2015年の旅 スコットランド

花花

第17日 7月4日(土) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。

今日の行程        Burnbank Bed & Breakfast --- Helix Falkirk --- Falkirk wheel --- Stirling (Castle , Church of the Holy Rude) ---
                Drummond Castle Gardens --- Bolfracks Garden --- Burnbank B & B
今日の走行距離     235 km
今日の万歩計       15,500 歩
今日の出発時気温    11.5 ℃

バーンバンクB&B  Burnbank Bed & Breakfast

今朝は土砂降りの雨だ。朝食は妻はスモークトサーモン・スクランブルエッグ、私はキッパーとした。
スモークトサーモンはスクランブルエッグに混ぜ込まれトーストの上に乗っかて出てきた。こんなのは初めてだが、塩加減も良く美味しいという。
キッパーはやっぱりスモーク臭が強く小骨も多い。少々後悔する。フレッシュ・フルーツとジュース、ヨーグルトとバターが補って余りある。

Burnbank Burnbank Burnbank

ヘリックス  The Helix

2010年の旅のフォルカーク・ホイールの旅日記に “馬の首のオブジェがある。ここに何故馬がと思い調べる。ケルピー(Kelpie)という幻獣で、スコットランド地方の水辺に住む悪意を持った恐ろしい水の精と判明。 馬の姿をしているが、魚の尾を持ち、藻のたてがみを持っているらしい。このオブジェをモデルに35mの大きなオブジェを造る計画もあるという。 日本流に言うなら、河童を祀って水の安全を祈願するといったところか。”と記したモニュメントが2013年に完成して公開されている。 ヘリックスと名付けられ、高さ30m、重量が300トンのステンレス鋼製で“世界最大の馬の彫刻”と謳われている。
作者は彫刻家のアンディ ・スコット(Andy Scott)で“産業革命初期の動力、農業における動力、運河のはしけを牽引する動力として活躍した馬”を顕彰する意味合いも含ませているという。

Helix Helix Helix

2013年10月に公開され1年間で100万人のビジターを集めたというが、今朝の土砂降りではパーキングもガラガラだ。 私達以外に2台止まっているが外に出るに出られない降り様だ。車窓の目と目が合うと苦笑いで首をすくめて挨拶を交わす。 車の中で窮屈な姿でオーバーズボンを履き、雨が治まるのを待つ。少し雨足が治まったところで隣のカップルが動き出す。 私たちも遅れじと行動開始する。ショップでアドミッションを問うとケルピー内部の見学ツアーに参加しなければ無料だという。
川と化した歩道を教えられた方角に歩く。あっという間に水浸しだ。長靴が欲しい。雨に煙る前方に巨大なケルピーが見えてくる。 想像していたより迫力がある。歓声を上げつつ周りをひと回りする。真下へ行って見上げる。巨大だ。雨は止む気配もなし。ほかの2組も姿が見えない。

Helix Helix Helix Helix

フォルカーク・ホイール  The Falkirk wheel

Falkirk wheel Falkirk wheel Falkirk wheel

Falkirk wheel

雨の中をフォルカーク・ホイールまで遣ってきた。
2010年の旅日記には“フォルカーク・ホイールは"The Forth and Clyde Canal"と"The Union Canal"の2つの運河をを繋ぐ 回転式ボートリフト(Rotating Boat Lift)だ。 2本の運河のレベルの違いは35メートルあり、かつては11の閘門(Locks)で繋いでいたが、1930年代に使われなくなった。 グラスゴーとエジンバラを再接続すべく、7つの自治体と各種団体が協力して、21世紀のランドマークとなる構造物(dramatic 21st century landmark structure) を目指して造られたものだ。エリザベス女王の在位50周年の祝賀の一環として、2002年5月24日に女王をお迎えしてオープンされたものだ。”と記されている。 (手抜きと言わず省エネとご理解を)
また“このリフトは、やはり外から眺める方が感動する。とはいえ、一度は乗ってみないと・・・、日本流に置き換えるなら「富士山に登らぬ馬鹿、2度登る馬鹿」だろうか。 かく言う私は2度登った・・・。”とも記している。前回の反省を踏まえ今回は外から眺めるだけにしよう。
面白いデザインだ。”ケルトの双頭斧”を模しているのだという。なるほどスコットランドだ。折しもカナル・ボートを乗せてリフトが回転し始めたところだ。 ゆっくりとさしたる音も立てず回転している。雨も小止みとなってきた。
運河の脇にケルピーのミニチュア・バージョンが立っている。2008年に作られたもので高さ3mだ。

Falkirk wheel Falkirk wheel Falkirk wheel

再び省エネをする。“フォルカーク・ホイールの仕組みを説明しよう。ホイールにはゴンドラが2つある。下のゴンドラ(Bottom Gondola)にボートが乗り込む(今年の写真上中)。 この時、上のゴンドラにはThe Union Canalから来たボートが乗り込んでいる。船が乗り込むとゴンドラの水が溢れる。そのためアルキメデスの原理で、 ゴンドラの重さは600トンにたもたれ、2つのゴンドラのバランスが取れるという訳だ。そのため動力も”ヤカン8つ分の水を沸騰させる程度のエネルギー” の電力で済むという優れものだ(やかん8つ分と言われても・・・)” (ご理解いただけるだろうか? 6年経つと書いた本人もあやふやになっている。)
上のゴンドラからユニオン運河(The Union Cana)に向けて出ていくボートを捉えんと、滑る24mの土手を登る(写真下左・中)。 ボートの乗客が笑顔で手を振って目の前を通り過ぎてゆく。みんな楽しそうだが、外から眺める方がより楽しい。

Falkirk wheel Falkirk wheel Falkirk wheel

スターリング城  Stirling Castle

スターリング城に到着した時には幸いに雨もすっかり上がった。
パーキングの一角にロバート・ザ・ブルース(Robert the Bruce)の像が立っている(写真下左)。イングランドからスコットランドの独立を奪回した14世紀初頭のスコットランド王だ。 2010年にはなかった柵が施されている。像に登る輩がいるのだろう。
スターリング城は岩山の上に立つ壮大な王家の居城だ。それ故、東西、北の三方は自然の断崖で守られている。従って城に外壁が造られたのは18世紀になってのことだという。 一方、スターリングの街から続く南面は厳重な防御が固められている。2つの狭いアーチ門に続き、更に"The Forework"と呼ばれる強固な城門が現れる(写真下中  キャッスル・マップ参照)建てた16世紀初めには塔の高さは今の2倍あったのだそうだ。

Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle

"The Forework"の手前の左手のアーチ門を潜ると小さいが、よく整備されたガーデンがあった。嘗てのローンボーリング場であったらしい。 "Queen Anne Garden"と名付けられている。樹齢200年というブナの木が1本立っており、ローンの周囲を美しい花壇が囲っている。 北にそそり立つ宮殿(Palace)の厳つい壁と不釣り合いだ(写真下右 キャッスル・マップ参照)
右手の方の砲台のテラスには大砲が並び周囲が見渡せる。眼下に後で訪れる予定のホリー・ルード教会が見える(写真下左)。 北東の方角には今日は雨のため訪問を断念したウォレス・ナショナル・モニュメント(The National Wallace Monument)が見える(写真下中・右)。 ウォレスは1297年のスターリング・ブリッジの戦い(The Battle of Stirling Bridge)でイングランド軍を破りスコットランドの独立を勝ち得、 ロバート・ザ・ブルースからナイトに叙された国民的英雄だ。

Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle

スターリング城の大部分は1496年から1583年の間にジェームズ4世、5世、6世によって建てられたものだ。
さて、いよいよ"The Forework"を潜って入場すると左手に宮殿(Palace)が建つ(写真下左  キャッスル・マップ参照)壁の装飾が凝りすぎている。
宮殿のテラスも砲台になっている(写真下中)。崖上だから見晴らしが良い。城の西側の眼下に土塁が見える(写真下右)。 "Kings Knot"と呼ばれ、14世紀からのものという説や17世紀に造られたフォーマル・ガーデンの名残だという説がある。 一方、アーサー王(King Arthur)伝説の円卓(Round Table)と関連があるとの記載もある。この説のほうがワクワクするが・・・。

Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle

宮殿は1538年にジェームス5世がフランスから迎えて妃のために建築したものだという。建物はロの字型をしている。薄暗い通路(Vaults)を通して幾つかの部屋がある。 最初に現れたのが当時の衣装を展示した部屋だ(写真下中)。試着できる衣装も置かれている(写真下右)。

Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle

続いて国王とお妃の部屋が並ぶ。KingとQueenそれぞれの"Outer Hall"、"Inner Hall"、"Bedchamber"の6室が連なっているのだ。 城の建物は1800年から1964年まで、イギリス軍の所有で兵舎に利用されていたという。 そのため家具・調度品に見るべきものは少ないが、壁に掛けられたタペストリーと天井の装飾は復元され見ご応えがある。

Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle

写真下右から2枚目が王のアウター・ホール(King's Outer Hall)の暖炉(Fireplace)とその上に掛かるスコットランド王の紋章だ。 中央の盾は赤のダブル・トレッシャー・フローリー・カウンター・フローリー(Double Tressure flory-counter-flory Gules)という 飾りに囲まれたランパート・ライオン(Lion Rampant)、上部は王冠の上に王冠を戴いたレッドライオンが立つ。 その盾を支えるのは鎖に繋がれたユニコーン(Unicorn 一角獣)だ。レッドライオンもユニコーンもスコットランド王の象徴だ。 アウター・ホールには特定の社会的地位にあるものだけが入室を許され、王に謁見できたのだ。
さらに特権階級の者が次の王のインナー・ホール(King's Inner Hall)に入室できるのだ。写真上左は王のインナー・ホールの天井だ。 飾られているのは"Stirling Heads"というオークの木に様々な肖像を彫り込んだレリーフだ。(これについては後述する) 下左が同じくインナー・ホールの暖炉とその上に掛かるランパート・ライオンのスコットランド王の紋章だ。
そして、最も重要な客や個人的友人だけが王の寝室(King's Bedchamber)に入ることを許されたのだ。写真上中が寝室の天井だ。沢山の紋章が飾られている。 部屋の中央の紋章は一段と大きい。これはアウター・ホールの暖炉の上にあった紋章と同じスコットランド王の紋章だ。 下左から2枚目が暖炉とその上に掛かるジェームズ5世の紋章(Arms of James V)だ。写真上右が"King's Bedchamber"のベッドだ。 決して大きなものではない。無骨なオークのドアーは16世紀のものだという。
写真下右は女王のアウター・ホール(Queen's Outer Hall)の暖炉とその上に掛かる紋章。

Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle

写真下右は女王のアウター・ホール(Queen's Outer Hall)の暖炉とその上に掛かる紋章。写真下左は女王の寝室のタペストリーの紋章だ。 この紋章ではユニコーンと共に縦を支えるのはイーグルだろうか。

Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle

女王のインナー・ホール(Queen's Inner Hall)の壁に素晴らしいタペストリー(Tapestries)が架かっている。"The Hunt of the Unicorn"と題する7枚のシリーズだ。 これは1495年から1505年にかけてベルギーで織られたものでジェームス5世が所有していたとの記録があるが、どうして消失したかの記録はないのだという。
スターリング城を管理するヒストリック・スコットランド(Historic Scotland)が2002年から14年の歳月をかけて7枚のタペストリーを復元し、 今年になって完成したものだ。同じシリーズのタペストリーがアメリカのメトロポリタン美術館が収蔵しており、それを参考にして復元したものだ。 この復元には18人の職工が携わったというが、その一人が日本人女性だったという。なんだか嬉しいことだ。
7枚のタペストリーのタイトルは"Wikipedia"によれば"1. The Start of the Hunt"、"2. The Unicorn the Fountain"(写真上右 左部分)、 "3. The Unicorn Attacked"(写真上右 右部分)、"4. The Unicorn Defending Himself"(写真上中)、"5. The Unicorn is captured by the Virgin"(写真下左)、 "6. The Unicorn Killed and Brought to the Castle"、"7. The Unicorn in Captivity"(写真下左から2枚目)だ。
2010年の旅行記で“ユニコーンといえばスコットランドの王家の象徴のはずだ。そのユニコーンをハンティングするデザインのタペストリーをこともあろうか スターリング城に飾って良いものか? 疑問だ。”と述べたが、その疑念は今年も同じだ。

Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle

ジェームス5世は宮殿の王のインナー・ホールの天井に"Stirling Heads"を飾らせた。 そのモチーフは自らを始め歴代の王や女王( Kings & Queens)、貴族(Nobles)、ローマの皇帝(Roman Emperors)、 聖書や神話の登場人物(Characters from the Bible and Classical Mythology)を彫刻したレリーフだ。
それらは1777年にインナー・ホールの天井が崩壊した後、散逸したり焼失したりしてしまったが、ヒストリック・スコットランドが 残ったものを回収したり資料から復元したものを展示しているのが"Stirling Heads Gallery"だ。 ガラスケーに収められ厳重に管理されている。直径1mもあるレリーフは精巧な彫刻で迫力を感じる。 ヒストリック・スコットランドの研究者は色の剥げたレリーフから元の色を調べだし当時のままに彩色を施した複製品を2011年に天井に戻したのだ。

Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle

チャペル・ロイヤル(Chapel Royal)に入る(キャッスル・マップ参照)。 ここは1543年9月にジェームス5世の娘のメアリースチュアートが生後6日でスコットランド女王の戴冠式を行った場所として有名だ。 しかし、現在の建物は1594年にジェームス6世が息子のヘンリー 皇太子の洗礼式に間に合うよう7ヶ月で立て直させたものだ。 そのためか外観も内装もさっぱりしたものだ(写真下左)。

Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle

次はグレート・ホール(Great Hall)だ(写真上中・右 キャッスル・マップ参照)。 ジェームズ4世によって1501年から1504年の間に建てられたものだ。その大きさは約42メートル×14メートルもあり スコットランドで最も大きいグレート・ホールだという。

Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle

天井も高く威風堂々の雰囲気だ(写真上左・下左)。この広いスペースを暖めるため5つの暖炉があるのだ。 ここで1566年にジェームス6世の洗礼式が行われている。
その後様々な使われ方や改築がなされ、1964年にイギリス軍が去った後、1504年の状態に復元する作業が行われ 1990年にエリザベス女王によりオープンしたのだ。
グレート・ホールの南の端に2つの王座が置かれている。クイーン・オブ・スコッツ(Queen of Scots)“”とも“悲劇の女王” とも呼ばれるメアリースチュアートの王座のレプリカだと聞く。自由に座ることができるので順番待ちだ。交互にシャッターを押し合い和気藹々撮影(写真上左から2枚目)。 王座の後ろにはスコットランド王の紋章のタペストリーが掛けられたいる(写真上右から2枚目)。写真上右は王座の東側の飾り窓。
城の北の外れの少し低い部分に"Nether Bailey"と呼ばれる作業場のような棟がある(キャッスル・マップ参照)。 ここでも幾つかの展示が見られる。その一つがタペストリー・スタジオ(Tapestry Studio)だ。"The Hunt of the Unicorn"の一部の復元がこので行われたのだ。 その作業の様子が展示されている(写真下中・右)。

Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle

Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle

今度はグレート・キッチン(Great Kitchens)に遣ってきた(キャッスル・マップ参照)。 グレート・キッチンは地下部分にある。上階は防御の備えが比較的弱かった東側を強化するために17世紀に付け加えられた建物だという。
ここの展示が実に愉快だ。様々な調理のシーンが蝋人形を使って生き生きと再現されている(写真上下)。今にも動き出しそうな雰囲気だ。 これまた実に豊富な食材もカラフルにリアルに示されている。

Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle

食材は鹿、豚、鴨などの肉類から多種類の野菜、果物、パンなどが見られる。中世の王様の贅沢な食卓が目に見えるようだ。

Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle

レシピ本が3冊展示されている。まさか当時のものとは思われないが、再現したものだろう。写真下右は"Pastry"(パイ)のレシピだ(写真下右)。

Stirling Castle Stirling Castle Stirling Castle

ホリー・ルード教会  Church of the Holy Rude

Church of the Holy Rude Church of the Holy Rude Church of the Holy Rude Church of the Holy Rude

スターリング城の南面の崖の下にホリー・ルード教会がある(写真下左)。 城のパーキングの一隅に階段があり教会に繋がっている。斜面上部は遊歩道を巡らせた公園(Drummond Pleasure Ground)になっている。 その真ん中にピラミッド型の"Star Pyramid"と呼ばれるモニュメントがある(写真上左)。1863年に殉教者に捧げるモニュメントとしてウィリアム ・ドラムンド (William Drummond)建てられたものだという。ピラミッドの各面に置かれた白い大理石の聖書には"Word of God, Light and Truth"の文字が読み取れる。(拡大写真からご覧あれ)
崖を下った谷間は教会の墓地が広がっている(写真下中)。墓地の中で一段と目を惹くのが"Martyr's Monument"だ(写真上左から2枚目)。 ピラミッド同様ウィリアム ・ドラムンドによって建てられたものだ。18歳で殉教したマーガレット・ウィルソン(Margaret Wilson) が15歳の妹に聖書を読み聞かせている姿をエンジェルが見下ろしている姿を表している。
墓地を通り抜けてホリー・ルード教会に入る。ステンドグラスが美しい。一番入口の身廊西窓のステンドグラス(上右から2枚目)から一番奥のアプス(後陣)の ステンドグラス(写真下左)まで夢中でカメラに収める。

Church of the Holy Rude Church of the Holy Rude Church of the Holy Rude

ホリー・ルード教会は12世紀にデビッド1世の時代に創建されたが1405年の火災で焼失し、15世紀から16世紀にかけて再建されたゴシック様式の教会だ。 スターリングの街ではスターリング城に次いで2番目に古い建物だという。
"Holy Rude"はエジンバラの"Palace of Holyroodhouse"の"Holyrood"と同じく“聖なる十字”を意味するという。 ここで1567年にスコットランド王ジェームズ6世(後にイングランド王ジェームズ1世)の戴冠式が行われていることで知られている。 ウエストミンスター寺院以外で戴冠式が行われた唯一の場所だ。

Church of the Holy Rude Church of the Holy Rude Church of the Holy Rude Church of the Holy Rude

一つ変わり種のステンドグラスがある(写真上左)。ここでは最も有名なステンドグラスだという。葉っぱの形のウインドウに天使がデザインされている。 "Angel Window"と名付けられ1868年の作製だという。かなり高い所にあるので下から見上げると小さいし、寸詰まりに見えるが実はもっとスマートなのだ。
"The St. Andrews Chapel"のドアーの上のスコットランド王家の紋章が素晴らしい(写真下左)。チャペルは15世紀に建造されたもので、 紋章は17世紀に加えられたものだ。琴の角のウニコーン、レッドライオン(ランパート・ライオン)、王家の旗(ランパート・ライオン)、 スコットランドの国旗(セントアンドリュース旗)などてんこ盛りだ。その内部の祭壇でキャンドルの献灯ができる。 無信心ながらしかるべきドネイションをして献灯する(写真下中)。

Church of the Holy Rude Church of the Holy Rude Church of the Holy Rude

天井の骨組みが意外に無骨で歴史を感じる(写真下左)。教会を出ると正面に"Old Town Jail"の建物が見える(写真上右)。1847年に建設された刑務所だ。 1888年から1935年まで“軍刑務所”として使われていた。2015年から“刑務所博物館”としてリオープンしているという。
教会を出て右手にお洒落な建物がある。17世紀の救貧院の建物で今は"John Cowane's Coffee Shop"となっている(写真下左から2枚目)。 しかし、ティーショップも今月限りで占めるらしい。タワーの中段に一見ユーモラスなスタチューがある。救貧院の創設者の像だという。(拡大写真からご覧あれ)
教会出口から西を見やれば"The Tolbooth"の時計塔が見える(写真下右から2枚目)。1705年に市役所(town Hall)としてエジンバラのホリールード宮殿を設計した ウィリアム・ブルー卿のデザインで建てられたものだ。その後、裁判所や刑務所として使われ、2002年からはシアターとして使用されている。

Church of the Holy Rude Church of the Holy Rude Church of the Holy Rude Church of the Holy Rude

マー・プレイス通りを城に向かって登っていくと左手に"Mar's Wark"の廃墟が見える(写真上右、下左)。先祖代々のスターリング城のキーパーであった ジョン・アースキン(John Erskine)の住居として1572年に完成した。1745年のジャコバイトの反乱(Jacobite Rising)で破壊され廃墟となったものだ。
ブロード・ストリートを西に下って行くと左手にバグパイプの店があった(写真下中)。 流石に冷やかしで入るのは憚られる。ウインドウ・ショッピングに留める。1軒置いた隣のショップ"Sage"はグラスを天井から吊り下げたディスプレイで目を引く(写真下右)。 入ってみるがめぼしい物は見つからない。雨は上がっているが気温は低い。ショーウインドウに映る姿で分かるように街歩きもヤッケを着用したままだ。 (スターリング城のパーキングをスター時、車の外気計は14.5℃だった)

Church of the Holy Rude Church of the Holy Rude Church of the Holy Rude

ドラムンド城  Drummond Castle Gardens

ドラムンド城は2010年に初めて訪れて “テラスに出て驚嘆、何というスケールのフォーマルガーデンだろう。これぞフォーマルガーデンだ。余りに整然とした幾何学模様に清々しさを感じる。”と 旅日記に記した。5年後、心に残る印象はこの言葉以上のものがある。心待ちにしてきたガーデンだ。
15世紀にその歴史を遡るドラムント家だが、現在の城およびガーデンの基礎は17世紀に造られ、ビクトリア朝期と20世紀にそれぞれ大きな改修がなされて現在の姿になったのだ。 1842年にはビクトリア女王も訪れている。

Drummond Castle Drummond Castle Drummond Castle

パーキングから城に向かう足も自然と早歩きになる。5年ぶりに対面するガーデンはあの時以上の感動を与えてくれた。 ヒストリック・スコットランド(Historic Scotland)によって"The best example of formal terraced gardens in Scotland"と評価されたのもむべなるかなだ。
テラスは3段だが、城のレベルとフォーマル・ガーデン(むしろ巨大パルテール(Parterre)という印象だ)のレベルではかなりの高低差がある。 それでも私のカメラではパルテールの全景は1枚では収まらない。3枚に分けて撮った(写真上3枚)後にパノラマ機能を思い出した(写真下)。

Drummond Castle

このパルテールのデザインはスコットランド国旗のセント・アンドリュース十字(St Andrew's Cross)をモチーフにしている。 この航空写真をご覧いただくと良く分かる。 パルテールの広さは、横(東西)300m、縦(南北)100mと広大だ。

Drummond Castle Drummond Castle Drummond Castle

2段目のテラスに降りる。テラスの幅はさほど広くないが、段差は5m以上はある。上を見上げても、下を見下ろしても雄大だ(写真上3枚、下左)。 石の欄干や壁が重厚さを醸す。

Drummond Castle Drummond Castle Drummond Castle

2段目のテラスの中心、3段目のテラスへの階段前の噴水も重厚な石造りだ(写真下左)。2段目のテラスを時計回りに東に進むとパルテールの東端に池がある。 その池に架かる4アーチの橋が"The Old Bridge"だ(写真上中)。1842年のビクトリア女王の訪問時に造られたという。
橋を渡りパルテールの南東の角からパルテールの散策を開始する。沢山の美しく刈り込まれた木々の向こうにお城が見える(写真上右)。

Drummond Castle Drummond Castle Drummond Castle Drummond Castle

ここの見所の一つは美しく刈り込まれた多彩な色形のコニファーや銅葉色のブナの木だろう。銅葉色のブナの木の内、2本はビクトリア女王が植えたものだという。 このブナの木を始め紅葉したガーデンもまた美しいらしい。
また、見所の一つはあまたの彫像や壺、モニュメントだ。写真下左のように噴水の中に立つ像が4体ある。イチイのサークルの生垣に囲まれた像も2体ある(写真上右2枚)。 もちろん、それらはシンメトリーに配置されている。このガーデンのスカルプチャーとオーナメントのリスト表には56までのナンバリングがある。 この辺は到着時まで雨が降っていたようだ。今は上がっているが芝の通路は水をたっぷり含んでいるので靴にしみ込んでくる。

Drummond Castle Drummond Castle Drummond Castle

Drummond Castle Drummond Castle Drummond Castle

ガーデンの縦の中心線の南端のモニュメントが神殿風の造りの噴水だ(写真上右)。
草花ではラベンダーが多く使われている(写真下左・右)。手入れが良く清々しい植栽だ。盛りはこれからだ。

Drummond Castle Drummond Castle Drummond Castle Drummond Castle

Drummond Castle Drummond Castle Drummond Castle

ガーデンの中心付近は柘植などでヘッジされたベッドにバラが植栽されている(写真上左・中、下左・中)。 今はまだ蕾が固くて分からないが、カラーテーマはドラムンド氏族(Drummond Clan)の紋章の色と同じ赤色と黄色だという。

Drummond Castle Drummond Castle Drummond Castle

Drummond Castle Drummond Castle Drummond Castle

セント・アンドリュース十字の交点に日時計がある。チャールズ1世に仕えた熟練石工ジョン・ミルン(John Mylne)によって彫られたもので スコットランド特有のオベリスク型のデザインだ。中でもこれが最も古いとされ1630年に造られたものだという(写真下右)。
土台は立方体の石が4段積み重ねられ、各段の4面のデザインされた窪みにダイアルが刻まれている。 中段は八角形の二六面体に装飾されたオーナメントだ。上下の面を除く24面にダイアルが刻まれている。 上部はオベリスク状に7段の石が積み重ねられている。各段の4面にダイアルが刻まれている。(各部位のアップ写真は拡大写真からご覧いなれます)
土台が16面、中段に24面、上部に28面で合計68のダイアルがあるものと思ったら、情報では76のダイアルがあるのだという。 その76個のダイアルは世界各地の首都の時間を刻むように設計されているというから驚いた。 (8つの差異がどこにあるのかは分からない。 ちなみにグラミス城のサンダイアルはジョン・ミルンが1671年に造ったもので84個のダイアルがあるのだ)

Drummond Castle Drummond Castle Drummond Castle Drummond Castle

ボルフラックス・ガーデン  Bolfracks Garden

ボルフラックス・ガーデンは2日に訪れる予定だったが、 B&Bのホストの「そこも良いが、途中に個人の良いガーデンがあるから訪ねるといいよ」との勧めに従ってパスしたガーデンだ。 優先順位◎だけに未練が残る。今日のこの後の予定のキンロス・ハウスも◎だがドラムンド同様フォーマル・ガーデンだ。 趣を変えナチュラルなガーデンのボルフラックス・ガーデンへの寄り道を選ぶ。

Bolfracks Garden Bolfracks Garden Bolfracks Garden

エントランスは無人でオネスト・ボックスにアドミッション・フィー9ポンドを入れて入場する。 正面に現れるのは18世紀中頃に建てられた白亜の瀟洒でメルヘンチックなカントリー・ハウスだ。 写真上は左からハウス南面、西面、北面だ。

Bolfracks Garden Bolfracks Garden Bolfracks Garden

ガーデンも18世紀からあるが、現在のガーデンは1970年代に大きな改修を加えたものだという。
ガーデンはハウスの裏側の北に面した緩やかな斜面に展開する。その東半分が生垣で囲われたウォールド・ガーデンだ。 ウォールド・ガーデンの斜面の下半分がメイン・ローン(Main Lawn)と名付けられた芝の広場だ(写真上下)。 周囲はボーダー・ガーデン、芝生の中に所々に花床を切りアイランド・ガーデンが設えてある。いずれも樹木、潅木、多年草を巧みに組み合わせている。

Bolfracks Garden Bolfracks Garden Bolfracks Garden

Bolfracks Garden Bolfracks Garden Bolfracks Garden

Main Lawnの上の斜面半分は"East Lawn"、"Sundial Garden"、"Sentre Lawn"、"Rose Garden"と銅葉のヘッジで4つの小さな部屋に仕切ったアウトドア・ルーム・ガーデンだ。 どの部屋も芝を張り詰めヘッジの足元は宿根草のボーダーになっている(写真上左)。"Sundial Garden"にはその名の通り日時計が置かれている(写真下左、2つ下のパノラマ)。 "Rose Garden"のボーダーにはバラが取り込まれている(写真下左から2枚目)。
各部屋の一番トップには素朴なベンチが置いてありハウス越しの雄大な景色を望める(写真上右)。

Bolfracks Garden Bolfracks Garden Bolfracks Garden Bolfracks Garden

Bolfracks Garden

ハウスの下にテイ川(river Tay)が白く光っている(写真下左)。テイ湖(Loch Tay)から注ぎだしたテイ川は大きく蛇行しつつダンケルド、スクーン宮殿、 パースなどを通りダンディーから北海に注ぐ。雨上がりの湿った空気に少し潤んで見える景色は一層ロマンチックだ。

Bolfracks Garden Bolfracks Garden Bolfracks Garden

Bolfracks Garden Bolfracks Garden Bolfracks Garden

ガーデンの西側部分はよりナチュラルなデザインだ。中心付近に1930年に建てられた石造りのサマーハウスが構えている(写真上左)。
斜面のもっとま高い位置にあるウッドランド(Woodland)からストリーム・ガーデン(Stream Garden)が始まる(写真上中・右、下左、中)。 1928年に造られたものだ。豊かな種類の水生植物が伸び伸びと生育している。サクラソウやアヤメなどの花も鮮やかだ。 細い流れに架かる木橋が良い雰囲気だ。池の周りのケルトの妖精の像もナチュラルガーデンにふさわしい。

Bolfracks Garden Bolfracks Garden Bolfracks Garden

カークランズ・ホテル  Kirklands Hotel

Kirklands Hotel

一旦B&Bに戻り着替えをしてディナーに向かう。ホストのお薦めホテルはカークランズ・ホテルだ。 歩いていけるというが、帰りがけに場所を確認したら結構距離があった。天気も安定しないので車で向かう。 スターターは
・ Asparagus & Goats Cheese Sald with confit tomato & balsamic dressing と
・ Smoked Hadock Fishcake with red pepper ketchup & dressed leaves メインは
・ Filet of Salmon (Shetland Coast) with herb crushed potatoes, spinach & lemon, tomato と
・ 8oz Flat Iron Steak (Wester Collicudden, Black Isle) with peppercorn sauce, watercress sald,
  confit plum tomato, button mashrooms & hand cut chips とした。バランスの良いオーダーになった。二人でシェアーしていただく。 "Flat Iron"とは肩甲骨の内側の肉で“みすじ”という希少肉だという。言うところなし、満足なディナーだ。

Kirklands Hotel Kirklands Hotel Kirklands Hotel Kirklands Hotel

F.U写真集  F.U Photo Album

今年も妻が撮影した写真を掲載させていただく。異なった視点からの写真も面白いかも知れない。

写真下左から
 スターリング城     城から2km余り先のウォレス・ナショナル・モニュメント 訪問予定だったが雨で断念
 スターリング城     グレート・キッチンで働く人の蝋人形 表情と動きが豊かで生き生きしている
 スターリング城     "Nether Bailey"にあるタペストリー・スタジオ 使用した糸の色数が極めて豊富だ

F.U Photo Album F.U Photo Album F.U Photo Album

写真下左から
 ドラムンド城          1段目のテラスから3段目のパルテールを 衝撃の光景だ デザインはセント・アンドリュース十字
 ドラムンド城          3段目のテラスから城を望む 来年の年賀状候補として撮ったが雨のため空がグレーなので落選
 ボルフラックス・ガーデン  潅木と多年草に加え果樹や樹木を取り入れた見応えのあるガーデン

F.U Photo Album F.U Photo Album F.U Photo Album

写真満載の旅行記をご覧ください

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