第12日 7月1日(火) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程 Harwood House --- Tesco(Shopping) --- Anglesey Abbey, Gardens & Lode Mill ---
Welwyn Garden City --- RNRS Gardens of the Rose --- St Michael's Manor
今日の走行距離 239 km
今日の万歩計 8,200 歩(もっと多いはずだが、万歩計の不調か?)
今日の出発時気温 19.5 ℃
ホームフィールド・ゲスト・ハウス Homefield Guest House
今日はノーフォークを離れ、この旅も今夜一晩を残すだけになった。5連泊というのは私達の旅としては最長記録だ。それだけに、快適な宿に当たって良かった。
今朝もケビンの姿が見えない。ジョージィに尋ねると「所用があって昨日から留守なの。お二人にありがとうと言ってたわ」とのことだ。
フルイングリッシュ・ブレックファストで毎朝楽しいのはブッフェを眺めることだ。結局いつも同じものになってしまうのだが、
何にしようか迷うのが楽しい。そして、ホットミールの組み合わせを考えるのも楽しみなのだ。今日も究極の3点にし、
ホームメイド・ブラックベリージャムのトーストも3枚、お腹いっぱいだ。
さて、支払いの段になってクレジットの器械が妻のカードを受け付けない。ジョージィが何度もトライするが、"Not Authorised"だ。
そこにビジネスマン風の泊り客がチェックアウトに現れた。急いでいるようなので先を譲る。「何かトラブルかい?」と言うのでジョージィがレシートを見せると、
大げさに驚いて「この金額は余りにも高すぎる」と言う。指さす先には"AMOUNT £3200050.31"と打たれている。ゲッ! 400万円だ。
ジョージィのミスタッチでとんでもない料金になっていたのだが、それを確認していないこちらも問題だ。
実際は£320(1泊£80、デポジット£80なので残金£320)だったのだ。初めの“320”を見て納得してしまったのだ。以後気をつけないと。
テスコでお買い物 Shopping at TESCO
年に1度の旅、日頃お世話になっている方々にはせめてものお土産を届けたい。今年の旅はショッピングのチャンスが少なかったので予定のお土産が揃っていない。
(いざとなればヒースローの免税店というてもあるのだが、できれば一人一人に合ったものを探したい)
お土産につける小さなショートブレッドはいつもヒースローだが、数が多くなり機内持ち込みの荷物が増える。
ということで、スーパーマーケットで購入し、受託手荷物にしようと考えた。それには今日購入しなければならない。予定のガーデンを1つスキップして
スーパーでのショッピングと思って沿道を気をつけて走っているのだが、探す時には見つからないものだ。B&Bを出発して50分、スワファム(Swaffham)の街に入り
ようやくテスコの看板を見つける。
買い物時間40分広い店内を走り回りカートに積んだのは6種35点のまとめ買い。それでもまだ幾つか足りないのだ。
ショートブレッドの隣に"Ginger Nuts"というビスケットが置いてあった。私達がショートブレッドを選んでいる間に3人が"Ginger Nuts"をカゴに入れた。
値札を見ると超リーズナブルなので棚に残った5つを試しに求めてみた。これが美味しかった。次回からはこの選択肢もありだ。
ビレッジ・サイン NO.161 イックバラ(Ickburgh)
買い物をしたスワファムからA1065を南に15キロ下るとイックバラの入り口、アッシュバートン・ロードとの角に予定外のサインを見つける(写真右2枚)。
大分風化してペイントが剥がれてきているが、デザインはなかなか興味深い。トップに“狼”らしきものが載っている。
プレートの上段は“盾形紋章”と“コテージ”が描かれている。コテージの屋根には“クロスする鍵”があり、“1887”と記されている。
中段に“ブルーの衣装で籠を持った女性が2人”と“ベル”、“膝まづき何かを捧げる人”、“動物らしいもの2匹”が描かれている。そして、下段には“村名”が記されている。
これだけのアイテムがありながら、見つかった情報はコテージが『“ハンセン病の病院”を表しているかもしれない』という記述だ。
『それはベルとバスケットを持った女性と結びつく』というのだが、理解できない。
ビレッジ・サイン NO.162 ストゥ・カム・クァー(Stow cum Quy) 番外 ロウド(Lode)
B1102を北上、ストゥ・カム・クァーのメイン・ストリートと分岐する三角グリーンにサインはあった(写真下左3枚 これも予定外)。
デザインは“教会”があり、その前に“牧草地”が広がり“豊かな流れの川”がある。川岸に“カラス”がおり、その足元に“女性の靴の右足分”と“金色の鎖”がある(写真左から2枚目)。
これだけでも十分ミステリアスだが、裏のデザインは教会前の牧草地に“牛が3頭”佇んでいるのだ(写真右から2枚目)。
何ともミステリアスではないか。これを物語風にすれば“教会の前の牧草地から牛が消え、後に金のチェーンと女性の右足のシューズだけが残った。
目撃者はカラスだけだ。”となる。そこで、真相を明かすべく丸1日検索を続けたが、むなしく解明断念に至った。
分かったことは1977年にエリザベス2世のシルバー・ジュビリーを祝って立てられたこと。
教会はその緒を12世紀遡る"Church of St Mary"であること。
この地域は豊かな水に恵まれた沼沢低地(Fenland)であること。カラスがコクマルガラス(Jackdaw)であることだ。真相を解かれた方は是非ご一報を・・・。
今日予定していたビレッジ・サインは北へ2km、訪問予定のガーデンのあるロウド村のものだけでこの旅最後のサインとなるはずだった。
ところが、ナビ子ちゃんが案内してくれたB1102とロウド・ロードの交差点にあったのは支柱だけだ。
ナビ子ちゃんに登録するためグーグルのストリートビューで位置を確認した時には確かに
サインはあった
のだ。そのサインはこれだ。きっと修復作業の最中なのだろう。
かくして、今年の旅のテーマの一つは消化不良の状態で幕を閉じる。しかし、160余のサインの表すものを探る作業は、英国カントリーサイドの村々の歴史や
文化や生活を垣間見、イギリス人のユーモアやウイットに触れることができた。私のイギリスへの思いに、また一つ厚みを増してくれたと、その収穫を感じている。
それにつけても、情報の少なさには苦労したし驚いている。その辺の事情については今後の宿題とする。
アングルシー・アビー ガーデン&ロウド・ミル Anglesey Abbey, Gardens & Lode Mill
アングルシー・アビーに遣ってきた。ナショナル・トラスト(NT)のプロパティーである。
会員カードを提示し入場する。パンフレットを見ると46ヘクタールというから東京ドームなら丁度10個分の広さだ。
ここは後の予定を考えず、じっくり見て回ることにする。
12世紀からこの地に始まった聖アウグスチヌスの小修道院が1535年の修道院解散令後、民間人の手に渡り、1600年ころに増築され
“アングルシー・アビー”と呼ぶようになったという。
下って1926年にハットルストン・ブロートン(Huttleston Broughton フェアヘーブン男爵)がこの屋敷を購入したのは30歳のことだ。
アメリカの億万長者であった父の莫大な遺産があった彼は18世紀の英国貴族のライフスタイルを取り入れ、お客様を奮起(Inspire)させ驚かす(Surprise)ために家を増改築し、
庭を造ることに心血を注いだという。その心意気や良しだ。NTのホームページをそのまま引けば "Inside : fine furnishings, books, paintings, silver and rare clocks give a feeling of opulence."
"Outside : 46 hectares (114 acres) offer vibrant colour, delicious scents and the simple pleasures of nature."だ。素晴らしいコレクションだ。
1966年に70歳で亡くなった彼は彼の生き方を表現してもらうためにNTにアビーを寄贈したのだ。今日は"Outside"を体感させていただこう。
お目当てのガーデンの前に寄り道をしていこう。先ずは"Winter Garden"の散策に入る。屋敷の東の端を南北に走る林の中に400m程ジグザグに伸びるダブルボーダーが続く(写真上左)。
東端に造ったのは冬の日差しが一番受けやすいようにしたのだという。冬咲きの植物を取り入れているので今は色が少ないので、
冬の美しい写真をネットから拝借した。目の覚めるようなオレンジとレッドはミズキらしい。右の花木はハナモモか?
植栽はキャットミントのみだ。中間あたりに円形のヘッジで囲まれたガーデンがある(写真上中)。"Quiet Room"と呼ばれている。陽だまりのロンデルガーデンより少し大きいのにルームなのだ。傷心。。。
中央の像は"Boy with Raised Arms"とそのまんまだ。
さらにジグザグと進んでいくと突然に眩いばかりに白樺林(The Himalayan Silver Birch Grove)が開けた(写真上右)。感動で経路を2廻りする。
林の中で気持ちの悪いものを発見した。ヒルだと思う。車のキーと比較すると大きさが分かる(写真下左)。
幅5m位の生垣に挟まれたアべニューが100m程続く。遠くに人のシルエットが見えたが近づくと像だ。遠くの音に耳を澄ます青年と愛犬だ(写真下中)。
青年はハンターか? 愛鳥家か? 思わず足音を忍ばせてしまう。
一転して高い林の中の芝のパスが100m程進む(写真下右)。汗ばむほどの上天気に日陰を求めて歩く。
ハウス、ガーデンと並んでもう一つの見所のロウド・ミルは屋敷の北の外れにある。この水車はドゥームズデーブック(Domesday Book)に乗っているというから
1000年前から続いているということだ。現在の水車は18世紀からのもので今も現役で動いているというが、中の見学はパスする(写真下左・中)。
水車に注ぐ川の沿って南に"Riverside Walk"が300mばかり続く。水面には水草が茂り水鳥が遊んでいる(写真下右)。
ハウスの裏側(北側)に位置するハーベイシャス・ガーデン(Herbaceous Garden)に入る。直径60mもある半円形のガーデンだ(写真下3枚)。
高々としたブナノキのヘッジに囲まれ、ヘッジに沿って草木のボーダーが走る。見事な植栽だ。中は全面芝生を敷き詰め、中央に大きな像が1つ立っている。
ヘッジの上から見える木立の景色がまた素晴らしい。様々な樹形と葉色が青空の中に展開し楽しめる。開放感に心ほころぶ。
像はサクソン人の戦争と戦いの神“Tiw”(Saxon deity Tiw)で、本来は槍を持っているのだという。彼はまた“空の神”でもあったという。
この雰囲気は後者に似合う。
このハーベイシャス・ガーデンではシャッターが止まらない。ズームアウトで1枚、ズームインで1枚とどこを切り取っても絵になる。
淡青色とライラック色のデルフィニューム、紫のカンパニュラ、白と赤のアスチルベ、白いアキレア、ピンクのペンステモン、白と黄色のノコギリソウ、
ホットカラーのデイリリー、黄色のヘリオプシス、ホスタの花序、グリーンやシルバーやゴールドのグラス類、見事なハーモニーだ。脱帽・感服。
フェアヘーブン男爵のガーデンの彫像のコレクションも膨大なものがある。特に神話と聖書に主題を得た像を集めているのだ。
ハーベイシャス・ガーデンからダリア・ガーデン(Dahlia Garden)に向かう経路にあったブロンズ像(写真上左)はローマ神話に登場する
女神ミナーバ(Minerva)で詩・医学・知恵・商業・製織・工芸・魔術を司るという。
ダリア・ガーデンもハーベイシャス・ガーデンとほぼ同じ大きさの半円アーチ形で90°回転して弧を接している。開花にはまだまだ時間が掛かりそうだ(写真上中)。
ダリアは支柱が必要だから成長期は支柱ばかりが目立つのが好みでない。ここでも満開期のガーデンの写真をネットから拝借した。
ガーデンの片隅にギリシアの伝説上の生物グリフィン(Griffin)がいる(写真上右)。鷲の頭とライオンの体を持つ動物だ。神の車を牽き、黄金を守る役割を担うという。
ハウスに向かうパスも森の中をうねるように進む。まっすぐ行けば大した距離ではないが、蛇行させることで距離感を伸ばす工夫だろう。
そのカーブのブッシュの中に隠すように彫像が置かれている。発見の喜びと驚きが楽しめるのだ。
写真下3枚はそこで見つけた像だ。左と中はバイブルが主題のようだ。右は神話の世界からだろう。ともに詳しい情報は見つからない。
ハウスに遣ってきた。フェアヘーブン男爵は18世紀の英国貴族のライフスタイルを貫くためにハウスをジャコビアン朝に造り替えたのだ。
男爵の生き様には共鳴するが、屋内のお宝の数々にはさほど興味はない。パスとする。
ハウスの前にローズガーデン(Rose Garden)が広がっている。 入口に構えるのも神話の世界の彫像だ(写真上左)。
ギリシア神話の森林・牧羊の神“パン(Pan)”だ。下半身が四足獣で頭に羊の角がある半獣神だ。吹いている楽器は葦で作ったシュリンクスだという。
ハウスの南西のイチイやブナノキの生垣で囲われた芝生のエリアがローズ・ガーデン(Rose Garden)だ。芝生を切った41個のベッドに2000本のバラが植えられている。
盛りを少し過ぎたものの見応えのあるガーデンが迎えてくれた(写真上中・右、下左3枚)。良い香りが漂っている。
このガーデンの彫像はブロンズが3体ある。ちょっと女性っぽい男性像(写真下左)、ローマ神話の狩猟、月の女神ダイアナ(写真下左から2枚目 ギリシア神話ではアルテミス)、
頭と足だけ武装し、足元がグロテスクな男性像(写真下右から2枚目)だ。バラの中に高々と立っている。
ローズ・ガーデンからフォーマル・ガーデンへの経路に大きな大理石の像を見つける。"Bacchus with Panther"だ(写真下右)。
バッカスはローマ神話の名前でギリシア神話では“ディオニュソス”に対応する。ワインや演劇の神とされ豹は彼のシンボルだ。
フォーマル・ガーデン(Formal Garden)に入る。40m×30mくらいの台形をしたガーデンだ(写真下左)。
中心にある像は“時の翁"Father Time"”すなわち“時の神クロノス"Chronus"”だという。通常は大鎌と砂時計を持っているが、ここでは日時計を抱えている。
"Father Time"には28日にサンドリンガム・ハウスで出会っている。
植栽は矮性ダリアのみだ。まだほんの一部が開花し始めたばかりだ(写真下中)。芝とイチイの緑が瑞々しい。
このガーデンは年2回の植栽が行われるという。春は白色と青色のヒヤシンスであり
秋は黄色と赤色の矮性ダリアの植栽だ。
生垣の前に置かれた大きな金属製の壺が4ヶ所に置かれている(写真下右)。縁に乗っている1対の妖精のようなものは上述の森林・牧羊の神パンなのだという。
時の翁にしろパンにしろ、色々の表現がされるものだ。
フォーマル・ガーデンの隣のナルキッソス・ガーデン"Narcissus Garden"に向かう経路にも幾つもの像がある。写真下左は経路の入口に立つ支柱の頭部に彫刻を施されたもの。
経路の反対側を含め4本立っているらしい。左から2枚目は角笛を吹きヒツジと戯れる少年の像だ。ヒツジの表情が良い。
彫像だけでなく大きなリスも見つけた。草叢の中を何かを探している。動きが早くカメラに収めるのに苦労する(写真下右から2枚目)。
ナルキッソス・ガーデンの主役はもちろんナルキッソスだ。水面に映る自分の姿に見惚れている(写真下右)。ナルシシストの語源となった神だ。
水に映った自分とでは思いを遂げることができなく、やつれ果てスイセン(narcissus)の花になってしまったのだという。春には周囲にスイセンの花が咲くのだろうか。
このガーデンの見所の一つに並木道(Avenues of trees)がある。
ナルキッソス・ガーデンの西側を南北に約500mの並木道が通る。"Jubilee Avenue"だ(写真上左)。
1930年にフェアヘーブン男爵が造ったニレ(Elms)の並木は別名"Daffodil Walk"として知らていたが、ニレ立枯病(Dutch elm disease)により枯れてしまい、
1977年のエリザベス女王のシルバージュビリーを祝いシデ(Hornbeam)の並木道に作り直したものだ。並木道の起点に大きな壷のオーナメントが置かれている(写真下左)。
春にはスノードロップやスイセンの花で彩られ、
秋には落ち葉で彩られるのだという。花の最盛期を求めての私たちの旅ではお目にかかりにくい光景だ。
ジュビリー・アベニューの中程から始まり西に300m程伸びているのが"Coronation Avenue"だ(写真上中)。ジョージ6世王(King George VI)の1936年の即位を祝福して
1937年に造られた並木道だ。ロンドン・プレイン(London plane)と呼ばれるプラタナス(スズカケ)とクリ(Chestnuts)の片側2列の並木だ。
見上げる高木が描くV字の青空が爽やかだ。ふかふかの芝は足に優しく快適なウォークだ。ジュビリー・アベニューからの入口を1対のスフィンクスの像がガードしている(写真下左から2枚目)。
東京ドーム10個というのは広い。まだ半分程度しか回っていないだろうが、私たちの求めるフラワー・ガーデンはもう残っていないようだ。
"South Park"の広々とした芝の広場を横切って出口に向かう。出口近くに一対の像が立っていた(写真上右、下右2枚)。
仮面を持った女性(写真下右から2枚目)が気になるが、誰であるのか分からない。
ショップでお買い物。私の友人2人にヒツジとフクロウの置物を、妻の友人3人にガーデニンググローブを、共通の友人にアクセサリーを求める。
プランツ・センターの植物の間に面白いオーナメントがあった。持ち帰るには大きいが、真似て作れないことはない。いずれ陽だまりでも作ってみよう。
(その仕掛けは右の拡大写真でどうぞ)
アイスクリームを求め2時間あまりの散策の疲れを癒す。
ウェルイン・ガーデン・シティ Welwyn Garden City
残り時間からみて予定していたラベンダー・ガーデンかガーデン・シティーかのどちらかをパスしなければならない。ガーデン・シティーに軍配が上がる。
"Garden City"(田園都市)とは1898年にイギリスのエベネザー・ハワード(Ebenezer Howard)が提唱した都市形態で、第2次大戦後のイギリスのニュータウン法を始め
世界各国の都市開発に大きな影響を与えたものだ。当時イギリスでは都市に人口が集中し劣悪な住宅環境であった。
ハワードは“都市と農村の結婚”により、都市の社会・経済的利点と、農村の優れた生活環境を結合した“明日の田園都市(Garden City of Tomorrow)”を提唱したのだ。
不動産は賃貸としたところが分譲の日本の田園都市とは根本的に異なるところだ。都市発展による地価上昇利益が土地所有者によって私有化されず、
町全体のために役立てられる利点があるようだ。
ハワードの提唱したイギリスで2番目の田園都市であり、最初のニュータウンとして知られるウェルイン・ガーデン・シティに遣ってきた。
グーグルの航空写真で
ご覧のように緑豊かな街だ。その中心部を南北に走るパーク・ウェイの一角に駐車スペースを見つける。通り全体の幅は60mくらいだろうが、車道は片道1車線しかなく、
中央帯が40m以上の幅で続いている。背の高い街路樹で挟まれた豊かなエバーグリーンの中にキャットミントやラベンダーで縁取られたバラの花壇が並ぶ。
今が正に満開だ。そのスケールと美しさに声を失う。この国の力を見せつけられた思いだ。
RNRS ガーデン・オブ・ザ・ローズ RNRS Gardens of the Rose
本日のメインの訪問先と言っても良い英国王立国立バラ協会(The Royal National Rose Society RNRS)は
2003年以来11年振りとなる。RNRSは1876年に創立された歴史ある協会で"for all who love, grow and study the rose"と謳い多くの事業を行っている。
ガーデンは1963年に造られ、前回訪れた2003年を最後に一旦閉鎖され、2006年に会員向けに再オープンし、2007年より一般に公開されている。
12エーカー(東京ドーム約1個)の敷地に1750種、3万本(この数字については種々の情報があり明確ではない)のバラが植栽されているという。
パーキングは“バタフライ・ワールド”という娯楽施設と共同で、2003年の雰囲気と全く違っている。別の場所に移ったのかと思ったが、
住所は変わっていないし、ハウスも以前のままだ。グーグルの航空写真
でご覧いただくと左手がガーデン・オブ・ザ・ローズで中央から右手がバタフライ・ワールドだ。パーキングは中央上の辺りだ。
この航空写真ではバタフライ・ワールドはまだ造成中のようだが、2009年にはオープンしているようだ。
入場料を払い入場するがパンフレット1枚すら貰えない。ネットからプリントアウトしてあったガーデン・マップを取り出して受付のおばちゃんに
「現在地は?」と訊ねると隣にいたおばちゃんとすったもんだのあげくが「これは古い地図ね。今は変わっているの」と来た。
どうしてこちらの人は地図に弱いのだろうか? 信じられない。迷路(写真上左)が見えたのでそこを起点に見ればれっきとした現在のガーデン・マップだ。
迷路の東に"Queen Mother Garden"がある(写真上中・右)。クイーンマザーのお気に入りでご自身のガーデンで育てているバラを集めているという。
写真下左から2枚目はバラとオリエンタルポピーの色と形のコラボが面白い。下右から2枚目はアフロディーテ(Aphrodite)、バラは女神アフロディーテの誕生を祝って
神々が創造したものだという説を聞いたことがある。下右はクレーム・デ・ラ・クレーム(Creme de la Creme)という名札がついていた。
(見本園だから名札はしっかり付いているが、名前ばかり気にしていると花は楽しくない。気に入ったものだけ撮して来た)
クレーム・デ・ラ・クレームとはフランス語で“最良のもの”という意味だという。
ハウスを右手に取り巻くように"President's Walk"が通る。ハウスの周りは色と香りの洪水だ(写真上3枚)。妻と二人してシャッターを押しっぱなしだ。
バラの花はついついアップで撮りたくなる。そのため背景がはっきりせずガーデンのどの辺りを撮ったのかが分かりにくくなる。
沢山の写真を撮ったが、アップの写真はなるべくカットして順次並べていく。
写真下左はラドックス・ブーケ(Radox Bouquet)だ。上記のアフロディーテと共に陽だまりに迎えることにした。
(残念なことにクレーム・デ・ラ・クレームは手に入らなかった)
木バラに混じってスタンダード仕立てのバラが沢山ある。その幹の太さに驚く。妻の腕より太い。(写真上左、下右 アップ写真でご覧あれ)
ハウスを回り込みハウスの北西側にはオフィスとメンバー用の施設らしいものがある。この周辺も良く整備されていて見飽きない。
ブッシュやランブラーをオベリスクに絡ませ高さを出している。スタンダードもしかりだ。写真上右の蕾の数は何としたことか、言葉もない。
ガーデン・マップには"Model Garden"と記されているのは写真下左と中だろうか。バラに合う宿根層を組み合わせている。宿根草はヘメロカリス(ワスレグサ(Daylily) 写真下左)、
アルケミラ・モリス(写真下中)、他にはゲラニウム、キャットミント、ラベンダー、ジキタリスなどが植栽されている。
写真下右のバラは"Tickled Pink"。陽だまりに導入したいと思ったが、これも見つからない。気長に探そう。
"Tickled Pink"はくすがったいのかと思ったら、“嬉しくててぼうっとなる、大喜びする”という意味があるという。嬉しくなってくる。
ガーデン・マップに"Peace Garden"というコーナーがある(写真上左、下左)。これに関する情報は皆無だが、想像するに“バラの殿堂入り”第1号の“ピース”と
その変種やハイブリッドを集めたガーデンではないか・・・確証はない。1つの品種でガーデンを構成する発想が素晴らしい。
写真下右が“メンバー用の施設らしいもの”だ。宿泊施設でもなさそうだし、ティールームでもないようだ。
右手に写っているガーデンパラソルが、航空写真の左上に10個も写っている。何やら楽しそうな施設だ。
バラとクレマチスのコラボレーションも沢山見られる(写真下右)。とは言っても圧倒的なバラの数に押され気味だ。
このガーデンの最大の売りのパーゴラが現れた(写真上左3枚、下3枚)。スケールが大き過ぎてその形を伝えきれないが、
航空写真で見るとガーデンの左下方の2つの丸い池(Lily pond 写真下右)を通る楕円形の経路がそれだ。72本のアーチを連ねた全長200mのパーゴラだ。
各アーチには左右から違うバラがクライミングしている。見事な生育ぶりだ。ただ、パーゴラの中からより外から見たほうが美しく見えるのだ。
楕円の中心に正方形の池(Central Pool 写真上右から2枚目)があり、ここにも睡蓮が美しく浮かんでいる。
ガーデン南東の角に巨大な蟻が出現した(写真下中)。隣のバタフライ・ガーデンのもので全長18mの木製のオーナメントだ。
滞在時間1時間30分。体中にバラの香りが染み込んだ。目は色の氾濫でクラクラしている。バラが花の女王であることは再認識するが、
やはり他の植物との対比・調和があってこそ引き立つものだ。ここではバラ同士が競い合いすぎて煩雑さを感じた。
ちょうどクローズの17時だ。もっともっと美しい陽だまりにしたい。ガーデニングへの意欲の沸き上がりを覚えつつ、この旅最後の宿に向かう。
セント・マイケル・マナー St Michael's Manor
この旅最後の宿は明日の訪問地“ハットフィールド・ハウス(Hatfield House)の近くで、少し豪華な宿”のキーワードで探していたところ
セント・マイケル・マナーがヒットした。
住所が"Fishpool Street"と示す通り、バー川(River Ver)沿いの小さな湖に面したマナーハウスはオリジナルは500年前の建物だという。
ベッドルーム30の小さなホテルだが、湖を望むレストランはズバリその名も"The Lake"といい、地元客も多く訪れる人気レストランだという。
しかも価格もホテルはそこそこ、レストランは極めてリーズナブルなのだ。
セント・オルバンズ(St. Albans)は大きな街だ。ナビ子ちゃんは何だか遠回りの道を選んだ気がするが、ぐるぐる回って到着した。
ポーター(夜にはバーのカウンターの中にいた)が怪力で2つのスーツケースを運んでくれる。今夜は最後の荷造りがあるから、全ての荷物を部屋に運び込む。
ポーターには2往復してもらう。ザ・レイクに19時の予約を入れ、荷造りの準備をする。沢山のお土産を購入したが、サブのスポーツバッグに何とか収まりそうだ。
重量も規定内だと思う。
一安心したところでホテルのガーデンの散策に出る。マナーハウスの壁のハンギング・バスケット、床のコンテナは花で溢れている。
そのどれにも妻の大好きなフクシアが使われている。妻の歓声とため息が交叉する。
1エーカー(約4000u)という小さな湖をぐるりと緑地が取り囲み、樹木も沢山植えられている。その一角にローズ・ガーデンがあった(写真上中)。
さっきまで凄いのを見てきたハンディはあるが、フォーマルなデザインといい、シンプルな色遣いといい、素晴らしいガーデンだ。
ガーデンから見たホテルが写真下左だ。左の円形の建物の1階がラウンジとバーだ。右の白いコンサバトリーがレストランだ。
写真下中は食後に寛いだガゼボから眺めた湖だ。
時間になった。ザ・レイクではフレンドリーな笑顔のボーイ、ウエイトレスに迎えられて席に着く。レストランは
天井までガラス張りのコンサバトリーだ。天井のカーテンは引かれているが窓際は陽がサンサンだ。
直接陽が当たらない中央付近の席を指定する。メニューはスターターとして
妻は・ "Salad of Heritage Tomato with Laverstock Farm mozzarella & petit basil" 私は・ "Crayfish and tiger prawn salad with kohlrabi slaw"
メインは二人共 ・ "Pan fried calves liver with crisp bacon, mash and red wine sauce" になった。
旅行記作成時は旅が終わって8ヵ月が経過している。味について一つずつ解説できる記憶は残っていない。連泊したいと思ったのだから満足な味だったのだろう。
妻の前菜の"Heritage Tomato"とはイギリスの伝統トマトで実に多彩なトマトをミックスしてマーケットなどで売っている。
私の前菜のコールラビ(kohlrabi)というのはキャベツの仲間の野菜でイギリスのマーケットではお馴染みだ。
デザートは妻が・ "Passion fruit ice cream & sorbet" 私は・ "Mango sorbet" とした。ボリュームたっぷりだ。
天井のカーテンの隙間から陽の光が差し込む様子が写真から分かってもらえるだろうか。後から現れるお客さんは皆、陽の当たる窓際を選択している。
食後は再びガーデンに出て、湖畔のラベンダーに囲まれたガゼボで一寛ぎする。その後、バーでマッカラン18年をダブルのロックで入れてもらい部屋に持ち帰る。
優雅なナイトキャップで最後の夜が更ける。
F.U写真集 F.U Photo Album
今年は妻のF.Uもデジカメを持参し、草花を中心に撮影した。花名を記したラベルなどの記録にも便利だったようだ。
自身が選んだ幾葉かの写真も毎日掲載させていただくことにした。どうぞご覧ください。
写真下左 アングルシー・アビー ウインター・ガーデンの白樺林 衝撃的印象は妻も同じだ
中 ウェルイン・ガーデン・シティ パーク・ウェイの中央分離帯 スケールの大きな都市計画に言葉を失う
右 ガーデン・オブ・ザ・ローズ クイーンマザー・ガーデン 色と香りが氾濫している
写真下 いずれもガーデン・オブ・ザ・ローズ
左 プレジデント・ウォーク バラの花色も多様なら樹木の葉色も多彩だ
中 プレジデント・ウォーク ちょっと進んではまたシャッターを どこを切っても絵になる素晴らしさ
右 広いガーデンなればこそ こんなインパクトのある花が似合う
写真満載の旅行記をご覧ください
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