第19日 7月4日(月) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
Kirkton House
曇り空ではあるが振り出す気配でもない。しかし、スコットランドのお天気はどう転ぶものやら…。
内のオバンはObanで買ったカシミアのセーターを早速着込んでご機嫌である。やれやれ…。
さて、今日はスカイ島へ渡る。私達のイギリス旅行でブリテン島を離れるのは初めてだ。ハイランドもなお深くに進むことになる。
今朝は久々にスモークト・ハドックにした。スモーキーな塩味とポーチドエッグがまったりと良く合う。元気をつけて、いざ出発!
Tarbet(Loch Lomond)
昨日と同じ道を通りA82に出る。2度目の道は短く感じるものだ。あっという間にLussを通り過ぎTarbetに着いた。
ここの船着場に立派な観光船が係留されている。
Cruise Loch Lomondだ。あっても良さそうなものと
思っていたものがあった。何だかホッとする。しかし、湖水地方の観光船とは何故か雰囲気が異なるように感じられる。
神秘さではこちらが優っている。コーチの団体さんが笑顔で乗り込んでいく。若い女性が演奏するバグパイプが鳴り響いている。
さらに10km余り北上しArdluiという村がLoch Lomondの湖頭のようだ。Loch Lomondに別れを告げGlen Fallochに沿って
A82は続く。
Glen Orchy
この辺りの道は谷間を川沿いに走っている。A82を真っ直ぐ進めば早いのだが、ここで少し寄り道をする。Glen Lochy沿いに
走るA85から、Glen Orchyを走るB8074を廻ってA82に戻るルートだ。
Glen Orchyは
1000メートルに満たないなだらかな山に囲まれた谷間の道で針葉樹に覆われ、時にはゆったりと流れる岸の直ぐ脇を走り、
時には岩肌を落ちる沢を見下ろしつつ走る。清流ではあるが水の色は茶色だ。
スコッチウイスキーに欠かせないピート層を抜けて来たからだ。良い香りが漂ってくるようだ。蒸留所見学に思いを馳せる。
良い景色を見つける度に停車していると、同じように進む車と抜きつ抜かれつで顔見知りとなり、
苦笑いで手を挙げて挨拶だ。釣りを楽しむ人もチラホラ見える。狙いはサーモンだと言う。
Black Mount
A82に戻り北上。次々に大小の湖が見られる。Loch Tullaを見下ろす高台の駐車場にバグパイプ奏者が強い風の中演奏している。
演奏の切れ目に写真撮影をお願いすると、小道具を取り出して扮装させてくれる。チップを弾まなきゃ。
この辺りの山々は1000メートルを越すものも多い。この高さになると木はほとんど見られなく、牧草に覆われるか
岩むき出しかだ。形容しがたい素晴らしい眺めの中、飽くまでも真っ直ぐな道が続いたかと思うとカーブの連続する道
あるいは緩くスラロームする道など快適なドライブだ。
Glen Coe
Glen Coeに入ってきた。ここでも美しい姿の山々の麓を
縫ってのドライブだ。
Glencoe Visitor Centreは
大規模な近代的施設過ぎて興ざめといったところだ。展望台やショップは人が溢れている。
大自然の山懐の施設を期待して来ただけに残念だ。ただ、環境保全への気配りは流石と思わせるものがある。
Fort William
この地域の中心都市
Fort Williamに到着。
Loch Linnheの湖頭に拓け背後にこの地域の最高峰Ben Nevisを従えた美しい街だ。
ここでランチにする。スコットランド名物ハギスにトライ、もう1品は大好きなフィッシュ&チップスにする。
ハギスはスコットランドの伝統料理で羊の肉・内臓・血をオート麦やたまねぎなどの野菜、香辛料と共に調理し、
羊の胃袋に詰めて更に加熱したソーセージ状のもの。との認識でいたが、形は少し違っている。しかし、臭みも感じないし
塩加減・スパイス加減が付け合せのマッシュポテトと絶妙にマッチしておいしい。もう1つの付け合せはカブをゆでたものを
賽の目にきったものだが、これも慣れてくるととなかなかにいける。癖になりそうだ。ビールにも良く合い、
もうハーフパイントいただくことにする。
店の雰囲気もよい。木製のテーブルと椅子のアンティーク加減、木の床と梁は黒光りし年代を感じさせる。客の出入りも激しく、
喧騒の中なのに何故か落ち着ける。ハギスをパクつく東洋人が珍しいのか盛んな視線を感じる。
Glenfinnan
Loch Eilの湖畔を通り
Glenfinnanに到着。
Glenfinnanは”ハリーポッターと秘密の部屋”の舞台となった
Glenfinnan Viaduct
がお目当てでやってきたのだが、ナショナルトラストの
Glenfinnan Monumentの
Visitor Centreがあった。塔の上にチャールズエドワードスチュアートの像が立つMonumentはLoch Shielの湖頭の素晴らしい
シチュエーションに立っている。中の螺旋階段を登り、展望台に立つと爽やかな風と山々に抱かれた優しい眺望に心が洗われるようだ。
この展望台から見るViaductがまた美しく、旅情を掻き立ててくれる。この線路の終着点がフェリー乗り場のMallaigなのだ。
Morar
フェリー乗り場のMallaigの直ぐ南の村
Morarが美しい村との情報だ。
A830からB8008に下り村に入り、Loch Morarの湖岸の道に入る。濃い青色の湖面が道路の直ぐ脇まで広がり、穏やかに
波打つ。静かだ。全ての音が周りの深い緑に吸い込まれてしまうようだ。
Mallaig
スカイ島(Isle of Skye)へのフェリー乗り場
Mallaigに到着。
係員が寄って来て、予約はあるかと聞く。Noと応えると、あの車の後ろに駐車して、そこの事務所でチケットを買えと言う。
実に親切でにこやかだ。料金は24.15ポンドだ。ちょっとお高いか? 次の便までは30分ほどの待ち時間だ。
街を散策するほどの時間はない、遠く霞むスカイの島影を見たりレジャーボートなどを眺めて過ごす。
フェリー会社はCaledonian MacBrayneでObanの港でも見た。
白と黒の船体に赤と黒の煙突が印象的なフェリーだ。高々と汽笛を鳴らし入港してくると、鮮やかな操船であっという間に
大きく船首を開けて接岸。次々に車が繰り出してくる。
乗船し早速最上階の甲板に出る。風が強く寒いくらいだ。上から見たMallaig港は水が綺麗だ。
漁港でもありボートハーバーでもあるようだ。出航後しばらくは甲板で過ごしたが、寒さを感じ船室に入る。日の射す窓際で
日向ぼっこが気持ち良い。少しうとうとしたと思ったらスカイ島到着だ。25分の船旅だ。
Armadale
フェリーでのスカイ島の玄関はArmadaleだ。
連なって下りる車の流れに乗って港を去る。
この村にArmadale Castle Gardensがあるのだが、残念ながら
Last Entry の時間を過ぎてしまった。入り口付近を少し散策してみると、大木の伐採跡に出会った。
ざっと年輪を数えると400はありそうだ。
パーキングの前に、元馬小屋であった建物がレストラン&ショップになっているがこれも閉店だ。
広大な森に包まれた城の姿はここからでは望めない。
Kyleakin
A851を北上する。大変良く整備された道路だ。流石に観光の島だ。A87に出てもう一方の島の玄関Skye Bridgeを
見るため東進する。左手に西日に光る海に大小の島々が浮かぶ景色は絵のようだ。何度も路肩に停車し眺める。
あの一番高い山がスカイ島の最高峰The Storrだろうか?
Skye Bridgeは極めてシンプルな
デザインの橋だ。この時点では有料と思っていたので端の手前から撮影する。島を去る日に渡った時料金徴収がなかったので
調べたところ、2004年12月21日から無料となったらしい。
少し早めだがB&Bに到着。出てきたホスト(Tony)は怪訝な顔で予約はしたかと聞く。もちろんと用意のメールのコピーを見せる。
よく見れば追伸の形で到着48時間前に電話でreconfirmationせよと書いてある。まいったね。
幸いにも2部屋とも空いているとのことで、両方見せていただきシャワー付きの部屋にする。ディナーに推薦のホテルを
紹介してくれて、食後はSunsetの素晴らしい場所があるから是非行ってらっしゃいと言う。地図を広げて25km余りで
片道45分だと熱心に薦めてくれる。疲れも溜まっているし、日没後の点灯ドライブも辛かろうしここはパスと決め食事に向かう。
今日はランチをしっかりいただいたので軽めにしようと、スターターはエッグ&マヨネーズというものにした。名前のまんま、
ゆで卵のスライスにマヨネーズが付いてきた。でもおいしかった。写真を撮り忘れてしまい、メインは忘れないようにと
カメラをケースから出しスタンバイする。1品はスカンピのフライ。スカイ産なのかこの旅で一番大きなスカンピだ。
もう1品は平目のフライ。よほど大きな平目なのだろうスティック状の切り身をフライにしてある。付け合せは一方は
ゆでた新じゃがが小振りとはいえ9つ。もう一方はいつものチップスが山盛りだ。プラスどちらも生野菜とグリーンピースがたっぷり。
おいしかった。ハッと思ったときには半分以上食べていた。今夜のディナーの写真はなしだ。客は我々だけ、ウェターが
Very quiet!と肩をすくめて見せる。
食事を終わって、真っ直ぐ帰るにはちょっと早い。Tonyの教えてくれたElgolはホテルの前のB8083を行けば良いのだ。
Elgolへの道程は”地球の歩き方”でも
”言葉にできないくらい美しい”と記されている。日没までいなくても往復の行程を楽しもう、ということになりスタートする。
B8083はB道路とは言え地図上全線破線で示される細い道だ。道路標識の完備したイギリスだが流石にこのクラスのB道路では
標識は皆無だ。地図上は1本道だが、三叉路が現れ迷う。道を尋ねようにも民家はおろか人影さえない。果てしなく続く
山道を進むとオートキャンプ中の若いカップルに出合う。どうやら道を間違えたようだ。地図を取り出し説明してくれる。
さっきの三叉路を右に行かねばならなかったようだ。カップルはこんなところで2週間もキャンプをしているらしい。
いくら若い2人でもちょっと寂しくないかな。
三叉路に戻ってB8083を進むとLoch Slapinの湖岸に出る。湖頭を回りこむように進む。右手に険しい山が迫ってくる。
起伏に富んだ山道で対向車もほとんどない。時にオートキャンプらしき車を見るが人影はない。幻想的な景色の中口数も減り
写真を撮るのも忘れ、ただ黙々と車を進めるだけだ。Elgolの小さな集落を山道から見下ろし、Uターンする。
帰路の途中で山の向こうに日が沈み始めた。この2時間足らずのドライブは今振り返っても不思議な時間・空間であった。
(地球の歩き方はここをサイクリングするよう薦めているが、並みの脚力の方は止めたが無難だ。)
”Topic” Highland Drive Topic一覧はこちらへどうぞ
今日のドライブに関し書き残したことをここに記してみよう。
先ずは"Single Track Road"
について。6月29日のWrynose Pass - Hardknott Passもそうであったし、今日のB8083のように地図上破線で示される道は
凡例に"road with passing places"と記されている。すなわち、1車線しかない細い道路で、行き違いはpassing places
でしか出来ない道路を指す。
上のサイトではSingle Track Roadにおけるルール・マナーなどをご丁寧に教えてくれる。
まずパーキングではないことが謳われている。
次に"consideration and assertiveness"が求められます。配慮と主張でしょうか? イギリス人はこのような道路での
行き違いでは、実に気持ちよく道を譲ってくれる。かなり遠くのpassing placesからライトをパッシングしてくれる。
そして擦れ違うときは相手の目を見て笑顔で手の平を揚げて会釈をしてくれる。
主張より配慮が優るのだ。嬉しくて心が軽くなる。
そして登りの車優先・地元生活者の車優先・後続車への配慮などが記されている。これは日本と変わらない。
写真のように道幅縮小の標識でも"Single Track Road"だけでなく"Single File Road"もある。これは片側2車線が片側1車線に
減少する警告だ。この標識の下に文字で表される。
今日のドライブでは幾つの湖を見ただろうか? ハイランド地方には氷河の移動で削られて出来た湖が無数にある。
陸に閉じ込められた淡水湖と海に通じる汽水湖がある。湖水地方も氷河によって造られた湖が沢山あるが淡水湖が多く、
数・規模共にハイランドが圧倒的だ。
私の知識では湖は"Lake"でしかなかったが、湖水地方を旅して"Mere"、"Water"、"Tarn"も湖だと知った。むしろ湖水地方には
"Lake"は1つしかなく"Mere"、"Water"が大半だ。
スコトランドでは湖は"Loch"と呼ばれると聞いた。しかし地図を見ていると他にもさまざまな言葉が出てくる。
今日ランチをしたFort Williamの辺りではLoch EilがLoch Linnheに繋がりObanの辺りでLynn of Lorneと重なり
その先は一方はFirth Lorneとなり、もう一方はSound Mullとなり、共に大西洋に注ぐ。"Lynn"、"Firth"、"Sound"が出てきた。
Firthは峡湾、Soundは海峡と訳されるようだがその違いについては定かでない。
地図を眺めこのような発見をするのも一つの楽しみだ。
写真たっぷりの旅行記をご覧ください
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