2012年の旅 サウス・イースト サウス・ウエスト

花花

第5日 6月  3日(日) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。

今日の行程       Danehurst House --- Royal Tunbridge Wells --- Honnington Farm(NGS) --- Hever Castle ---
                       Groombridge Place Gardens --- Borde Hill Garden --- Long Man of Wilmington --- Alfriston ---
                                  Litlington White Horse --- Seven Sisters --- Danehurst House
今日の走行距離     198km
今日の万歩計      25,700歩
出発時点の気温     12.5℃

ダーンハースト・ハウス  Danehurst House

良く眠れて目覚めはすっきりだが、空はぐずっている。昨夜は相当降ったようだ。気温も肌寒さを感じる。
今日もオレンジジュース、フレッシュフルーツ、ヨーグルト、フルイングリッシュにカリカリ三角トーストだ。トーストはブラウンブレッドの美味しさに目覚める。 独特な滋味・風味が癖になったようだ。ホットミールの皿が人の顔に見えて面白い。妻は今朝もスモークトサーモンにした。サーモン好きには呆れる。
テーブルのスタンドのバラの飾りが皮製でよく出来ている。ダイニングはサンルームなのだが、窓から見える小さな庭に雨に濡れて一層艶かしい女性像が見える。 古いカウンターチェアーにつる性植物を絡ませてあるのもお洒落なアイディアだ。

Danehurst House Danehurst House Danehurst House Danehurst House Danehurst House Danehurst House

ロイヤル・タンブリッジ・ウェルズ  Royal Tunbridge Wells

ロイヤル・タンブリッジ・ウェルズの街に遣ってきた。 日曜日にはマーケットが開かれるとの情報でこの日を選んだのだが、日曜日ということは一般の店はお休みのところが多いということだ。 なかなか上手く行かない。9時40分、有名なパンタイルズ(Pantiles)のパーキングに車を止める。
ロイヤル・タンブリッジ・ウェルズは1606年にカリービーアット鉱泉(Chalybeate Spring)が発見され、温泉保養地(Spa Resort)として王侯貴族の人気を博し、 18世紀にはコロネード柱廊(Colonnaded Walkway)を持つパンタイルズが完成し隆盛を極めたという(写真下左2枚)。 その当時は王侯貴族が歩く"Upper Walks"と一般人が歩く"Lower Walks"に厳しく差別されていたそうだが、現在は私たちも柱廊のある上の段を歩くことが出来る。 そして、1909年にエドワード7世から街の名にロイヤルの称号を授かったのだ。街の名にロイヤルを冠る街はイギリスでも2ヶ所だけなのだという。
パンタイルズの北の端に”飲む温泉”として知られ、ヴィクトリア女王も1834年にこの地に滞在した際、毎日飲んでいたというカリービーアット鉱泉が 湧き出る場所がある(写真下右)。ところが、今年の干ばつやら何やらで今は涸れてしまって飲むことが出来ないのだ。調査中だというからまた復活もあるかも知れない。

Royal Tunbridge Wells Royal Tunbridge Wells Royal Tunbridge Wells

道路を渡りハイストリートへ足を伸ばす。ほとんどの店は閉まっているが、ウインドー・ショッピングをする。 "Fenn wright Manson"という女性服の店が開いている。 妻はショー・ウインドーの若草色の半袖カーディガンが気に入ったようだ。背がシルク(Silk Back)のコットンでサイズも各種あり、試着をするとピッタリだ。 店の真ん中のテーブルのワインクーラーにシャンパンやワインが何本も冷やされている。ダイヤモンド・ジュビリーのイベントでもあるのだろうか?
ショッピングはどうしても孫へのお土産が最優先になってしまうが、この日は子供服のお店がいずれも閉まっていて次の機会とする。

Royal Tunbridge Wells

パンタイルズへ戻りキッチン用品店"Trevor Mottram"に入る。3度目の訪問だ。デザインを楽しんだり、用途を考えたり、キッチン用品店は楽しい。 かなりの時間を費やし品定め。カラフルな横向きに使うピーラーを友人用に3個。自家用にソルトミル、油漉し付きじょうごを求める(写真右)。
マーケットは11時になるのにまだ店を出していない空き家のテントが目立つ。客足も鈍いようだ。そぼ降る雨の所為だ。パン屋さんのパン1つが大きい。 かと思えば、こじんまりした品揃えの八百屋さんなど様々だ。スイーツやさんのショー・ウインドーはダイヤモンド・ジュビリーの飾り付けだ。 女王の若かりし頃の写真が使われている。赤い洋服の太った人形はティアラをしているから女王のつもりなのだろう。ちょっと失礼かも。
パンタイルズの円柱にもユニオンジャックがずらりと飾り付けられている。 今日はダイヤモンド・ジュビリー関連のイベントがあるとの情報だが、午後のことかもしれない。次に向かおう。

Royal Tunbridge Wells Royal Tunbridge Wells Royal Tunbridge Wells

ナショナル・ガーデン・スキーム  The National Gardens Scheme

ナショナル・ガーデン・スキーム(NGS)は個人の庭を一般にオープンして、その入場料をチャリティーに寄付するという、 とても素敵な慈善団体なのだ。
1927年に始まったという。王侯貴族の館のガーデンやナショナル・トラストのガーデンなど大きなガーデンも参加しているが、 何といっても魅力なのは普段は垣間見ることが出来ない個人のガーデンを見せていただけることだ。規模的にも幾らか私のガーデニング規模に近く参考になる。 (とはいっても、イギリスではエーカー単位となるが・・・)
NGSに登録されているガーデンはイングランドとウェールズで4000にも及ぶ。 登録には厳しい審査をクリアーしているから、訪れて失望することは少ない。ホームページの"Garden Search"で"Town"または"County"と"Date Range"を 指定し、"Find"をクリックすればたちまちに条件にあったガーデンを見つけてくれる。"Description"や"Further details"から好みのガーデンを選別して 是非訪問されるようお勧めする。(イエローブックを求める必要もなくなり、写真などの情報も多くなり本当にありがたいHPだ) 以前は登録基準に”ゲストを45分間厭きさせないこと”という項目があって、陽だまりでもこれを目標としていたのだが、 最近の基準は変わったのかもしれない。HPにこの文言が見つからない。
そんな訳で、今年もテーマの一つに”NGS”を入れる。オープンが土日に集中していることやオープン時間が短いことなど障害も多い。 一昨日の最初の予定からつまずいているが、果たして幾つ訪れることが出来るやら・・・。

ホニントン・ファーム  Honnington Farm

今年最初のNGSのガーデンはホニントン・ファームだ。 今日から5日までダイヤモンド・ジュビリーの休日に合わせてオープンされる。ファームハウスだから大きなガーデンと分かっていたが、 予想を遥かに上回る規模のガーデンだ。入り口で料金£5を支払い、ぬかるむ道を裏のパーキングまで進む。 パーキングといっても牧草地のようなものだから広大だ。足場の良いところに止めて入ったところがローズガーデンだろうか。 生垣に囲まれ、フォーマルに仕切られたベッドにバラが満開だ。しかし、斜面にあるので砂利道のところは良いが、 石板を敷いた通路はスリッピーで危ない。
斜面を降りていくと住居や納屋など幾つかの建物があり、その間に違ったタイプの花壇が幾つも設けられている(写真下中2枚)。 池があり噴水があがっている。樹木も多く緑豊かだ。ホップの乾燥小屋もこの地らしくて良い。

Honnington Farm Honnington Farm Honnington Farm Honnington Farm

ハウスの周りはボーダーガーデンだ(写真下左)。全般に色調が穏やかで落ち着くガーデンだ。一回りして出た納屋の前でプラントセールをしている。 様々な色・形のヒューケラが10種類以上並んでいる(写真下左から2枚目)。全部持って帰りたいが、それは出来ない。 店番のおばちゃんにその思いを話すと「車の中にもっとあるよ」気の毒そうな顔をされた。
なだらかな丘陵にあるのでその段差を上手に活用している。ロック・ガーデン(Rockery)もその一つだ(写真下右から2枚目)。 岩の中に流れと水溜まりを作り渓谷を表現している。

Honnington Farm Honnington Farm Honnington Farm Honnington Farm

芝生の先に別の池が見えるので雨を含んだ芝の中を歩いて行く(写真上右)。ボグ・ガーデン(Bog Gardens)だ(写真下左3枚)。ここにも岩が沢山取り込まれている。 岩と水の上に木道が張り巡らされている。そこかしこに像やモニュメントが配されフォーカルポイントとなる。高台に大きなテントが見える(写真下左)。 パーキングの並びに"Marquee Lawn"があり、そこに築かれた立派なテントだ。結婚式を始め色々なイベントに使われるようだ。
一角に小さなログハウス風ガゼボがあり、テラスが広がっている。ガゼボの中を覗くとバーベキュー用品が取り揃えてある。 このシチュエーションでのバーベキューは楽しかろう。

Honnington Farm Honnington Farm Honnington Farm Honnington Farm

ハウスに向けて戻る。ガーデンに迫り出した木造のコンサバトリーが自然と溶け込み渋い雰囲気だ(写真上右)。ガーデンの雰囲気と共に、 このファームのオーナーのお人柄が偲ばれる。ハウスの周囲の植え込みも厚く高い(写真下左)。ハウス脇の通路を東側に進むと池が見える(写真下右から2枚目)。 ガーデンに水のある光景はとても素敵だ。ここで4つ目の水のある光景だ。その隣の牧草地には馬が駆け回っている(写真下右)。 このファームには乗馬センター(Equestrian Centre)もあるのだ。池が見渡せる位置にハーフムーンの展望台がある(写真下左から2枚目)。 後ろにはもう一つのコンサバトリーが見える。豊かな暮らしぶりだ。

Honnington Farm Honnington Farm Honnington Farm Honnington Farm

ここにも幾つものスカルプチャーやオーナメント、オブジェが見られた。フォーカルポイントとして置かれたもの、隠れるように置かれているものなど色々だ。 そんなものを探して歩くのもガーデン巡りの楽しみだ。
写真下左から垣根のトンネルを抜けたらいきなり現れ、驚かされたゴリラ君。ロック・ガーデンの水にそっと足を浸ける少女。 木の下のキノコのオブジェ。サンダイアルとバードバス。子供くらいの大きさのテラコッタのガーデナー。

Honnington Farm Honnington Farm Honnington Farm Honnington Farm Honnington Farm

写真下左からボグ・ガーデンの岩の中にあったオブジェ。ハウス脇の鳥の餌台(birdseed)。コンテナも台の上に置けば立派なオーナメントとなる。 奇妙なオブジェ、人のようであり、アメンボウのような。最後にハーフムーンの展望台近くにあったメモリアル・チェアー、 故人を偲ぶプレートが貼ってある。故人はここからの雄大な眺めがお気に入りだったのだろう。
雨には閉口したが、予想を上回る広さのファーム・ガーデンを楽しんでパーキングに戻ると、入り口を何台もの大型バンが塞いでいる。 Marquee Lawnの大きなテントで結婚パーティーがあるらしく、資材を運び込んでいるらしい。パーキングに入ろうとする車も3台ほど並んでいる。 人を待たせているという意識がないようだ。こちらと目が合っても会釈一つしない。イギリス人は非常に親切な人が多いと感じているが、 時にこのように無神経な輩がいる。入ろうとして並んでいたドライバーが下りてきて何か声を掛けたら、ようやく道を空けた。不愉快な奴だ。
後日ファームのブログを見ると3日間で£3993のチャリティーが集まったと記されていた。大きな慈善だ。

Honnington Farm Honnington Farm Honnington Farm Honnington Farm Honnington Farm

ヒーバー城  Hever Castle

ヒーバー城に遣ってきた。 ヘンリー8世の2番目の妻アン・ブーリン(Anne Boleyn)が幼少時代を過ごしたお城として名高い。ヒーバー城の歴史は1270年に遡る。 15世紀にブレン(Bullen 後にBoleynと改める)家の所有となりチューダー様式の邸宅が建てられる。
昨日のカンタベリー大聖堂の項で述べた、ヘンリー8世が婚姻無効を認めぬローマ教皇と断絶し、イギリス国教会を創設する原因となったのが、 アン・ブーリンとの結婚だ。映画”ブーリン家の姉妹”でこの辺りの経緯を観たが凄絶たるものだった。そこまでして結婚したのに、 世継の王子を産めなかっため、わずか3年でアンは断頭台の露と消えたのだ。しかし、アンの娘が後にエリザベス1世となったのだから、歴史は面白い。
因みに、城はヘンリー8世の4番目の妻アン・オブ・クレーヴズとの離婚の際にアンの所有となり、ここに住まわれたのだという。無情な話だ。 (余談 ヘンリー8世の6人の妻の内3人はキャサリン、2人がアンという名前だ。実にややこしい) アンの死後、城は何人かの手を経て老朽化していく。
1903年アメリカの大富豪のウィリアム・ウォルドルフ・アスター(William Waldorf Astor)が買い取り、城を修復し、友人を招くための"Tudor Village"を造り、 そして、ガーデンと湖を造ったのだ。07年に始めてこのガーデンを訪れ、そのスケールの大きさと美しさに大フィーバーしたものだ。今回も必見◎だ。

Hever Castle Hever Castle Hever Castle Hever Castle

Hever Castle

ナビ子ちゃんに導かれたのは前回のパーキングとは雰囲気が違う。どうやら"Walled Rose Garden"の方にメイン・エントランスが変わったようだ。
期待感で気が急く。先を急ぎ過ぎて妻の顰蹙を買う。入ったWalled Rose Gardenは全体的にまだ開花は少ないが、 ほとんどバラ主体の植栽で4000本あるという。
高い赤いレンガ壁に囲まれ、中央にガーデンを2つに仕切る形でイタリアンガーデンのサークルの部屋が突き出している(写真上左)。 ここもアウトドア・ルーム方式が取られている。
2つのフォーマルなローズガーデンにはアンティークなイタリアンの像やコラム、コンテナ、欄干などのオーナメントが配され、重厚感の溢れるガーデンだ(写真上右3枚)。 サークルの内側の壁は大理石で造られている。床のタイルと併せ中央の男性像を引き立てる(写真右)。さすがのデザインだ。
ここを抜けるとイタリアンガーデンに出る。前回私をフィーバーさせたガーデンだ。ワクワクしてくる。

Hever Castle Hever Castle Hever Castle Hever Castle

イタリアンガーデンは東西250m、南北70mもの広さがある。その東の面に壮観な開廊(Loggia)と柱廊(Colonnade)が築かれている。 そのテラスにはローマのトレビの泉をイメージした噴水があり、これがまた壮麗だ(写真上中2枚)。
テラスから見晴らす湖は広さ38エーカー(15ヘクタール、東京ドーム3個)もあり、これが人工湖であるところがイングリッシュだ(写真上右)。 800人が2年掛けて掘ったのだという。生憎の雨で遠くは霞んでいるが、大きな柳が川面に映る様は清々しい。
ここのガーデンは全体で125エーカーあり、ヘッドガーデナーのヨセフ・チール(Joseph Cheal)と息子によりデザインされ、1000人が従事し、 1904年からわずか4年で造り上げたものだ。

Hever Castle Hever Castle Hever Castle Hever Castle

このイタリアンガーデンはアスター卿がアメリカの駐イタリア大使をしていた時代にコレクションした古代ローマ帝国時代からルネッサンス期までの 像(Statues) 、壷(Urns) 、石棺(Sarcophagi)そしてコラム(Columns)などの彫刻類を展示するためのガーデンなのだ。
柱廊を北に進む。ガーデンの北側の長辺はポンペイ壁(Pompeiian Wall)と呼ばれる高さ3.6mの壁が連なり、幾つものガーデンルームに仕切られている(写真上左)。 イタリアンガーデンのデザインを文章で表しているが、伝え切れていないと思うので"Google Map"でご覧いただこう。
地図右の長方形がイタリアンガーデンだ。上の長辺がポンペイ壁。写真上左から2枚目はローズ・ガーデンのサークルと対称にある像だ。

Hever Castle Hever Castle Hever Castle Hever Castle

250mに亘って小さなガーデンルームが次々に展開する。南向きだから日当りが良く青々と茂った芝、ハーブ、草花の中に彫刻が置かれている。 中には2000年前のものもあるという。そして幾つかはセックスを連想させ、ここに載せるのを憚られる像もある。ポンペイ遺跡でもそんな像や壁画を沢山見た。 古代ローマ人はおおらかだったのだ。

Hever Castle Hever Castle Hever Castle Hever Castle

全部のアウトドアールームを撮影した訳ではないし、撮影したものを全て載せた訳でもないが、これだけの彫刻があり、それぞれ趣の異なるデザイン・ 植栽がなされていることに驚嘆し、興奮する。そして、メンテナンスが行き届いていることに感銘する。
雨は小止みになったが人出は鈍く、この素晴らしいガーデンを独り占めにしている気分だ。ここが公開されたのは1983年になってからのことだ。

Hever Castle Hever Castle Hever Castle Hever Castle Hever Castle Hever Castle

Hever Castle

イタリアンガーデンの中央部は一面芝が張られ、イチイの生垣と通路で仕切られている。因みに、ヨセフ・チールはアシュダウンの森 (Ashdown Forest 南へ10kmほどのプー・カントリーとして知られる広大な森)から樹木を運ばせ、新たに1000本のイチイの木を植えたのだ。 何とも気宇壮大な発想に感服するのみだ。
その芝の中にはスケールの大きなノット・ガーデンのような植え込み(写真下左)があったり、生垣沿いに大きな壷やコラムや像が並んでいる(写真下4枚)。
250mのポンペイ壁が終わるイタリアンガーデンの西面は半月池(Half Moon Pond)となっている。上のGoogle Mapで分かるように東面のテラスと 同じ形になっている。心憎いデザインだ(写真右)。

Hever Castle Hever Castle Hever Castle Hever Castle

Hever Castle

アスター卿がこれだけのコレクションをイギリスに持ってきた気持ちが分かるような気がする。これだけの彫刻類を活かすデザインができるのは、 長いガーデニングの歴史があるイギリスのガーデナーしかないだろう。これだけの数を置いて、煩雑さを感じさせないのは植物があるからだ。 博物館ではなく、飽くまでもガーデンということだ。
ガーデンの南側の長辺(下の辺)にはパーゴラ(Pergola Walk)が通っている(写真左)。バラ、藤、ブドウ、蔦などのつる性植物がクライミングしている。 パーゴラの南側の北向きの斜面はローマ近郊のチボリ(Tivoli)にある世界遺産の噴水公園"Villa d’Este"(1987年に訪れ、今なお深く印象に残るガーデンだ) をイメージしてデザインされたらしい。滝が流れ落ち(写真下左)、洞窟の暗闇にも良い水音がする(写真下右)。 それだけでなく、斜面の至るところから水が噴出している。植栽は日陰と湿性に強いシダやギボウシが多用されている(写真下左から2枚目)。 噴水の斜面が終わると壁際の植栽は椿に変わる(写真左)。このコレクションも素晴らしいのだという。
レンガのアーチ門を抜けるとローズガーデンの隣に小高い丘が築かれ、植栽は端境期ではあるが、葉色などでブルーを基調にしていることが見て取れる コーナーに出る。(写真下右から2枚目)。草花が咲いたらさぞかし素晴らしい"Blue Garden"になることだろう。もう一度ローズガーデンを一巡りする。

Hever Castle Hever Castle Hever Castle Hever Castle

イタリアンガーデンを一回りして終わりのような書き方になったが、実際はその途中で寄り道をしているのだ。
半月池からお城に向かう広場に幾つものテントが張ってあり、チューダー風のコスチュームを着た人がいる。ダイアモンド・ジュビリーを祝うイベント "Tudor Jubilee Celebrations"が開催されているのだ。午前中雨だったので人出が鈍く、まだ準備中のテントもあるが、 チューダー時代の様々なデモンストレーションが行われるようだ。別の広場では中世のアーチェリーも体験できるようだ。 チューダーの若者に写真撮影をお願いすると快くポーズをとってくれた。
外堀を渡るとお城が見えてくる。この城は二重の堀に囲まれているのだ。正面に見える門番小屋(Gatehouse)のみが13世紀に造られたものだ。 内堀に架かる橋は木の跳ね橋(Wooden Drawbridge)だ。ゲートのアーチ門の上部には落し格子(Portcullis)も見える。
中に入ればアン・ブーリンが住んだ15世紀のチューダー朝の城が見られるのだが、私たちは例によってガーデンオンリーなのだ。 橋の袂で写真を撮っていると、アーチ門の下にいたチューダーのコスチュームの威厳ある紳士がこちらに遣ってきた。 「城の中は見ないのか?」と言う。「ガーデン オンリー、アー ユー ヘンリー[?」と聞くと「ノー」の返事だ。 記念写真をお願いすると「ここが良いだろう」と位置まで決めてポーズをとってくれた。

Hever Castle Hever Castle Hever Castle Hever Castle

外堀と内堀の間、ゲートハウスの斜向かいにイチイの木の迷路がある。ルネッサンス期から富裕層の間でガーデンに迷路を造ることが流行したのだ。 それに習いアスター卿が造らせたもので、24m四方、垣根の高さは2.4mという立派のものだ。方向音痴の私はこういうものにはチャレンジしない、 ”君子危うきに近寄らず”。写真下左は迷路の入り口のハーブガーデンと像。美しい。
城の後ろ側(北側)にアスター卿がゲストの宿泊施設として建てたチューダー村(Tudor Village)がある(写真下左から2枚目)。 素晴らしいロケーションだ。ここは今でも宿泊施設となっている。ここに泊まって湖の北に広がるゴルフコースでプレーする夢はいつか叶うと信じよう。

Hever Castle Hever Castle Hever Castle Hever Castle

城と内堀を挟んで東側がチューダー・ガーデンだ。ここで特筆すべきは上右から2枚目のガーデンだ。イチイの垣根で台形に囲われ、 1ヶ所からしか覘き見ることが出来ない。奥に並んでいるのが"The Tudor Ghess Set"といい、 ヘンリー8世の時代のチェスの駒を金芽のイチイ(Golden Yews)でトピアリーしたもので、1905年に植えられた。 その前に立っているのはアーミラリ天球儀日時計(Armillary Sphere Sundial)だ。1710年に作られたものだという。 07年は6月下旬の訪問だったが、足元の生垣の中にコスモスが鮮やかに咲いていたのが印象的だった。今年はまだまだのようだ。
イギリスの大きなガーデンでは良く見られる"Yew Walk"がここにもある(写真上右)。長さは50m位、突き当たりに像がある。これが大切。

Hever Castle Hever Castle Hever Castle Hever Castle

隣の部屋がハーブガーデン(写真上左)。部屋と部屋の繋ぎの意味合いを持つガーデンだ。まだクリスマスローズの花が見られる。 中央付近右に写る男性はThe Tudor Ghess Setのガーデンを覘いている。
男の後、左の部屋が真ん中に噴水があり、周囲はバラのバレリーナだけの植栽のガーデンだ(写真上中2枚)。07年は満開で目を瞠ったものだが、 今年は溢れんばかりの蕾で我慢しておこう。スタンダード仕立てもバレリーナだ。 07年の満開のバレリーナは”こちら”
次の一角に小さなヘッジガーデンがある。07年とデザインが少し変わっている(写真上右)。どう変わったか興味ある方は上の”こちら”で確認を。
上の写真3枚の背景に見られる建物が城の東面だ。この壁の内側に15世紀のチューダー様式の建物があるのだ。

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城の前から西の出入り口への通路の両脇に沢山の大きなトピアリーが並んでいる。トピアリーの形は人それぞれ、見えたように解釈すればよいのだが、 私の目には上左からウサギ、ハト(同じものが沢山ある)、???、カタツムリだ。07年の訪れたときにこれを刈り込んでいるガーデナーと話をした。 1つを刈り込むのに2時間掛かるということだ。このカタツムリが頭にあったからだろう陽だまりにも小さなカタツムリのトピアリーを作製した。
下は左からシカ、ブタ、トピアリーと城の西面、???だ。シカとブタは07年には見なかったと思う。前述のヘッジガーデンにしてもそうだが、 ガーデンは生き物、ガーデニングは進行形だと実感する。このガーデンの進化振りを見て「斯くありたい」と思う。
ここはロンドンに近く、有名な城だから団体客も多い。日本のおばちゃん軍団に出会ったが、余りお行儀が良くなかったので知らんぷりをしておいた。

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グルームブリッジ・プレイス・ガーデン  Groombridge Place Gardens

次もロイヤル・タンブリッジ・ウェルズ郊外のグルームブリッジ・プレイスだ。 ここまでの3つのガーデンはB&Bから半径10kmに収まる近さだ。
グルームブリッジ・プレイスには初めての訪問となる。ここもその歴史の緒が13世紀という歴史あるマナーハウスだ。 現在の建物は17世紀に建てられたものだ。ガーデンは17世紀に造られた壁に囲まれたフォーマル(整形式)ガーデンを元に、 時代ごとに改修されてきたもののようだ。集まった情報から◎を付けてきた。
パーキングからエントランスに向かうとクジャクの出迎えを受ける。随分大きなクジャクだ。いただいたパンフレットの番号通りに歩き始める。 最初に小さな山小屋風の建物が現れる。壁のプレートを見ると"Conan Doyle"の文字が見える。かの有名なシャーロックホームズ(Sherlock Holmes) のコナン・ドイルの小さな博物館になっているのだ。驚いた。
何故ここに ; コナン・ドイルは晩年をグルームブリッジから6kmほど南のクロウバラ(Crowborough)で過ごしており、 グルームブリッジ・プレイスを頻繁に訪ねていたのだという。クロウバラのコナンの家が解体されることになり、 グルームブリッジ・プレイスのオーナーがコナンの遺品を譲り受けたためだ。
このグルームブリッジ・プレイスはシャーロックホームズの”恐怖の谷(The Valley of Fear)で登場するバーストン・マナー(Birlstone Manor)の モデルとなっているのだそうだ。
ここで余談 ; コナンはスコットランドの生まれで小説好きであったが親の勧めで医者になったのだ。 卒業後、プリマスの友人と診療所を共同経営するが直ぐに喧嘩別れをする。ポーツマスに移り開業したが患者が少なく、患者を待つ時間に小説を書き始めたのだ。 もし、開業医が流行っていたら、シャーロックホームズは生まれなかったかもしれないのだ。

Groombridge Place Groombridge Place Groombridge Place Groombridge Place

最初のガーデンは"The Drunken Garden"だ(写真下左)。コナン・ドイルのお気に入りのガーデンだという。 古いイチイのトピアリーが傾いてしまったところが酔っ払い(Drunken)に見えるというわけだ。赤いトピアリーも見られるが、酔っ払って赤くなったわけではない。 単に枯れ始めただけだ。このガーデンのイチイのトピアリーは他の場所でも赤くなっていた。何が原因なのだろうか?
次のガーデンは"The Oriental garden"だ。雨が強くなってきてゆっくり観賞できる状況ではない。珍しいのは"Grass Fountain"だ。 どのように植え込んであるのか草の生えた壷から水が噴き出している。ベンチのデザインもオリエンタルだ(写真下右から2枚目)。
周囲を囲む壁にクライミングするバラの開花が始まったところだ。

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突然雨の静寂を破るブラスバンドの音が響く。何事かと音のする方に行ってみる。雨が吹き込むので大きなテントの真ん中に固まるようにして演奏している。 "Diamond Jubilee Celebrations"の一イベントのようだ。聴衆は3組10人足らず、雨の中、傘を差しての鑑賞だ。このとき面白いことが起きた。 バンドに負けない甲高い音が聞こえてきたのだ。クジャクが屋根の上に上がりバンドに合わせて鳴いているのだ。これにはバンドのメンバーも苦笑するしかない。
雨が更に強まり、一旦レストランに避難する。それにもかかわらず、バンドは演奏を続けている。

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小止みになったので、ガーデン散策再開。ホワイト・ローズ・ガーデン(The White Rose Garden)だ。中央にフローラ像が立ち、 白い花の植栽がされている。大きなガーデンだ(写真下左2枚)。20種類あるという白バラは、まだちらほらだ。逆に白いゲラニウムはそろそろお仕舞い。 しかし、白いルピナスとジャーマン・アイリスは丁度満開だ。陽だまりでも今年からホワイト・ガーデンを造り始めているが、 花が一斉に咲けば美しいが、一斉に終わってしまうだろう。難しいところだ。
ホワイト・ローズ・ガーデンの脇を通るマナーハウスに通じる通路のイチイのトピアリーも何本か枯れてきている(写真下右から2枚目)。 整然と刈り込まれ林立する姿は見事だ。マナーハウスは濠に囲まれた荘重なものだが非公開だ。橋の手前で"Keep Off"。

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濠に沿って"Knot Garden"がある(写真下左)。1994年に造られた新しいガーデンだ。ヘッジの中の草花は夏バージョンに替えたばかりで花はない。 ガーデンの向こうの大木を覆う山藤が鮮やかだ(写真上右)。

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同じく濠沿い東寄りにあるのが"Giant Chessboad"だ(写真下左)。ジャイアントなチェスの駒が並んでいる。このガーデンとローズ・ガーデンを仕切る イチイの生垣がカットされて、中に女性の胸像が立っていた。通路を歩いていてふと視線を感じ左を見たらこの像がありぎょっとした。 写真下左から2枚目の像は目の部分が空洞だから尚更怖い。
ローズ・ガーデンの西側を"Paradise Walk"が通っている(写真上右)。ここもこの時期花は少ないが、黄色のバラが端整に咲いていた。
"Kitchen Walled Garden"に行ってみる。耕作物は何もない。大きく壁で囲われた牧草にアルパカ2頭と鹿が数頭飼われている。

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ここでもバラエティーにとんだ彫刻が見られた。ホワイト・ローズ・ガーデンのフローラ像、パラダイス・ウォークの女性像、"Exhibition Hakk"の前のモダン女性像。 4枚目は"Draughtman Lawn"にあった男児像、レストラン前の広場の洋ナシとリンゴのオーナメントだ。他に見落としも多かったろう。
天気が良ければ"The Enchanted Forest"と謳う森で魔法にかけられるのも楽しいかもしれない。

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ボード・ヒル・ガーデン  Borde Hill Garden

ボード・ヒル・ガーデンは3度目の訪問だ。正直、前の2回の印象はさほど良くない。 しかし、情報を集めていると美しい写真が沢山見られる。ガーデンの見ごろの時期にヒットするのは難しい。今年は如何にと遣ってきた。
ガーデンはスティーブンソン ・ロバート・クラーク 大佐(Colonel Stephenson Robert Clarke)が1893年にボード・ヒルを手に入れたときから始まる。 クラークはプランツハンターをヒマラヤ山脈 、中国 、ビルマ 、タスマニアそしてアンデス山脈に送り込み珍しい植物を集めたという。 "Old Rhododendron Garden"や"Azalea Ring"なども覗いてみたいが、足元が悪すぎる。舗装された通路を"Jay Robin's Rose Garden"に行く。 1996年にデビット・オースチン(David Austin)の100種類のバラを使ってデザイン・植栽をやり直したガーデンだ。 残念ながらここもバラには若干早すぎるようだ。長方形のガーデンを対角線1本で区切り、中央に噴水がある。この噴水の周囲のキャットミントが 見事な咲き具合だ。背景のハウスとトピアリーもガーデンを引き立てる(写真下右から2枚目)。

Borde Hill Garden Borde Hill Garden Borde Hill Garden Borde Hill Garden

バラに早いといっても結構楽しめる(写真上右2枚、下左2枚)。これが満開になったらさぞかしだろう。写真下中は1900年当初のローズガーデン。 右から2枚目は"Victorian Greenhouses"前のテラコッタに植えられた熱帯植物。様々な形の大きなテラコッタだけでも見ものだ。
右は後出のイタリアン・ガーデンのバラとアリウム。羨望の組み合わせだ。

Borde Hill Garden Borde Hill Garden Borde Hill Garden Borde Hill Garden Borde Hill Garden

ローズ・ガーデンの隣にホワイト・ガーデンがある。写真下左は白花のゲラニウム、タイツリソウ、ルピナスや銀葉のシダに囲まれた少女像。 2枚目は白い花菖蒲の池の水を汲む少女像。3枚目、ゲラニウム、ルピナス、ジギタリス、左側の花は???。4枚目はバラとクレマチスのコラボ。

Borde Hill Garden Borde Hill Garden Borde Hill Garden Borde Hill Garden

広大な"South Lawn"を隔ててハウスが霞む。1598年に造られたエリザベザン・チューダー・マンション(Elizabethan Tudor Mansion)だ。非公開。
足場の良い"Paradise Walk"を通ってイタリアン・ガーデンに来た。元テニスコートに1982年に造られたものだ。睡蓮が美しく咲くプールの周りに イタリア製テラコッタに植えられたアガパンサスとペラルゴニウムが並んでいる。スタンダードのバラもあるがまだ咲いていない。 少し高いところに造られているから見晴らしが良い。しかし、ベンチに座わることも出来ず、先に進む。

Borde Hill Garden Borde Hill Garden Borde Hill Garden Borde Hill Garden

イベントとして"Mystery in Stone' exhibition"なる彫刻展が開かれていた。”石の神秘”というところか。エントランスで渡されたリストには22の 彫刻がリストされている。その彫刻がガーデンのあちこちに点在しているのだが、必ずしもガーデンの雰囲気とマッチしていないのが難だ。 いくつか撮影したのでアップする。左から"Panther"、"Pregnant Model"、"Ballerina"、"Our First Child"、"Sensitive Buffalo"と題されている。 ご丁寧に値段まで付いている。リストの中で一番高いものはPantherで£15700、200万円強だ。Victorian Greenhousesで小品の即売もしている。 ”£150より”となっているが、石のお土産は重すぎる。ボード・ヒルは今回も余り良い印象はもてないで終わった。

Borde Hill Garden Borde Hill Garden Borde Hill Garden Borde Hill Garden Borde Hill Garden

ロングマン  Long Man of Wilmington

Long Man

この旅3つ目のヒルフィギュア(丘絵)はロングマンだ。 高さ226フィート(約69m)という大きなものだ。棒の長さは230フィートと235フィートある。幅はほぼ半分しかないのだが、 28°という斜度にあるので、下から見ると縦横同じに見えるのだ。見た目より実際にはひょろ長いのでロングマンと呼ばれるらしい。2度目のご対面だ。
その起源はミステリーのままだ。紀元前3480年説や16世紀説など色々ある。その意味するものも豊穣のシンボル説、古代戦士説、 ベネディクティーヌ修道士説、18世紀の"Folly"説など多種多様だ。
両手の棒は熊手と大鎌だったとする説もある。頭はヘルメット形だったという説も見た。
英国で最も背が高い人物のヒルフィギュアというが、他に人物のフィギュアは"Cerne Abbas Giant"しかないのだ。
第二次世界大戦中はドイツ航空機の目印として使われることを避けるために緑に塗られたという。
6mのペニスを書き加えられたり、おっぱいを書き加えられたこともあるという。ロングマンも色々災難にあってきたのだ。
地元に伝わる面白いロングマンに関する伝説がある。それが こちらだ。

アリフリストン村  Alfriston

4つ目のヒルフィギュアへ向かう途中にアリフリストン村という小さな村がある。 02年に訪れている。07年は通過した。今日は日曜日に加えすでに18時になろうとしている。お店もナショナル・トラストも閉まっているだろう。 しかし、素通りするのも癪だ。少し寄り道をしていくことにする。お店や宿が並ぶハイストリートは車窓見学。懐かしい"Star Inn"の赤いフィギュアも健在だ。 地図では道があるはずだが見つからない。Uターンして探すときわめて細い小路がある。今年の愛車は車幅が広いから対向車が来たら困る道だが、突入する。 案の定対向車が来た。互いに路肩に乗り上げ行き交う。ようやくお目当ての共有緑地(Village Green)に着いた。紀元前からの崇拝の場所でタイ(The Tay)と呼ばれる緑地だ。
緑地の向こうに教会が見える。"St. Andrews Church"だ(写真下左)。14世紀の建築で、十字の形に造られ、大聖堂の役目も負っていた教会で、 多くの礼拝者を集めたという。目を転じるとナショナル・トラストの建物としては最初のプロパティーだという "Alfriston Clergy House"が見える(写真下中2枚)。 14世紀に造られた茅葺のありふれた民家だが、代々の聖職者が住んでいたので、今に残ったというわけだ。
これで今回の目的は達した。緑地の隅にビレッジサインを発見。嘗ては、これを探すのも旅の楽しみの一つとしたものだ。

Alfriston Alfriston Alfriston Alfriston

リトリントン・ホワイトホース  Litlington White Horse

Litlington White Horse

4つ目のヒルフィギュアはアリフリストンから南下2kmのリトリントン(Litlington)村の南西の丘にある。
村に入る前に右手前方に見えてきた。少し遠いがフルにズームアップしてカメラに収める。こちらは初の対面だ。 小さな村を過ぎたところで再び右手により近くホワイトホースが見える。極めて狭いローカルロードだが、路肩に止めて再度撮影する。
帰国して写真を整理していて気が付いた。2枚の写真で馬の形がかなり変わって見えることに。丘の斜面にあるのだから見る方向によって違うのは当たり前ではあるが、 目で見ているだけでは気が付かなかったことだ。写真右上が村の手前、下が村を過ぎてからだ。前足、首、尻尾が特に違って見える。
大きさは、幅約28m、高さ約20mと小振りが、姿が良いし、走っているような躍動感がある。

Litlington White Horse

このホワイトホースにも面白い伝説がある。
リトリントンには今は失われたホワイトホースがあったのだという。最初のホワイトホースは1836年にヴィクトリア女王の即位を祝うために造られた。 近くの農場の若い兄弟が、丘の斜面に露出した石灰岩が馬の頭に見えたことから体を掘り加え完成したのだ。
新しいホワイトホースは1924年、最初のホワイトホースを造ったウイリアム・アデ(William Ade)の息子のジョン・T・アデ(John T Ade)が 月夜の晩に一人で切り出し、村人を驚かせたというのである。
一人で一晩に切り出すことは他の例からしても信用できないことなのだという。そこが伝説の所以だ。
このホワイトホースも1930年に戦争の影響でカモフラージュされ、元に戻されたのは1949年のことだという。現在はナショナル・トラストの管理だ。

セブンシスターズ  Seven Sisters

Seven Sisters Seven Sisters

次に目指すはセブンスターズ(The Seven Sisters Cliffs)だ。イギリス海峡沿いのイーストボーンとブライトンの間にある白亜の断崖が続く海岸だ。 7人の白い法衣の修道女が祈る姿に見えることからセブンシスターズと呼ばれる。
02年に"Birling Gap"の海岸から眺めた。その後もブライトンの街などから車窓に何回か見かけた。今年は西側の"Seaford "から眺めることにした。 パーキングから近そうだし、この時間は西からの光がより美しく見せてくれるだろう。
折り良く雲間から陽が射してきた。何とラッキーなと我が晴れ男振りを自任し、西日に輝くセブンシスターズを夢想しワクワクしていたが、 パーキングに着いた時には、再び曇り空に変わってしまった。
シーフォード岬は強風が吹いていた。パーキングからもセブンシスターズは見えるが、少し岬の先に向かったところで写真撮影。 夢見た輝くセブンシスターズには程遠い光景になってしまった。引き返すと釣竿を3本持った男に出会う。18時45分になろうとしているのに 「これから釣りに行く」とのことだ。「何が釣れるのか?」、「シーバスと○○だ」と言う。「○○が分からない」と言うと「サバ、サーバ」という返事だ。 まさか”鯖”と言っているとは思えないが、「アイ シー」としておいた。お喋りな人で自分の住むSeafordの街の歴史や自慢を延々と話す。 風が強く、寒くなってきた。ほどほどの所で握手をして「グッド ラック」、「グッド ジャーニー」。

ホテル スパ  The Spa Hotel

さて、今日のディナーは、昨日のマイケルのお薦めが余り気に入らなかったので、自分で調べたレストラン情報の中からB&Bに一番近い ホテル スパを昼の内に予約しておいた。20時スタートだ。
B&Bに戻り、お洒落に着替えしてホテルに向かう。パーキングが混雑している。車から降りてくる人が皆随分着飾っている。 ホテルのディナーはこの雰囲気でなくっちゃいけない。スペースを見つけレストランに向かう。
長身のジェントルマンの案内で席に着く。オーダーは妻が
・ Fresh groombridge asparagus, poached hens egg hollandaise と
・ Fillet of sea bass with squid & onion ring tempura, baby ratatouille, raost garlic polenta, ink sauce, keta
私が ・Spiced tuna carpaccio, yuzu tobiko, bloody mary sphere, silken squid,quail egg, avocado, poached scallop, snow peajelly と
・"Old Spot" pork cooked 3 ways, black pudding pork sausage, filet & belly, pancetta mash, winter savoy, chestnuts, wild mushroom & apples だ。
隣の席との間隔もゆったりとしている。大きなテーブルで料理の到着を待つ。妻の前菜は今日訪れたグルームブリッジ・プレイスのあるグルームブリッジ村産の アスパラガスだ。真にもって奇遇だ。味は「オイシ〜」そうだ。メインには"tempura"の文字が読み取れる。出てきたのもそのまま天ぷらだ。 "ink sauce"はイカ墨のことだ。"keta"はイクラのことかも? 味は「すごくオイシ〜」そうだ。
私の前菜は"tuna"、"squid"、"scallop"の単語から魚介料理間違いなしと思いオーダーした。これがマグロのカルパッチョ(carpaccio)で大当たり。 魚介は新鮮だし、アボカドも鶉の卵も"yuzu tobiko"と良くマッチした(yuzu tobikoも日本語だ)。"bloody mary sphere"と"snow peajelly"は良く分からない。 メインの"Old Spot"はグロスターシャー(Gloucestershire)産のブランド名だ。やはり私にはブラックプディングは合わないが、 他の飛び切り美味しいものでお口直ししながら完食する。文句なし、堪能した。(ジェントルなボーイにこの日のメニューをいただいてきた故、詳しい記述が出来た)
お客さんのご婦人がピアノを演奏してくれる。常連らしい。終わると別のテーブルから小学生くらいの姉妹が出てきて交互に演奏する。 こちらは拙いが、ほほえましく大きな拍手が湧く。先ほどのご婦人が出てきて、姉のほうの少女と打ち合わせをして連弾が始まった。またまた大拍手だ。

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