2015年の旅 スコットランド

花花

第15日 7月2日(木) 水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。

今日の行程        Newtonmill House --- Gallery --- Garden Cottage --- Glamis Castle Garden ---
                Dunkeld (Cathedral , Telford Bridge) --- Parkhead Gardens --- Burnbank Bed & Breakfast
今日の走行距離     181 km
今日の万歩計       15,700 歩
今日の出発時気温    18 ℃

ニュートンミル・ハウス  Newtonmill House

Newtonmill House Newtonmill House Newtonmill House

今朝もたっぷりのブレックファストを楽しむ。今朝のサービスはホストのスティーブンも加わってゲストは私達だけだが、賑やかな食事になった。
女王陛下のことは余り語らない。“守秘義務”でもあるのだろ、こちらも訊ねないことにする。私たちの旅の目的がガーデン巡りであることを知ったスティーブンは 「今日はこれから何処へ行くの?」、「グラミス城、ブレア城、ボルフラックス・ガーデンだ」、「そこも良いが、途中に個人の良いガーデンがあるから訪ねるといいよ」と勧めてくれる。 今日のスケジュールの3軒は◎印のガーデンだが、ここはスティーブンの勧めに従ったほうが良さそうだ。 1つは"Gallery"で昨夜のカークサイドでも勧められた。もう1つは"Garden Cottage"で小さなガーデンだが必見という。 どちらもアレンジメントが必要だというので、ホステスのローズに電話をしてもらう。"Gallery"はOKだったが、"Garden Cottage"は応答がないという。

Newtonmill House Newtonmill House Newtonmill House

出発前にもう一度ニュートンミルのガーデンを見せていただく。素晴らしい意匠のアイアン・ゲートに見惚れる(写真上中)。 イギリスではこういったものを作製してくれる鍛冶屋さんが未だに残っているようだ。
赤芽の"Prunus Pissardi"で挟まれた40mのダブルボーダーは何度見ても圧巻だ。ここにベンチをおいていつまでも眺めていたい気分だ。 ロープ&ポール・フェンスといい(写真下左)、丸太を三角形に組んだ支柱といい(写真下中)スケールが大きい。
天気は上々、今日もガーデン巡り日和だ。ガーデンを堪能して戻ると、"Garden Cottage"と連絡が取れたという。 「是非訪ねたい。アレンジメントしてください」、「"Gallery"の次だから11時頃で予約しましょう」という展開となる。

Newtonmill House Newtonmill House Newtonmill House

ギャラリー  Gallery

ニュートンミル・ハウスから15分でギャラリーに到着。ハウスの前庭に車回しのある立派な豪邸にたじろぐ。 車から降りて声をかけるが応答がない。今朝ローズが予約してくれたのだから留守のはずがない。何度か声をかけ待つこと暫し、 杖をついたおじいさんが現れた。ご主人のジョン・シムソン(John Simson)だ。足が不自由だから時間がかかったのだ。 携帯でどこかに連絡すると一人の男性が現れる。ヘッド・ガーデナーのロン ・スティーブン(Ron Stephen)だ。 専属ガーデナーがいるのだから驚いた。

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お二人の案内でガーデン・ツアー開始だ。ガーデンは東西50m×南北100mのウォールド・ガーデンだ。ゲートを潜ると縦中央をパスが北に伸びる。 このパスを軸に左右に幾つかの部屋があるアウト・ルーム式ガーデンだ。
入ると直ぐに円形のスペースがあり、中央に風格のある壺(Urn)が置かれている(写真下左)。先にはサンダイアルが見える。 そこから左(西)のルームに入るとブルー&イエローのダブルボーダー(Pair of Blue and Yellow Borders)だ(写真上左)。 突き当たりに見えるベンチの前から右に西側の壁に沿ってパスが通っている。そのパスから次のルームのゴールド・ガーデン(Gold Garden)を見渡す(写真上中・右)。

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ゴールド・ガーデンに入る。コニファーやキングサリなどゴールドの葉や花の木を中心の植栽だ(写真上左から2枚目、下左)。 ライオンのスカルプチャーはどこかユーモラスだ。向こうに大きなハウスが見える。
中央のパスに戻ると円形スペースの中にサンダイアルが立っている(写真上右から2枚目)。そこから東にホスタ・ボーダーが走る(写真下中)。 大型の何種類ものホスタの間にキノコ型の石のモニュメントが立っている(写真下中)。
写真上右は後述のパステル・シェード・ベッドとアンの庭の間に立つイーグルのスカルプチャーだ。 こういったスカルプチャーやモニュメント、ファーニチャーがフォーカルポイントとなり、ガーデンに品格をも与えている。

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中央のパスを壺のところまで戻って今度は右(東)側のルームに入る。ここはシェード・ガーデン(Shead Garden 写真上右)、 パステル・シェード・ベッド(Pastel Shade Bed 写真下左)と

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アンの庭(Anne's Garden 写真上中・右、下左)で構成されている。"Anne"はジョン・シムソンの亡くなった夫人の名前だ。
1995年このハウスを購入した時、ガーデンは荒れ果てていたという。ガーデニングの経験のないジョンとアンだったが、 クラシズ城(Craigievar Castle 今回は行程の都合でパスしたが、05・10年に訪れている)のガーデンを手本にしたガーデンを造ろうと決め、 アンの芸術大学時代の友人であるヴェロニカ・アダムズ(Veronica Adams)にデザインを依頼する。 ヴェロニカは元からあったセイヨウヒイラギやツゲでできたヘッジを活かして綿密なデザインを作成した。 そして、ヘッドガーデナーのロンを迎えられ、壁の修理から植栽、維持管理を行い、現在のガーデンが出来たのだ。 しかし、アンはギャラリー・ハウスに移って8年後に亡くなってしまったのだ。写真上右、下左からアンの好みが偲ばれる。

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アンの庭の一角で記念写真を撮らせていただく。左がご主人のジョン、右がヘッドガーデナーのロンだ。 日本人のゲストは初めてだと喜んでくれて、本当に親切な案内を受ける。ジョンのおじさんは1930年代に日本を訪れたことがあるとのことだ。
その北側にオールド・ローズ・ガーデン(Old Rose Garden)が配されている(写真上中2枚、下中・右)。 中央に大きな桜の古木が枝を広げている(写真下右)。バラの盛りはこれからのようだ。どの木も大きく蕾を沢山着けている。

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オールド・ローズ・ガーデンの北側のパスが先程サンダイアルから見たホスタ・ボーダだ(写真下左)。先の方にサンダイアルが見える。
ホスタ・ボーダの北側がホワイト・ガーデン(White Garden)だ。オールド・ローズ・ガーデンとホワイト・ガーデンの東側の壁に沿ったパスを進む(写真下中)。 鮮やかな緑に囲まれた心地よいパスだ。犬はヘッドガーデナーの愛犬。妻はお二人の熱心な説明を伺うのに大わらわだ。
この左手にホワイト・ガーデンが見え隠れする(写真下右)。しかし、ホワイト・ガーデンの入口はこちら側にはないのだ。

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中央のパスに出てホワイト・ガーデンの入口に来たが、楽しみは後に残して中央パス左(西)側の一番奥のサマー・ガーデン(Summer Garden)を先に見ろとのご案内だ。 このウォールド・ガーデンの4分の1を占める大きなガーデンだ。広い芝生の広場(写真上中)の周りに樹木、潅木、宿根のボーダーが取り囲む(写真上3枚、下左3枚)。 厚さ、高さとも圧巻の迫力がある。
中央パス側だけはローズ・ヘッジ(Rose Hedge)になっている。バラの殿堂入りしたサリー・ホームズという品種だ。

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待望のホワイト・ガーデンに案内される。素晴らしいフォーマルガーデンだ。プールとラウンド・ポンド(写真下左)を中心に二重の円形パスと X字型パスが組み合わされたデザインだ。X字型パスの一端に白いロマンチックなデザインのラティスを背に白いベンチがあるテラスになっている(写真下中)。
その反対の一端はバラのアーチがある(写真上右)。

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バラ、シャクヤク、デルフィヌム、ジギタリス、アスチルベ、カモミールなどの白花がシルバー・リーフのアーティチョークやホスタに映える。 その美しさにうっとりと見惚れるばかりだ。このガーデンを"Garden of Theater"と評した記事を読んだが、ジョンが最後にここに案内した意味がわかる。 正にこのガーデンのクライマックス、大団円だ。その演出に酔いしれる。(ガーデナーとして強くインスパイアーされるものがある)

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あとはエピローグ。私たちの興奮を覚まさせるように「ガーデンの北を流れるノース・エスク川(River North Esk)までの散策を楽しんでいらっしゃい。 私たちはここで待っているよ」とのことだ。ベジタブル・ガーデン(Vegetable Garden 写真上左)を通り抜けて川岸までの散策を楽しむ。 周囲は一面牧草地が広がる。心安らぐ美しい眺めだ(写真下中)。牧草地の木陰に珍しい家畜がのんびり休息している(写真下右)。
このガーデンはイギリスの有名園芸雑誌"Homes & Gardens"の1915年3月号に特集されたという。どんな風に取り上げられたのか見てみたいものだ。

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ガーデン・コテージ  Garden Cottage

ナビ子ちゃんにポストコードを支持して近くまで来たが、どの家も生垣や壁が高くてそれらしい家が見つからない。人通りもない。 行きつ戻りつしていると民家から若い女性が出てきた。すかさず妻が車を降りて道を尋ねる。このお宅の裏だった。 イギリスのポストコードは日本の郵便番号ほど広範囲を表すものではないが、カントリーサイドでは表札などもなく人通りもないから難儀する。

Garden Cottage Garden Cottage Garden Cottage

パーキングに車を止めると高齢の女性が出てきて、ノラ(Nora)と名乗る。家の裏に回ると、南向きの緩やかな斜面のトップに正にコテージと呼ぶに相応しい 小さな平屋が建っている(写真上左・右)。残る三方は石の壁で囲われている。60m四方はあろうか、1974年までは果樹園だったという。
壁に沿って落葉樹、潅木、宿根のボーダー・ガーデンが厚く連なる。斜面は全体に芝を張り、その芝に幾つもの花床(アイランド・ベッド)を切って多彩な植栽がなされている。 アイランド・ベッドの2つは果樹園時代から残る古い果樹を取り囲んだ大きなもの(写真下中)だが、その他は小さなアイランドに趣の異なる植栽を施している。
ノラと妻はガーデンを歩き出して直ぐにベンチの1つに座って随分長い間ガーデン談義にふけっている(写真上中、下左・右)。 ノラは経験、知識、情熱、いずれも豊かなガーデナーだ。

Garden Cottage Garden Cottage Garden Cottage

Garden Cottage Garden Cottage Garden Cottage Garden Cottage

植物の生育具合の健やかさ、伸びやかさ、色鮮やかさには嫉妬を覚えるほどだ(写真上下)。折り重なるように厚く、高いが決して鬱陶しくない。 これがグッド・コントロールというものだろう。ただ羨ましがっていても仕方がない。この見聞を力に変えるしかない。

Garden Cottage Garden Cottage Garden Cottage

Garden Cottage Garden Cottage Garden Cottage

ノラがこのガーデンを初めて40年余り経つが、ガーデンは今もなお年々進化中だと言う。ガーデニングは進行形だ。
珍しい植物も多い。写真上左のもこもこした丸い球は矮性のアリウムは”アリウム・カラタヴィエンセ”だ。 陽だまりでも球根を植えたことがあるが、芽が出なかった。背丈に比べ花が大きくユーモラスだ。目線の近くになるようレイズドベッドに植えてあるのがミソだ。
写真下左はウツギの1種だろうが美しい花だ。下左から2枚目のにょきにょき伸びているものは木ではなく宿根草なのだそうだ。 今は2mくらいだが、「まだまだ伸びる」と言って昨年の花茎を見せてくれた(拡大写真からご覧あれ)。3mを越える長さだが、極めて軽いのだ。植物名は失念した。
グラスの葉色も様々で美しい(写真下右から2枚目)。下右のカンパニュラは花が巨大だ。 花が下を向いているので見づらいが花の内側がまた美しいのだ(拡大写真からご覧あれ)。

Garden Cottage Garden Cottage Garden Cottage Garden Cottage

また、羨ましくも素晴らしいことはガーデン全体が豊かな森に囲まれていることだ。家の裏にも壁の外にも大きな木が見られる。
40年の積み重ねが随所に感じられる。しっとりと落ちついた良い庭を見せていただいた。充実した1時間だ。強く感化されるものがある。

Garden Cottage Garden Cottage Garden Cottage

グラミス城  Glamis Castle Garden

グラミス城に遣ってきた。2010年以来5年ぶり2度目だ。
グラミスは1372年にジョン ・ライアン卿(Sir John Lyon)がロバート2世(King Robert II)から授かって以来ライアン家 (ストラスモア伯爵(Earl of Strathmore and Kinghorne))の居城だ。現在残る城は14世紀の建物を含み、17世紀に改修増築されたものだ。
クイーン・マザーが生まれ育った城でエリザベス女王が幼少期に遊び、マーガレット王女が生まれたお城として王室との関係も深い城だ。 王立スコットランド銀行発行の10ポンド紙幣の裏側のデザインにもなっているとてもロマンチックな美しい城だ(写真下中)。

Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle

航空写真1の中央下の"Glamis Primary School"のマークの上辺りに位置する美しいゲート "Queen Mother Memorial Gates"から約1マイルの18世紀に植えられた"The Avenue" (写真上左)を通り抜けて城に到着する。並木の終点の芝生の中に1対のスカルプチャーが立っている。城に向かって左側にジェームス4世(Kings James VI 写真下左)、 右側にチャールズ1世(Kings Charles I 写真下左から2枚目)だ。アーノルド・クェリヌス(Arnold Quellinus) の1685、6年の作だ。
城の前庭の向かって右側にはスコットランドで最も大きな日時計が立っている。 1671年に作られたもので高さ7mあり、下部の獅子が持っている盾や上部の多面体に計84面もの日時計がデザインされているのだ。

Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle

バルモラル城のホームページに「バルモラル城のレシートを提示すればグラミス城の入場料が割引になる」と記されている。 そこでレセプションでバルモラル城のレシートを提示したが二人の係員では要領を得ない。事務所に電話で問合せをしたりしている。 そこで「分からなければ通常のガーデン・オンリーのチケットをください」と言うと「今調べている」と取り合わない。 結局10分以上待たされて「ディスカウントで1人4ポンドです」となった。1人につき2ポンドの割引になった。
城の東側(航空写真1の城の右側)にあるイタリアン・ガーデン(Italian Garden)に向かう。前庭の芝生は立ち入り禁止だからぐるっと遠回りをしなければならない。 航空写真2のように110m×55m程の長方形のイチイの生垣で囲まれたウォールド・ガーデンだ。 このガーデンは1910年にセシリア伯爵夫人(Countess Cecilia クイーンマザーの母)がガーデンデザイナーのアーサー・キャスティングス(Arthur Castings)の 協力で造ったものだ。航空写真2の左下にあるゲートはここで生まれ育ったクイーン・マザーの80歳の誕生日を祝って1980年に加えられたという(写真2つ上右)。
デザインは航空写真2の下辺(南面)が1段高いテラス(Raised Viewing Terrace)になっている(写真下左)。テラスの両サイドにはガゼボが建っている(写真下中)。 ガーデンの中央部に半円・扇型のパーテアが築かれている。その両サイドにヘッジで囲われた芝生の中に重厚な壺が置かれている(写真上右から2枚目、下右)

Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle

航空写真2の上辺(北面)は分厚いイチイの生垣を背景にボーダーガーデンが伸びる(写真下左)。オベリスクが印象的だ。その中央に噴水がある(写真2つ上右)。 残念なことに今日は水が出ていないが、少年が抱えている魚の口、中段の少年の口、下段のライオンの口から水が噴き出す仕掛けだ。

Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle

航空写真2の左右の縦の辺(東面と西面)は大きな大理石の彫像が立っている(写真上中、下2列7枚)。イチイの緑に白い像がが眩しいほど映える。 この新しさといい、2010年の写真にはこれらの像の写真がないことからもこの5年の間に設置されたものと思われる。 (そのことに関する記述は全く見つからないし、これらの画像の情報も極めて少ない)
もうひとつの印象的なものがパーテアから放射状に伸びるブナの木を絡み合わせて作った2本の並木だ(Pleached Alleys of Beech 写真上右)。 その枝の絡み具合は蛇のようで気持ち悪くもある。(枝のアップ写真は拡大写真から)

Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle

上の写真4枚はガーデンの西面に並んだ女性像だ。テーマやタイトルは不明だ。左の女性は何も手にしていない。2番目の女性は“ぶどう”、 3番目の女性は“麦の穂束”、右の女性は“花”を持っている。
下3枚はガーデンの東面に並んだ像だ。左は“羊の子供を抱いている女性”の像。2枚目は“羊を連れたフルートを吹く羊飼い”の像。 3枚目は“スコップを持つガーデナー”の像。
下右はイタリアン・ガーデンとウォールド・ガーデンの間にある松林(Pinetum)の中の奇妙に枝分かれした1本。米松(Douglas fir)という北米産の松の1種だという。 この松林は1870年に13代伯爵によって造られたものだ。

Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle

この時期イタリアン・ガーデンではボーダーが花盛りだ。ボーダー越しに見る城は格別美しい(写真下中)。しかし、この城も御多分に漏れずというか、 スコットランドで一番“出る”という伝説が多いのだという。他にも“グラミスの怪物”とか“秘密の部屋”とか、おどろおどろしい話があるのだ。 また、ウィリアム・シェイクスピアの“マクベス”にも登場することで有名だ。
また、バラにも“グラミス・キャッスル”という名のバラがあるのだ。クリーム色がかった白バラだ。 バラの名が“グラミス”と読まれるの便宜上グラミス城と記しているが、正しい発音は“グラームス城 ”のようだ。
一角にエリザベス女王の妹のマーガレット王女の記念碑(Princess Margaret Memorial)がある(写真下右)。 マーガレット王女はここで1930年に生まれ2002年に亡くなられた。2006年に作成されたものだ。

Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle

グラミス城のガーデンの始まりは17世紀半ばに第3代伯爵が造ったもので当時はフランスやオランダに学んだフォーマル・ガーデン (整形式庭園)だったという。18世紀には第9代伯爵が当時イギリスで流行していたランドスケープ・ガーデン(英国式風景庭園)に変えたのだ。 これが現在城の周りに見るグランドだ。更に19世紀に第13代伯爵が敷地の広範に多数の北米産の樹木を植えたことによって現在の形になったのだ。

Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle

パインタムを通り抜けてウォールド・ガーデンに向かう。敷地内を流れるディーン川(Dean Water 18世紀に造られた農地の排水のための運河)に 架かる橋(Earl Michael Bridge)を渡ると入口のアイアン・ゲートが現れる(写真上左)。
航空写真1の中央上の“田の字”に見える部分がウォールド・ガーデンだ。拡大すると航空写真3のように 150m×110m、約4エーカーのの広大な壁に囲われたガーデンだ。
このガーデンは1866年から1868年の間に造られ、野菜や果物を城の住人に供給していたものだが、その後放置され荒れ果てていたものだ。

Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle

現在改修プロジェクト(Restoration Project)が組まれ進行中であることは知っていたが、2010年に訪れたガーデンが 頭にあるので入場して驚いた。ガーデン中央で噴水が高く噴きあがり、両脇は素晴らしいフラワーガーデンに変身しているではないか(写真上3枚)。
少しアングルは異なるが10年と15年の写真を並べてみるとその違いが鮮明だ。 通路に沿って芝の中に植えられた苗木が立派な生垣に育っている。5年前には芝生しかなかった場所にボーダーが出現している。 このボーダーは高さと厚みには欠けるが、5年足らずでここまでになるとは驚異的だ。

Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle

5年前のほぼ開発前の姿を見られ、今日また進行形のこのガーデンを見られたことは貴重な経験だ。夢中でガーデン内を彷徨い歩く。
ガーデン南西のスクエアの円形の池の中に噴水が置かれている(写真上左、下左)。池の縁はまだ土が剥き出しだし、周辺もまだまだこれからというところだ。 そして、池の中のスイレンや水生植物ももまだまだ生育途中だ。
上右の白いバラはグラミス・キャッスルかと思ったが少し違うようだ(ここまで背丈が高くない)。 手前の紫はキャットミント、後ろの背の高いクリーム色の花は何とスカビオサだ。
イタリアン・ガーデンと同じデザインのオベリスクが立っている。この色の方がバラを引き立てるように感じる(写真上右3枚、下中・右)。

Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle

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パーゴラの壁面をトレリスで円形にデザインしている(写真上4枚、下左・中)。パーゴラの柱にはつるバラがクライミングし、足元はキャットミントが覆う。 目の眩むような光景だ。つるバラが成長してパーゴラを覆うようになったらどんなことになるのだろう。次の訪問が楽しみだ。

Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle

Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle

ガーデンの北の壁に沿って温室が広がる(写真上右2枚、下中)。形は古いが中は最新式の機能が備えられているという。
中央の噴水の大きさが感じられないくらい全体のスケールが大きなガーデンだ。グラミス城に着いた時の気温が22℃だったから いまはもっと上がっているだろう。この旅一番の気温だ。噴水のしぶきが心地よい。
バラの誘引の方法も色々見られる。上述のオベリスク、パーゴラに加えてロープ&ポスト・フェンス(写真上左2枚)やアーチ(写真上右2枚)など多彩だ。 時間の経過とともに素晴らしい進化を予見させるガーデンだ。

Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle

壁を伝うつる性植物も重々しいほどに茂っている(写真上右、下右から2枚目)。長期計画で早くから準備されてものなのだろう。
今はバラが最盛期で目立っているが、珍しい宿根草なども目を見張るような生育ぶりだ。

Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle

再びパインタムを通り帰路に就く。蛸の足ような枝ぶりの米松に出合う(写真上右)。
牧草地ではハイランドカトルがのんびりと草を食んでいる。呼びかけても我関せずと無視される。
ショップでポストカードとアイスクリームを求める。片や"Mackie's"片や"Arran Dairies"、どちらもスコットランドのトラディショナル・ブランドだ。 スコットランドの乳製品は期待を裏切らない。

Glamis Castle Glamis Castle Glamis Castle

ダンケルド(大聖堂、テルフォード橋)  Dunkeld (Cathedral , Telford Bridge)

ダンケルドの街が美しいとの情報だ。パークヘッド・ガーデンズの前に寄り道をする。グラミス城から50分、ナビ子ちゃんの指示のままにカントリーサイドのドライブを楽しむ。 観光客で賑わうビジーな街だ。テイ川(River Tay)沿いのパーキングに車を入れ、アトール・ストリートからハイ・ストリートに向かう。 広場にアトール・メモリアル・ファウンテン(Atholl Memorial Fountain)が立っている(写真下左)。 この街に水道を敷いた第6代アトール公爵の功績を称え1866年に建てられたものだ。
ハイ・ストリートに続くカセドルル・ストリートを進むとダンケルド大聖堂に突き当たる。 大木の林に囲まれた静寂の中にしっとりと佇んでいる(写真下中)。その歴史を9世紀に遡る歴史ある大聖堂だ。現在の建物は1318年のもので、 一部は現在も使われているという。

Dunkeld Dunkeld Dunkeld

林の先にテイ川 が見える。川岸まで芝生の中を歩く。テイ川はスコットランドで最も長い川だという。この辺の川幅は広く流量も多い。滔々たる流れだ。 そんな中、船を浮かべサーモン釣りに興ずる人(写真上右)やカヌー遊びをする少年少女の一団(写真下左・中)が見られる。 流れが速いのでカヌーの少年少女に気がついてカメラを準備する間に川下に流れていってしまった。
見えているダンケルド橋はトーマス・テルフォード(Thomas Telford)の設計による1809年の橋だ。
大聖堂前の民家のウインドー・ボックスの草花も伸びやかに生育している(写真下左)。

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パークヘッド・ガーデンズ  Parkhead Gardens

今日も最後の訪問地は5年前の旅で個人のオープン・ガーデンをアレンジメントで訪れた内の1軒である パークヘッド・ガーデンズだ。
パースの街の住宅地にあるから個人のお宅を探すのは難しい。5年前に電話でアレンジメントして訪ねた時は 私たちのためにわざわざ大通りに“ngs”の黄色の看板を出していただいた配慮に感動したものだ。 今日は2度目、勝手知ったるバーグミュア・ロード(Burghmuir Rord)に車を止め、その名も“パークヘッド・ガーデンズ”という小路を入っていくと 右手に懐かしいヨーロッパグリ(Spanish chestnut)の大木の下がパークヘッド・ハウスだ。 呼び鈴を押すと待っていましたとばかりにご夫妻が飛び出してきてハグで歓迎される。

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パークヘッド・ガーデンズは広さ1エーカー(約4000平米)というからイギリスのお宅のガーデンとしてはそんなに大きくはない。 しかし、適度な高低差もあり、工夫されたデザインで散策路は相当長い。その両脇に珍しい植物がてんこ盛りの植栽だ。
妻とマドレーヌ(Madeleine)は何をそんなに話せるのと思うくらいお喋りし続けながら歩くから前に進まない。 私とミカエル(Michael)はというと話が続かない。そこで写真を撮りまくることになる。撮った写真の半分ほどを掲載する。

Parkhead Gardens Parkhead Gardens Parkhead Gardens

Parkhead Gardens Parkhead Gardens Parkhead Gardens Parkhead Gardens

パスは直線でなく蛇行するのがスコティッシュ流(写真上左)。芍薬の支柱にも工夫が(写真上左から2枚目)。 ハウスの壁にはバラとクレマチスがコラボでクライミング(写真上右2枚)。ニワトリのオブジェが庭内のあちこちに(写真下3枚)。

Parkhead Gardens Parkhead Gardens Parkhead Gardens

Parkhead Gardens Parkhead Gardens Parkhead Gardens Parkhead Gardens

パスはあくまでも曲がりくねっている(写真上左2枚、下左)。曲がった先には何があるのだろうとウキウキさせる。
華やかなカラースキムがマドレーヌのお好みのようだ(写真上右2枚、下中・右)。

Parkhead Gardens Parkhead Gardens Parkhead Gardens

Parkhead Gardens Parkhead Gardens Parkhead Gardens Parkhead Gardens

ガーデンではオーナメントなどを見つけるのも楽しみの一つだ。サンダイアルは重厚感あふれる(写真上左)。 黄色のバラに囲まれてフクロウがいるし、キッチンガーデンには案山子が立っていた(写真下左・中)。茅葺きのバード・フィーダーが渋い(写真上右)
おしゃれな金属製フェンスもあれば(写真上左)、素朴な木製フェンスもある(写真下中・右)。丸太のパーゴラも素朴だ(写真上右2枚)。
写真上右の四角い箱はミツバチの巣だ。マドレーヌは養蜂の技術もあるのだという。驚いた。

Parkhead Gardens Parkhead Gardens Parkhead Gardens

Parkhead Gardens Parkhead Gardens Parkhead Gardens

パークヘッド・ガーデンズはほとんどマドレーヌ一人で管理しているようだ。しかし、池の造成にはミカエルが活躍したという。 3週間かけて穴を掘り、ビニールシートを敷き、岩を積んだという。5年前と比較すると 植物が池を覆い尽くすほど成長している(写真上中)。池の周りの岩の上でカエルが気持ちが悪いほどにうじゃうじゃと甲羅干しをしている(写真上右)。 この池で生まれたのだという。
ガーデンチェアとテーブルがセットされ、お茶のサービスを受ける。ティーセットは5年前と同じブルーウィローだ。 ケーキも2種類、イギリスらしいチョー甘いケーキだ。マドレーヌは5年前にお土産として渡したちりめんのがま口や帰国後礼状に添えた写真や その後毎年送ったクリスマスカードを保存してくれていた。思い出話、ガーデン談義に花が咲く。

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たっぷり2時間の滞在となった。お暇を告げると出口まで見送ってくれる。到着時には閉まっていたガレージが空いている。 中には真っ赤なクラシック・カーが鎮座している(写真下3枚)。ミカエルの趣味を披露したかったらしい。妻に「乗ってみるか?」と訊く。勿論、大喜びで乗る。 私が写真を撮ると、今度は私に「君も乗れ」と勧めてくれて写真を撮ってくれた。イギリスの“MG”というブランドのスポーツカーで1950年頃のものらしい。 ミカエルはこれでドライブするのが楽しみなのだという。マドレーヌは「ガーデンがあるから」と一緒にドライブしたことがないのだという。 かと言って、恨み言を言うのでもない。この辺がイギリス人の個人主義の表れだ。お互いの趣味を尊重し合い、理解し合っているのだ。

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ナショナル・コレクション  National Plant Collection

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“庭師の国”と呼ばれるイギリスの園芸を支えている3つの組織がある。ナショナルトラストナショナル・ガーデン・スキム、そして 王立園芸協会だ。
それにもう一つ最近とみに謳われているのが“ナショナル・コレクション”だ。これはイギリスで栽培される野生種や園芸植物を保存、育成、増殖、記録を行う組織で 1978年に王立園芸協会の活動として始まったものだ。絶滅が危惧される植物を保有する植物園や大学、個人、ナーセリー、市町村などが コレクションホルダーとして登録され、一般にもコレクションを公開している組織だ。 "National Council for the Conservation of Plants and Gardens(NCCPG)"という組織を経て2009年から"Plant Heritage"という民間組織により推進されている。

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マドレーヌはそのコレクションホルダーとしても登録されているのだ。"Mylnefield Lilies(also known as North Hybrids)"というユリの保存、育成に勤めているのだ。 5年前の訪問時はそんな話はなかったからこの5年でコレクションホルダーになったのだ。口ぶりからもその熱の入れようが伝わって来る。

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正直なところ同じ植物を集めて鉢植えにしてコレクションすることは私の趣味ではない。ただ、ナショナル・コレクションは絶滅危惧種の保存という名目がある。 そこが評価できるところだ。彼女のコレクションを並べてみた。より詳しくは上記ホームページと こちらのページ(PDF)が詳しい。

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ザ・ミュアズ・イン  The Muirs Inn

今宵から4日間の宿“バーンバンクB&B”はこの旅で最もリーズナブルな宿だから若干雰囲気は下がるが、円安の折、締めるところは締めないと。
宿の推薦のレストランは徒歩10分のザ・ミュアズ・インだ。オーダーは
・ Smoked trout and prawn paupiette, with pickled cucumber, raisin and caper dressing をスターターとしてシェア  メインは妻が
・ Pan fried sea bream fillet, avocado and pink grapefruit salad, mango salsa 私が
・ Chef's homemade 6oz steak, caramelised onion and tarragon burger with mustard slaw and home cut chips とした。
前菜のポーピエットは言うことなし。美しい盛り付けにトラウトとプラウンの甘味にソースがマッチして美味しい。
妻のマンゴー ・サルサはイギリスでは珍しい鯛の切り身のソテーの上に色鮮やかなマンゴー ・サルサが盛ってある上品な1品だ。味も申し分なし。(ピンボケ写真でごめんなさい)
私のは"Chef's homemade 6oz steak"ばかり見てステーキと思い込んでいたら、粗挽きハンバーグのバーガーが出てきてびっくりポンです。 肉が美味い。熱々のチップスと冷たいマスタード・スローの付け合せもボリュームたっぷりで大満足だ。

The Muirs Inn The Muirs Inn The Muirs Inn

素晴らしいレストランだ。とても気に入ったし、明日は週末だ。スカイ島での一件を思い出し明日の予約を入れる。これで一安心。
外に出て写真を撮っていると、表でお喋りをしていた男性が「二人を撮ってあげよう」と声をかけてくる。 並んでポーズをとると「もっと笑え」だの「そこで踊れ」だの注文が多い。お陰で楽しい写真が残った。

The Muirs Inn The Muirs Inn The Muirs Inn

F.U写真集  F.U Photo Album

今年も妻が撮影した写真を掲載させていただく。異なった視点からの写真も面白いかも知れない。

写真下左から
 グラミス城    イタリアン・ガーデンのボーダー 厚いイチイの生垣とその向こうの大木の背景は逆立ちしても真似できない
 グラミス城    イタリアン・ガーデンのボーダー ましてや背景にこのお城 それが見たくて毎年通うのだ
 グラミス城    ウォールド・ガーデン 色彩豊富なカラースキムだ

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写真下左から
 パークヘッド・ガーデンズ    ハウスの壁にはつるバラとクレマチスがコラボしている 前に置かれたコンテナも素晴らしい
 パークヘッド・ガーデンズ    珍しい植物がいっぱい テッポウユリの1種だという ナショナル・コレクションの種類とは異なる
 パークヘッド・ガーデンズ    ブットレア・アルタニフォリア 花の咲き方が面白い
 パークヘッド・ガーデンズ    アブチロン 赤花のものは余り好かないがこの黄花なら爽やかだ

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