第5日 6月22日(月) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程 Anchorlee Guest House --- Grey Mare's Tail --- Moffat --- Greenbank Gardens ---
Holmwood --- Pollok House Garden --- Paisley Abbey --- Muirholm Bed & Breakfast
今日の走行距離 239 km
今日の万歩計 10,800 歩
今日の出発時気温 13 ℃
アンカーリー・ゲスト・ハウス Anchorlee Guest House
朝食前に荷造りを済ませる。8時朝食。今朝は二人共フル・スコティッシュにする。やっぱりこれが一番だ。
チェックアウトの請求にはランドリーの分が入っていない。その分チップを多めに支払う。
2度目の滞在ですっかり打ち解け、ホスト、ホステスと握手、ハグでお別れする。
グレー・マレズ・テール Grey Mare's Tail
今回の旅ではスコットランドの自然を求めてウォーキングを幾つか楽しむスケジュールだ。
その一弾がグレー・マレズ・テールだ。
ナショナル・トラストが管理する自然保護区にある滝でスコットランドで最も高く、イギリス全体では5番目に高い滝だという。
A717、A75、A701、A708と繋ぐ行程だ。若干の工事渋滞もあり1時間30分でパーキングに到着。
パーキングから5分も歩かないところに"The Tail Burn Fort"という石を積み上げたテラスがある。そこから想像した以上の滝が見え、感動する(写真下左2枚)。
スコットランド一といっても、今までにスコットランドで見た滝は日本に比べれば大したことはなかったので高を括っていたのだ。
広大な保護区の最高峰"White Coomb"(標高821m)の中腹500mにある湖"Loch Skeen"から流れ出た川"Tail Burn"が途中で60mの断崖となり滝となっているのだ。
氷河により造られたものだという。確かに芦毛の馬(Grey Mare)の尻尾に見えなくもない。
右手のフットパスを少し登るとさらに良い光景となる(写真下右から2枚目)。滝の全景が見える場所まで片道僅か30分の行程との情報だが、
ここから先は思ったよりハードな登山道のようだ。今朝まで降った雨で濡れた道は私たちの装備では危険と判断し引き返す。
モファット Moffat
この保護区にはトイレがない。一番近い街は朝方渋滞のあったモファット(Moffat)だ。タウンセンターのパーキングに車を入れ、
通りがかりの買い物客らしい女性に「パブリック・トイレは?」と訊ねると「着いていらっしゃい」とトイレの前まで連れて行ったくれた。
一人20ペンスの有料トイレだ。イギリスでは有料公衆トイレが多い。こんな時のために小銭の用意は欠かせないのだ。
トイレの横にガーデンセンターがあった。覗いてみるがめぼしい物は見つからない。草花の種を4つ求める(写真右)。
パーキングに高々と羊の像が立っている(写真上右)。"The Moffat Ram"と呼ばれるらしい。この街が羊の飼育が盛んで羊毛が主力な産業であることを示しているのだろう。
街のホームページを見ると"Moffat Sheep Races"とか
"International Sheep Dog Trials & Countryside Fair"などというイベントが載っている。今度はこんなイベントが開催されている時に訪ねたいものだ。
静かでしっとりと落ち着いた街だ。
グリーンバンク・ガーデンズ Greenbank Gardens
今日のガーデン巡りはグラスゴー南部のナショナル・トラストのガーデンだ。最初は
グリーンバンク・ガーデンズだ。3回目の訪問になる。
1763年にグラスゴーの商人のロバート・アラソン(Robert Allason)が立てたというジョージ王朝(Georgian)風のハウスだ(写真下左)。
小さく見えるが16室もあるという。ロバート・アラソンは奴隷売買などで財を成したという。多くのガーデンが搾取の上に立つのは複雑な心境だ。
ご多分に漏れず、このガーデンも様々なオーナーを経て1962年にウィリアム ・ブライト(William Blyth)の手に渡り、ガーデンも改装された。
そして、1976年にブライトご夫妻からナショナルトラストに寄付されたのだ。
ショップを抜けハウスの南西に広がるフロント・ローンに出る。愉快に刈り込まれた並木の向こうに大きな白いテントが張ってある(写真上中)。
近々結婚式などのイベントがあるのだろう。
さて、並木の間を通ってウォールド・ガーデンに入る。高々とした門柱の向こうに日時計が見える(写真下左)。このウォールド・ガーデンは
グーグル・マップの航空写真で分かるように
12個の部屋に分かれているアウトドアールーム式ガーデンだ。それぞれの部屋が趣向を凝らしたデザインで植栽も3700種の植物が趣向に合わせて植えられている。
最初に入った部屋はトピアリーがたくさんある楽しいガーデンだ。一番大きなトピアリーは“うさぎ”と呼ばれているが(写真下左から2枚目)、
想像の翼を広げて他のものを連想する。写真上右は“かたつむり”に違いない。
陽だまりでかたつむりのトピアリーが生まれたのもこのトピアリーが潜在意識にあったからかもしれない。
写真下左は“いもむし”に見える。中は“子犬”だろうか。いずれもメタボな感じだ。そろそろ刈り頃だろう。
次の部屋には大きな池があり、その真ん中に女性像があり、それに向かって噴水が噴きでている(写真上右から2枚目、下右)。
女性像は"Foam"と呼ばれる水の精だ。これはピルキントン ・ジャクソン(Pilkington Jackson)が1938年の"Empire Exhibition"に出展するために造ったもので、
1980年代に彼の遺族からナショナル・トラストに寄贈されたものだ。それを受け池が造られたものだ。躍動的で美しい像だ。
次の部屋はガーデン中央の円形のローンのガーデンだ。その中心に日時計がある(写真2つ上右、下左)。円形に囲むイチイの生垣の足元にはコニファーとホスタが
健やかに育ている。春にはホスタの代わりに水仙が咲くようだ。
次の部屋は“四季の庭”とでもいうのだろうか。 "Winter and Spring Garden"、"The Summer Garden" 、"The Autumn Walk"という3つのガーデンが集まっている。 3つのガーデンの境界ははっきりしないし、見た目も得心いくものではないが、写真上中・右と下左は"Winter and Spring Garden"だろう。
写真上中と3つ下の左が"The Summer Garden"、上右と下左が"The Autumn Walk"だと思われる。植栽の厚さはすごい。
センターラインから反対側の一番奥に""Glass House"がある。あまり手入れが良いとは言えない写真下中)。
壁沿いに"A Series of Raised Beds"と名付けられたコーナーがある(写真下右)。レイズド・ベッドが幾つもある。
レイズドにした石が見えないほどに植物が茂っている。レイズドにした意義が分からない。
レイズド・ベッドと同じ部屋にもう一つの池がある。この池もレイズドになっている。水面には睡蓮が周囲には水生植物が茂りすぎと思われるほど生育している(写真上左)。
各部屋を仕切る生垣に穴を開けてベンチを置いたり、手漕ぎポンプから水を噴出させオブジェとしたりとアイディアが凝らされている(写真上右)。
池の横に素朴な形の石のモニュメントがある(写真上中、下左から2枚目)。元来の用途はバードバスだろうか。
次は"Knot Garden"だが5年前とだいぶ違っている。5年前はヘッジがきっちりしていたが、
今は植え替えたばかりのようだ。中央にあったコンテナは金属製のモニュメントに替えられている(写真下左)。
調べたところ、2013年がロバート・アラソンがハウスを建ててから250周年に当たるのを記念して造られたスカルプチャーでグリーンマン(Green Man)
というらしい(写真上右から2枚目)。"Foliate Heads or Foliate Masks"と呼ばれる葉っぱのフォルムでデザインされた頭と顔を持つ像だ。
当初は色付けされていたようだ。
下左の写真の左上に写っているベンチが下中のベンチだ。これも250周年にグリーンマンを作成したメッキ工により修復したという。
それにつけても、荒れ果ててしまった印象のノット・ガーデンだ。
次の部屋で一回りして最もハウスに近いガーデンに戻ってきたことになる。一方を石壁、一方を生垣に挟まれたダブルボーダーだ(写真下左)。
ボーダーも生垣でいくつかの部屋に分かれており、一つひとつ植栽の趣を変えてある(写真上右)。
ボーダーの突き当たりにも美しいベンチが置かれている(写真下中)。
一部荒れた部分はあるが“絶えず進化している創造力の万華鏡(constantly evolving kaleidoscope of creativity)”と賞賛されるよう、
それも進化の過程と捉えるべきだろう。写真下右はこの旅であちこちのガーデンで多用されていた花。ムクゲのようだが葉の形が違う。
今日もショップでアイスクリームを求めランチ代わりとする(写真2つ上右)。
ホルムウッド Holmwood
2つ目のナショナル・トラストはホルムウッドだ。初めての訪問となる。
1857年にジェイムス・クーパー(James Couper)の別荘として建てられたものだ。当時グラスゴーで有名な建築家
アレキサンダー・トムソン(Alexander Thomson)の設計によるものだ(写真下左)。
資産は幾多の人の手を経て1994年にスコットランド・ナショナル・トラストの所有となったのだ。
円形の出窓(Bay Window)が特徴的なおしゃれな建物だが、内部にはあまり興味がわかない。となると、外部にはさほど見所はない。
ハウスのフロントの林に囲まれたローン・ガーデンだ。ローンの中にも大きな樹が何本も生えている(写真下中)。
ハウスの横には石塀に囲まれたキッチン・ガーデンがある(写真下右)。作業中の方に声を掛ける。
訊くとガーデンセンターで求めたタンク入りの液肥をそのままかけているのだという。
ポロック・ハウス・ガーデン Pollok House Garden
3つ目のナショナル・トラストはポロック・ハウス・ガーデンだ。
ここも05年、10年に続いて3回目の訪問になる。
ここは13世紀からマクスウェル家(Maxwell family)の居城として始まり、1966年にグラスゴー市に寄付されるまで700年間の住まいだった。
今の建物は1752年に建てられ、1890年にジョン・スターリング・マクスウェル卿(Sir John Stirling Maxwell)により東西の翼(Wing)が付け加えられたものだ。
ジョン・スターリング・マクスウェル卿はスコットランド・ナショナル・トラストの創始者(1931年)の一人だ。
ポロック・ハウスは1998年にスコットランド・ナショナル・トラストに寄贈されたのだ。
その東翼は7000冊の蔵書を誇る図書館(Library)として建てられ、現在も図書館として使用されている。西翼はビリヤード室(Billiard Room)として建てられたが、
現在はレストランとショップとして使われている。
東翼の東側のパーテア(Parterre 装飾花壇)に入る。今年のヘッジは一段と緑が鮮やかだ(写真上3枚)。ヘッジが生育して高くなって中の草花への陽当りや風通しが心配される。
今は花はないが早春の球根植物の時期や8月の夏の草花の頃には
毎年異なるデザインで彩られるようだ。
続いてガゼボ(写真上右)を通ってハウス南面のテラスに入る(写真下左)。テラスにもフォーマルなパーテアが連なる。ここのヘッジにも季節になると
草花が咲き乱れるのだ。
2005年の旅ではそんな季節に巡り合わせた。
ハウスは4階建てだが、テラス側から見ると3階に見える。半地下に見える部分が実際には1階で、
マクスウェル家全盛期にはここに使用人が48人も住んでいたという。驚いたことにその時の住人は僅か3人だけだったという。
テラス中央の素敵な欄干の階段(写真上中)を下りると2段目のテラスになる。ここは全面に芝生が張られたローン・ガーデンだ。
さらに半月形の素敵な階段(写真上右)を下りると3段目のテラスになる。
半月形階段の両脇の門柱には大きなライオン(Gatepost Lion)の像が立っている(写真上左)。造作の全てに神経が行き届いている。完璧だ。
3段目もローンガーデンだ。緩やかなスロープがホワイト ・カート・ウォーター(White Cart Water)に向かって降りていく(写真上中)。
川には美しい欄干の石橋が架かっている(写真上中)。1757年に造られたものだ。向こう岸の林の先にはゴルフコースが広がっている。
パーテアに戻る。パーテアの東の林の中に白樺の並木道(Avenue)が伸びる(写真上右)。並木の足元は様々な種類のホスタが植えられ、
その外側にシャクナゲやツツジ、モクレン、フジなどの花木の生垣が続く(写真右2枚、下3枚)。
木漏れ日の下、爽やかな風も吹き抜け、通路に敷かれた芝が膝に優しいウォーキングを満喫できる。
ペイズリー・アビー Paisley Abbey
今宵からの宿はスコットランド最大の都市・グラスゴー(Glasgow)の西近郊のペイズリー(Paisley)だ。ペイズリーといえば
ペイズリー・アビーと
勾玉模様のペイズリー柄と真っ赤なバラが有名だ。
B&Bに向かう前にペイズリー柄とバラはさておき、ペイズリー・アビーに寄ってみる(写真右2枚)。
1163年に小修道院(Priory)として創設されたという。
1245年には修道院(Abbey)に昇格している。かのウィリアム・ウォレス(William Wallace)がこの修道院で教育を受けたといわれる。
修道院の建物はイングランドの襲撃や火事や塔の崩壊などで14、15世紀の身廊(Nave)のみを残し破壊されていたものを19、20世紀に
袖廊(Transepts)とクワイア(Choir)などが復元され現在の姿となっている。
2013年は1163年から数えて850周年になる。これを記念して"The Harkness Roses"が作出したのが真っ赤なバラ・その名も"Paisley Abbey"なのだ。
16時に到着したが、ビジターの入場時間は15時30分までだ。アビーの周囲は芝の広場で公園のようだ。街の真ん中なのに人通りも少なく静かな雰囲気だ。
片隅をポロック・ハウス・ガーデンの前を流れていたホワイト ・カート・ウォーターが流れている。こちらが下流で川幅も広くなっている。
ところで、私のアスコット・タイの1本もペイズリー柄なのだ。何年も前から身近なところにペイズリーがあったのだ。
クレイグ・ドゥ Craig Dhu
B&Bへはペイズリー・アビーから1km余り、17時前に到着する。閑静な住宅街の中の素敵な邸宅だ。私たちの旅で宿にこんなに早い到着は滅多にないことだ。
今夜はゆっくりとB&Bライフを楽しむことにしよう。
荷を解きウェルカム・ティーなどいただいた(写真下)ところでホステスのフランチェスカ(Francesca)紹介のパブに向かう。B&Bから僅か1km先の
クレイグ・ドゥだ。
ハーフパイントのエールビールを飲みながらメニューを決める。パブらしく、トラディショナルなメニューにする。オーダーは
・ "Our Award Winning Freshly Prepared Hand-Battered Haddock & Chips" Fresh fillet North Atlantic haddock caught daily and
landed from Peterhad harbour, seasoned and coated in our Belhaven beer batter, Served with chips, garden peas and tartare sauce
・ "Bannerman's of Tain Scottish Scampi" Our scampi tails are sourced within the Scottish waters of the West Coast.
Served with chips, peas, lemon and tartare sauce. ・ House Mixed Salad の3品と赤ワインとした。
“北大西洋で毎日水揚げし、ピーターヘッド港から送られたコダラの切り身に味付けしベルヘブン・ビール入の衣を着けて揚げた”
フィッシュ&チップスだから美味しいに違いない。もう一方も“西海岸のスコティッシュ海で獲れ、タインのバナーマン社で加工した車海老”
のフライだから美味しいに違いない。(実のところ何だか良く理解していないのだが・・・)
付け合せは完全にかぶっているが、好きなものだから一向に構わない。美味しく完食した。すっかり満足して「明日も来るよ」と店を出る。
店には入口が2つある(写真下中)。一つはカウンターと立ち飲み中心のパブ用、一つはテーブル席のレストラン用だ。
店の中から見えた道路の向こう側の歩道に立っているた井戸が気になり回り道(写真下右)。今も現役で使われているようだ。
まだまだ明るい街を住宅のフロント・ガーデンを覗きながらのんびり歩いて帰る。トリトマが羨ましいほどに咲いている(写真下左)。
ミュアホルム B&B Muirholm Bed & Breakfast
20時にミュアホルム B&Bに戻り、
バランタイン17年を持って1階のシッティング・ルーム(Sitting Room)に下りる。
フランチェスカにロックグラスを頼むとクリスタルのグラス2つと氷の入った水差しを出してくれた。
暖炉(写真上左)、シャンデリア、(写真上右)、ロッキングチェア(写真下右)いずれをとっても優雅で贅沢な空間でスコッチを楽しむ(写真上中)。
21時、2階の部屋に戻る。ゆったりした清潔な部屋だ。窓から夕日に映える高層住宅が見える。
後方にも2棟、合計4棟ある。グラスゴーまで車で10分のロケーションだからこんな建物もあるのだろう。
F.U写真集 F.U Photo Album
今年も妻が撮影した写真を掲載させていただく。異なった視点からの写真も面白いかも知れない。
写真は左から順に
グリーンバンク・ガーデンズ 日時計のある円形ローンガーデンから 樹木の背丈・樹形・葉色・葉形などの違いが面白い
ポロック・ハウス・ガーデン 手前からテラスのパーテア、美しい卵管 高い煙突の東翼、ジョージアン・ハウス
ポロック・ハウス・ガーデン 白樺の並木道 植栽の豊かさに目を見張る 赤い花はシャクナゲ
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