第9日 6月26日(金) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。
今日の行程 Ards House --- Kinlochlaich House Gardens ---Glen Etive --- Glencoe & Dalness ---
Scottish Segway Centre --- Neptune's Staircase --- Eilean Donan Castle --- Kiltaraglen House
今日の走行距離 329 km
今日の万歩計 10,700 歩
今日の出発時気温 15 ℃
アーズ・ハウス Ards House
少し早起きをし、荷物を纏める。ここのパーキングはビジーなA85を渡った海沿いにある。大きなスーツケースを転がして横断するのは気を遣う。
朝食前に荷物を積み込みハウスの写真を撮る。このハウスは1930年に建てられたものだ。看板にある"Taigh nan Ard"はゲール語で
“岬(Ard)の(nan)家ITaigh)”の意味だ。
さて、朝食のメニューは2人ともスモーク・サーモンにした。オバーンの東25kmほどにあるオー湖(Loch Awe)そこから流れ出した川がオー川(River Awe)だ。
オー川が昨日から何度も出ているエティーブ湖に注げぎ込む河口にある"Inverawe Smoked Salmon"製のサーモンだという。美味だが少し量が物足りない。
トーストをたくさんいただく。
外は生憎の雨だ。今日は生まれて初めてのセグウェイ(Segway)なる乗り物の予約を12時15分で入れてある。それまでには晴れて欲しいものだ。
キンロッホリック・ハウス&ガーデン Kinlochlaich House Gardens
この地域のガーデンを調べたところキンロッホリック・ハウスの情報を得た。
今日の唯一のガーデンだ。
雨をついてコネル橋を渡りA828を北上する。アッピン村(AAppin)を過ぎて間もなく右手に入口を発見。パーキングに着いたが人影がない。
周りも整備されているとは言えない。雑然としている。声を掛けるとガーデナーらしき人が現れた。ガーデンへの入口を問うと愛想なく顎で木戸を示す。
オネスト・ボックスがあった。雨は降りしきる中、2人で5ポンドを投入して入場する。入って直ぐに後悔する。手入れが全く行き届いていない。
ここはキンロッホリック・ガーデン・センターを併設している。
大きなビニール・トンネルの中にポットに植えられた苗が見事に並んでいる。陽だまりに持ち帰りたいものが山ほどあるが、叶わぬ夢だ。
ストーカー城 Castle Stalker
A828を1km余り進むと、左手眼下に雨に煙るリック湖(Loch Laich)に浮かぶ城が見える。
ストーカー城だ(写真右)。
これはこれで幻想的だが、2010年に訪れた時は青空の下の城が見られたのだ。
昨日のアードチャッタン小修道院で登場したマクドゥーガル・クロスのマクドゥーガル家が1320年に建てた城が起源だ。
現存の城は1446年に建てられたものだという。ご多分に漏れず、様々な人の手を経て現在も個人の所有となっている。
オーナーが居住しているので、4月から9月の間に予約をすれば見学ツアーが可能だという。ボートで迎えに来てくれるらしい。
1974年に公開された“モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル(Monty Python and the Holy Grail)”という映画のラストシーンの撮影に使われたという。
そのシーンがこちらだ(動画も掲載)。
エティーブ峡谷 Glen Etive
セグウェイまでの時間で是非訪ねておきたい場所がある。グレンコー(Glencoe)の情報を集める中でグレンコー以上に神秘的な峡谷の写真を見つけた。
グレンコーの直ぐ東にあるエティーブ峡谷だ。
A828を北上しA82にぶつかり、A82を東に進みグレンコー・ビジター・センターを通り過ぎて15km余り、シングルトラックの山道を南に分け入る。
10km余り進んだところで小さな湖が現れた。目的地の"Lochan Urr"だ(何と読むのか不明、"Lochan"はゲール語で小さなムズ海という意味だという)。
雨が降りしきる中では予定したようには動けない。湖の向こうの形の良い山"Stob Dubh"(写真上左・下左)に登り周りの美しい景色も、
"Stob Dubh"や"Buachaille Etive Beag"と"Buachaille Etive Mor"というツインの山(写真上右)が湖に映る写真も撮ることもできない。
ほんの20m程先の草むらに鹿の群れが現れて驚く(写真下中)。写真の上部に鹿の顔と耳が写っている。この辺りは野生動物の宝庫だという。
遠くの山肌を落ちる滝も見られる(写真下右)。
ところでこのエティーブ峡谷を流れる川がエティーブ川(River Etive)で"Lochan Urr"を経て7km程下流の一昨日から何度も登場しているエティーブ湖に流れ込むのだ。
晴れていれば時間をかけて楽しむところだが、これまでとしよう。
グレンコー Glencoe
グレンコー・ビジター・センターは2005年の旅で訪れて失望している。グレンコーの情報の中で美しい写真の撮影場所を1つ特定できた。
"Glencoe cottages"の入口にある湖から見た
この光景だ。
雨は相変らっず収まる様子はない。普段は涸れ沢であろうところも水が溢れ出している(写真下左)。ナビ子ちゃんの案内で目的地に着いたが、取り付け道路は閉まっている。
やむなくその先に進んでみると"Red Squirrel Campsite"が現れた。
車を入れてみると綺麗な川原が見える。これがコー川(River Coe)だ。川幅は狭いが、流れは豊かで急だ。
雨に霞んでグレンコーの山々が見える(写真下中・右)。写真下中の山は"Aonach Dubh"だろう。
グレンコーといえば“グレンコーの虐殺(Massacre of Glencoe)”が思い浮かぶ。グレンコー村に住むマクドナルド氏族が親戚関係にあるキャンベル氏族により虐殺された
1692年のイングランドとスコットランド関係が険悪になる原因となった事件だ。そのグレンコー村を横目にセグウェイ・センターに向かう。
スコティッシュ・セグウェイ・センター Scottish Segway Centre
セグウェイなる乗り物を知って久しい。“未来の交通手段として画期的な発明!”とか“電動立ち乗り二輪車”とかいわれ2001年にアメリカで発明されたものだ(写真右)。
ガーデン巡りの旅の中で“アドベンチャー”はアクセントとして欠かせない。2010年のスコットランドの旅では熱気球に挑戦し思い出に残る体験だった。
その後エジプトで墜落事故が起こり、再チャレンジの意気を殺がれる。古稀も過ぎたことであるし、余り無茶もできない。
そんな中で見つけたのが“セグウェイ”だ。これならチャレンジできると予約を入れてあったのだが、この雨が恨めしい。
A828とA82の接合部付近の"Dragon's Tooth Golf Course"に
スコティッシュ・セグウェイ・センターが併設されている。
ゴルフ場の受付は小さなコテージだ。テーブル数10足らずのカフェがあり、トイレに更衣室が付いている程度のものだ。
カウンターで受付を済ませカフェでカフェオレを飲みながら時間を待つ。こんな雨の中でもゴルフを楽しむ人がいる(写真下中)。
我々もオーバーズボンを着用し、ヤッケのフードをかぶる準備をしておく。
係員が時間になったことを知らせに来る。受付に行くともう1組のカップルがいた。2人の若い男性係員が電動カートに乗り後ろについて来いと言う。
林の中を歩いてついて行くと結構歩かされた末、納屋に到着する。
納屋からセグウェイを取り出し、操縦の説明がある。アクセルやブレーキはなく重心移動によって動きを制御するのだ。 そして、一人ずつセグウェイに乗って操縦する訓練だ(写真上右、下左)。微妙な体の動きに瞬時に反応するので初めはちょっと怖いが、 すぐに慣れてきて、リラックスして体の力を抜くとうまく操作できる。10分ほどで訓練終了。 電動カートに付いてツアーに出発だ。
道路を通って着いたのが、ゴルフ場のグリーン脇の平らな芝生の広場だ。ここでしばらく自由に動き回り操縦になれる(写真上中。右)。
その動画(43秒)がこちらだ。
最高速度は時速20kmというから自転車並みの速度だが、自転車より早く感じられる。
続いてゴルフのアプローチとバンカーの練習場に移り坂道の昇り降りを練習する。ちょっと慣れてきたところで油断をするとグルグルと回転してしまい振り回される。
回転半径0という小回りが利く代物だから大変なのだ。
次はゴルフ場の端の道を進む(写真上左)。右手に海が見える。この頃には操縦しながら片手でカメラを構える余裕も出てきた。
雨で顔も手もびしょびしょだが、返ってスピード感を感じるのかもしれない。とても愉快だ(写真上中・右)。
楽しい時間はあっという間に過ぎる。
ネプチューンの階段 Neptune's Staircase
この後はマーグレイ(Mallaig)まで走りフェリーでスカイ島(Isle of Skye)に渡る予定だ。車で1時間40分の距離だ。 フェリーのラスト・チェックインの16時20分まで3時間ある。ネプチューンの階段(Neptune's Staircase)と グレンフィナン(Glenfinnan)に45分ずつ寄ることができる。予定通りだ。
ネプチューンの階段はカレドニア運河(Caledonian Canal)の
高低差を解消する閘門(ロック Lock)だ。8つのロックからなり約20mの高低差を解消するイギリスで最も長い階段ロックだ。
カレドニア運河はスコットランドのハイランド地方からイングランドへの移住の氾濫を止めるためハイランドに雇用を与え経済を活性化する事業として
政府がトーマス・テルフォード(Thomas Telford)に造らせたものだ。当初工事期間7年、予算35万ポンドの予定だったものが、工事期間17年、
費用84万ポンドも掛かってしまったという事業だ。1822年に完成している。
フォート・ウィリアム(Fort William)の街を通り過ぎ運河の西のパーキングに車を止め、雨の中を運河に向かう。
平日の雨の中だが、運河を通行する船は多いようで賑わっている。右の写真が8つのロックと高低差を良く示している。
写真の上方が北・ネス湖方面、下方が南・リニ湖方面だ。8つのロックの内、2つの間のロックを開けることで水位を同じにし、
下から上に上ったりまたは上から下に下ることが可能になるのだ。これを繰り返し段階的に上り下りして通行するのだ。
全長500mを通過するのに90分掛かるという。
さて、グレンフィナンに向かう前に気になることがある。先ほど運河の手前の道路脇のフェリーのインフォメーション・ボードに気になる文字があったように思う。
確認のため一旦戻ろうとA830に出ると車が渋滞している。何が起こったのかと前方を伺うと道路に遮断機が降りている。
ということは運河を船が通るということだ。妻にカメラを渡し、その光景を収めてくるよう依頼する。その貴重な1枚が下右の写真だ。
道路のセンターラインが中央で消えているのは橋が旋回して運河を船が通行できるようにしているのだ。
写真の左の柱は電柱だが、中央の柱はヨットのマストなのだ。下の運河を今正にヨットが通過しているのだ。
カントリーサイド Countryside
ヨットが通過し動き出したが、ノロノロ運転だ。ようやくインフォメーション・ボードの所に遣ってきたが、反対車線からでは雨は降るし窓ガラスは曇るでよく見えない。
先に進んでUターンしてボードを見ると"CANCELLED"の文字が点滅している(写真右 文字と4隅のライトが上下交互に点滅するのでカメラでは下半分しか写っていないのだ)。
さて参った。想定外だ。車を脇道にい入れ、路肩に止めて地図を見る。A82を北上し、A87に乗り換えスカイ島に向かうしかない。
ナビ子ちゃんにポートリー(Portree)のB&Bを入力するとそのルートを表示した。ショートカット好みのナビ子ちゃんでもこの道しかないようだ。
それからが難行苦行の始まりだ。我々同様迂回する車も多いのだろう。流れはスムーズとは言えない。
天気が良ければハイランドの景色を楽しめるのだろうが、それもままならないから睡魔と戦いながらのドライブだ。
尚、クレジットで支払ってあったフェリー代金は手続きをしたものの5ヶ月経った現在も返っていない。踏んだり蹴ったり、 泣きっ面に蜂だ。
アイリーン・ドナン城 Eilean Donan Castle
フォート・ウィリアムを発って1時間30分、A87の左手前方の湖の中に懐かしい城の姿が見えてきた。
世界で最も写真に撮られた城"The most photographed castle in the world "ともスコットランドで最もロマンチックな城"Scotland's Most Romantic Castle"とも謳われる
"アイリーン・ドナン城"だ。
アルシュ湖(Loch Alsh)、デュイック湖(Loch Duich)、ロング湖(Loch Long)という3つの湖の結合部に小さな島がある。
この交通の要衝に13世紀に建てられたのがアイリーン・ドナン城だ。城の名前はこの島に6世紀に移り住んでいた宣教師ドナンがに由来するという。
その後増改築を重ね、4つの時代の建築様式が混ざっているという。1719年のジャコバイトの反乱(Jacobite uprising) において破壊され、
200年に亘り放置されていたものを1911年にジョン・マクレー・ギルストラップ中佐(Lieutenant Colonel John MacRae Gilstrap)が購入し、
20年掛けて修復し1932年に公開されたものだ。改修前の写真を見るとかなり傷んでいたことがわかる。
城へ渡る橋はこの修復工事のため架けられたものだ。
この城を横目に通り過ぎることは地元の人ででもなければ出来ないだろう。広いパーキングも満杯だ。なんとかスペースを見つける。
今回は潮が満ちていて橋の下にも海水が通っているが、藻が発育していて景観を殺ぐ。この航空写真のような
満潮時の美しい光景に出合うのは難しいものだ。それにつけても小さな島だ。ようやく雨も上がり傘なしで動ける。どの角度から見ても絵になる城だ。
ベンチやコンテナ、ハンギングバ・スケットなどがお洒落だ。自然素材を用いたベンチは芸術的だ。こんなものを手作りしてみたい。
ショップも人でごった返している。友人・知人にスコットランドの国花“あざみ”の刺繍がついたテーブルクロスを4点と
孫娘に可愛いデザインのカーディガンが見つかった。
カントリーサイド Countryside
アイリーン・ドナン城からB&Bのあるポートリー(Portree)まで1時間余りのドライブが続く。
アルシュ湖の北岸のA87を西進するとカイル・オブ・ロカルシュ(Kyle of Lochalsh)の手前から美しい曲線を描いたスカイ橋(Skye Bridge)が見えてくる。
往々にしてビューポイントでは車を止めることができないものだ。ようやくパーキングが見つかったところは手前に無粋な建物があった(写真右)。
16世紀から本土側のカイル・オブ・ロカルシュとスカイ島側のカイリーキン(Kyleakin)の間をフェリーが運行していたが長い行列を強いられていたという。
これを解消するために橋の建設が計画され、1992年に着工し、1995年に完成したのがスカイ橋だ。
ところがこの橋には往復で11.4ポンドの通行料がかけられたのだ。これには猛烈な抗議活動が起こり、ついに2004年12月を持って無料になったのだ。
ザ・グレイナリー The Granary
3度目のスカイ島の宿キルタラグレン・ハウス(Kiltaraglen House)だ。ホスト夫妻はこれまでに宿泊したB&Bの中で最も若いと思われる。
とりわけ、ホステスのパム(Pam)は明るく元気だ。パムお勧めのシーフード・レストラン シーブリーズ(Sea Breezes)は5年前に訪れてとても気に入り、
今回もリストアップしてきた店だ。「ビジーな店だから電話をしてみるは」と電話してくれたが、今夜は満席だという。
2番目のお勧めがザ・グレイナリーでここは予約ができた。
明日のシーブリーズの予約を19時で入れてもらう。「21時の席しか空いていない」とのことで断念する。
ザ・グレイナリーはポートリーの中心部・サマールド・スクエア(Somerled Square)の一角にある。パーキングもこのスクエアに有り便利だ。
さて、メニューはスターターは
・ Isle of Skye Langoustines Tossed in Garlic & Chilli Butter, Dressed salad & Granary Bread(写真上中) と
・ Pan Seared Scallops, Parsnip Puree, Potato Scone topped with Haggis & Black Pudding crumds(写真上右) メインは
・ Pan Fried Mushrooms with Lemon, Garlic & Tyme finished with Cream topped with Mozzarella, Asparagus & Brie Crouton(写真下左) と
・ Braised Topside of Beef with Cream, Mushroom & Peppercorn Sauce Sauteed New Potatoes topped with Vegetable Crisps(写真下中) とする。
盛りつけもとても美しく、味も申し分なしだ。魚介も野菜も素材が良いのだ。シーブリーズと甲乙つけ難い。
この店もとてもビジーだ。屋内が満席になり、空いていた外の席(写真上左)も埋まってきた。フリーで来て断られているお客が続出だ。
気に入ったので会計と同時に明日の予約を19時で入れる。
お店のカウンターの中に面白い機械があった(写真下右)。四角い箱の上に立っている5本のモップが回転している。
その真ん中にグラスを逆さまに入れてやると内側も外側も同時に磨き上げてくれる寸法だ。磨き上がりにボーイさんも満足気だ。
F.U写真集 F.U Photo Album
今年も妻が撮影した写真を掲載させていただく。異なった視点からの写真も面白いかも知れない。
写真下左から
エティーブ峡谷 雨に霞む山々に囲まれて
エティーブ峡谷 地図にも"Waterfall"とあるだけで名前は不詳だ
アイリーン・ドナン城 折角の景色だが藻が興を削ぐ
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