はガーデンからの宮殿、右は連隊博物館だ。
グレートホールのすぐ横にグレートキッチン(Great kitchens)がある。中世の台所(Medieval kitchens)で16世紀のキッチンの様子を実にリアルなジオラマで表現している。
上左から「親方に叱られる見習い」、「鹿を運び込む男」、「鳥を調理する女」、「キャベツを切る料理人」、「肉を担ぐ料理人」、下左から「肉を調理する料理人」、
「パンを焼く職人」といったところだろう。今にも動き出しそうだ。グレートホールで繰り広げられる晩餐会の料理がここで賄われていたのだ。
写真下右3枚は「ユニコーン狩り」のタペストリーだ。メトロポリタン美術館収蔵で1495年から1505年の間に作成された7枚のシリーズのタペストリーを
West Dean Tapestry Studioのチームが丹念に手織りで復元を図っているものだ。2002年から始まり、現在4枚が完成しているとのことだが、ここには3枚しかなかった。
写真下中から順に、「狩りの始まり(The Start of the Hunt 2003年公表)」、「ユニコーンは発見されて(The Unicorn is Found 2004年公表)」、
「ユニコーンは殺され、城に運ばれた(The Unicorn is Killed and Brought to the Castle 2007年公表)」というタイトルが付いている。
完成予定は2014年だという。スタジオはイギリスの3カ所にあり、その一つがスターリング城にあるのだ。
驚いたことにスターリングのスタジオに札幌出身の女性職工が働いていていらっしゃり、その方のブログに「一人の織り職人が1日に織るタペストリー面積の割当てがあり、
7センチ×7センチ四方、49平方センチメートルである」と記されている。いかに根気のいる仕事かが分かる。
ただ、ユニコーンといえばスコットランドの王家の象徴のはずだ。そのユニコーンをハンティングするデザインのタペストリーを
こともあろうかスターリング城に飾って良いものか? 疑問だ。
Kirklands House カークランズ・ハウス
今宵から3泊はカークランズ・ハウスだ。実は今朝までのベルサイドとはフォース湾を挟んで、直線距離なら20kmも離れていない。
もう少し北のパース(Pertyh)近郊かキンロス(Kinross)周辺で探したがB&B情報の中で最もお気に入りがここだったのだ。
18時10分到着。玄関のドアーに「ガーデンに居ます」のカードが下がっている。大きな声で「ハロー」と呼ぶと、とても感じが良いホステスのGillが現れた。
普段は到着が遅くなり直ぐに食事に出ることが多いので、ゆっくりWelcome Teaをいただくことができないが、今日は素敵なシッティングルームでミルクティーをいただく。
屋敷もガーデンも部屋も申し分なくゆったりしている。選択に誤りなしだ。
The Vanilla Pod ザ・バニラ・ポッド
Gillの一押しのレストランはザ・バニラ・ポッドだという。
10km程北西に走ったダラー(Dollar)の街の中心部にある"coffee shop and bistro"と謳うカジュアルな店だ。
この時のナビ子ちゃんは何をとち狂ったのか、森の中で「目的地周辺です」と言い出した。目的地の設定を何度やり直しても同じ結果だ。何とか自力で探し当てた。
スターターに・ Warm Chick Salad with spiced Mushrooms and a Mint Yoghurt ・ Melon Parma Ham & Orange Salad with a Citrus & Elderflower Syrup
メインは・ Seared Fillet of Salmon with crushed Peas, New Potates and a Vine Tomato Sauce
・ Asparagus & Fine Herb Omelette with a crisp Salad & Creme Fraicheをオーダーした。
見た目も良く極めて美味しい。量も丁度良い。大満足だ。私達が席に着いた時には4席ほど空いていたのだが、その後のお客さんは断られている。
全て予約席なのだ。ここには明後日もう一度来ようと相談がまとまる。
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