9. テラス・ガーデン サンクン・ガーデン 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
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今回は高低差のあるガーデンを紹介しよう。
もともと起伏のある地形を生かしたテラス・ガーデンとわざわざ掘り下げて造るサンクン・ガーデンの2つだ。
☆ テラス・ガーデン(Terrace Garden)
もともとはイタリアで始まったガーデンスタイルだ。
土地に起伏のあるイタリアでは高い場所に館を建て前庭に階段のようにテラスを設け、
幾何学模様の整形式ガーデン、池や噴水のあるウォーターガーデン、花咲き乱れるボーダーガーデンなど
様々なガーデンを回遊して楽しめるスタイルが考案された。
これが17世紀ごろイギリスに渡り、王侯・貴族に好まれ、盛んに取り入れられた。
テラスの大きさや段の数は多様だ。1000坪もありそうなテラスや7段にも及ぶテラスもある。
また、階段や欄干などの石の構造物や彫刻などで装飾されたり、
エバーグリーンの芝が敷き詰められたりして一層見応えのあるガーデンとなる。
機能としては斜面の活用と回遊式ガーデンが挙げられるだろう。
Powis Castle 「空中庭園」 の異名をとるポウイス・キャッスル |
Bodnant Garden リリーポンドに映るボドナントのホール |
Haddon Hall 華やかなハドン・ホールのテラス |
英国で最も印象に残るテラス・ガーデンはポウイス・キャッスル(Powis Castle)だ。
「空中庭園」とも呼ばれるスケールの大きなガーデンだ。
同じくウェールズのボドナント (Bodnant)は5段のテラスでそれぞれ趣向が違い楽しめる。
リリーポンド・カナルポンド2つのウォーターガーデンはロマンチックだ。
ハドン・ホール(Haddon Hall)のテラスのローズガーデンやボーダーガーデンは華やかさに満ちている。
コトン・マナー(Coton Manor)のテラスは小ぢんまりとしてチャーミンだ。
メラースタイン・ハウス(Mellerstain House)のテラスも奥行きがあり見応えがある。
ブレナム宮殿(Blenheim Palace)のウォーター・テラスも印象に残る。
個人のガーデンではベランダやバルコニーやテラス・ウッドデッキに工夫を凝らしてテラス・ガーデンに仕立てるのも楽しいことだ。
Cton Manor Garden チャーミングなコトン・マナー |
Blenheim Palace ブレナム宮殿のウォーター・テラス |
Mellerstain House 奥行きのあるメラースタイン・ハウス |
☆ サンクン・ガーデン(Sunken Garden)
一段低く掘り下げて造られたガーデンで沈床式花壇とも呼ばれる。
機能としては立体感が出て全体を見渡しやすくなったり、スペースを広く見せたりする効果がある。
花壇はフラワーベッドだけでなくウォーターガーデンであることも多い。
サンクン・ガーデンで印象に残るガーデンとしてはマパートン(Mapperton)が挙げられる。一目見て息を呑んだ規模の大きだ。
また、ウエスト・ディーン(West dean)やホーカー・ホール(Holker Hall)のサンクンも美しかった。
チェニーズ・マナー(Chenies Manor)も名高いがまだ訪れていない。いつか訪ねたいものだ。
忘れられないのはヘスタークーム(Hestercombe)だ。
前述のガートルード・ジーキルの色彩計画によるサンクン・ガーデンはヴィクトリアンテラスとパーゴラに挟まれた巨大なものだ。
これを見たくて2度訪れている。
Mapperton House 規模の大きなマパートンのサンクン |
Holker Hall 静かなホーカー・ホールのサンクン |
Hestercombe Gardens 忘れられないヘスタークーム |
ここまで10回に亘りイングリッシュガーデンについて私なりの思いを述べさせていただいた。
素人の藪睨みだからご異論もあろうが容赦願いたい。
イングリッシュガーデンは長年イギリス人が自然と共生し、庭に学んできたものの全てを指すものと結論して筆を置こう。
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