2013年の旅 アイルランド 南部・東部

花花

第7日 8月6日(火) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。

今日の行程        Garnish House --- Cork市内(English Market) --- Sculpture Gardens ---
                Bantry House & Gardens --- Drombeg Stone Circle --- Lisselan Gardens --- Garnish House
今日の走行距離     253 km
今日の万歩計       24,300 歩
出発時の外気温     18 ℃

ガーニッシュ・ハウス  Garnish House

この旅も半ばを迎えた。”1日の中に四季”があるといわれるアイルランドのお天気だが、第2日目と第3日目以外は雨もなく、 気温も高くても22℃と快適な毎日だ。今日も良く晴れて雨の心配はなさそうだ。晴れ男・女の神通力完全復活だ。
今日のホットミールは昨日のフルアイリッシュの中から、美味しかったベーコン、マッシュルーム、スクランブルエッグの3点だけを注文した。 パプリカとチャイブで飾り付けられ素晴らしい盛り付けだ。妻はパンケーキ・ミックベリーソースだ。こちらも美しい盛り合わせだ。 オレンジ、キウイ、ストロベリーの色合いとパウダーシュガーの演出は見事と言う外ない。食欲をそそる。 とは言え、妻にとっては3枚はボリュームがありすぎたようだ。

Rosquil House Rosquil House Rosquil House Rosquil House

食後はシッティングルームで暫し休憩する。例年はこんな施設も利用しないままだが、今年は”神風かっとび急ぎ旅”返上を心掛けているのだ。
それに今日訪問予定していた"Aultaghreagh Cottage Garden"に昨日電話でアポイントメントを入れたら「この時期は花がないのでお見せできない」 と断られてしまったので、昨日空振りのイングリッシュ・マーケットを予定に組み込んでも十分余裕ができたのだ。
窓からのウインドーボックスの花や鮮やかなオレンジ色のクッション、スタンドライトなど心弾ませてくれる部屋だ。 しかし、沢山の客がいるにも拘らず、ここに立ち寄る客はいない。皆朝は忙しいのだ。

Rosquil House Rosquil House Rosquil House Rosquil House

イングリッシュ・マーケット  English Market

昨日まさかの空振りをくらったイングリッシュ・マーケットにやってきた。 グランド・パレード通りとプリンス通りの間100mに亘り、幅30mほどの屋根付きマーケットだ。 ヨーロッパ最大級のマーケットであり、ヨーロッパのベストテン・マーケットに選ばれたという。
マーケットは1788年に始まる。当時アイルランドはイギリスが支配しており、イギリス人向けのマーケットとして始まった。 1840年にアイルランド人向けのマーケットができ、2つのマーケットを区別するためイングリッシュ・マーケットとアイリッシュ・マーケットと呼ぶようになったという。
グランド・パレード通りの右手の入り口から入場する。10時前だから予想したほど混んではいない。右側に肉屋が並ぶ。骨付き肉がごろりと置いてある(写真下左)。 愉快な光景に、思わず漫画のギャートルズを思い出す。左側は大きな果物屋だ(写真下左から2枚目)。

English Market English Market English Market English Market

右側のレーンに移ると左右に魚屋が並ぶ。中でも右側の"Kay O'Connell"という店が一際大きい。 その店の壁にエリザベス女王と素敵な笑顔で話す魚屋の男の写真がある(写真上右から2枚目)。その写真に写っている男性がそこにいたので 「その写真と一緒に写させていただけませんか?」とお願いしてみると、通路に出てきてくれて「君たちと一緒に写そう」と傍にいた知り合いの男性に シャッターを押すよう指示し、ポーズをとってくれた(写真上右)。とても陽気で愉快なこの男性がパット・オコンネル(Pat O'Connell)だ。
壁に掲げられていた写真が これ なのだが、この写真にはエピソードがあったのだ。(帰国後調べて分かったことだ)
2011年5月、イギリスのエリザベス女王はイギリス君主として100年ぶりにアイルランドを訪れたのだ。これは数世紀に亘る血塗られた歴史に正面から向き合う 女王の勇気が、因縁の両国関係を新たなステージに導いた歴史的な訪問だという。
女王のマーケット訪問の際に説明をされたパット・オコンネルを駐アイルランドのイギリス大使が訪れ、 この写真にサインをするよう求められたのだという。そして、その写真はバッキンガム宮殿の女王の下に届けられたというのだ。 パットは一躍時の人となり、イングリッシュ・マーケットの名と共に世界中に知れ渡ったのだという。 その割にはとても気さくな男性だった。この辺りがアイルランド人らしいところだ。
1日に訪れた"Garden of Remembrance"と4日に訪れた"Rock of Cashel"に続き3つ目のエリザベス女王の足跡を追ったことになる。

English Market English Market English Market English Market

色々な店が軒を並べ、趣向を凝らしたディスプレイをしている。食いしん坊としては見ているだけで嬉しくなる。 パン屋がある(写真上左)。チョコレート屋の種類の多さも驚きだ(写真上左から2枚目)。家禽専門店がある(写真上右から2枚目)。 家禽は鶏・七面鳥・ガチョウ・ホロホロチョウ・ウズラなど様々だ。加工肉の店はソーセージや例のプディングも白・黒揃っている(写真上右)。
こちらは魚の加工品店(写真下左)。さばの燻製がおいしそう。持って帰りたい。スモークトサーモンの切り身が巨大だ。
八百屋のマッシュルームのコーナーが凄い(写真下左から2枚目)。形がしっかりしていて色が白い。これも持って帰りたい。 ウエスト・コークのシーアスパラガスの情報を仕入れていたので探してみるが、見つからない。
食品雑貨の店でも欲しい物はあるが重量がネックだ(写真下右から2枚目)。オリーブの店も種類豊富だ(写真下右)。オリーブは持って帰れないが、 ドライフルーツが各種置いてある。白いレーズンが美味そうだ。小さい袋でも1kg以上ありそうだが、覚悟して求める。安い。
蜂蜜を各種並べた店で店員と話をしていると欲しくなった。重いのを覚悟でお薦めを求める。安い。(これには後日談がある)
チーズや乳製品も美味しそうだが、旅の先は長い。残念だが、持ち帰りはできない。
2階はレストランやカフェだ。見て回るだけで十分楽しんだ。ロングドライブに備えトイレを借りて出発だ。

English Market English Market English Market English Market

ユー・スカルプチャー・ガーデンズ  Ewe Sculpture Gardens

次はウエストコークもケリー州やリムリック州に近いユー・スカルプチャー・ガーデンズまで N72からR584に入り長閑な丘陵地帯を走る。片側1車線が時に往復1車線になったりと狭いが、交通量が少ないので村落部を除いて 80km近い高速運転が可能だ。1時間30分のドライブで到着。
ユー・スカルプチャー・ガーデンの情報も旅行準備も終盤に入って飛び込んできた。"The Ewe is a unique combination of nature and art - and Ireland's only interactive sculpture garden."との振れ込みに訪ねることにした。
N71沿いにユニークな彫刻が現れ、入り口を知らせる。彫刻家のSheena Woodとその夫の Kurt Lyndorffが2年の準備期間の後オープンしたのが2006年だという。 ファミリーランらしく東洋の闖入者を夫婦が温かい目で迎えてくれた。経路に沿って作品を見て歩くのだが、 作品のタイトルや説明が付いていないものが多いので想像力を働かせることになる。
思いもかけない物を発見したり、予測しない所に見つけると嬉しくなるし、1つも逃さないぞと目を凝らして探して歩くのも楽しい。
写真下左 少女のほのぼのとした顔が良い。  2枚目 小屋の中に見える髭のおじいさんも足も彫刻だ。  3枚目 姉妹だろうか。
4枚目 花の形をしたバードバス?  5枚目 花嫁と花婿 花婿の嬉しそうな顔に比較して花嫁の顔は・・・

Sculpture Gardens Sculpture Gardens Sculpture Gardens Sculpture Gardens Sculpture Gardens

写真下左 林の草木に囲まれ歓迎  2枚目 台所の調理器具で演奏  3枚目 ギャラリー脇に保管された作品群   4枚目 巨大なカタツムリ出現

Sculpture Gardens Sculpture Gardens Sculpture Gardens Sculpture Gardens

多作の作家らしく広大な山林の沢沿いや斜面に無数の彫刻が並んでいる。環境保護を訴えるような使用済みの牛乳ボトルやプラスチック製品を使用した作品もあるが、 返って自然を汚しているようにも感じられ、写真に収めなかったものもある。何を撮ったのか分からなくなってしまった写真もある。兎に角数が多い。
写真下左 一つ目小僧現る。  2枚目 ガラクタを集めて圧縮。  3枚目 平屋の屋根ほどもある背高のっぽ。
4枚目 "The Odd Sock & The Abandoned Shoe"のタイトル。  5枚目 意味不明 素材は金属か?
作品の素材も鉄、銅、コンクリート 、岩、木 、ガラス、 陶器、布、スクラップ材など様々だ。

Sculpture Gardens Sculpture Gardens Sculpture Gardens Sculpture Gardens Sculpture Gardens

写真下左 タイトルは"Factor 50 too little too late" "too little"はビキニを指すか? "too late"は"50"と関係ありか? ユーモラスな作品だ。
2枚目 タイトルは"Does my bum look big in this ?" 着飾った見栄っ張りのダチョウ婦人 楽しくなる。
3枚目 空中ブランコ渡りをするデビル。  4枚目 マウンテンバイクで滝登りならぬ山登りをするサケ 茶目っ気満点だ。

Sculpture Gardens Sculpture Gardens Sculpture Gardens Sculpture Gardens

写真下左 ガーデンで編み物をして寛ぐ羊のお母さん テーブルにはクリムティー 長閑なアフターヌーン。
2枚目 ところで木陰のベビーカーの赤ちゃんは本当に羊のお母さんの子だろうか?  3枚目 トーテムポールのような風変わりな作品。
4枚目 沢の上に下げられた白い魚 釣り上げられたのだろうか?  5枚目 こちらも魚 ハグしているようにも見える ファンタジーだ。

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写真下左 沢の畔のバスタブで泡にまみれる太っちょおばさん。  2枚目 木の枝でできた変な虫の隊列 驚いた。
3枚目 自然木の先に自然木の長い枝を乗せた巨大ヤジロベエ。  4枚目 奇怪な形相が木の根元から梢から押し寄せる。

Sculpture Gardens Sculpture Gardens Sculpture Gardens Sculpture Gardens

写真下左 浸み出した樹液か? 薄気味悪くもある。  2枚目 突如現れた巨大な顔にビックリ 良く見ると優しい顔をしている。
3枚目 シダの中に四角錐 意味不明。  4枚目 コウノトリの忘れ物か?  5枚目 大王と女王の椅子。

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写真下左 "Giant Spider" 蜘蛛の巣は縄で表現している。  2枚目 森の小さな池に出現した海蛇 尻尾は右の隅まで伸びている。
3枚目 こちらは恐竜の標本 目がユーモラスだ。  4枚目 これまた奇妙な像が数知れず出てきた ドルイド僧だろうか?

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写真下左 タイトルは"The Call of Nature" 便器まで作品にしてしまうのだ ところで電話は"Call"に引っ掛けたのかな?
2枚目 タイトルは"Rock Face" 自然の岩を顔に仕立てたのだろう 巧妙だ。 3枚目 "Stairway to Heaven" ずばり天国への階段。
4枚目 ドルイド僧の続きか? 奇妙奇天烈。  5枚目 これは巻貝か? アンモナイトか?' ホルンか?

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写真下左 "John Tomkins"と表示されているが正体不明。、  2枚目 岩の上で毛布を掛けて横たわる女性 松葉も作品の内か?
3枚目 横たわる太った猫 ユーモラスな表情だ。 4枚目 一輪車のフラワーボックス 何故こんな川っ淵に?

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写真下左 "Time Passing" 光陰矢の如し。  2枚目 タイトル"Slumber" うたた寝。  3枚目 これもハグをしているように見える。
4枚目 "Singin' in the Rain" ”雨に歌えば”の感じが良く出ている。   5枚目 ”一大事 川に落っこちそうだ” ご安心 これも作品だ。

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カントリーサイド・ドライブ  Countryside Drive

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バントリー(Bantry)に向かってN71を南下すると直ぐにグレンギャリフ(Glengarriff)の街?村?に出る。 なかなか美しい街だ。歩道と街灯にはお揃いのコンテナとハンギングバスケットから花が溢れている。 そして、個々のホテルやショップはそれぞれにハンギングやウインドーボックスを飾っているから街中が花だらけなのだ。
込み合う街中だが、パーキングスペースを見つけてこの美しい小さな街を散策する。N71の東は海、西は山、道沿いの僅かな平地に建物が1列に並ぶだけの街路だが、 活気に満ちている。やはり、こんな小さな街に泊まるのがベストかもしれない。B&Bも幾つか見られる。

バントリー・ハウス & ガーデンズ  Bantry House & Gardens

2度目のバントリー・ハウスに遣ってきた。 前回はクラッシック・カーのツアーで賑わっていたパーキングも今日は空いている。あの日は日曜日、今日はバンクホリデー明けの火曜日の差だろう。 ガーデンを見るなら空いているに限る。写真をご覧いただくと分かるが、人影は極めて少ない。この広いガーデンをほぼ貸しきり状態だ。贅沢なことだ。
バントリー・ハウスは1739年に第2代バントリー伯爵のリチャード ・ホワイト(Richard White)が購入して以来ホワイト家の住居で現在も9代目が住んでいる。 リチャード ・ホワイトと妻のメアリー・オブライエン(Mary O'Brien)は1820年代にヨーロッパとロシアのグランドツアーに出掛けて、 家具、タペストリー、カーペット、絵画・彫刻などの美術品を収集したという。その間にハウスの拡張とガーデンの造成工事をさせたのだ。 その当時のハウスとガーデンが現在に残るのだ。
パーキングから軽い坂道を上がっていくと立派な建物が見える。これが厩舎だというから驚く。しかも東西に2つあるのだ。 西の厩舎(West Stables)は現在は使われている様子がない(写真下左 1820年代の建築)。勿体無い話だ。

Bantry House Bantry House Bantry House Bantry House

このガーデン全体が7段のテラスからなるイタリア式ガーデンなのだ。ハウスは下から数えて3段目にある。 その様子がこの写真で理解いただけるだろう。
そして、ハウスの南側、東西の厩舎に挟まれた4段目のテラスがパーテア(Parterre 刺繍模様花壇 写真上中2枚)となっている。 見事に刈り揃えられたヘッジ(葉色が異なるのがお分かりだろうか?)の中に、これまた見事に刈り込まれたトピアリーが立っている。 ヘッジもトピアリーも均一の種類ではなく幾つかの種類を使い分けているのだ。その様子はこの写真で 良く分かる。見事なデザインだ。
その中央に高々とした藤のパーゴラに囲まれた池があり、火山岩で造られた奇怪な形の噴水がある(写真上右)。
パーテアからハウス裏の斜面を真っ直ぐに伸びる100段の階段がある。"Staircase to the Sky"と呼ばれる階段だ。 文字通り最上段の7段目から見下ろす眺望は絶景だ(写真下左)。遥か遠くにブルーに見えるベラ半島(Beara Peninsula)、穏やかな水色のバントリー湾に浮かぶ 緑のウィッデイー島(Whiddy Island)を背景に豊かな緑の中に赤いレンガのハウスが映える。贅沢な光景に声もない。
5、6段目は芝生を敷き詰めたテラスで腰を下ろしてピクニックする姿も見られる。斜面の植栽はツツジや石楠花が多い。 花の季節にはさぞかしと思われる。写真下左から2枚目はテラスの端から捉えたパーテア、パーゴラの藤の季節も素晴らしいことだろう。

Bantry House Bantry House Bantry House Bantry House

東の厩舎(East Stables)はイベントなどに利用されているようだ。サマー・クラフト・フェアが開催されていたが、興味を惹かれるものはなかった。
厩舎からテラスを下りるとハウスのイースト・ウイングに出る(写真上右から2枚目)。ここはB&Bも経営していて宿泊することができるのだが、 私達の予算では少々高すぎる。フロントの車寄せの円形ガーデンはナチュラルな植え込みで爽やかなイメージだ(写真下左)。 真ん中の像はローマ神話の狩の神・ダイアナ(Diana)だ(写真上右)。1840年に造られたものだという。

Bantry House Bantry House Bantry House Bantry House

次のテラス(下から2段目)は芝生の中にヘッジで仕切られた14個の円形ベッド(Circular Beds)がある(写真上中2枚)。スケールの大きなガーデンだ。 植栽はオレンジ色のユリと藤色のキャットミントが交互に植えられている。今が丁度見頃だ。
海に近い1段目のテラスは唯の芝の広場に見えるが、通路を挟んで東側はテニス・コート、西側はクロケット・ローンなのだ。
湾に向けては半月形テラスに物々しく4門の大砲が向けられているが、美しい石の欄干と大きなコンテナが雰囲気を和らげてくれる(写真下左)。 この湾も大きな戦いの場となった歴史があるのだという。今ではヨットが浮かび平和そのものの光景だ。半月形テラスの端には柔和な女性像が立つ(写真上右)。

Bantry House Bantry House Bantry House Bantry House

写真上左から2枚目はクロケット・ローンから見た円形ベッドとハウスのウエスト・ウイングだ。 ハウスの右(西面)がサンクンガーデンになっている。写真上右から2枚目がテラスの上から見たサンクンガーデン。ここは花が色々咲いている。 上右の写真は逆にサンクンガーデンの奥からハウスを望む。2階のバルコニーから見るサンクンガーデンも素敵なことだろう。
バルコニーの下のテラスにロマンチックなソファーがある(写真下左)。朝食時にB&Bでいただいてきたスコーンとフルーツケーキを ウエスト・ウイングのカフェで求めたコーヒーと共にいただく。優雅なアフターヌーンティータイムだ。

Bantry House Bantry House Bantry House Bantry House

サンクンガーデンに咲く花々だ。写真の背景に建物が写ると花も一層映えるものだ。ここにも盛んに手入れをする女性ガーデナーがいた。 手入れなしに美しいガーデンはないのだ。
写真上左から2枚目はバードバスとフロックス、上右はマーガレット、下は左からアガパンサスとトリトマ、フロックス、ルドベキア、 秋明菊、バラ・バレリーナとアガスターシャなどが見られる。
上右から2枚目は西の厩舎への階段から望むハウスの南面。オレンジの花はヘメロカリス属の花だろうが、この地方の道路脇にも沢山自生している姿が見られる。 右にある階段はテラスの段差があるから2階へのものだ。

Bantry House Bantry House Bantry House Bantry House Bantry House

カントリーサイド・ドライブ  Countryside Drive

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N71を東進し、リープ(Leap)からR597に入ると美しいグランドール湾(Glandore Harbour)を右手に見ながらのドライブだが、 グランドールの漁村を過ぎた辺りから道路の両サイドは潅木に挟まれ見通しの悪い道となる。しかし、その潅木がしばしば野生のフクシアになったり、 バントリーハウスに咲いていたヘメロカリス属のオレンジ色の花を始め見慣れぬ野生の花が見られて神経を使うドライブもいくらか癒される。
圧巻だったのは民家の生垣だ。足元をヘメロカリスで埋め尽くし、フクシアの生垣が高々と刈り込まれている。 スピードが出ていて一旦通り過ぎたが、バックしてカメラに収める。

ドロムベック・ストーン・サークル  Drombeg Stone Circle

R597の道路標識から僅かに南に下ったところにドロムベック・ストーン・サークルがあった。 パーキングも完備し、アクセスも極めて良い場所に、思った以上に完全な形で残るストーンサークルだ(写真下左3枚)。 美しい農地の先に大西洋が望める絶景だ(写真下右2枚に水平線が見える)。
別名" Druid's Altar"とも呼ばれるストーン・サークルは青銅器時代(紀元前1500年から紀元前600年)のもので、 宗教的儀式や葬祭に関連していたものらしい。直径9.3m、17個の石からなっている。
ストーン・サークルの奥には住居とアイルランド語で"Fulachta Fiadh"と呼ばれる料理に関係する施設の廃墟がある。 "Fulachta Fiadh"とは石の水槽に水を入れ、これに炉で熱した石を入れ、水を沸かす装置でケルト民族のエリアで見られるものらしい。 この熱湯で料理をしたり、染色、洗濯、入浴に使われたと考えられている。西暦5世紀まで使われていたと考えられている。いわば石焼き鍋の要領だ。 この写真が分かりやすい。古の人々の想いと知恵に厳粛な気持ちになる。それにつけても、爽やかな気分だ。

Drombeg Drombeg Drombeg Drombeg

リッセラン・ガーデンズ  Lisselan Gardens

どのサイトで見たのかロマンチックなフランスのシャトーを思わせるハウスとフォーマルガーデンの写真に魅了されてリサーチしたが、 リッセラン・ガーデンズに関する情報は極めて少ない。 あってもコピペしたような似たり寄ったりのものだ。ここは穴場に違いないと◎をつけた。
入り口を間違え行き止まりの細道に入り、Uターンもできず長い道のりをバックで引きかえすハプニングの末到着。 受付はゴルフ場のクラブハウスだった。クラブハウスといっても日本と異なり平屋の小さな建物だ。 トイレを借りると更衣室兼ロッカー兼シャワー兼トイレというスタイルだ。ハウスには人待ち顔の陽気なおじさんが一人待ち受けており、 あれこれ話が長い。入場料を払って用意のガーデンマップを頼りに散策開始。

Lisselan Gardens Lisselan Gardens Lisselan Gardens Lisselan Gardens

ここは1850年代前半にウィリアム・ベンチェ - ジョーンズ(William Bence - Jones)がアリジディーン川(River Argideen)の川畔に、 その流れを活かした邸宅とガーデンを造ったことに始まる。
面白いことに30エーカーの敷地の中に、フォード自動車の創設者ヘンリー・フォードの祖父や父が住んでいた屋敷が含まれるという。 フォード家は小作をしていたが、ジャガイモ飢饉から逃れるため家族でアメリカに移住したのだという。1847年のことだ。ドラマだ。
クラブハウスの脇のゲート(写真上右)を通り、ブナの林の下を真っ直ぐに進む。ハウス手前にローズガーデンがある(写真上左)。 残念ながら花の時期は外れている。
ここにはフクシア・ガーデンがあり、コレクションは30種類にも及ぶといいう触れ込みだ。家の裏手から納屋の間を通り牧草地を暫く歩くと 壁に囲まれたフクシア・ガーデンに着く。ところが、フクシアに関しては極めてお粗末な状態だ。 先ほど道端で見たフクシアの方が断然美しい。ゲートからの通路に写真下右のようなコンテナもあり、期待させられただけに残念だ。 唯、ケープフクシアだけは勢い良くく咲いている(写真下左)。
しかし、宿根草が色々花を咲かせている。ざっくりとした植え込みだが、それはそれなりに楽しめる(写真上中2枚、下左2枚)。 ボーダーもガートルード・ジーキルの唱える”ガーデン・スキム”の考え方とはかけ離れた植栽だが、花の勢いの良さは気持ちが良い。

Lisselan Gardens Lisselan Gardens Lisselan Gardens Lisselan Gardens

アリジディーン川に架かる美しい橋がある(写真下左)。丸太を組んだ素朴な造りで藤の蔓が絡んでいる。川の水は黒いが澄んでいて鏡のように空を映す(写真上右から2枚目)。 川岸には自生のヘメロカリス(左)やフクシア(右)などの花が見られる。橋の袂には橋に合わせたように素朴なガゼボが建っている(写真下右2枚)。 屋根までバラが絡みよい感じだ。川の流れの何と美しいことか。ウィリアムの狙い通りだろう。河畔のミソハギも美しい。

Lisselan Gardens Lisselan Gardens Lisselan Gardens Lisselan Gardens

この河畔のレベルにフォーマルガーデンの一つがある(写真上左から2枚目)。中央に重厚な噴水(写真下左 水は出ていない)を配し、 4隅に可憐な少女像が置かれている(写真下右4枚)。芝の中の通路の石板も良い雰囲気だ。

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同じレベルにゴルフのグリーンがある(写真下左)。川の向こうから川越で狙ってくるのだ(写真下左から2枚目)。なかなか戦略性に富んだ設計だ。 チャレンジしてみたい。グリーンの直ぐ脇にバラのパーゴラが伸びているが、そこに行く通路が見つからない。

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フォーマルガーデンから麗しいシャトーが見える。ハウス前のテラスのレベルとの斜面にロック・ガーデンが築かれている(写真下左)。 植栽が厚く茂っているので岩が見えなくなっているが、素晴らしいガーデンだと思う。このロックガーデンの径路を上る。
ハウス前のテラスもイタリアン・ガーデンだ。サンダイアルや白いコンテナ、ベンチがお洒落だ(写真下左から2枚目)。 生垣の向こうにグラスハウスが見える(写真下中)。ここにフクシアがあるのかもしれないが、入り口が見当たらない。
テラスからプライベート・エリアへの入り口にトピアリーがある(写真上下右から2枚目)。多分ライオンを模しているのだろうが、ユーモラスな姿だ。 目の位置がちょっとずれていないか?

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同じテラスに女性像を4つ配したフォーマル・ガーデンがある(写真下)。こちらは成人女性がそれぞれ収穫している姿のようだ。 像の大きさに比べてスペースが狭すぎるように思う。植栽は中央に椰子の木があり、周りもトロピカルな植物を植えてあるが、余りマッチしているようには思わない。
一つひとつのガーデンに調和というか、連続性がみられない。デザインが一人の人物によってなされたものではないのだろうと思われる。
フォードのビンテージ・カーの展示もあると聞いていたが、とうとう見つからなかった。標識がないので見逃したのだろう。 全体的にビジターにとって親切とはいえないようだ。

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No.5 フェンズ・キー・レストラン   No 5 Fenn's Quay Restaurant

今日のディナーは自分で収集した情報の中からNo.5 フェンズ・キー・レストランに決め、 午後早くに電話予約した。決め手はナオコさんのページシーアスパラガスを提供すると載っていたからだ。
ガーニッシュ・ハウスから徒歩で10分ほどのところだ。ガーニッシュ・ハウスの並びのB&Bのウインドーボックスが素晴らしい(写真下左から2枚目)。 リー川の向こうに聖フィン・バレズ大聖堂(St Fin Barre's Cathedral 写真下左)が見える。美しい。 その先に緑青色のドームを乗せた荘厳なコートハウス(Courthouse 写真下右から2枚目)がある。この手前を左折すると間もなくお目当てのレストランだ。

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No.5 フェンズ・キーは真っ赤な建物だった(写真上右)。屋根にお花を戴いている。なかなか良い感じだ。右側の窓際の席を占める。
既に20時30分だ。さほど大きな店ではないが、店には女性客2人の1組しかいない。ちょっと心配になるが、オーダーは妻が
・ Fish of the Evening from O'Connell's of the English Market  私が
・ Wild Salmon and Monkfish en Paupiette with Seasonal Vegetables , Haricot Beans and Cauliflower Puree  と共にメイン1品とする。 するとオーダーを通したウエイトレスが戻ってきて「2つは同じ料理ですが、良いですか?」と言う。妻が見たメニューが写真下左から2枚目で、 私が見たメニューは本日の特別メニュ(specials board)だったのだ。   そこで今朝イングリッシュ・マーケットで見た美味しそうなマッシュルームを思い出し
・ Ballyhoura Mushroom Risotto with Pickled Fennel  に変更する。
メニューにわざわざ"from O'Connell's of the English Market"と謳うのは、東京で言えば”築地直仕入れ”と言うことになるのだろう。
メニューに"Sea Asparagus"が見当たらない。「シーアスパラガスはないのか?」と訊ねるとシェフに訊いてきた。 「旬は5、6月なので今はない」とのことだ。そういえば、シーアスパラガスを知った昨年の旅は5月末から6月上旬のことだった。 残念だが、またのチャンスとしよう。日本でも出回ると良いのに。
ワインと一緒に出されたパンとバターの器が素焼きの花鉢ではないか、こんな風な使い方もあるのだと仰天する。
出てきた"Fish of the Evening"はポーピエット(Paupiette)には見えないが、サーモンもアンコウもごろごろ入っている。 季節の野菜もインゲン豆も入っている。カリフラワーのピューレもたっぷり掛かっている。リゾットはマッシュルームの香りが良く、 米にはほど良く芯が残っている。どちらも文句なしに美味しい。”ナオコさんの情報”は間違いない。

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今夜はアイリッシュパブを楽しもうと自分でリサーチした情報をもってきた。”コーク最古のパブ”という情報の An Spailpin Fanacを探す。 店は難なく見つかったが、随分静かな店で人の出入りもない(写真下左)。隣にリサーチしたリストに載っている"The Oval"というパブがあり、 こちらのほうが外観も派手で賑やかな音楽が聞こえるし、人の出入りも激しい。どちらに入ろうか迷っていると女性2人組に話しかけられる。 30代後半か? かなり酔っている様子で危なっかしい喋りであれこれ質問してくる。。警戒しつつ対応する。地元の人らしい。「どちらのパブがお薦めか?」と訊くと 「どちらも良いわよ」と参考にならない。こんな触れ合いがあった時のために用意のお土産(ヘアピン飾り)を渡すと早速取り出し、 髪に飾って大騒ぎだ。あげくに、大きな体を押し付けてハグまでされてしまった。頬には口紅がべったりだ。 周りの人が東洋人と酔っ払い女性の絡みに興味深々で眺めている。
”コーク最古”に惹かれてAn Spailpin Fanac(季節労働者を意味するアイルランド語)に入る。客は一人もいない。 まだ老人が床掃除をしている最中だ。カウンター前の止まり木に席を決め、 カウンターの中にいた男性にハーフパイントのマーフィーズ(Murphy's)を2つ頼むとお愛想もなく注いでくれる。
ギネスと同様真っ黒なビールだ。ギネスより若干辛口に感じた。店は1779年創業だという。 低い天井にむき出しのレンガの壁、板石の床は歪んで波打っている。雰囲気は最高だ。 200年前の季節労働者や大飢饉でコーブから移民した人達もここで1パインとのビールで心を癒したのだろう。歴史を感じる。
1杯目が終わって2杯目をオーダーする。「コークで最も古いんだって?」と訊くと「ああそうだよ」と素っ気ない。 「お薦めのビールは?」と訊ねると「ビーミッシュ(Beamish)が一番だね」と、これには歯切れが良い返事だ。後で気が付いたが、 店の向かいはビーミッシュの工場だったのだ。だからマスター?はきっとビーミッシュ贔屓だったのだろう。(マーフィーズもコーク産のビールなのだけれど・・・)
飲んでみるとビーミッシュの方が更に辛口だ。妻の残っているマーフィーズと比べると間違いなくビーミッシュが辛い。 ギネスと比べてみたいがビーミッシュ贔屓のマスターにはオーダーしにくい。妻はギネスが好きだと言う。私好みはビーミッシュだ。
並んでいるジャグの数が多い(写真下中2枚)。「幾つあるか?」と訊ねると「19ある。その内、14がアイルランドのものだ」とのことだ。
23時を過ぎた。次第に客も入ってきたが、生演奏が始まる様子はない(BGMでアイリッシュ・ミュージックは流れていた)。 引き上げることにする。隣のThe Ovalの様子を覗いて歩き始める。一昨夜も大賑わいだった"John Rearden & Son"は今日も賑わっている(写真下右)。

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